SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
……これみたときはマジで笑いましたね…
ということで本編どぞ!
「ひ、酷い目にあった…」
「あはは…」
ナイトから"お仕置き"の電流を喰らった後、樹と響子は帰路へと着いた。
「…ちょっとイジっただけじゃんか…」
またナイトに電流を流されかねないので少し控えめに愚痴をこぼす。
あはは…と響子は苦笑いする。
「でもナイトさん…新条くんと話すときはなんか楽しそうだったよ?」
「…そうかなぁ」
まぁ…確かに…初めて会ったときは、割と黙ったままのことが多かったからその時よりかは話してくれるようになったし…前よりかは自分を信用してくれていることの現れだろう…と樹は思うことにした。
二人はお互いに少しずつ距離を空けながら道を歩く。
「……」
「………」
お互いに話すことがなくなったのか、しばし静かな時間が流れる。
高架下のトンネルが夜の月光を曇らせる。
…何か話した方が…いいかな…?
その出口に差しかかったところで、樹は不意に足を止める。
「…新条くん?どうかした?」
突然止まった樹の方を響子がじっと見る。
出口に差しかかった場所にいたため、月の明かりが少しだけ二人を包む。
樹は光に照らされた響子の方を見ると、思わず言葉を失った。
透き通るような水色の髪が夜風になびき、その濁りない眼は暗夜の星のように貴い。
その姿を見て、話そうとしていた内容がどこかへいってしまうほどに彼女は綺麗だった。
「新条くん?…おーい」
「あ、あぁ…ごめん」
と魅了の状態異常にかかったかのようにしばらく放心していたが響子の一声ですぐに戻った。
すると、そんな状況に耐え切れなくなったかのように「くぅー」っと情けない音がトンネルに響く。
自身のお腹が鳴ったことに恥ずかしくなり樹は急いで両手で押さえる。
「…あはは、お腹空いちゃたね」
「…うん」
その後二人は、コンビニへと向かった。
まだ帰宅後に夕食が待っているため軽めのドーナツを買い、二人並んで食べた。
「新条くんってバス通学だっけ?」
「うん、古澤さんも?」
「ううん、私は歩きだよ」
ドーナツを一口かじり微笑む響子。
その姿をみて樹は…こういった時間を守っていきたいなとドーナツを頬張りながら決意するのだった。
「フゥーフゥー…ん…これは…!!カァレェェ!?!」
都心から離れた、人気のない渓谷に青年の悲鳴がこだまする。
「だから言ったのに…お兄さんが言ったんすよー…「修行の後は激辛!」って……というか美味いなこれ」
と星雲亭のワンタン醤油ラーメンをすすりながら答える太陽。
「…蟹の絵ついてたから旨そうに見えたんだがな…」
「…カニ、好きなんすね…結構舌肥えてる」
ダイナソルジャーの操縦訓練を終え、二人は夜食として持ってきたカップラーメンを食べていた。
「アー…まだヒリヒリする…」
文句を言いつつも食べ終えた青年の口を見ると、それはもう見事なたらこ唇になっていた。
「ぷっ…ちょっ待って…お兄さん…あははははは!!!」
その姿に思わず堪えられなくなったのか太陽は大笑いする。
「…おい笑うなよ…そんなおもしろいか?」
青年は問いかけると太陽はスマホを取り出して青年の写真を撮り見せる。
「…ッフ…ブハハハハハッ!!これは、笑ってもしかたねぇな!」
「でしょ?!」
二人の笑い声が静かな夜の空へと響く。
太陽は空を見上げると星がいつもよりも綺麗に見えた。
「なんか…良いっすね…」
「あぁ…そうだな」
キラキラと輝く運河が二人の心を奪う。
「…太陽、今日は突然連れてきて悪かったな」
「あー…全然大丈夫っすよ!むしろこんな綺麗な星空見れて得した気分っす!」
「そうか…なら良かった」
青年のは腰に手をやりながら歯を剥き出しにして笑う。
「そーえば、そろそろお兄さんの名前教えてくださいよ」
「…あー言ってなかったな…俺の名前は…」
「名前は…?」
太陽は青年の名前を知れるとワクワクしていると青年はデコピンをする。
「イデッ…何するんすか!」
突然のデコピンに額をおさえながら文句を言う。
「まだだ…まだ言わない。教えるのはお前が完璧にダイナソルジャーを操縦できるようになってからだ」
「えぇ…」
「ほら…目標があった方が上達も早いって言うじゃねぇか、な?」
若干言いくるめられた感があるがまぁ納得しておく。
「よしっ…明日もやるから今日はもう終わりだ、帰るぞー」
「あぁ、ちょっと待ってくださいよ〜」
こうして一日目の訓練は幕を閉じた。
「じゃ…」
「うん、それじゃぁ…また明日」
樹と別れ、響子は自身の家へと帰宅する。
「…ただいま…」
と一応言うがそれに対して誰の返事も返ってこない。
しんと冷たい空気に沈む玄関ホールに、ドアロックのかかる音がやけに響くのを聞きながら響子は大きく一度深呼吸をして靴を脱ぎ、自室へと向かった。
向かう途中、風呂場のドアが開き、父:古澤 堂馬が出てきた。
「…あっ…お父…さん」
と思わず低い声で呟きながら後退りしてしまう。
「…遅かったな」
自身の左腕に付けたブランド物の時計を見ながら、静かだが威圧感のある張った声が響子の耳を叩く。
「……ごめん…なさい」
声を振るわせながらもなんとか返答をする。
「…以後は気をつけろ…」
そう言うと父:堂馬は顔色ひとつ変えず、まるで興味がないものをみるかのように目を細くする。
それは響子に何も期待していない冷たい目線。
まるで失敗作を見るかのような目。
「…っ」
その場に留まることが苦痛となり、俯きながらにげるように階段へと駆け上がって、自室のドアを引き開ける。
部屋の電気を付けず、そのまま体をどさりとベッドに投げ出し、制服が
だがそんな響子に追い討ちをかけるように、今まで響子がさまざまな人から言われてきた脳裏に染み付いた言葉が襲う。
…ほんとに…アナタは失敗作
…奏と比べてお前は本当に駄目だな
…これ以上…失望させないで
君…なんのためにここにいるの?
…もっと頑張らないと…もっと、もっともっともっと…
…もっと頑張るから…頑張れるから…誰か私を…見て…ねぇ…
私は…ここに…ここにいるよ…
親類たちの前では飾り物の人形のように空疎な笑みを浮かべ、親に強制されたルートを進む。
学校内では、なるべく明るく、どんな人にも分け隔てなく接する。
友人との時間…それは響子にとってかけがえのない…唯一の心の安楽だった。
時々、どちらが本当の自分なのかがわからなくなる。
自分はなんなのか、自分の存在意義とは…
何?なんなの…誰か…教えてよ…
いつしか疲労感にも襲われ、響子は眠りへとついた。
「……新条…くん」
眠りながらも震える唇の隙間から、その名前を助けを求めるように呼んでいた…
⬛︎
深く深く…眠りに落ちていく…
響子は昨日と同じように夢をみた。
ライムグリーンの髪を揺らす少し癖毛の少年…
彼は私たちを助けてくれた…
これが現実のことだったのか…はたまた夢での出来事だったのか…今ではわからない。
だけど…あの時、彼は言ってくれた…
「なんか…よくわかんないけど俺は…自分の存在している意味を理解している人なんていないと思うよ」
「…え?」
「いや…さ、長ーい人生の中で…人の優しさとか…想いとか…そういう目には見えないものを…通して、そうして…ようやくわかる…そういうもんだと俺は思うな」
「……」
「だから今はまだわからなくてもいつか…きっとわかる日が来るよ。絶対」
そう言って笑い、私の頬に手を伸ばすと無理矢理笑わせてくる。
その笑顔が…言葉が私を…少しだけ…勇気づけてくれた。
⬛︎
ハミングが聞こえる。
鳥の
「っん…」
吐息交じりに身体を起こす。
するといつの間にかかかっていたシーツが僅かにずり落ちた。
…寝ている間に自分でかけたのかな?と思いながらベッドから立ち上がり、ドレッサーの三面鏡に映り込んだ自分の姿を見る。
「…我ながらひっどい髪型だなー…」
三面鏡に映り込んだ響子の姿はところどころ髪がピョンとアホ毛が跳ねていた。
ブラシを手に取り、乱れた髪を手早く整える。
すると小さく「きゅー」とお腹が鳴った。
「あはっはは…」
昨日帰ってきてからすぐに寝落ちしてしまってそれから何も食べていないので無理はない。
時計を見るとまだ午前5時で、登校時間まではだいぶ時間があった。
その後、自分の部屋から薄暗い廊下に一歩出る。
震える息を大きくひとつ吐き、まだ目頭に残っていた涙を手で荒く拭く。
半円を描く階段を降り、一階に出た後ダイニングルームへと向かった。
重厚なオーク材のドアを開けるとそこには静かな空気が流れていた。
まだ家族は誰も起きていないようで、今の響子には好都合だった。
台所へ向かい冷蔵庫を開ける。
そこには昨日食べなかった夕食が冷やしてあった。
夕食を取り出すとレンジに入れて温め直していく。
基本的に響子は食事を家族と摂らない。
以前は摂っていたがいつ頃からか、家族との食卓は緊張感に満ちたものになってしまった。
いや、自分が気づいていなかっただけで昔からずっとこうだったのかもしれない。
野菜を残したり、音を立てて食べると手厳しく叱責された記憶がある。
響子は賑やかな食卓というものを知らなかった。
毎日の食事はすべて母:古澤 凛花が栄養学的に計算し調理したものを静かに、まるで機械のように食べる。
「…いただきます…」
温め直した食事を1人黙々と食べていく。
食べ始めて気づいたが、昨日の夕食はハンバーグだったようだ。
基本的にそういった料理を作らない母にしては珍しいと思いながらも箸を進めていく。
思えば、最近の夕食はこういったひと言で言うと庶民的な料理が増えた気がする。
…ところどころ形が不恰好な部分もあるし…適当に作ってるっぽいな…
と思いながら箸を置き、両手を合わせる。
「…ごちそうさまでした…」
食べ終えた食器を洗浄機に入れ、そのまま浴室へと向かう。
「…はふぅ…」
憂いを帯びた瞳を細め、浴室の縁へと身をもたせかける。
さまざまな想いに整理をつけるべく、長時間入浴する響子であった。
「それじゃあ古澤さんおつかれ」
「うん、バイバイ また来週」
今日も昨日と同じく、怪獣は出ず樹と響子はそれぞれ帰路へと着いた。
「…ふぅ………ただいま…」
重い足をひきずるように玄関のドアを開ける。
いつもと同じように返事はないのを確認すると靴を脱ぎダイニングルームへと向かう。
いつもなら自分の部屋に直行するところだが今日ばかりはそういうわけにはいかない。
7月にやる三者懇談の紙を書いてもらう必要があるためだ。
こればっかりは自分で書いて提出するわけにもいかないので渋々、母へと提出しなければいけないのだ。
響子は一度深呼吸をし、ダイニングルームのドアを開く。
「……あら…珍しいこともあるものね…」
ドアを開けた途端、強圧的な声が部屋に静かに響く。
響子は俯きながら通学バックのジッパーを開けてクリアファイルを取り出しその中の用紙を取り出す。
「こ、これを書いてもらいたくて…」
なるべく低い声で呟きながら母:凛花へ用紙を渡す。
こんなところ早く出たい…その想い一心でひたすらに下を見続ける。
「…ふーん…まぁいいわ…サインしといてあげる」
腕を組み用紙に視線を落とす母を確認してその場から立ち去ろうとする。
「…ちょっと…まだ話は終わってないわよ」
「…なんですか…?」
「…まぁ立って話すのも疲れるし、とりあえず椅子に座りなさい」
母にそう促され、視線を伏せたまま背もたれの高い椅子へと腰を下ろす。
艶やかなダークブルーの髪がライトに照らされ、より一層高圧的雰囲気を漂わせながら母:凛花は口を開く。
「…さっそくだけどこれを見てちょうだい」
母:凛花はそう言うとタブレットを響子へと差し出してくる。
響子は眉をしかめながら画面に目を走らせる。
「…?……何…これ…」
「…見ての通り、編入試験の概要よ」
「…違う…なんで…こんなもの…を…私は今の学校が良いの。友達も、いい先生もたくさんいる…なのに…なんで…」
唖然とした表情で響子は訴える。
だが凛花は有無を言わせぬ口調で抗議を遮る。
「…なんでって?そんなの決まってるじゃない…今のあなたじゃ古澤家の名に傷がつくからよ」
「…?」
「今の学校から進学できる大学なんてたかが知れてるわ…レベルの低い授業、教師、施設…まともな経歴を持つ人はほとんどいないじゃない…貴方はただでさえ出来損ないなのに…」
凛花は諭すような調子で再び話し始める。
「…そこで私の仕事の知り合いがやっている進学校に無理を言って受けられるようにしてもらったのよ。そこからなら有名大学の進学もサポートしてくれる。今の学校と違って徹底的なカリキュラムに行事…いくら出来損ないの貴方でもあそこからならまだ大丈夫なはずよ」
「…っ…そ、そんなのお母さんの意見じゃん…私は…」
あまりにも一方的な言葉をぶつけられ、自然と声が大きくなっていくのを感じながら響子は抗議を続ける。
「私は…今の学校で…もっとみんなと過ごしたいの!今まで散々私のことほっといて今さら何?!私は…私は…お母さんたちの…古澤家のお飾りなんかじゃない!!」
どうにか響子がそれだけ言うと、凛花はこれみよがしにため息をついた。
「…今の貴方にはそれを言う力も権利も何もないわ。…これ以上の会話に意味はないわね。まぁ今度の懇談会までに編入の話はまとめておきなさい。それと…明日は本家へ行くわよ。本家でもこの話をしなくちゃいけないし…」
「…もう…いい…!」
そう言い放つと席を立ち、部屋を出て急いで階段を駆け上がり自室のドアを引き開ける。
「…くそ…くそ…くそぉぉぉっ!!」
普段口にはしない言葉を苛立ちとともに発し、ベッドの上のクッションへとその想いをぶつける。
「…もう……やだよ…」
響子の悲痛な叫びが、降り出した雨の空へと響いた…
…前回の後書きで《次回はバトルパートやるよ∩^ω^∩》とかぬかしてましたが普通にやれませんでした…
はいw終わりwでーすw…さーせんでした(土下座
…いや違うんすよ、なんか響子の重い話やるの楽しくてつい…
…次回は本当にバトルに入りますのでそれまでadieu!!