SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
色とりどりのケーブルが幾重にも絡みあい、結晶化し、それらが建造物を形作る。
電気回路がその大地を彩り、機械部品が木々となり樹立している。
ここは神秘の電子世界─コンピュータ・ワールド。
その世界の一角で、新世紀中学生のボラーとグリッドナイト同盟の二代目は怪獣戦艦:サウンドラスの甲板の上で、上空に突如として発生した"世界の歪み"を観測していた。
「…ゲートにアクセス完了…パサールトの接続…ともに良好…いつでもいけます」
二代目はその世界の歪みにパサールトを接続させ世界を超えるためのゲートが出現させる。
「おめぇは…行かなくていいのか?」
そのゲートを見つめながら、ボラーは二代目へと問う。
ナイトとゴルドバーンが目の前で消えてしまい、一人グリッドマンたちのもとへ帰ってきたときの彼女の顔はそれはもう暗いものだった。
何度も何度も、ナイトたちがいなくなった世界の痕跡を探しにいくほど、彼女はとても心配していた。
本当ならば今すぐにでも向かいたいと思っているはずだが、彼女はそれを拒んだ。
「はい…私には私の…やるべきことがありますから」
二代目はそう言うと微笑を浮かべた。
口調や目線は優しいが、その目からはそれなりの覚悟が見受けられた。
グリッドナイト同盟として、今自分がやるべきこと。
それを果たすために二代目は別行動をとると決めたのだ。
ナイトのことを心から信頼しているからこそ彼女はその行動をとることにした。
グリッドナイト同盟の信頼度を間近で見てボラーも不思議と悪い気はしなかった。
「…そーか」
「ボラーさん…どうかナイトくんのこと…ゴルドバーンのこと…よろしくお願いします」
二代目はそう言い終えると深々とお辞儀をする。
「おう…それじゃ…いってくる」
ボラーは踵を返し、サウンドラスの甲板から飛び降りパサールトへ向かって落ちていく。
…胸騒ぎがする。
今から向かう世界には…何か…秘密がある。
それが何かは今はわからねぇ…だが…明らかに感じる。
何か…邪悪な気配っつーやつを…な
それに…一瞬だがレックスの反応があった。
この世界に必ずいるはずだ。
おそらくほかの新世紀中学生の面々もここにいるだろう。
何で今まで連絡をよこさなかったのか…いやとれなかったのか?
突然開いた世界の扉…
ただの偶然かそれとも敵の罠か…或いは…
…考えても仕方がないと悟り、パサールトへと突入する。
「アクセスコード!バスターボラーッ!!」
彼の身体は光と化し、パサールトへと吸い込まれていく。
〈会いたかっただろ?〉
ゴウ・リタガドールの背の上で黄色の装甲を陽光に照らしながらボラーは不敵に笑いかけた。
〈貴様…なぜ…ここに〉
そんなバスターボラーをグリッドナイトは見上げる。
〈んだよせっかく来てやったのに〉
ボラーは露骨に不機嫌になる。
〈ってかレックス、テメェなんで切り身になってんだよ〉
レックスが記憶喪失という事情を知らないためやたらとグイグイと迫ってくる。
〈お…?アンタも俺のこと知ってんのか…?〉
〈また…レックスさんのお知り合い…?〉
〈…あぁ?何寝ぼけたこと言ってんだ?〉
話が噛み合わないとばかりに首を…ドリル部分を回転させる。
〈でも…助けにきてくれてすごく助かります!〉
ここで樹が助け船を出し、素直にボラーに感謝の言葉を送る。
〈おう…ってなんでグリッドナイトからもう一つ声がすんだよ!?〉
最初こそ気分良くなって威張っていたボラーだったが樹の声がグリッドナイトから聞こえてきたことに気づき、再び困惑する。
〈…こちらもいろいろと事情があってな…〉
[ーーーーー!ーーーー!ーー!]
彼らの会話を阻むようにゴウ・リタガドールは咆哮し、自身の背中に乗っているバスターボラーを振り落とそうと体を身震いさせる。
〈んおっコラ!コイツ…動くなっ!〉
ただでさえ足場の悪い怪獣の背にさらに揺れが加わったことでバスターボラーは落ちかける。
揺れを抑えるため、怪獣の足元へと特殊なミサイルを撃ち込む。
〈シドニー凝固弾頭弾!!〉
特殊な凝固剤弾頭を搭載したミサイルが怪獣の足元へと着弾する。
着弾すると同時に凝固剤が膨張し、ゴウ・リタガドールの身動きを封じて見せた。
〈これでしばらく動けねぇだろ!〉
そう威張りながらバスターボラーはグリッドナイトへと視線を向ける。
〈話は後だな…俺の力貸してやるから、さっさと決めるぞグリッドナイト!〉
〈…あぁ了解した!〉
ナイトはそれを了承し、合体フォーメーションを築く。
グリッドナイトの跳躍に合わせ、バスターボラーが怪獣の背から落下し、そのままボディを展開させていく。
タンクのキャタピラユニットをグリッドナイトの足元に差し向け、シャフトを伸ばしてドリルを肩側へ、ボディを胸部装甲として装着。
バスターボラーがグリッドナイトの胴体へと合体を果たし、装甲の色が適応反応により紫色へと変化していく。
そして無限の火力を備えた騎士へと合体を遂げた。
『『武装合体騎士!バスターグリッドナイト!!』』
重武装形態に合体したグリッドナイトは手持ちに構えた左右のミサイルポッドを展開し、無数のミサイルでゴウリタガドールを倒そうと力を込める。
〈一気に方つけんぞ!〉
意気揚々とボラーが攻撃しようとするのを樹が待ったをかけた。
〈待って!!まだ中に…"友達"が…〉
珍しく樹の口から友達という言葉が出たことに樹自身も驚く。
これも心情の変化だろうか。
前の樹だったら自分から友達だなんて言わなかっただろう。
〈何ィ…!おいおい…めんどくせぇな!〉
今すぐにでも自慢の重火器をぶっ放そうと考えていたボラーだったが樹の言葉を聞いて動きを止めた。
ライラが太陽を助けに行っている今も怪獣は刻一刻と噴出物を発射し続けている。
今すぐにでも倒したいが、今怪獣を倒してしまえば怪獣の中にいる太陽とライラがどうなるかわからない。
〈…今はこれ以上コイツが進まないように牽制することに力を入れるぞ〉
ナイトはそう言うと再びミサイルポッドを開き、先程よりもミサイルの量を絞ってゴウ・リタガドールを攻撃する。
〈と言っても…俺たちの残りエネルギーも少ねぇからな…我慢比べってとこか〉
ボラーの言った通り、グリッドナイトの残りのエネルギー量は少なく活動限界が近い。
ライラ…なるべく早く太陽を助けてくれよ…と思いながらバスターグリッドナイトはゴウ・リタガドールの足止めへと力を入れた。
「ん……」
ダイナソルジャーの中で太陽は目を覚ました。
「ここは…怪獣の…体の中…?」
怪獣に飲み込まれたはずなのだが太陽の目の前に広がっていたのは、到底生き物の体のつくりとは思えない光景が広がっていた。
もっと生物的な…グロテスクな体の構造を想像していたがそうではないようだ。
赤,黄,緑の線がそこら中に蔓延り、現実とは思えない雰囲気を醸し出す。
一言で言うなら電子回路のような空間だ。
『どうなってんだ…こりゃぁ…』
コクピット内のディスプレイのモニターは砂嵐のような映像が流れ続けている。
幸いダイナソルジャーはどこも破損していないらしく、いつも通りに動く。
怪獣の中は時節何かがぶつかってくるような音が響くが、それ以外は特に何もない。
変な気分になったり、服が溶けるだとか頭がおかしくなるだとかそういったことは今のところ起きていない。
むしろ心を落ち着かせられるいい場所に思えてくる。
だがずっとこの空間にいるのはなぜだかよくない気がする。
自分の中の…言葉で表せない何かがこの怪獣と繋がってしまうような感覚がある。
やはりすぐさまここから脱出しなければ…!と決意を固める。
とは言え、口の方向がどちらかわからないのも事実。
闇雲に探索しても無駄に体力を消費するだけだ。
『うーむ…どうすっか…』
…こうして振り出しに戻る。
太陽が脱出作を考えていると、何やら遠くから轟々と音を出しながら近づいてくる。
『なになになになに…!!』
怪獣の攻撃か…?と警戒態勢を取りながら音の主の姿を見定める。
それは光の道の上を全速力で走る銀色のバギーカーカーのようなもの:ダイナストライカーだった。
『やっと…見つ…けた…!』
その声に反応するかのように、今まで黒かったディスプレイが点灯しライラの姿が映し出された。
『ライラ…?!どうして…』
『…単純な興味…とでも言っておこうかな』
『…なんだそのマッドサイエンティストみたいな言い振りは…』
見た目の幼さにそぐわないような言葉に太陽は苦笑いする。
だが正直メンタル面では参っていたので、正直ライラのそのジョークは太陽にとって助かっていた。
『でも…ありがとうな』
『うん…』
真っ直ぐすぎる太陽の言葉にライラは恥ずかしくなってきてしまったようで頬を赤らめる。
ようやく見た目相応な反応をしたライラに太陽は自然と口角を上げた。
『やっぱり不思議な音…』
胸元のト音記号を模したワッペンをギュッと握りながらライラは呟く。
『なんか言ったか?』
『…なんでもない…とにかく早くここを脱出しよう』
こうしている間にも怪獣の外ではグリッドナイトたちが太陽とライラを心配して戦っている。
『でも…どうやって?』
ダイナストライカーだけなら難なく脱出できるが、ダイナソルジャーが居れば話は別だ。
ダイナソルジャーを抱えたまま走行してもいいのだが、それだと速度がかなり制限されてしまう。
そうしてしまうと、せっかく脱出できたとしてもまた口を開かれ体内に戻される危険がある。
なら太陽がダイナストライカーにライラと共に乗ればいいと思うだろうがそうはいかない。
ここはこの世の理を狂わす怪獣の体内だ。
万が一にも生身の人間が降りたらどんなことが起こるかわからない。
今はダイナソルジャーによって守られているが、そこから出てしまえば体が耐えきれないかもしれないのだ。
『…さっき…この子の中にある記憶を見た時のなんだけど…』
ダイナストライカーを手に入れた時に流れた記憶が手がかりとなり、太陽に思いついた作戦を伝える。
『…なるほど…つまり…ロケットみたいにするってことか』
『うん…まぁそういうこと』
ロケットがなんなのかよくわからないといった様子だが、概ね理解できているようなのでライラは安心する。
『それじゃあ合体するよ、アタシに合わせて』
太陽が頷くと同時に、ダイナストライカーが左右に分離し、両腕を形成。
続けてダイナソルジャーの両腕に連結。
その後、前面にあった8門の機関砲が巨大な両手の手指を形作る。
砲口と化した四輪の車輪を前面に突き出し連結した出力の余波で夥しい炎を吹き荒らし、完成する。
『『ダイナソルジャー…!!ストライカーコンバイン!!』』
『いやバランス悪ぅっっっ!!』
威勢よく名乗りを上げたのは良いものの両腕部が大きいためバランスを崩してしまう。
『…なるほど…どうりで音の精霊たちが騒いでたわけだ』
ライラは一人うんうんと頷きながら、なんとかダイナソルジャーの体制を立て直す。
『兄チャン…頑張って踏ん張るよ…!』
『おう!!』
ライラの手助けもあり、ダイナソルジャー姿勢制御をなんとかこなす。
両腕部分を180度回転させ、準備が完了。
二人はモニター越しに頷き合い、コントローラーを同時に操作した。
『ストライカーストーム!α!』
『ストライカーストーム!β!』
『『『発射!!』』
二人の叫びが重なり、その噴射を強める。
ストライカーコンバインが真後ろに両腕を構えて回転させた車輪パーツの砲口から、炎の光線が嵐のような奔流となり発射される。
太陽たちの作戦通り後ろ向きに噴射したことにより、ダイナソルジャーストライカーコンバインの体は物凄い勢いでゴウ・リタガドールの体内を駆け巡る。
『結構速いなっ!!』
『でもこれなら…!』
かなり無茶な方法のためコクピット内の揺れは凄じいが、確実にどの方法よりもスピードは出ている。
そして遂に外の光が見えてくる。
〈おいおい…そろそろマジでヤベェぞ…〉
量を絞ったミサイルを撃ちながら、ボラーは焦りをみせる。
〈…まずいな…〉
残りのエネルギー状態は芳しくない。
それに追い討ちをかけるようにゴウ・リタガドールは噴射物の数を増やし続ける。
〈やべっ〉
さらにとうとうシドニー凝固弾頭弾の拘束が解かれ、ゴウ・リタガドールはまた大きな一歩を踏み出す。
[ーーー!?ーーーー!!ーーー!]
雄叫びを上げ、目の前のビルの上に立つバスターグリッドナイトをビルごと飲み込もうと歩みを寄せたその時。
突如としてゴウ・リタガドールは動きを止める。
『なんだ…?』
その場の全員が困惑していると、何かがゴウ・リタガドールの口から炎とともに飛び出してくる。
それは銀色の装甲を煌めかせる人型のロボット:ダイナソルジャーストライカーコンバインの姿だった。
『ただいま帰還!!!』
『…ふぅ…なんとか出れた』
砂嵐状態だったコクピット内のモニターの二つが点灯し、太陽とライラの姿が映る。
『お前らぁっ!!無事だったか!!』
『…!良かったぁ…!』
二人の生還を確認して、レックスと響子は安堵する。
〈ったく…心配させやがって…〉
親友の帰還に樹も胸を撫で下ろす。
〈よっし!これで心置きなくぶっ放せる!〉
ゴウ・リタガドールが見せた隙に、間髪容れず前面にキャタピラユニットを展開。
カバーを開き、六連装ミサイルポッドが左右合わせて四基出現させ追尾性ミサイルが発射される。
口を開けた状態のゴウ・リタガドールの体に次々と命中していく。
〈無限の火力で焼き尽くすぞ!〉
〈〈おう!〉〉
ボラーの声にナイトと樹は勇ましく答え、発射するミサイルの物量をさらに増加させた。
態勢を戻したゴウ・リタガドールは最初の方こそミサイルをゴミに変換していたが、数が多すぎるため対処が追いつかなくなり爆炎に呑み込まれる。
〈これで…決める…!!〉
パラバナアンテナ状に開いた両肩のドリルにエネルギーを集中させていく。
『ツインバスター…!』
『グリッドナイトォォ……!』
『『ストォォォーームッ…!!』』
展開されたドリルから巨大なレーザーを撃ち放ち、ゴウ・リタガドールの体を貫いていく。
光の奔流に呑み込まれ、ゴウ・リタガドールはついに力尽きて爆散するのだった。
ボラーがいると話にいい感じの空気を流してくれるので非常にやりやすい!!
バスターグリッドナイト割と活躍させれたんで満足です
それじゃ次回投稿まで…adieu!