SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
「…はぁ…はぁ…はぁ…き、きつい…」
今にも倒れ込んでしまうような表情で樹は階段を駆け上がっていく。
怪獣の暴風により、止まってしまったバスから走って学校まで来たのでもう体力の限界に近かった。
なんとか階段を登り切り、軽く一息吐いた後、樹は急ぎコンピュータ室へと向かう。
「ごめん!遅れた…!!」
「………遅い」
瞼を閉じ、腕を組んでいるナイトに謝罪の意を示しながら樹はプライマルアクセプターを構える。
「言い訳は後で聞く…行くぞ」
「あぁ…行こう…!」
すぐに表情を引き締め、掲げた左腕のアクセプターに右腕をクロスさせる。
「アクセス…フラッシュ!!」
叫ぶと同時に樹の体が光と化し、パソコンへと吸い込まれていく。
『オラオラオラオラオラオラオラオラ!…オラァッ!』
銀色のボディを光らすダイナソルジャーウイングコンバインと怪獣:ゴウ・レボアースとの激しい空中戦が繰り広げられる。
〔ー!!ー!!ーーー!〕
ゴウ・レボアースが吠えるとともに、無数の羽が二機を襲う。
『委員長!もっかいあのぐるぐるアタック頼む!』
『りょ、了解!』
太陽の指示通りに響子が操作すると、ダイナソルジャーウイングコンバインはぐるぐると回転して羽を弾きながらそのまま弾丸のようにゴウ・レボアースへと攻撃を仕掛ける。
それをすかさず、ゴウ・レボアースは羽を自身を守ように集めて防御をする。
さらに間近で竜巻を生み出し、距離を取る。
『…くっそ…離れすぎてダイナダイバーじゃ狙えねぇ…』
上空での戦いを地上で見守りながら青年の悔しげ声が響く。
「逃すか!」
竜巻を避けながら再びゴウ・レボアースへと攻撃を繰り出していく。
「…さっきよりかは、効いてるけど…決定打に欠けるな…」
太陽が焦りの声を漏らす。
『…一旦、この怪獣を空中から地上へ落とそう…!そしたらあの男の人の乗ってるやつでも狙えるはず…』
響子の提案に頷き、ダイナソルジャーウイングコンバインの膝部分のノズルのブースターを吹かせ今よりも更に上に飛翔する。
『これでも喰らいやがれぇっ…!!』
そう叫び、空中から急降下して全体重を乗せた強力な飛び蹴りを放つ。
足部分の爪でゴウ・レボアースの身体をガッチリと掴み、そのまま地上へと落とす。
〔ー!ー?ー!〕
地上へと落とされ、ゴウ・レボアースは怒り狂ったように首を小刻みに震わせると雄叫びを上げる。
それに応えるように、羽が赤く光りそのまま縦横無尽に攻撃をしてくる。
『それはもう効かない…!もっかいぐるぐるアタック!』
羽攻撃に対応するため再度ぐるぐると書いてして羽を弾き返そうとする。
しかし羽を弾き返そうとした途端、羽が突如として爆発した。
『ぐわぁあっ…!?』
『きゃっ!』
いきなりの攻撃に2人は怯む。
『…おいおい、大丈夫か!?』
爆発したことに驚きながらも2人を心配する。
『…いってて…なんだよ、さっきまでそんな攻撃してこなかったじゃん…』
太陽が愚痴るとともに再度羽がこちらに向かってくる。
先程までとは違う、爆発を起こす無数の羽。
それは爆弾の雨と表現した方がいいだろう。
『まずい…!まずいぞ…!』
3人は身震いを起こし、咄嗟にその場から離れようとする。
だが、羽は追尾機能を備えており三機は虚しくも羽の爆発に襲われる。
『…くっそ…!』
爆発の衝撃で倒れた三機の元へ、ゴウ・レボアースはジリジリと距離を詰め始める。
〔ー!ーーーーー!〕
ゴウ・レボアースがは再び吠え、翼で更なる追撃をしようとする。
しかし次の瞬間、ゴウ・レボアースの頭部を紫色の光に覆われた巨大な足が蹴り飛ばす。
『……ふっ!!』
力強い吐気とともに、三機の前に庇い出るように着地したのは、紫の超人─グリッドナイトだった。
『…たっく…おせぇよ…』
青年は悪態とは裏腹に口端を吊り上げ、サングラスを指で押し上げる。
『…グリッドナイト…新条くん…!』
響子はグリッドナイトの姿に思わず笑みを浮かべる。
『……新条…くん…?』
響子の発言を聞き太陽はグリッドナイトを凝視し、困惑の表情を見せる。
『…待たせたな…あとは任せろ』
響子たちにそう言うと、グリッドナイトは戦闘体制に入る。
〈…ナイト気をつけろよ、あの怪獣…羽を飛ばして攻撃も防御もこなすし、竜巻とかも起こせるっぽいから〉
〈……了解した、では…気を引き締めて行くぞ…!〉
〈おう!〉
〔ーーーー…ーー!!〕
突然現れたグリッドナイトに激昂し、咆哮するとともに戦いの火蓋が切って落とされた。
『はぁぁっ!』
ゴウ・レボアースの頭部を掴み、その勢いのまま身体を宙へと浮かせ連続で足蹴りを喰らわす。
すかさずゴウ・レボアースはその場に竜巻を起こして、距離を取り無数の羽をグリッドナイトへと飛ばす。
グリッドナイトは無数の羽が襲いかかる瞬間に驚異的な速さでその攻撃を避ける。
『は、速い…』
その速さに今までパソコンの画面からしか観ていなかった響子は驚く。
グリッドナイトへ当たるはずだった羽は、羽同士がぶつかり合いその場に爆発が起こる。
〈えーっ…爆発したんですけど…!?さっきまであんなのしてなかったのに…〉
〈…怪獣も日々進化する…ということだな…〉
落ち着いて怪獣を分析している間にも、無数の羽がすごいスピードで襲い狂う。
再び超スピードで避け続けていくが、どんどんと怪獣との距離が広がっていっている。
〈…このままじゃ埒が明かん……無理矢理でも押し進むぞ…!〉
〈了…解!〉
背中に火を灯し、
間髪入れずに両脚に力を入れ、渾身の蹴りをお見舞いする。
『グリッドナイト…ストームッ!!』
嵐光を放ち、続け様に攻撃を繰り返す。
『つっよ……』
『もう…アイツだけでいいんじゃねぇか…』
その戦いの光景に各々声を溢す。
〈よしっ!効いてるぞ…!〉
〈…このままけりをつけるぞ…!〉
ゴウ・レボアースは自らの危険を感知して、頭を何度も小刻みに震わせると巨大な嵐を生み出し、その嵐の中に自身の羽を混じらせグリッドナイトへと放つ。
『おいおい…やばくねぇかあれ…』
『爆弾の嵐…』
その攻撃は太陽たちの表情を曇らせる。
だがグリッドナイトは、その爆弾の嵐を見据えると同時に、グリッドナイトサーキュラーを形成し、盾のように自分の前面に展開。
その爆弾の嵐を弾き返し、そのままグリッドナイトサーキュラーを放つ。
〔ー!?ーーーーーーーー!!!!〕
投げ放たれたグリッドナイトサーキュラーはゴウ・レボアースの右翼を斬り飛ばした。
ゴウレボアースの叫びが場を震撼させる。
だがその叫び声からは先程までの意気揚々としたものではなく、恐怖心からくるものだった。
ゴウ・レボアースは自身の不利を悟り、羽を使って切れた右翼を補うように羽ばたくと、その場から空へと尾を引いて逃げていく。
『…逃す訳にはいかん…!』
背中のスラスターを吹かせ、空中へと跳躍して後を追う。
しかし────
〈…いやいや高すぎ!高すぎぃ!〉
本来、上空を自由に飛ぶためのものではないため、スラスターを全開にしても追いつくことができずどんどんと距離が離れていく。
『…くそっ…!ここまでなのか…』
グリッドナイトが悔しげに唸る。
すると地上から炎を撒き散らしながら急上昇してくる影が見える。
『『…逃すかぁーー!?!』』
太陽と響子の声が重なり、ダイナソルジャーウイングコンバインはグリッドナイトへと追いついた後、そこからさらに加速してゴウ・レボアースを抜く。
〈…なっ?!〉
と樹は驚く。
『『…おぉりゃああぁぁ…っ!!』』
ゴウ・レボアースの身体を掴み吹き飛ばした後、ブースターを全開に噴射し、そのまま蹴り付ける。
〔ーー?!ーー!?ー!〕
無防備な体勢のまま蹴り飛ばされどんどんと急落下していくゴウ・レボアース。
『…良いとこなしのまま終われっかよッ!!』
それを追撃をするように、地上で固定砲台の役目を買って出たダイナダイバーが、怪獣へと10基のダイナランチャーを撃ち出す。
『ダイナランチャー…バーストッ!ミサイルッ!!』
翼が小さくなっているため上手く竜巻を生み出すことも防御することも叶わず見事命中。
さらに地上へと落下していく。
地上へと着地したグリッドナイトはその光景を見て即座に大きく円を描き、光輪を作り出す。
〈これで決めるぞ……!〉
2人は息を合わせ、力を強めていく。
『グリッド…ナイトォ…サーキュラーーーッ!!』
グリッドナイトは紫色の光輪を投げ放ち、ゴウ・レボアースの身体へと命中。
そのまま真っ二つに切り裂いていき、大爆発を起こした。
見事、勝利を納めグリッドナイトは空を仰ぐと、そのまま粒子となって消えていった。
◾️
戦いが終わり、眼前に謎の光が現れて破壊された街を瞬く間に修復していく。
ここで起きたことが夢,幻かに思えるほどに、街の全てが元に戻った。
そんな光景を見つめながら響子は呟く。
『勝った…勝ったんだ…!』
『あぁ…!よくやったな!お前ら!』
青年もその声に応え、全員の健闘を讃える。
『委員長…ありがとう…!マジで助かったよ!』
太陽も響子へと感謝の言葉を伝える。
『ううん、私なんて全然…』
手をブンブンと振りながら響子は応える。
するとスマホに電話がかかってくる。
『ごめんなさい、ちょっと電話を……はい古澤です。…はい…はい……本当ですか!…はい…お願いします…!』
妹の無事を確認することができ、安堵する響子。
…あの娘には感謝しないとな…
と思い地上を見渡すが、どこにも少女の姿はなかった。
『そういや…まだアンタの名前聞いてなかったな…』
『…それを言うなら、俺もまだお兄さんの名前教えてもらってないんすけど』
響子に名前を尋ねる青年をジト目で睨みながら太陽は呟く。
『あっ…!私は…』
と言いかけたところで響子はあることを思いつく。
『えっと…太陽くんと…そこのお兄さん…今から時間あります?』
「…と言うことで…遅れた。…… ずびばぜんでじだぁ!!」
樹がグリッドナイトとの合体を解除し、パソコンから飛び出した後に遅れた経緯を言い訳紛れに話した。
「…そうか、…まぁ仕方ないだろう」
そう腕を組みながらナイトは答えた。
てっきりまた電流でも流されると思っていたため樹は拍子抜けする。
「お前の家からここまではかなりの距離があることは聞いている。それに今日は休日なのだろう?…なら少しは気を緩めていても無理はない」
「ナイト…」
「寧ろ嵐の中、お前が自らの危険を顧みずここまで来たことは評価に値する」
相変わらずのムスッとした態度をしているがナイトはそれなりに樹を評価しているようだ。
コンコンコン
「…し、失礼しまーす…」
と言う声とともに響子がコンピュータ室へと入ってきた。
「ふ、古澤さん…?なんで…今日学校休みなのに…」
突然の来訪者に驚くが、彼女は彼女なりに心配して来てくれたのかと解釈する。
「…なんだよ、こんなところに何が…って…お前…あのときナポリタンドッグ買っていった!?」
「ヘケッ?!」
響子の後ろから出てきた見覚えのある黒スーツの青年に樹は驚く。
「…樹…?お前…」
「…た、太陽まで…」
さらにその後ろから入ってきた太陽に思わず自分の目を疑う。
響子たちはナイトのいるコンピュータへと近づいてきて、樹へと向き合う。
「…?太陽…手に持ってるそれ…」
近づいてきた太陽が手にしているものに目が惹かれる。
同時に太陽も樹の左腕を見て目を見開く。
「…樹のそれ…どこかで…」
お互いにダイナソルジャー、プライマルアクセプターに指を差して硬直する。
しばらくして両者はお互いの疑問を同時に口に出す。
「お前が…あのでっかい龍のロボットを…?」
「お前が…あの紫色の巨人…?」
彼らの数奇な運命が今、邂逅した──────
…ということで…響子編ひとまず終わり…とだけ言っときましょう…
次回からは特に誰にフューチャーするわけではないですが…まぁそういうふうに進めていきます。
それじゃあ次回の投稿までadieu!