SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
もうすぐ受験なんで投稿頻度落ちるかもしれません…そこは悪しからず…
まぁそんなことよりみんなもグリユニのDVD買おうね!(布教)
では本編どうぞ!
ゴウ・ライラナクスの引き起こした大寒波により、キヨシ台は氷の街と化したことで学校はしばらく休校という扱いとなった。
学校から飛び出してきた3人はしばらくした後、キヨシ台高校近くの公園へと足を運んだ。
豊かな情景が広がる鶴傘公園とは違い、こちらは遊具が多少なりとも立ち並ぶ昔懐かしの光景が広がっている。
時刻は夕暮れ時。
夕陽が街の中央のゴウ・ライラナクスを覆う氷によって乱反射されガラス細工に光を通したかのような光がキヨシ台を包んでいた。
そんな公園の一角で橙色の髪が目立つ少年が一人ブランコに座っている。
しかし今の彼にブランコを漕ぐ気力はなく鎖を掴んだまま俯いていた。
「太陽くん…」
太陽の後を追ってきた樹と響子だったが、今の彼にかける言葉が見つからず、ただ近くでその後ろ姿を見つめるしか出来なかった。
「…わかってる。このままじゃいけないって…」
ライラと初めて出会い、ダイナソルジャーを手に入れた時に誓ったはずだった。
"もう"現実から目を背けない、逃げないと。
だが今、自分は現実から逃げた。
「結局…俺はあの時から何も進めてない…」
自分はただ街をみんなを守りたいと考えていただけだったが、今ではそれが善なのか悪なのかどうかもよくわからなくなってしまった。
今まで深く考えてこなかったが、怪獣と戦うことの意味とはなんなのか。
彼らとて生き物、それの命を奪って本当にいいものなのか。
こんな曖昧な感情の状態で戦うことなんてとても出来なかった。
「……」
一同が黙りこくる中、樹は太陽の隣へと腰掛けた。
「…改めて…さ、怪獣と戦う意味とか…善と悪ってなんだろうなって」
横に腰掛けた樹に打ち明けるように太陽はポツリポツリと口を開く。
「俺はあの時…ただ見てることしか出来なかった」
「今まで…怪獣を倒すことは良いことだってなんの疑いもしないで戦ってきた…だけど…今までの怪獣たちも…もし元人間だったとしたらって…そんなことばっか頭をよぎるんだ」
「俺たちのやってきたことは本当に善なのか…悪なのか…わけわかんなくなってきて…さ」
リュックに入れていたダイナソルジャーを手に取り、太陽は自身の思いを吐き出す。
隣に座る樹も気づくほど、その手は小さく震えていた。
「…戦う…意味…」
後ろで二人の会話を聞く響子もスカートポケット内のダイナウイングを見やりながら考え込むように宙を仰ぐ。
夕焼けに照らされる公園がまたも静まりかえる。
しばらくした後、樹は何か思い立ち、穏やかな微笑みを浮かべ話し始めた。
「…俺の大好きなウルトラ……ヒーロー?みたいな人たちもさ…今の俺たちみたいに悩むことがあるんだよ」
もはやそこまで言ってはもう隠す意味はないと思ったが樹は気にせず話を続ける。
「怪獣の正体が人間だったりとか、倒した怪獣に子供がいたりだとか…色々あるんだよ」
「…その人たちは…どうやって…?」
ヒーロー物のフィクション上の話と現実に起こっていることを同じように考えるのは些かどうかと言われそうだが、太陽はそれを否定するわけでもなく、ただ真剣に聞き入り樹へと尋ねた。
「…ヒーローたちはさ、神さまでもなんでもないんだよ、
自分たちも一つの生命体に過ぎない…だからこそ誰しもが悪意を持っている、同時に善意も確かに持ってる…って」
超常的な力を持っているヒーローたちでさえもその情動は必ず持ち合わせているものだ。
それはもちろん、ナイトや新世紀中学生たちにも言えることであった。
「…結局のところ、自分の中の道は選ぶ動機にはなっても他人によって決められるものじゃなくてさ…えっと…わかりやすく言うと…」
左腕のアクセプターに触れ、脳内で自分が一同に話したい…伝えたいことをまとめる。
「自身の行動が善なのか悪なのかは結果論でしかない…って話。
肝要なのは、自身の選択に対する責任を自覚する事で、後悔は…その外側にあるもの…らしいよ」
これは2022年のウルサマボイスドラマ「ぼくがぼくらしくいるために」で悪のウルトラマン…ベリアルが語っていたことを掻い摘んだものだ。
悪トラマンとしての彼なりの理論を説いたそのドラマに樹は感動すると同時に新たな発見もできていた。
ヒーローも怪獣も関係ない、生命体としての悩み,苦しみを。
だからこそ今の迷っている自分たちに語りかけるように、この言葉を伝えたかったのだ。
「…この先も俺たちはきっと多くの選択を迫られる、その時にどんな答えを導き出すにしても……覚悟を決める事…最後まで諦めないこと…それが大事なんだって」
樹のその言葉を2人は反芻する。
「…覚悟を…決める…」 「…諦めない…こと…」
ダイナソルジャーを手にしたとき覚悟を決めたつもりだった。
だが真の意味での"覚悟"が足りなかったのだ。
「…今の俺にはそのヒーローたちの言葉を代弁することしかできない」
本当にこれでよかったのか、もっと他の言葉の方が良かったんじゃ…と樹は言い終えた後に思ってしまう。
「私は…それでいいと思う」
先程まで背後にいた響子がいつの間にか2人の前に立ち、いつもの穏やかな目を向ける。
「なんか…いろいろとさ、新条くんのおかげでわかった気がするんだ」
「そうかな…」
「うん、だから…ありがとう」
響子の真っ直ぐな感謝が樹の懸念を晴らしてくれた。
「でもいつか…私たちなりの答えも見つけようね。みんなで」
「…いつか…か。…俺たちらしくていいなそれ」
ふっと今まで俯いていた太陽もようやく顔を上げる。
その顔にはいつもの微笑みが戻っていた。
このとき、樹は気づいていなかったが太陽と響子の目は先程とは違う覚悟を決めた目となっていた。
「改めて…俺はやっぱりライラを救いたい…いや絶対に救う」
そう言って勢いよくブランコから立ち上がる。
その声音にもう迷いはなかった。
「でも…どうやって救いだすかってのが問題なんだよな…」
決意を固めたのはいいものの、根本的な問題は何も解決していない。
「それなんだけどさ…多分だけど…ライラちゃんを救う鍵となるのって…太陽くんだと思うんだよね」
「え」
「…確かに…一理あるな…」
「いやいやいや、今の流れ的に「みんなの力を結集させよう!」みたいな感じじゃないの?」
ライラ救出の鍵が自分だと言われあたふたと戸惑った様子をみせる。
「うーん…それだと前と同じ感じになりそうだし…」
第一、ボラーの口調から次は倒すと宣言されているため前回と同じ戦法では倒されてしまいかねない。
「この流れを変えるのは…太陽、お前だ」
現に、前回の戦いの最後ライラが放った言葉は太陽にしか聞こえていなかった。
…いやライラの声が聞こえてきたというよりも、心に直接響いてきたといった方が正しい気がした。
まるで何かと繋がってしまったかのような奇妙な感覚だった。
「それに…さライラのことは、お前が1番知ってるはずだろ?」
ライラとの付き合いが1番長いのはなんやかんやで太陽だ。
声が聞こえたならばその逆も可かもしれない。
その一縷の望みに賭けることに決めた。
「あぁ!わかった!わかったよ!やったるわい!」
太陽は躍起になり…いやもう完全にいつもの調子を取り戻したようだった。
「ライラが戻ってきたら…またどっか食べに行こうな」
「今度はナイトさんもレックスさん,ボラーさんも誘って"みんな"で、ね!」
想いは一つ。もう今の彼らに迷いはない。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
役目を果たせない自分が不甲斐ない。
果たせない自分なんかに意味はない。
アタシなんか存在しない方が良かったんだ。
…もう何も考えたくない。
彼女の心は虚心へと替わり、心が凍っていく。
あぁ…でも…もっと皆んなと一緒に過ごしたかっ────────
日付は変わり、日の出がのぼり始める。
「遊びは終わりだ」
ガントリークレーンの上でファージは腕を凍りつくゴウ・ライラナクスへと向け、紅の瞳が不気味な光を灯す。
「コピーちゃーん起きてくださーい♪怪獣さん暴れますよ〜♪」
望美の肩に頭を預け寝ていたコピーをほっぺをつつき起こす。
「は、はい〜…」
眠たげな眼を擦りながらコピーは怪獣へと目を向ける。
「あっちは数が多いですし〜こちらも駒の数を増やしちゃお〜っと♪」
不恰好に造形された綿毛のようなものをふぅっと息を吹いて街へとばら撒く。
ばら撒かれた綿毛はやがて街のいたるところから生える氷の華へと付着し、怪獣へと変貌した。
氷の華から頭と四肢が生えた怪獣へと。
「さぁっ、準備は万端です♪ファージさんよろしくお願いしまーす♪」
「…この世界の秩序を乱すものは…すべて排除する…!」
ファージの声に応えるように、ゴウ・ライラナクスの身につける白い鎧の中心部の宝石から紫電が発せられる。
紫電によって氷の随所随所にヒビが走り、やがて氷の檻からゴウ・ライラナクスが放出された。
纏っていた氷が粉々に砕け、雪の結晶が宙に舞うと同時に叫喚が街を支配する。
[ーーガガガアアアアーー!!ーーーガガガアアアアー!]
▼
「さてと…いくか」
スマホの画面に流れてきた怪獣の姿を定め、ボラーは出撃するためにナイトのいるパソコンへと視線を移す。
「待ってください」
出撃しようとしたボラーを止めるかのように、樹がコンピュータ室の扉を開いた。
「…ん、どした」
「ここは…俺たちを見ててくれませんか」
「……俺たち…?」
複数形を使ったことに眉を寄せていると、スマホの画面から衝撃音と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『はあぁぁっ!』
スマホの画面に映るは銀色のボディを輝かせるダイナソルジャーだった。
「…!アイツ…!」
てっきり今回は出撃しないと思い込んでいた太陽が画面の中でゴウ・ライラナクスと肉弾戦を繰り広げていた。
「見て…確かめてほしいんです…俺たちなりの答えを」
「…」
ボラーは画面に映るダイナソルジャーを静かに見据える。
迫り来る氷の結晶をダイナソルジャーの爪部分でいなしていき、単身でゴウ・ライラナクスへと懸命に攻撃を繰り出している。
『ッ…なんだよコイツら!』
画面を見るとゴウ・ライラナクスの周りに昨日まではいなかった小さな氷の華ような怪獣がわらわらと群がっていた。
大きさ的にはダイナソルジャーの半分にも満たないが、なにぶん数が多い。
ダイナソルジャーだけでは対処しきれないだろう。
「…ナイト…力を貸してほしい」
樹の眼に宿る決意を見定め、ナイトは瞼を開く。
「…俺も見せてもらうぞ、お前たちの出した答えを」
「あぁ!」
樹は構えた左腕に右腕をクロスさせる。
「アクセス!フラーーッシュ!!」
樹の身体が光と化し、パソコンの中へと突入する。
「…そこまで啖呵切ったんだ、お手並み拝見といこうじゃねぇか」
1人残されたボラーはまるで彼らを試すような表情で怪獣との戦いへと目線を落とした。
◼️
無数に群がる氷の華が変貌した怪獣に太陽は苦戦を強いられる。
息を荒げながら憎々しげに群がる怪獣を見やる。
『このままじゃ……』
これらの怪獣を早く対処してライラの元へと向かいたいという想いがさらに焦りを生み出していた、その時。
『グリッドナイトォォ…!乱れサーキュラーーッ!!』
空から流星のように飛来した無数の光の刃が氷の華の怪獣群を切り刻み吹き飛ばしていく。
『グリッドナイト…!』
太陽は自身の前に立つ頼もしい紫色の輝きを発する騎士に眼を開いた。
『天木太陽、あとはお前の好きにしろ』
『樹…ナイトさん…!』
グリッドナイトは身体を翻し、まだ何十体もいる氷の華の怪獣へと突っ込んでいく。
そんなグリッドナイトの後に続くように、数々の火砲が怪獣群へと降り注いでいく。
『俺たちもいるぜ!ダイナランチャー…バーストッミサイル!!』
『ペネトレーターガンッ!!』
上空からダイナウイングが、凍った水面を滑るように到着したダイナダイバーがグリッドナイトと共に怪獣群へと攻撃を開始していく。
『邪魔はさせないよ!』
『太陽!お前の…俺たちの想い…全部ぶつけてこい!』
『レックスさん…委員長…!』
勇猛果敢に戦う仲間たちの姿に唖然としていた口から喜びの声を漏らす。
「みんな……本当にありがとう!」
ダイナソルジャーの拳を深く握り締め、ゴウ・ライラナクスを止めるべくひたすらに攻撃をしていく。
そんなダイナソルジャーを鬱陶しいとばかりにゴウ・ライラナクスは氷のブレスや巨大な腕で薙ぎ払う。
だが、何度薙ぎ払われようとも今の太陽の燃える闘志は消えることを知らない。
『もう覚悟は決めた…!醜く…抗ってやるよ…大切なのは…諦めないことだから!』
何度何度も立ち上がり、ライラの心に直接語りかけるように攻撃一発一発に想いを込める。
『うおおおおぉぉぉっ!』
パソコンに映し出された戦闘にボラーは目を細めた。
各々が今自分にできることを理解し、その行動に努めている。
今の太陽たちからは前にはなかった覚悟が見受けられた。
ふんっと笑い、威張るように腰に手を当てる。
「オメェらなりの答え…出たみてぇだな」
不敵に口端を吊り上げボラーは嬉しげに叫ぶ。
「アクセスコード!バスターボラーッ!!」
『ッ……』
最初こそ善戦できていたが、その力の差は歴然。
ダイナソルジャーの拳を強引に力でねじ伏せ、頭部を掴むとそのまま地面へと叩きつけられる。
『ぅわぁっ…!」
凄じい衝撃がインナースペースにまで襲いかかる。
歯噛みをしながらすぐさま立ちあがろうとしたところをゴウ・ライラナクスが体当たりを仕掛けてくる。
倒れ伏せるダイナソルジャーに向けてゴウ・ライラナクスは口を大きく開け禍々しい光を集束させてブレスを吐こうとしている。
『ッ…まだ…だ。まだこんなところで終わらないんだよぉっ!』
太陽の叫びも虚しく、ゴウ・ライラナクスから氷の息吹が放たれようとした瞬間。
怪獣とダイナソルジャーとの間に幾何学模様が出現し前面部に巨大な二つのドリルを携えた戦車がゴウ・ライラナクスを押し返した。
〈いい面になったじゃねぇか〉
いつも通りの威張り散らかした態度で起き上がるダイナソルジャーへと振り返る。
『ボラーさん…』
その声音から太陽は反射的に悟る、自分たちはボラーに試されていたのだと。
〈うっし…太陽!特別に俺の力貸してやる…必ずライラを救うぞ!〉
「っ…はいっ!!」
賞賛するのばかりにボラーが気っ風よく叫び、合体フォーメーションをつくっていく。
ボディを展開させ、タンクのキャタピラユニットをダイナソルジャーの両肩に差し向ける。
シャフトを伸ばしてドリルを両腕に装備、ボディを背面へ装着。
今まで成し得なかったアシストウェポンとの合体を果たす。
『ダイナソルジャー…!』
『バスター…!』
『『コンバインッッ!!』』
太陽とボラーの声が重なり合い"ダイナソルジャーバスターコンバイン"がその姿を現せた。
バスターモードが主流のバスターグリッドナイトとは違い、ダイナソルジャーバスターコンバインではドリルアタックモードが主流となる。
ダイナソルジャーの戦闘スタイルにより適した形態へとなったのだ。
〈ッ…ゴルドバーンの合体光線なしでやったからな…さすがに長くはもたねぇか…〉
本来想定していない合体のためか、機体の各所から軋む音がする。
言うならばただボラーが無理矢理背中にくっついているだけの状態だ。
…これをコンバインと言っていいのかはよくわかないが…今はどうでもいいことだ。
『なら…速攻でライラを救いだすまでです!』
〈…嫌いじゃねぇぜその考え、やってやろうじゃねぇか!〉
空気の壁を貫くかのような速度でゴウ・ライラナクスの間合いへと入り、会心の一撃を繰り出す。
繰り出した一撃は白い鎧へとめり込み、ヒビが入る。
だがヒビが入ったのも束の間、すぐに修復されていってしまう。
〈ほー…そういうことね…それじゃあ太陽!鎧の付け根を狙え!恐らくあの鎧剥がしゃあなんとかなるはずだ!〉
今まで戦ってきた怪獣にも白い鎧はついていたがそれらはどれも今回のように自動修復機能はついていなかった。
そこから導き出されるのは…今回のゴウ・ライラナクスの白い鎧に関しては"壊されては困る"ということだ。
『…っ…はい!!』
言葉の意図を汲み太陽も操縦桿を握る手に込める力を強めダイナソルジャーバスターコンバインを操る。
背中に無理矢理接続しているため機動力が削がれると内心思っていたが、それは杞憂だった。
むしろバスターボラーの出力が上乗せされ、機動力がいつもの倍以上の出力を発揮した。
『これなら!』
振るわれる巨腕を爪とドリルで殴り払い、続けて蹴りを叩き込む。
その際に脚部の爪でゴウ・ライラナクスの腕部分を掴みグルングルンとその場で回転し、投げ落とす。
先程までと立場が逆転し、ダイナソルジャーがゴウ・ライラナクスを見下ろすかたちとなった。
ドリル部品を猛回転させ白い鎧の拘束具部分を攻撃した、その時。
太陽は不思議な感覚に襲われた。
…あの時と同じだ。
怪獣に飲み込まれた時、最後にライラの声が聞こえてきた時に感じた何かと繋がってしまうような感覚。
太陽の直感がここから先は危険だとアラートを出している。
だが…ここで引くわけにはいかない。
『ボラーさん…しばらくお願いします…!』
〈はぁ?!お前何言って───〉
ボラーの言葉を最後まで聞かず、再び力を込めて拘束具部分を攻撃した。
そして太陽の意識は精神世界へと落ちていく。
深い深い闇に抗うこともできずただひたすらに落ちている。
それは深海を彷彿とさせ、それに加え氷塊がそこ彼処に散らばっている。
「……どこだ…」
もがきながら深い闇の中を探す。
そして遂にその姿を臨んだ。
体育座りで自身の顔を埋め、震えるライラを。
彼女の身体には色とりどりのケーブルが複雑に絡み、拘束するように覆う。
それはさながら心のバリケード。
もう戻れないと分かっていても、自分を守るための最後の砦。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
静かに自分自身を呪うかのように震えている。
「ライラ…帰ろう」
ゆっくりと手を差し伸べる、だが彼女の手は動かない。
「……やめ…て」
さらに深く顔を埋めるだけでライラは太陽の顔すら見てくれない。
「…アタシに…そんな資格ない…」
…だって私はこんなにも酷いことをしてしまったのだから。
罪悪感に押し潰される。今でもこの耳に恐怖の声が叫なく聞こえてくる。
「…お前の本心を聞かせてくれよ」
「…アタシに…存在する意味なんてない…だってアタシは…怪獣なんだよ…人間と一緒にいたら…駄目なんだよ…だから早くアタシを…」
「…怪獣だとか人間じゃないとかそんなこと関係ない!」
太陽の声に迷いはない。ただ純粋に、真っ直ぐに言い放つ。
「覚えてるか…?公園で…ファミレスで見せてくれた笑顔…。あれが…あの時の楽しそうな顔で笑う君が……本当の君なんだろ!」
「…違う…あんなの…違う……アタシは…」
視線から、声から逃げるように耳を塞ぐ。
「我儘ぐらい言えよ!俺は…お前の笑った顔が好きなんだよ!」
彼は…彼らはライラの存在を否定しなかった。
「でも…役目が…」
「役目役目って…そんなもん俺たちも一緒にやってやる、背負ってやる…だから!」
「お前の本心を聞かせてくれよ!!」
「………!」
真っ直ぐすぎる彼の言葉に、ライラは唖然とする。
…あぁ…そうだね…ニイチャンはいつもそうだ…
太陽の真摯な説得の末に、ライラは観念したかのように顔を上げる。
「…アタシは…アタシはぁっ!」
絞り出すかのような声でライラは自身の心の声を叫ぶ。
「みんなのッ…近くで…一緒にいたいッ!!…だから…助けて…」
彼女の凍りついた心の氷が今、少しずつ溶かされていく。
「あぁ…まかせろ!」
彼の…名前通りの太陽のような眩しい笑顔によって。
深い深い心の心の海底から一気に海面へと上昇していく。
『戻っ…たぁっ!』
精神世界から戻ると、どっとした疲れ,痛みが身体を襲うが今はどうでもいい。
〈おわっ…耳元で叫ぶんじゃねぇよ…〉
悪態をつけながらもどこか認めるような声で太陽を迎える。
辺りを確認すると、ゴウ・ライラナクスは何かに抵抗するかのように頭を抱えながら距離をとっていた。
[ガガガガガッァァアアアアア!!]
やがて最後の抵抗と言わんばかりに冷気を纏わせ、こちらへと襲い掛かる。
『ボラーさん…一撃に全てを込めてあの鎧を砕きますよ…!』
〈…はんっ…もうオメェのやりたいようにやれ!チャンスは一度きりだ…いくぞ!〉
『はいッ!』
生半可な攻撃ではすぐに再生される。
ならばその再生力を上回る一撃を与えればいいだけなのだ。
『返してもらうぞ…俺の…俺たちの…友達を!!』
襲い掛かるゴウ・ライラナクスの鎧を目掛けて全エネルギーをこの一撃にかける。
『ツインバスター…!』
『ソルジャー…!』
『『スマァッッシュッッ!!!』』
ドリルと拳が鎧へと深く突き刺さり鎧を砕いていく。
肩部分のミサイルポッドからも無数の弾薬が鎧へと直撃し、その力を増す。
白き鎧は尚も再生を試みるが、ダイナソルジャーバスターコンバインの拳のダメージがその再生力を凌駕しやがて砕け散っていく。
それとともにゴウ・ライラナクスの身体は光となり分解されていき1人の少女の姿を空中で形作る。
落下していく少女をダイナソルジャーは両手で優しく包む。
『おかえり…ライラ』
「…ただいま…"タイヨウ"」
穏やかな声で彼女の帰還を迎えるのだった。
同刻、グリッドナイトたちも氷の華の怪獣群へとトドメを果たす。
『これで終わりだ……ナイト爆裂光波弾!!』
胸部の前に巨大なエネルギー弾を集結させ、一気に浴びせていく。
名すらも持たない氷の華の怪獣たちは儚く散っていった。
〈一件落着…だな〉
街の氷が溶けていくのを見て戦いが終わったのを悟る。
ライラの救出を祝福するかのように空にスノーフレークが輝いた。
スノーフレークの花言葉は「純真」らしいよ٩( ᐛ )و
話変わって…「あれ?今回長くね?」と思われた方…正解です
何を隠そう今回はいつもの倍の文字数だからな…(普通に区切るタイミングわからんかったユルシテ)
ということで次回の投稿までadieu!