SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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話のプロットは出来ているのです…それに肉付けする工程に時間が掛かるのです……(不定期更新の言い訳)

…余談ですが、ガンダムSEEDFREEDOM面白すぎんか…?ほんとに20年待って良かった…

あ、あと…こんな作品書いたので気になった方(ブレイバーン視聴の人)は是非  ↓
https://syosetu.org/novel/336067/1.html


第34回 姉・妹

 

違和感。

 

お母さん・お父さん・いとこ・友達…私と話すみんなとのズレ

 

「響子」

 

それに気づいたのは、随分前だ。

 

「響子ちゃん」

 

自分だけどこか浮いている、景色を外側から見ているような感覚。

 

「きょっぴー」

 

まるで前にもあった出来事を繰り返しているような、何度も幸せな記憶だけ繰り返しているような。

 

そんな感覚に。

 

『きょうこ〜』

 

そしてみんなが私の名を呼ぶ度に、なぜか胸の奥がズキリと痛む。

 

そしてあの夢を見る。

 

 

—-ハァ…ハァ…ハァ…!——-

 

焦げ臭い匂い。燃え上がる炎。立ち上る黒煙。散っていく花々。広がる悲鳴———

 

そのすべてが私へと向けられているように見え、呑み込まれていく。

 

「なんで…なんでお前だけ…」

 

抵抗をする暇さえも与えられず、血溜まりだらけの地面へと落ちる。

 

ビチャア

 

足元には赤い鮮血が広がる。

 

ちぎれた腕、串刺しの人々。 

 

街を蹂躙していく怪獣。

 

 

———そのすべてに見覚えがあった————

 

この悪夢はフィクションなどではなく、実際に起こった出来事なのだから。

 

この悪夢が終わると、また最初の車でドライブする記憶に戻る。

 

そうして何回も何回も幸せな記憶だけを繰り返しているんだと、今、確信を得た。

 

でも何故こんな中途半端なところで記憶が途切れるのか。

 

答えはシンプル。

 

この先が私にとって、幸せとは言い難いものだから———

 

そうしている間にも記憶のリセットが始まる。

 

そうか——-こうすることで人々をずっと幸せな記憶に閉じ込めているのか——-

 

それがわかったところで何も変わらないかと言うようにあの頃へとまた戻される。

 

永遠に幸せなときを過ごす、それはとても魅力的なことだ。

 

そんな時を過ごせるのに、それを拒む者はいないだろう。

 

自分だってそうだ。

 

だが…

 

「……—————ッ…」

 

素直に嬉しいと思う自分がいる反面、拒絶している自分もいた。

 

 

——このまま進めないのは、もっと苦しいと知っているとでも言うように——

 

「——-だめ…だ」

 

このまま、幸せな記憶だけを繰り返すのは、もう。

 

辛いこともあった。悲しいこともあった。自分を強く恨んだこともあった。

 

だが、それ以上に…

 

 

———楽しいこともあったから——

 

 

記憶の泉に落ちる響子に、一筋の光が照らすように差し込んだ。

 

「…これ…」

 

それと同時に手元に光が羽ばたいてくる。

 

…銀の…戦闘…機…?

 

その光に吸い込まれるかの如く、自分でも気づかぬうちに手を伸ばす。

 

そしてその一端に触れた後———-記憶がフラッシュバックする。

 

大きな一歩を与えてくれた仲間を。

 

大切な日々を。

 

励ましてくれた彼を。

 

過去ではない大切な現在(いま)を。

 

自由への翼を。

 

銀色の戦闘機:ダイナウイングに導かれるように、響子は飛び立った。

 

 

 

そうか私は————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小鳥のハミングが心地良いリズムを刻む。

 

ごくごく普通の、平凡なある日。

 

私にはこの世界でもう一つやるべきことに気づいていた。

 

「お姉ちゃん何〜?急に話って?」

 

いつも通りの、いやこの頃の(・・・・)奏の年相応の好奇心旺盛な表情で部屋に入ってくる。

 

「奏。」

 

なるべく引き締めた声で、絞り出す。

 

「…?」

 

不思議そうに首を傾げ、こちらへと視線を向ける彼女を響子は直視することに思わず躊躇う。

 

いつの間か、身体が震え出していた。

 

言うことが怖い。関係が崩れるのが怖い。この幸せな時間が終わるのが怖い。

 

向き合うことが、こんなにも。

 

だが、そんな震えを腕の中にあるダイナウイングは優しく包みこんでくれた気がした。

 

「…スー…」

 

呼吸を整え、声を出す。

 

「ねぇ———」

 

私の見立てが正しければ…この記憶の世界で、私が乗り越えなければならないことそれは——

 

「あなたは…本物(・・・)の奏、なんでしょ…?」

 

カチリ

 

もう一つの違和感。

 

それに気づいたとき。

 

響子の世界の止まった時計の針が今、動き出そうとしていた。

 


 

「………シッ…」

 

果てしもない暗闇の中を、紫の光が駆け抜けていく。

 

ただ一つの手がかり、あるいは彼との繋がり——-プライマルアクセプターから鳴り響くGコール。

 

その音を、形はない…だが確かにそこにある"何か"を頼りに彼—ナイトは走る。

 

怪獣:ゴウ・ムネモシュネに取り込まれた星の数ほどいる人々のフィルムの中から、彼を探す。

 

「………!」

 

やがて、一つのフィルムの前で足を止めた。

 

「…これが…樹の…」

 

だが————

 

「………?」

 

樹の記憶の一端を見据えたとき、ナイトはある違和感を感じた。

 

「……これは……」

 

ここに来るまでに見たフィルムのどれとも違う異質。

 

「…樹…お前は…」

 

そのフィルムに映っていたのは。

 

薄暗い部屋で1人、自分と家族が笑っている映像を虚ろな瞳で何度も繰り返し繰り返し見続ける樹の姿だった

 

 


 

「えぇ…?きゅ、急に何?お姉ちゃん、「本物の私」ってどういう意味?」

 

奏は戸惑いながらも明るい口調を崩さず、いつも通り笑っていた。

 

だが、その口許が少し揺れていたのを響子は見逃さなかった。

 

「…信じられないかもしれないけど…今、私たちのいるここは…現実じゃない…多分…《怪獣》の力で作られた記憶の世界なんだよ」

 

その一言で奏は眉間に谷を刻んだ。

 

「……………

 

無言の時間。

 

この一時だけは時間が進むのが遅く感じる。

 

「「………。」」

 

いつもなら、この静寂で耐えきれずに逃げてしまう。

 

しかし、今は違う。

 

もう一歩前に出て、間近で奏の瞳を見つめ重ねる。

 

「………………ハァ」

 

しばらく沈黙した後、奏は諦めたかのように息を吐いた。

 

「…なんで本物の私ってわかったの…?」

 

「…わかるよ…だって…姉妹だもん」

 

「……なによ、それ…」

 

奏はますます眉間をきつく寄せ、唇を引き結んでじっと響子を睨む。

 

「いつから…?」

 

「…最初に気づいたのは…車の中で話してるとき」

 

「…超最初じゃん…」

 

「話してて…やけに語彙力があるなぁ…とか言葉のキャッチボールがしやすいというか…こう…この頃の奏ってこんなんだったっけ?って感じて…」

 

「…遠回しに私のこと馬鹿にしてるの…?」

 

微笑を浮かべる響子の言葉に、奏はさらに不愉快そうに眉根を寄せる。

 

「違う違う!…そうじゃなくって…えっと…私とかお母さんたちと喋ってるとき…奏…笑ってるけど本当は笑ってない…カラ元気って言うのかな…なんとなく…哀しそうに見えたの」

 

「……何、…それ…」

 

そうそれは在りし日を懐かしむような、未練のようなそんなものだった。

 

「…あと…この頃の奏は…私のこと『お姉ちゃん』じゃなくて『ねえね』って呼ぶ筈だし」

 

「…なんで…そこまで覚えてるの…」

 

「…忘れるわけないよ」

 

言葉を交わしていくうちに、響子は、前に奏とこんな何気ない会話をしたのは一体いつのことだろう、ふと思いふけていた。

 

奏とこんな風にもう少しお喋りしたい…そんな響子の想いとは裏腹に、奏の表情は険しいままだった。

 

「…それで?私が本物ってわかって何がしたいの?」

 

「…奏と…話がしたかったの」

 

「…は…?」

 

「奏と、ちゃんと眼を見て…話をしたかったの」

 

響子は胸の奥のわだかまっていた気持ちを言葉に乗せる。

 

だが、それに対する奏の態度は変わらない。

 

「…話すことなんてない。お姉ちゃんと話したってなんになるの?」

 

突き離すような言葉、眼光。

 

その一つ一つが鋭い刃のようだった。

 

でも、不思議と古澤家の人たちのような冷たさは感じなかった。

 

「奏…聞いて。…私…やっぱり古澤家を…継ぎたい」

 

「………何を…今更——」

 

「うん…わがままだって言うのはわかってる…っていうか私は奏と違って能力が認められてないのだってわかってる…だけど———」

 

「狂ってる…狂ってるよッ…今まで散々逃げてきて…第一…落ちこぼれのお姉ちゃんが継げるわけ…——」

 

「うん…そうだね。…そうだよ…だけど——」

 

そう、これは響子の我儘であり、狂ってると言われても仕方がないことだ。

 

今まで家族に酷いことを沢山言われた。

 

落ちこぼれ、失敗作、古澤家の汚点……

 

そんな家が嫌で、毎日泣いて眠れない夜もあったというのに。

 

せっかく自由への翼を手に入れたというのに。

 

彼女はそんな家を継ぎたいと言ったのだ。

 

「だけど…このままじゃ駄目だって、思ったから」

 

逃げているだけではいけない。

 

その想いを胸に響子は言葉を乗せる。

 

ふざけないで

 

だがその言葉はかえって奏の顔を歪めた。

 

「ッ……勝手なこと言わないでよッ!!」

 

「奏…」

 

「私がッ…今までどんな想いで…これまで生きてきたと思ってるの?

私は、古澤家を継ぐためだけに、必死に頑張ってきた。勉強、運動、リーダー性、コミュニケーション能力、判断力…すべてのことを完璧にこなすことを要求された!お姉ちゃんに解る…?この気持ちが…私がどれだけ今まで頑張ってきたのかッ!!」

 

才能のない響子と才能のある奏。

 

姉の代わりに期待を背負わされた奏の怒り——それが今、爆発していた。

 

でも、奏が初めて響子に見せた想い。そのすべてが哀しそうに見えた。

 

「…うん…知ってる」

 

「…私と大して話したこともない癖に、私を知ったような口を———」

 

でも…!それが…奏の本心じゃないのも…知ってる」

 

「私の何ガッ——」

 

「奏…だったんだよね…毎日…ご飯、作ってくれてたの…」

 

毎晩、冷蔵庫に入れてあった母が作るにしては似つかわしい平凡で庶民的な料理の数々。

 

「…、…-.」

 

「塩辛い味噌汁、少しべちゃついたご飯、乱雑な切り方のサラダ、衣の厚い揚げ物、風味の薄い生姜焼き…皮からはみ出た餃子、不恰好な形のハンバーグ……」

 

「…やっぱ私のこと馬鹿にして———」

 

「ご飯だけじゃない…制服のアイロン掛け、布団敷き、部屋の掃除…他にも…細かいことまで…陰ながらやってくれてたんだよね」

 

「……」

 

会話を何年もしてなくとも、響子は見逃しはしていなかった。

 

彼女の手に何枚も貼られていた絆創膏を。

 

慣れないことを家族の目を盗んで、毎日やってくれていた。

 

バレたらどうなるかもわからないのに。

 

ありがとうとも言われなかったのに。

 

彼女は…ずっとやり続けてくれていたのだ。

 

「それが…何——————-」

 

「奏が…私を庇って……古澤家を継ごうとしてくれてたことも…」

 

 

 

————なんでこんなこともできないんだ—————

 

—-やめて!お姉ちゃんを虐めないで!———————

 

————今のお前に何の価値がある————————

 

—やめて!みんななんでお姉ちゃんばかり迫るの————

 

—————この古澤家の面汚しが—————————

 

–…やめて…お姉ちゃんを責めないで…どうか…これ以上…お姉ちゃんの笑顔をとらないで… ———————

 

————あなたには失望した…何のためにここにいるの———————

 

——お願い…私が…私がこの家を継ぐから…だから…だからお願い…もう…お姉ちゃんを自由にさせてください————————

 

 

 

 

遠い過去の記憶。

 

奏が必死に古澤家に尽くしてきたのは、誰でもない響子のためだった。

 

「私…本当は知ってた…でも塞ぎこんで考えないようにして…記憶の奥底にしまってた…私のせいで…奏が苦しでることを…」

 

「………」

 

「…最低…だよね…1人だけ…自由の身になりたいだなんて幻想を思い描いて、私1人だけが悲劇のヒロインみたいだって思い込んでさ…

奏の…妹の涙さえ気づかないなんて…」

 

「…………ッ…違う…違う違う!私はあなたの為じゃなくて私の為だけにッ———」

 

「奏。」

 

息を荒げ、必死に否定する奏の両肩を抑え、こちらに目を向けさせる。

 

「奏、聞いて。」

 

奏の瞳を、今度はちゃんと逸らさないように。

 

「私…奏に伝えないといけないことがあるの」

 

それはたった一言の、一瞬で終わる何気ない、当たり前の言葉。

 

だが、その言葉の持つ意味は大きい。

 

 

「ありがとう」

 

 

「ッ…、!」

 

思ってもいない言葉に、奏は驚きを隠せない。

 

「支えになってた。顔は見れなくとも…心が通じ合ってなくっても…奏が…居てくれるだけで…私は…嬉しかった」

 

今まで溜めてきた想いを全部、吐く。

 

怪獣によって街も人もその形が変えていくこの世界で、奏は奏だけは…変わらず居てくれた。

 

そんな彼女と、私は———

 

「だからね…奏、私と…2人で一緒に…古澤家を継がない…?」

 

「そんなこと、できる訳…」

 

「できるよ」

 

響子はそう言い切った。

 

「時間は…掛かるかもしれない、酷いこともたくさん言われるかもしれないだけど…私は今度こそ…」

 

あの時は逃げ出してしまった自分の道を———

 

「向き合ってみたい…そう思うから」

 

口ごもることもなく、まっすぐにその言葉を伝えた。

 

 

しばらくした後、奏は前へと倒れ、響子にもたれ掛ける。

 

「その言葉…もっとはやく聞きたかった」

 

小さく呟いたその言葉と共に、キラリと冷たい一筋が流れたのを感じた。

 

「…奏」

 

「…お姉ちゃんの…バカ…ばか…お姉ちゃんには…笑ってて…欲しかっただけなのぉ…それを…」

 

「ごめん…ごめんね…」

 

「…なんで泣いてるのよぉ…」

 

「ヒック…奏だってぇ…」

 

この世界のシステムに翻弄された姉妹。

 

すれ違いにすれ違いを重ねた先に、彼女たちは新たな道を見つけた。

 

空白の数年間。その間を埋めるかのように。

 

しばし、2人だけの時間が過ぎていった————

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

「久しぶりにこんなに喋ったね」

 

「ね。」

 

互いに本音を言い合えた2人は、ふと空を見上げた。

 

「さてと…行くんでしょ、怪獣倒しに」

 

「…ありゃ…気づいてました…?」

 

「そりゃあ…ねぇ…?普通女子高生の部屋にあんな男の子向けのおもちゃ?…置いてあったらさぁ…」

 

「アハハハ…」

 

「それと、お姉ちゃん…たまにスカートのポッケに入れっぱなしで洗濯出してたでしょ…あれ私が気づいて部屋に置いてたんだからね…」

 

「ナンカ…スミマセン…」

 

申し訳なさよりもなんだか気恥ずかしいという感情が勝ってくる。

 

「じゃああの緑髪の天パの人も怪獣関係の人ってことか…」

 

「あー…新条くんのこと?」

 

「そう、その人」

 

「…でもなんでここで新条くん?」

 

「いや…この前、2人で一緒に帰ってるとこ見たから、お姉ちゃんに春が来たかと思っちゃった」

 

「へ…?/////////!!!し、ししし新条くんとはそんなんじゃ———」

 

響子は耳まで顔を赤らめながら声を必死にあげる。

 

「ホントかなぁ…。そーえば、昔助けてくれたよね、あの人。私たちのこと」

 

それを愉快そうな様子で見た後、奏は少し顔を暗めた。

 

「でも…気をつけた方が良いよ…お姉ちゃん…。…あの人、昔と…どこか——」

 

と、言いかけたところで奏は口を閉じ「やっぱなんでもない」と有耶無耶にした。

 

「……?」

 

響子は奏の言葉の意味を考えたが、よくわからなかった。

 

というか妙に頬が熱を帯びているせいか、頭の中がぐるぐると回り始めた。

 

そんな姉の横顔をイタズラっぽい響きを混ぜて笑い、奏は穏やかな声で言う。

 

「頑張ってね、お姉ちゃん。…次は…現実で」

 

そう言うと奏は左手で響子の右手を優しく握る。

 

「うん…また…クレープ食べに行こうね、絶対。」

 

お互いに大きく頷き笑い合う。

 

「…それじゃあ、行ってくるね…!」

 

奏の手を握り、想いを込め、天へと叫ぶ。

 

「アクセスモードッ、ダイナウイング…!!」

 

2人を中心にしてフィルムにヒビが入っていき、そして—————

 

 



 

 

次回【失くした記憶って、なに?】。




あとがき

奏がなんで怪獣のこと覚えてるかに関しては、ダイナウイングに触れたから…という理由です(深い意味はないかも)

響子と記憶の世界がリンクしてたのもそれが原因ですね。

姉妹ということで、そういう因果も強いのでしょう。(知らんけど)

そして…次回予告のタイトル…これは…?

ということで次回投稿まで…アデュー!
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