SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

24 / 58
第21回 震・動

 

 

[ーーーーーー!ーーー!]

 

世界に怪獣が解き放たれ、破壊の音を奏でる。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「誰か…誰かぁぁぁ!!」

 

…あぁ…また世界のあちこちから人々の恐怖の感情が、悲しみの感情が溢れかえっている。

 

その情動を怪獣は吸収し、自身の力を強める。

 

前回現れた羽を持つ怪獣…ゴウ・レボアースがいい例だ。

 

多くの人々の情動によって途中から羽に爆発能力が増えた。

 

もしあのまま誰も倒さなかったらあの怪獣はどんどんパワーを強めていっただろう。

 

今回も同じだ。

 

前回も被害は多かったが、今回はその比じゃない。

 

怪獣が進むたびに壊れる音が広がっていく。

 

…怪獣がいない世界の方が本来は正しい…と母チャンは言っていた。

 

だが今この世界には怪獣が何度も…頻繁に出現している。

 

これは良くない状況だ。

 

だから助言をした。

 

この世界の均衡を保つために。

 

紫色の巨人…そして竜の各部を担う機械たち。

 

…怪獣が出る世界にはそれに対抗するためのアンチボディが現れる…と父チャンは言っていた。

 

それらを影から支援し、支える。

 

それがアタシの役目…使命だ。

 

だからあくまでもアタシは傍観者でなくてはならない。

 

極力怪獣に、人に関わってはいけない。

 

そんなことを言われた。

 

だからアタシはそれを守った。

 

人に関わろうとしなかった。

 

…というかそれ以前に、アタシは人が嫌いだ。

 

アタシはこの世界のすべての音が聞こえる。

 

幸せ、哀しみ、怒り、愛情…忘れたけど…その他もろもろ。

 

簡単なことで悩み、悲しみ、勝手に傷ついて、傷つけて、手を汚す…自分たちの私利私欲を満たすために生きているそんな人間ばかりだ。

 

人っていう生き物はどれだけ愚かで醜い生き物なんだと何度も思った。

 

怪獣が現れるのだってコイツらが原因なんじゃないの?…と思うときさえあった。

 

…ほら、今この危機的状況だっていうのにも関わらずスリルを味わおうとする人間の音が聞こえる。

 

 

「ほらもっとカメラ寄せろ寄せろ!この記事は売れるぞ…!」

 

 

「ねぇ…アレまじパナくね?写真撮っとこ〜怪獣さーん…こっちむいてー」

 

 

「えー今緊急でカメラ回してるんですけどw今回はねーあの巨大な怪獣に触ってみたwww…!って言う動画を…」

 

 

 

「はぁ………」

 

…吐き気がする。

 

なんでこんなやつらのために世界を守られなければいけないのか。

 

意味なんてない…そう思う。

 

『もう一回…!行こう!!』

 

その兄チャンの声に合わせて、三体のロボットが合体したやつが怪獣へ何度も攻撃を繰り返している。

 

ねぇ…なんで…?

 

…どうしてそんなにできるの?

 

キミたちにとっては関係ない…知らない人たちのためにどうしてそんなに頑張れるの…?

 

 

アタシには…とても………

 

 

…そうえば、前にこの疑問をそれとなくあの姉チャンに聞いてみたことがあった。

 

………

 

「う〜ん…私も…よくわかんないんだけどね…」

 

「やれることはできるだけやっときたい…って思うんだよね手遅れになる前にさ」

 

「…と言ってもこれ、受け売りなんだけどね」

 

そう微笑みながら姉チャンは答えていた。

 

「多分…新条くんも…太陽くんも…それは同じだと思うな」

 

………理解できない……

 

 

でも…彼らと話していると不思議といつも感じる音がある。

 

……あったかくて…優しくて…強い音。

 

あんな音を間近に聞いたのは初めてだった。

 

あの音は──────

 

 

[ーーーーーーーーーー!!]

 

すると怪獣は突如として、鼓膜が張り裂けそうな咆哮をし出し体内からゴミの噴出物を何度も何度も四方八方へと放つ。

 

…先程よりもはるかに多く、威力も高く、発射速度も早くなっている。

 

それに地表に落下した後には自発的に爆発する能力まで新たについたようだ。

 

やはり、人々の情動があの怪獣をどんどん強くしていっているのか…

 

『クッ……捌き…切れん…』

 

噴射物からダイナソルジャーWDKを守っていたグリッドナイトもその数の多さに対応しきれていない。

 

『あっぶねぇっ!!』

 

その攻撃を縦横無尽に避け続けていたダイナソルジャーWDKだったが、その噴射物の多さにとうとう追い込まれてしまう。

 

『しまった…!コイツ…俺たちを誘導してたのか…!』

 

ゴウ・リタガドールは大きく口を広げ、そのままダイナソルジャーWDKを飲み込もうとする。

 

「……っこのままじゃ…」

 

悔しげに歯噛みをしながら何か策がないかを必死に考える。

 

今ブースターを吹かせても、巨大なゴウ・リタガドールからはもう逃げれない距離だ。

 

まさに絶対絶命の状況だ。

 

 

『……これしか.…ないか』

 

そう小さく呟くと太陽はダイナソルジャーWDKの合体を解除した。

 

『『……?!』』

 

いきなり合体を解除されたことにレックスと響子は驚く。

 

合体を解除したダイナソルジャーは、ダイナウイングとダイナダイバーを掴む。

 

 

『…ごめん』

 

最後にニッと笑顔を見せ、太陽は2機のマシーンをなるべく遠くへと投げた。

 

 

『太陽くん!!』  『太陽ぉぉっ!!!』

 

ゴウ・リタガドールは口を大きく広げ、ダイナソルジャーを呑み込んだ。

 

インナースペース内の通信も途絶え、砂嵐のような映像が流れる。

 

 

〈……は…?〉

 

僅か数メートル先の間で怪獣に太陽が飲み込まれた状況に樹は言葉を失った。

 

〈…樹!前を向け…戦いはまだ終わっていないぞ!〉

 

言葉を失っている樹にナイトの声が響く。

 

今でもゴウ・リタガドールは着実に足を進め、被害を増やしていっている。

 

〈…そんなこと言ってる場合かよ!!太陽が…太陽が…〉

 

親友ともいうべき存在が怪獣に呑み込まれたことにより、樹は軽くパニックを起こしてしまう。

 

〈お前が今、戦うのをやめたらこの街はどうなる…!?〉

 

そんな状態の樹に、ナイトは懸命に声をかけ続ける。

 

樹がこのような状態では、うまく力が出すことができない。

 

そして無惨にも、先程ダイナソルジャーWDKが抉ったゴウ・リタガドールの身体ではゴミで身体が補修されていく。

 

 

 

………

 

あの日と一緒だ。

 

父チャンと母チャンが命を投げ出してまで救った世界。

 

その世界からまた、命が消えようとしている。

 

天木 太陽…といったか。

 

彼は特に不思議な音が多かった。

 

感情的な何かが、私の心を…揺さぶった。

 

 

その兄チャンが…今……

 

ドクン

 

 

「……!…聞こえ…る」

 

微かだが、確かにあの怪獣の内部から強い音が聞こえる。

 

それは紛れもない太陽の心の音だった。

 

まだ生きている。

 

助けたい。

 

でもダメだ。

 

アタシはあくまで傍観者。

 

だから…干渉しちゃ……

 

 

だって…俺たち…もう"友達"…でしょ?

 

太陽が言ってくれた言葉が、ライラの頭に響いた。

 

「……アタシ…は…」

 

声が、体が震える。怖い。

 

…でもこの初めての感情を…このまま失っていいのだろうか?

 

嫌だ。

 

父チャンと母チャンを目の前で失ったとき、アタシは何もできなかった。

 

今回もそうなの?

 

そんなの…そんなの…

 

アタシはもっと…

 

もっと彼らの音を聞いてみたい。

 

もっと彼らとたくさんの感情を得たい。

 

もっと…彼らと一緒にいたい…!

 

 

『アタシは……もう……』 

 

 

「目の前で命が失くなるのは…嫌だから…!」

 

 

ライラの思いが伝わったのか、目の前に光が現れる。

 

「これは…」

 

自分なんかがこれを掴んでいいものか…といつものライラなら悩むだろうが今は違う。 

 

今の彼女には迷いはない。

 

「…お願い…今回だけは…力を貸して…!」

 

覚悟を決め、その光を掴みとる。

 

掴み取ると同時に光は形を変えていき、やがて銀色のバギーカーカーのようなものを形作った。

 

次いで、その光からそこに蓄積された記憶が流れてきた。

 

 

 

 

    だったらそれは・・・もう就職だよ

 

さっき俺、人を一人、助けてきました。多分、俺の嫌いな人です

 

 

ちせが自分で言うならきっと間違ってない

 

 

あの日と同じ…偶然なんだ。でも違うのは、俺の…

 

 

無造作に伸ばした髪を目元付近で切り揃えたおかっぱ頭の青年?…男性の想いが伝わってくる。

 

すると短い赤髪を三つ編みおさげにした少女の残留思念のような何かが乱入してきてなぜかその男性と会話をし始めた。

 

 ちょいちょい…センパイのパート長いっすよー

 

 

  えぇ…俺の出番こんだけ?短くない?

 

 

もう充分喋ったっすよ!……それに無職のセンパイから学ぶことってそんななくないっすか?

 

 

  …普通に酷くない?

 

 

…もういいでしょはいはいー次私の番なんで行った行ったー

 

 

  ちょっ…んな強引な……ちせ…

 

ンンッ…それじゃ気を取り直して… どうぞ!!

 

 

 

どうみても自分の番ですよね!

 

いじめだったら証拠なんか出てきませんよ。だっていじめなんすから

 

あんた…贅沢なんだよ

 

世の中が正しいことなんか分かってますよ…

 

分かってますけど…分かんねぇよ!

 

やっぱり君は、世界で1番かっこいい私の友達だよ

 

あんなもん似合ってたまるか

 

 

…いや〜なんかむづかゆいっすね〜こーゆーの

 

よくよく考えてみたらさ…ちせだって不登校だよね。それって俺と変わんなくない?

 

はぁ〜?!違いますぅ〜私は自分の意思で学校行ってないだけなんですぅ〜

 

  ……一緒じゃん

 

  ち・が・い・ます〜!!

 

 

残留思念のようなものが口論しているというなんとも不思議な現象が起こっていた。

 

その光景に思わずライラは吹き出してしまう。

 

この二人も彼らと同じなんだ。

 

少しだけ…わかった気がする。

 

「っふ……ありがとう」

 

ライラの声を聞いて、残留思念の二人は顔を見合わせて笑っていた。

 

瞼をゆっくりと開け怪獣を見据える。

 

父チャン…母チャン…ごめんね

 

今回だけは…約束…破るね…

 

今回だけは……私の…思いで…!

 

そう決意し、ライラは勢いよくそのバギーカー型のメカを空へと掲げ、その名を叫ぶ。

 

「アクセスモード……ダイナストライカァッー…!!」

 

 


 

太陽が怪獣に呑み込まれたことにより、有効な攻撃手段を失ったグリッドナイト,ダイナウイング,ダイナダイバーはただただ怪獣が街を進んでいくのを見つめているしかできなかった。

 

『くっそ…』

 

レックスは声を荒げながら、憎々しげに怪獣を睨みつける。

 

完全に打つて無し…と全員が思っていたその時だった。

 

 

『諦めるのはまだ早いよ』

 

その声が響くと同時に、光弾を連射しながらバギーカーのようなものが怪獣を攻撃した。

 

 

今まで黒かったコクピット内のディスプレイの一つが点灯し、ライラの姿を映す。

 

『ライラちゃん…?!』

 

真っ先にその面貌に響子は気づいた。

 

『なんで…アンタが…?』

 

突如として現れたライラにレックスは戸惑いを隠せない。

 

[ーーーーー!!ーーー!]

 

ダイナストライカーの存在を目障りだと判断したゴウリタガドールは呑み込もうと口を広げて近づいてきた。

 

『…説明は…後で』

 

そう言うとライラはダイナストライカーの前面にある8門の機関砲から光弾を放ちながら走行し、それを回避する。

 

『とにかく…アタシは兄チャンを助けにいく…!』

 

『太陽は…生きてるのか?!』

 

『うん…大丈夫。まだ生きてる』

 

ライラの言葉に、樹たちは安堵する。

 

「あの兄チャンは…アタシが助ける…!」

 

ライラはそう言うとダイナストライカーは、緑色の光の道路のようなものをゴウ・リタガドールの口めがけて生成し、その上を勢いよく走行していく。

 

そして自らゴウ・リタガドールの体内へと向かって行った。

 

 

ライラの言葉により、なんとか樹はパニック状態から戻り、その後心を落ち着かせるために息を吸った。

 

〈樹…もういけるな〉

 

〈あぁ…ごめん……もう大丈夫だ…!〉

 

グリッドナイトは立ち上がり、再び怪獣へとファイティングポーズを構える。

 

それと同時にグリッドナイトの額のビームランプが鳴り始めた────

 

 


 

 

「あはははははっ!!どうしたのグリッドナイト!寄ってたかってその程度なの?」

 

必死に戦うグリッドナイトの姿を見て興奮気味に机を叩きながらコピーは煽るように笑う。

 

「ありゃー…これは勝負ありって感じですね〜♪」

 

映し出された映像を見て望美はいつも通りニコニコとしている。

 

「今回こそ…今度こそ勝てる…!いっけぇ…!!ゴウ・リタガドール!!」

 

コピーの声に呼応するかのようにゴウ・リタガドールが吠え、再び前進しようとしたその時だった。

 

 

 

 

"パリィン"

 

 

 

鏡が割れる…そんなような音が世界に響いた。

 

 

「……ん…?…今のは…」

 

望美は異変を感じ、映し出されている映像へと目を移す。

 

いつの間にか、彼女はいつもの飄々とした態度ではなく、真剣な顔つきへと変わっていた。

 

「……まさか…ね」

 

それは同時に、彼女が初めて表情を曇らせた瞬間であった。

 


 

 

「…っ…!」

 

突如、キャリバーは電撃が流れるような感覚に襲われる。

 

異変を感じ、刀の柄に手を掛け、立ち上がる。

 

「な、何かが…来る…」

 

戦闘を観ながら作業をしていたファージも異変に気づき手を止める。

 

パソコンのモニターに映っている映像を見て、顔を顰める。

 

瞼を閉じ額に手を激しく打ちづけ、静かな怒りを露わにする。

 

「……侵入者…だと」

 


 

 

"パリィン"

 

 

 

ガラスが割れるような音が空へ木霊する。

 

〈……?え…?〉 

 

 

グリッドナイトたちは弾かれたように空を仰ぐと、空の一部分が割れていた。

 

 

『…空が…割れてる…?』

 

『…なんだ………?』

 

割れた空間の中には、何かが渦巻いているようなものが見える。

 

 

すると割れた空間の中から幾何学模様のような転送ゲートが出現し、紅い球体の形をした何かが一直線に落下してくる。

 

 

その球体は落下ざまに前面に備えたドリルのようなものでゴウ・リタガドールへと攻撃を繰り出し、その巨体へと着地を果たす。

 

 

紅い球体はやがてその姿を変化させる。

 

 

怪獣の巨体の上で黄色の装甲が陽の光に照らされて煌々と光る、前面部に大きな二つのドリルを装備した戦車がそこにはあった。

 

 

そしてその戦車から抑揚のある声が響く。

 

 

 

〈よう!待たせちまったな…グリッドナイト!〉

 

 

 

その口調からは、顔は見えないがニヒルに口端を吊り上げているのが容易に想像できた。

 

この瞬間、新世紀中学生の中で唯一行方不明にならなかった頼もしい仲間…バスターボラーがこの世界へと降り立った───

 




※ダイナストライカーにちせの記憶的なのはあったのは…まぁ…暦といとこだし?ユニバース(小説版)でも乗ってたし…良し!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。