SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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2023年最後の投稿!YEAR!


第33回 律・動

…周りから声が聞こえる。

 

「よもさん早く!急がないと隊長が!」

 

どうやらシズムたちではなさそうだ。

 

「…蓬くん、ファイトぉー…」

 

声の数的には…4人…だな。

 

くっそ…なんか身体が思うように動かせねぇ…どうなってんだこれ。

 

「キースッ!キースッ!キースッ!」

 

外が騒がしい…というか今、変なこと聞こえたぞ!?

 

「み、南さん…?いつもとキャラ違うよ…?」

 

ヤバい、ヤバい。なんか色々とヤバい気がする…!

 

はやく起きねぇと…!

 

と、ここでようやく身体が完全に覚醒し、飛び起きる。

 

「やぁめぇろぉぉっっ!!」

 

起き上がった勢いのまま、目の前にいた青髪の奴とぶつかる。

 

「「いぃったぁ…!?」」

 

青髪のやつと俺の声がハモる。

 

その様子に驚いたのか、周りの連中を声を漏らす。

 

「うわぁ、びっくりした…」

 

「存外大丈夫そうっすね」

 

「なんともなさそう…?でも実際、ガウマさん保険証持ってないから病院に行ってたらあとあとヤバそうだったから元気そうでよかったよね」

 

「センパイ、それ言うの今じゃないっすね多分」

 

栗色の髪の…多分女子高生だな、と…中学生…?ぐらいの赤い髪の三つ編みおさげのやつ、あと…黒おかっぱジャージ男…が順に喋った。

 

「…ガウマさん、大丈夫ですか?」

 

そして俺と今さっきデコをぶつけたやつが頭を抑えながら声をかけてきた。

 

…っていうかまたガウマ呼びなんだな…

 

俺が勢い余ってぶつかっちまったのに…自分より先に他人の心配してくるとは…コイツ…

 

「良いやつだな」

 

「…もうそれいいですから、ほら、立てます?」

 

そう言って青髪のやつは俺に手を差し伸べ、俺を立ち上がらせてくれた。

 

「…ここは…」  

 

辺りを見渡す。

 

川近くの道。

 

近くには『冠水注意』の路面表示。

 

また知らない場所に飛ばされたと思っていたが…どうやらここには見覚えがある。

 

確か…キヨシ台の…河瀬…だよな…?

 

でも…なんか…雰囲気が違うような…?

 

「…ガウマさん…?どうかしました?」

 

キョロキョロと辺りを見渡す俺に疑問を抱いたのか青髪が俺を気にかけてくる。

 

「いや…ここの…街の名前は…?」

 

「え?なんです急に」

 

なんか冷ややかな視線で見られてる気もするが、知りたくなっちまったもんはしゃあねぇ。

 

ここは負けじと押し通す。

 

「名前…」

 

俺の念に表情が弱々しくなりながらも、観念したのか返してくれた。

 

「えーっと…俺も詳しい住所はわかんないっすけど…東京都の、フジヨキ台…の川付近…?ですケド…」

 

「フジ…ヨキ…台…」

 

キヨシ台とどこか似た雰囲気を感じたがどうやら違ったらしい。

 

感慨深く呟いたのち、俺は自身の格好の変化にも気づいた。

 

丈が短かい、ウエストがあらわになっているジャケット。包帯を乱雑に巻いてハイネックの肌着…。

 

前の白の軍服に比べりゃ幾らかマシ…っていうか俺のセンスに刺さってるような気もするぜ…。

 

次にポケット部分に手を伸ばすと何かに引っ掛かる。

 

…ダイナダイバーじゃねぇか!

 

あ?でも…色が違うな。俺の持ってんのと。

 

だけど…妙にこっちの色の方がしっくりくるな…。

 

とか一人で色々と考えていると、例の4人が何やらヒソヒソ話をし始めた。

 

「…なんか今日のガウマさん目つきがヤラシイ…」

 

「ちょ、目つきがヤラシイって何よ」

 

「や、なんかその…いつものガウマさんじゃないって言うかさ」

 

「…なんかあれだよね、妙によそよそしいみたいな…なんか知らない人と会ってるみたいなさ」

 

「おぉ…センパイにしてはわかりやすい」

 

…全部聞こえてくるんだが…わざとやってんのか…?コイツら…

 

そんな奴らを横目に俺は空を見上げた。

 

澄んだ青いキャンパスのような空には鳥のハミングが響いている。

 

…今度は…どこに来ちまったんだよ…

 


 

「…死んだね…」

 

超人が敗れ去り、崩壊した街に冷たい雨が降り始めた。

 

「やった…やっと……勝った…!」

 

少女は淡々と言葉を呟く。

 

身体全部を揺らす。

 

やがてその震えは、最高潮へ達し、爆発する。

 

「ぃやぁったーっ!!あはははははっアハハハハハッ!」

 

神は笑っていた。

 

自身の勝利を噛み締めるかの如く。

 

自分の世界を脅かす者を排除できたことを、ただひたすらに。

 

『………俺は…』

 

神である少女を自身の頭上へと乗せる、心を持った怪獣は虚の眼で空を仰ぐ。

 

…俺は…心のどこかでまだ…あの頃を悔いていたのかもしれない。

 

あの時も…あの時も…あの時でさえも…

 

新条アカネ…もっと早く…お前の心を…救えていたかもしれないと。

 

お前を…もっと知ろうしていれば…

 

降りしきる雨の中、怪獣はひたすらに彼女を、彼女の心を見続ける。

 

…新条アカネ……俺は———

 


 

よくわからない状況のまま俺はさっきの4人に、「やっぱり病院に行った方が良い」と促され、その道のりを辿っていた。

 

アイツらなりの気遣いか、少し距離を置いて前を歩いてくれてる。

 

「……」

 

結局のところ…俺はここで何をすれば良いんだ…?

 

戦う理由ってのを探せば良いのか、はたまたまそれとは違うもんを伝えようとしてんのかよくわからない。

 

何度か試行錯誤して答えを出そうとするがどれも釈然とせず、悶々とする。

 

「うーん….」

 

「ガウマさん」

 

不意に声をかけられ振り向くと、いつのまにか青髪の…蓬つってたな…が隣に立っていた。

 

「お、おぉ…なんか…ようか?」

 

「あ、大したことじゃないんですけど…その…ちょっと、話しません?」

 

俺のことを気にかけてくれているのか、薄く微笑みながら隣を歩む。

 

「…覚えてます?俺たちが出会ったのも、こんな辺でしたよね」

 

「………」

 

水門を眺めながら蓬は懐かしそうに笑いながら話す。

 

だけど…俺には…その記憶はない。

 

やっぱり…ここは…俺の過去の世界ってこと、なのか…?

 

ふと蓬のパーカーのフード部分にキラリと光るものが見え、じっくりとそれを見つめていると、そこにあったのは赤いダイナソルジャーだった。

 

「…ダイナ、ソルジャー…」

 

それだけではない。

 

前を歩く、"夢芽"のスカートのポケットから、"暦"の裾からそれぞれ、ダイナウイング、ダイナストライカーが見えた。

 

…つまりコイツらは…俺たちみたいに怪獣と戦っているってことか…

 

自身もダイナダイバーを取り出し、見つめる。

 

…なら…コイツらに…どうしても聞いとかなきゃいけないことがある…

 

それは————

 

「…なぁ、蓬…?」

 

「はい」

 

「急に聞くが……お前は…さ、なんで戦ってるんだ…?怪獣と」

 

「…急ですね」

 

「…急ですまん」

 

さっきまで黙っていたのに、急にそんなことを言い出した俺に蓬は呆気に取られていたが、しばらく考えた後に話し出してくれた。

 

「うーん…なんと言うか…俺もよくわかってませんよ?

…最初は誰かもっと相応しい人に任せるべきじゃないのかなって乗り気じゃなかったし…だけど…」

 

フードからダイナソルジャーを取り出し、それを見つめながらまた語り出す。

 

「前に…南さんに連れられて自分たちが戦った跡地を見に行ったんです。

…その時に…自分たちと怪獣の戦いで壊れた街を見て…なんって言うか…責任を感じたんです。

そこから徐々に…ダイナゼノンに乗る意味ってなんだろうって自分で考え始めて…」

 

徐々にだが、蓬のダイナソルジャーを握る力が強くなっていくのを俺は見逃さなかった。

 

「それで…守れるものは守りたいって思うようになったんです…それが俺の…今、戦う理由だと思います」

 

「…!」

 

その蓬の答えに…俺は何故だか…震えが止まらなかった。

 

俺の中で…蓬ならこう答えるとわかっていたみてぇに。

 

「…後悔…してねぇのか…?」

 

俺は無意識にそんなことを口にしてた。

 

「後悔、ですか?」

 

「あぁ…"あの時"…俺と出会わなかったら…お前は」

 

「…俺、ガウマさんと出会ったこと、後悔なんてしてませんよ」

 

「……なんで、だ…?」

 

「…それ聞いちゃいます?」

 

「あぁ…聞かせてくれ」

 

少なくとも…今の俺は…聞きたい。

 

蓬の…言葉を。

 

「恥ずいっすけど…」

 

「あの時…ガウマさんと出会ったのは確かに偶然だったのかもしれないけど…その"偶然"があったからこそ今の俺たちがあるって思うから」

 

「…お前…」

 

「それは…南さんも、暦さんも、ちせちゃんも…きっと同じだと思いますよ」

 

ふと、蓬と共に前へ視線を移すと、俺たちに気づいたのか、ちせたちが大きく手を振ってきた。

 

「よもさん、隊長ー!はやくはやく!」

 

「はやくしないと病院しまっちゃいますよー」

 

「お金は俺たちがなんとかしますからー!」

 

その瞬間。俺の中でバラバラになってたパズルのピースが、ピッタリハマったみたいな感覚が俺を襲った。

 

彼らの姿に、俺の中から…思い出と…涙がどんどん溢れ出てきた。

 

「…ッ」

 

蓬たちにそんな俺を見せまいと、わざと天を仰ぎ涙を拭う。

 

…なんで忘れてたんだろう。

 

こんなにも…忘れちゃいけない大切なことを。

 

楽しかった、苦しかった、悲しかった、嬉しかった—あの日々のことを。

 

「…行きましょうか」

 

そんなレックス—-いやガウマを察し、蓬はそれ以上何も言わずに、皆の所へ行こうと促した。

 

「…だな」

 

その懐かしさに、おどけるように笑うと彼らは仲間の元へと駆けて行った。

 

 

…多分…もうすぐこの夢は終わっちまうんだろう。

 

徐々に徐々にだが、視界がどんどん狭くなってきてるからそういうことなんだろうな。

 

記憶を全部を思い出したわけじゃない。

 

だが少なくとも、蓬たちと過ごした、ガウマ隊として過ごした日々を少し思い出すことができた。

 

それに…戦う意味…っていうのが…少しわかった気がする。

 

あと…もう少し、話してみたかったけど…まぁ…思い残したことはねぇな。

 

だって…久しぶりにアイツらの笑顔見ることができたんだからよ。

 

そうして笑顔に満ち溢れる彼らを見つめていると、蓬は急に足を止めた。

 

「どした?」

 

狭まる視界の中、最後に蓬は俺に何かを伝えるみたいに、真っ直ぐ俺の瞳を見た。

 

「…ガウマさん」

 

優しくて温かくて…どこか憂いを宿す、そんな瞳で。

 

「俺…信じてます。ガウマさんならきっと———」

 

そう言い掛けた言葉の途中で声が途切れ、俺の視界が遮られそして。

 

俺の意識は完全にシャットアウトしちまった。

 

 

 

       

 

  

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 

 

       

 

  

 

 

  

 

再び目を開けると、真っ暗な闇の中だった。

 

…俺…死んじまったのか…?

 

立ち上がって歩き出しても、何かにぶつかる様子もねぇ…。

 

次はどこへ連れてかれるかと思ったが…とうとう真っ暗なとこに着いちまったよ…

 

自身の頭上に微かな重量を感じ、それを目元まで下ろす。

 

「サングラス…」

 

いつも俺がつけている桃色のサングラスだ…。

 

…ということは…!

 

自身の身体に目を落とすと、いつものスーツの姿になっていた。

 

「これ…」

 

姿が戻ってる…

 

夢が…というよりも怪獣の能力が切れかけてんのか…?

 

そう思って、しばらく辺りを見渡しているうちに手の平がパッと光った。

 

…いつもの銀色のダイナダイバーじゃねぇか…

 

いつの間に握ってたんだ…?

 

あと…お前、暗いところで光ってくれんのか…便利だな。

 

呑気にそんなことを思っていると、闇の中からどこからともなく、足音が聞こえてきた。

 

…誰だ…?

 

光るダイナダイバーを前に出し身構える。

 

コツンコツンと一歩ずつ確実にその足音を響かせ近づいてくるのがわかる。

 

どんどん足音が近く、大きくなった後、ついにその足音の主が現れた。

 

前垂れつきの大きな笠帽子、そしてエキゾチックな赤い装いをした女性がそこに立っていた。

 

ドクンドクンと心拍数が自然と高くなる。目頭が熱くなる。

 

何故だろう。何故こんなにも鼓動が高鳴るのか。

 

何故こんなにも…心が…締め付けられるのか。

 

次々と湧き出る思考の果てに、彼女は口を開いた。

 

「ようこそ…竜の(えにし)に導かれし……お客様♪」

 

 


 

「… グリッドマン…BABY DON DON …BABY DON DON…夢見て…」

 

静かな街に、彼女の歌声が響く。

 

「グリッドマン…BABY DAN DAN BABY DAN DAN.…輝…け…」 

 

望美は歩いて行く。

 

ゴウ・ムネモシュネ目掛けて、ただひたすらに。

 

何を考え、何を思っているのか。

 

それは彼女にしかわからない。

 

「…さぁって…じゃあそろそろ行きましょうかね♪」

 

怪獣を目の前にしても、彼女の顔は変わらない。

 

【笑顔】。そう笑顔だ。

 

だがその笑顔の裏にあるものを、まだ世界は知らない。

 

[—-,(,-?-)))—————!-!!-!-!!-!]

 

ゴウ・ムネモシュネは現れた標的を定め、身体からフィルム上の光線を撒き散らす。

 

「〜〜♪」

 

その光線から逃げることなく、寧ろそれを受け入れるように手を広げる。

 

「私の……過去とケリをつけるために♪」

 

直後。

 

彼女の姿も記憶の霧に包まれ、やがてその姿を消した———————




本当だったら年内までにこのゴウ・ムネモシュネ戦終わらせたかったんですが…まぁ…なんだかんだで長くなっちゃった^_^

見切り発車で始めたこの小説。

まだまだ謎は深まるばかり。

レックスはこれからどうなるのか。樹たちの過去は…望美の思惑は…。

今後も自分のペースで頑張っていくのでよろしくお願いいたします。

それでは、また2024年に会いましょう。
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