SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリヌンティウス

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この物語に登場する怪獣は名前の頭に必ず、「ゴウ」がつくのと、白い鎧のような装甲を身に纏っているのが特徴です…

例 ゴウ・ゴルガ(第3話) ゴウ・ハルト(第6話)

ということで本編へGO!?


第7回 接・触

 

「あ〜!!ムカつくムカつくムカつく!!」

 

 

とコピーが足で机をドンドンと蹴る音が薄暗い部屋の中に響く。

 

「ゴウ・ハルトさん…惜しかったですね〜♪」

 

とコピーを宥める望美。

 

「…光線だけじゃなくてあんなのまで使うとか聞いてないし!あと…」

 

コピーは1人でブツブツブツブツと不満を募らせていた。

 

「まぁまぁ〜♪気を取り戻して〜また怪獣さんをつくりましょ〜う★」

と腕を上げながら望美は言うが、コピーは聞く耳持たずといった感じで独り言を言い続ける。

 

「あれ〜♪無視ですか〜♪ひど〜い♪」

 

そう言って望美が笑っていると突然コピーの背後に男性が現れる。

 

「いつまでそうやっているつもりだ?」

 

「ヒィッ!」

 

その男の声を聞きコピーは独り言をやめるとガタガタと震え始める。

 

すると男性はコピーの胸ぐらを掴み上げる。

 

「あばばばばっっ!!」

 

「あっ★おかえりなさ〜い♪ "ファージ"さん♪」

 

とその光景を見ながらもいつも通りの呑気な態度で望美がファージと呼ばれた男に挨拶をする。

 

ファージは望美に一瞥をくれるとすぐにコピーに目線を戻す。

 

彼は、黒と白のサイバー感のある衣装に身を包み、異常なほどに白い髪色をしている。

 

そんな彼は何処か異質さが感じられる。

 

彼はなおもコピーの胸ぐらを掴んだまま思いっきり睨みつける。

 

睨みつけられたコピーは先程のグリッドナイトの愚痴を溢していたときの威勢はどこへいったのかというほどに怯えていた。

 

「も〜帰ってきて早々〜やめてくださいよ〜ファージさ〜ん♪女の子には優しくしてあげないと〜♪嫌われちゃいますよ〜?」

 

「…別に嫌われても構わん。こいつがウダウダと文句しか言わないのが悪い。文句を言う暇があったら怪獣を創っていれば良いだろう。」

 

そう答えるとコピーの胸ぐらを掴んでいる手をよりいっそう強める。

 

「も〜スパルタなんですから〜♪そういう人のことを…えっと…毒親?って言うんですよ〜♪」

 

「…俺はコイツの親になったつまりはない。それと望美、お前はコピーを甘やかしすぎだ。その結果が…これだろう。」

 

「はいはいわかってますよー…そ・れ・で〜♪"外の扉"、ちゃんと修正してきてくれたんでしょ〜ねぇ〜」

 

と不利を悟ったのか、ファージの周りをくるくると回ると急に話題を変える。

 

「…問題ない。」

 

そんな望美に若干あきれながらシュヴァルはコピーから手を離す。

 

「ゲホッガハッ…ゼェゼェ…」

 

やっと解放され喉を抑えながら咳き込むコピー。

 

「それならいいですけどー♪…まだこの世界を"グリッドマン"さんに見つかるわけにはいきませんからね〜♪」  

 

「…外の、扉?…ぐりっど…まん…?いったい何の話ですか?」

 

とようやく落ち着いたのか喉元を抑えながら会話にコピーが口をはさむ。

 

「…お前には関係のない話だ。」

 

「え…?で、でも…!」

とコピーが追求しようとするがそれをファージが遮る。

 

「いいか?コピー…お前はただ怪獣を創っていればそれでいい…。…良いな?」

 

その言葉からは威圧的で、まるで周りの空気が重くなったように感じる。

 

「は、はい…」

 

とコピーはファージのプレッシャーに押されて何も言い返せない。

 

「…早速だがつくって欲しい怪獣がある。」

 

「おっ★珍しいですね〜ファージさんが注文してくるなんて〜♪」

 

「…まぁ…な。試しておきたいものがあってな。」 

 

そう言うファージの口元は何処か笑っているようにみえた。

 


 

「––!––––!––––!」

 

至る場所からサイレンや悲鳴が聞こえる。

 

あたり一面を嫌な煙が覆い尽くす。

 

極めつけには複数体もの怪獣が街を破壊し尽くしている。

 

この光景は誰がどうみても地獄と言うほかないだろう。

 

…あぁ…またこの夢か…

 

そう思うと目の前が光に覆われて、先程までと景色が変化する。

 

先程の場所は街から離れた高台だったが、今いる場所はその街の中だった。

 

近くでは怪獣が咆哮をあげて街を破壊しながら我が者顔で闊歩している。すると…

 

「アァそんな…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…ウソダウソダウソダウソダ…」

 

と数メートル先にいる少年が泣き叫んでいる声が辺りいったいに広がる。

 

するとその声を聞きつけたのか、怪獣が少年にターゲットに指定し襲い掛かろうとする。

 

…助けないと…!

 

そう思い足を前へ踏み出そうとするが足が動かない。

 

…なんで…!なんでだよっ!!動け!動けよっ!!

 

数メートル先の少年は下を向いたまま動こうとしない。

 

怪獣がドンドンと近づいてくる。その振動でバランスを崩しそのまま地面へと倒れ込む。

 

…あぁ…そんな…ダメだ…やめろ…

 

やっとの思いで手を伸ばすがその手は無残にも少年へは届かない。

 

怪獣の脚が少年の頭上まで迫る。

 

…もうダメだ…これ以上は見てられない…そう思い、目を瞑ったところで…

 

pipipipi...pipipipi...

 

とアラームが鳴り響き目を覚ます。

 

暑いな…と思い自身の体をみると汗がダラダラとでてパジャマがびしょびしょになってしまっている。

 

「…また、助けられなかった…。」

 

そう呟き壁掛けの時計をみるといつもよりも10分も寝坊していることに気づく。

「やべっ!」

 

そう言うと急いで学校の準備をしだす。

 

彼の名前は天木 太陽。キヨシ台高校に通う生徒であり1年E組の中心的メンバーである。

 

運動神経抜群、頭脳も…まぁ明晰、オレンジ色の髪が特徴的な明るい性格の持ち主である。(それにかなりのお節介である。by樹)

 

「それじゃあ、行ってきます!!」

 

そう言って玄関を飛び出し、まだ寝ているであろう友人:新条 樹の家へと走る。

 

…なんで最近あんな夢をみるんだ…?というかあの夢……ずっと前にもみていた気が……

 

そう考えながら走っているといつの間にか友人宅へと着いていた。

 

…まぁ気にしても仕方ないか……

 

と思い、いつも通り外から友人を呼ぶために大きく息を吸い、叫ぶ。

 

「おーい!!起きてるか〜?」

 

 


 

「…で、そこからの逆転ときたらもう…!最高なわけよ!」

 

といつも通り屋上で昼食を食べながら昨夜観たテレビの話を1人熱弁している太陽。

 

「……へー…」

 

それを心ここに在らずといった感じで適当に対応しながら空をずっと見上げる樹。

 

「……って聞いてる?」

「…あー…そだねー…ははは」

 

「…聞いてねぇなコイツ」

 

と話を切り上げ、樹と同じく空を見上げてみる。

 

「…そんなおもしろいものあるか?」

 

「……。」

 

「おーい!聞いてますかー?!」

 

と少し大きめの声を出す。

 

するとようやく我に返ったのか、樹は口を開いた。

 

「…なぁ…、人に謝るときって…どうすればいいと思う…?」

 

「…どした?急に」 

 

いつもの彼ならばしてこない質問に戸惑う。

 

「いや…さ。えっと…俺の友だ…知り合いの子の話なんだけどさ…」

 

「…うん」

 

「その子がね、自分を心配してくれている女の子に割と酷いことを言っちゃった…らしいんだよね…。いや俺じゃなくて知り合いがね!!」

 

必死に自分のことではないと否定する樹をみて「嘘下手かよ」と内心思うが口には出さずに話しを聞く。

 

「で、その女の子に謝りたいんだけど…どうすれば良いのかわからない…らしいから、陽キャの太陽くんにそういうときどうすればいいか参考までに聞きたいなー…と。」

 

言うのが恥ずかしいのか、終盤かなり早口で言っていたがまぁなんとか聞き取ることができたので親友のために打開策を考える。

 

「う〜ん…そうだな……ストレートに「ごめん!」って謝るのがやっぱベストじゃないかなぁ〜。」

 

「…それができねぇから聞いてんだよーー…」 

 

と項垂れながら頭を抱えている樹。

 

「うーん…あとは…物を買ってあげて気分をとって仲直り…って方法とか?」

 

「…それ…人としてどうかと思うぞ…」

 

「うん…俺もそう思う…。」

 

こうして2人の昼休憩の時間は過ぎていった。

 


 

「はい、ということで今日の授業もお疲れ〜。さて、明日の連絡だが…」

 

と先生が帰りのSTを開始する。

 

…結局今日は古澤さんに謝れなかったな…明日こそ頑張ろと思いながらリュックに教科書類をしまっていく。

 

「…ということだ。あーあと、最近学校の近くに不審な人物が目撃されているらしいからなるべくはやくに帰るように。それじゃ。」

 

こうしてSTが終わりみんな帰っていく。

 

「さてと…」

 

と樹も立ち上がりコンピュータ室へ向かう。

 

2日連続で怪獣が出たということで今日も出る可能性がなきにしもあらず…って感じのため一応残ることにしている。

 

因みに太陽は今日も部活だ。

 

そうしてコンピュータ室の前までつくと何やらドアの前に何か貼ってある。

 

なんだこれ?と思いながらその内容を見てみる。

 

 

 

コンピュータ室只今使用中!!関係者以外立ち入り禁止!!

 

 

 

…うん。なんだこれ。

 

昨日までなかったよな…?と思っていると中からうっすらと誰かの喋り声が聞こえてくる。

 

誰だ…?と思いつつそっとドアを開ける。

 

「なるほど…なるほど…つまりナイトさんは世界の平和のために戦っている…ということですね!!」

 

そこにいたのはショートボブの透き通るような水色の髪を揺らしながら、ナイトの話をまめにメモをとっていた少女だった。彼女は樹もよく知る人物:古澤 響子であった。

 

「古…澤…さん…?!」

 

予想外の人物に驚く樹。

 

「あっ!新条くん!」

 

こちらに気づいて手を振ってくる響子。

それを見て樹は「かわいいかよ…」と思いながらナイトのいるPCへと近づく。

 

「…遅かったな」

 

と相変わらず無愛想に腕を組みながらこちらをみるナイト。

 

「えっと…これはどういう状況で?」

 


 

「…フッ、フッ、フッ…!」

 

と息を荒げながら河川敷を走る太陽。

 

「おーい!1年大丈夫か〜?!」

 

と太陽の少し前を走る坊主頭の先輩が後ろを振り向きながら叫ぶ。

 

「…ハァハァ…!待っ、待って!待ってください…!」

 

と太陽から大分後ろに離れた場所から掠れた声がいくつも聞こえてくる。

 

「…ダメそうだな…。そんなんじゃスタメンの座奪えないぞ!!頑張れ!!」

 

と先輩は少し呆れながらも後輩たちのために声を荒げる。

 

彼は内心めんどくさいと思いながらも、なんだかんだで太陽たち1年生の面倒をみてくれるいい先輩だ。

 

しばらくその場で止まって後ろの部員たちを待つ。5分くらいかけてようやく全員が到着する。

 

「た、太陽…お前だけなんでそんな平気そうな顔してんだよ…」

 

と息を荒げながら、金色の髪をした男子・西野が喋りかけてくる。

 

「そりゃあ小さい頃から毎日走り込みしてるからなぁ〜…体力は自身あるぜ!」

 

とマッスルポーズを見せびらかしながら答える太陽。 

 

すると人数を数えていた先輩が数え終えたのかこちらに向かって話し始める。

 

「よっし。全員揃ったな〜…それじゃランニング再開だ!!」

 

と言って再び走りはじめる。

 

「ちょっ!きついっスよ!先輩〜!」

 

と言いながらも先輩に着いて行く。

 

太陽は遅れるやつがいないようにと思い、1番後ろへ下がり走る。

 

まだバスケ部に入部して2ヶ月。

 

最初の半年は1日ごとにランニングとシュート練習で変わっていくのをひたすら続けるのがうちの伝統…らしい。

 

まだ今はスタメンにも入れていないがいつか必ず…!と決意して走る足に力を入れる。

 

そうして走っていると太陽は、高架下の道端に倒れている人影を発見する。

「………?…!人じゃん!!」

 

と太陽は立ち止まるが前にいる同級生たちは走るのに集中していてそれが見えていないようだ。

 

太陽は前でヒィヒィ言いながら走っている金髪の西野に話しかける。

 

「わりぃ…西野。先輩に俺はトイレ行ったって伝えといて」

 

「ちょっおまっ…」

 

と西野の返答を待つより先に橋の下へと向かう。

 

橋の下、〈冠水注意〉の路面標示のそばにへたり込んでいたのは–−

 

「うん?この人…購買の…」

 

黒スーツに竜のピンバッジ、桃色のサングラスに顔の傷…それは間違いなく、最近キヨシ台高校の購買で働き始めた青年だ。

 

そのスレンダーな長躯が、倒れた麦のように力なく横たわっている。周囲の草むらに擬してしまいかねない生気の無さだった。

 

太陽が近づくと、青年はしわしわになった唇から吐息のような掠れ声を漏らした。

 

「ーーーは、腹が……」

 

「…腹が…空いてるんすか…?」

 

と少々呆れながら青年を見ると今にも死にそうな感じに見えてくる。

 

「ちょっ、ちょっと待っててくださいね!!」

 

というと同時に走りだし近くのコンビニへと急ぐ。

 

しばらくして戻ってきても青年は全く動いていなかった。太陽はコンビニで買ってきたものを袋から取り出すと青年に差し出す。

 

「あのぉ…これよかったらー」

 

と言い終わる前に、太陽の手の平から買ってきたカニカマおにぎりは消えていた。 

 

ご飯の皿を差し出した瞬間に飛びつく犬のように、青年は我を失った勢いで頂戴していったのだ。

 

明らかにビニールもろとも咀嚼していて大丈夫だろうかと心配になる。

 

しばらくすると青年は生気が戻ったのか勢いよく立ち上がる。

 

「…お兄さん…大丈夫っすか…?」

 

「…あぁ、大丈夫…だ…。」

 

と青年は力なく答える。

 

おにぎり一つで完全回復するほど空腹具合ではなかったのか、その声音はまだ少し掠れ気味だ。

 

「あの。なんで倒れてたのか聞いていいっすか…?」

 

「…街、歩いてたら、子供が募金箱持って並んでてな…。つい、有り金全部入れちまった…」

 

という青年の言葉に思わず太陽は絶句する。

 

見た目はすごい不審者なのに根は優しいんだろうなと思わず感心してしまう。

 

でも流石に生活費は残しておくべきだと思っていると青年が錆びたブリキ人形めいたぎこちなさで首をこちらに向けてきた。

 

「お前…俺の生命(いのち)の恩人だ…」

 

「は、はぁ…」

 

と苦笑する太陽。

 

太陽が小学生だったら即座に防犯ブザーを引っ張っていただろう。

 

「お前…名前は?」

 

「え」

 

初対面ではないが流石に赤の他人に自分の名前を教えていいものだろうか…?と思っていると青年は再び聞いてくる。

 

「…名前…」

 

「天木 太陽…です…ケド。」

 

「太陽か…いい名前だな…」

 

青年のあまりの勢いに押されて言ってしまったと自分を自負していると青年が口を再び開く。

 

「俺の…名前は…」

 

そう青年が名乗ろうとしたところで突然振動が当たり一帯を襲う。

 

「なんだ?!」

 

と周りを見渡すと橋の向こうに怪しく蠢めく巨影を見つける。

 

「あれは…夢で見た…!!」

 

「………怪獣…。」

 

 




あれ?このやりとりどこかで…?
ということで、いつもよりも長文をお読みいただきありがとうございました…
長かったので新キャラのファージくんについては次回の投稿で詳しく…
あと坊主の先輩と金髪の西野くんは脇役なんであまり深く考えないでください…

それではadieu!!

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