SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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第40回 溟・海

 

—戦国の世。

 

——-君に問う。

 

————-兄妹とは?

 

———————生きるとは…?

 

—-これは食うか食われるかの戦国の物語

 

-人間を怪獣化させる病が蔓延る乱世に、グリッドマンが奮闘した世界があった—————…

 

ユニバース♯I【戦国グリッドマン】

 


 

カリカリ。

 

薄暗い部屋に、その削る音が籠る。

 

『いつき』と呼ばれていた少年からもらった[宇宙船]のページを食い入る様に眼で追いながらコピーは、ひたすら指先を動かす。

 

「…今までと同じやり方じゃ駄目なんだ…もっと—————-」

 

数々の敗北、挫折から学んだ。

 

グリッドナイトを倒すために必要なこと。

 

それを踏まえ、新たな怪獣を創る。

 

だが、きっとこれだけでは勝てないのだろう。

 

ならば——————-

 

「ファージさん。」

 

コピーは席を立ち背後に佇むファージへと、自身の意思で初めて、協力を求めた。

 

「力…貸して」

 

唐突に言われた言葉。

 

その言葉を、待ち望んでいたように、ファージは答えた。

 

「…いいだろう、共同戦線といこうじゃないか————」

 


 

 

晴れやかな空。

 

照りつける太陽。

 

白い砂浜に、光り輝く地平線。

 

そう、ここはまさしく───

 

「「「ウミダーッ!!!」」」

 

…なんというか…その…すごく…

 

 

ガッポオォオイ!!※学校っぽいの訳

 

⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

夏休みも早数日。

 

樹たち1年E組は宣言通り、海水浴へと身を投じていた。

 

「「「"フゥン"」」」

 

「…君たち…結局その水着にしたのね(呆れ」

 

男子の大半が昨日のファッションショーで着用したネタ水着をまさかの買っていたようだ。

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

その姿に、女子たちは軽蔑し、冷ややかな目線を向けてくる。

 

「…終わったな」

 

頼むからこのバカ共と同類と思うのは本当にやめてほしいじゃんね⭐︎

 

…じゃないと休み明けの学校生活の空気地獄になるからねホンマ。

 

「………」

 

その視線から逃れるように、樹は近くにあった海の家へとそろりそろりと足を進めた。

 

 

 

「コーヒーフロートください」

 

「…海の家にそんな洒落たモンないだろ」

 

海の家の中にすでに入っていた太陽とカウンターに座り、地獄の空気と、浜辺の暑さをやり過ごす。

 

「はい、お待ちどおさん」

 

「あるんだ!?」

 

秒速フラグ回収すぎると、咄嗟に店員の顔を見ると————

 

「…——ってレックスさん…なんで?!」

 

そこには、桃色のサングラスとラフなTシャツを纏った見覚えのありまくる人物がいた。

 

「ん?あぁ…よぉ、樹…と、しばらくぶりだな太陽」

 

海に来るなら朝出てくるときに一言言ってくれれば良かったのに(荷物もちとして使えると考えたのは黙っておこう)

 

「…お、おい樹…上見ろ、上…」

 

左肘で突かれ、太陽に言われた場所へと視線を向ける。

 

「………」

 

神棚的なところに置かれた見覚えのありすぎるパソコンの内から鋭い眼光がこちらを覗く。

 

「なんでナイトまでいるの…?」

 

樹の純粋な問いに、ナイトは至って真面目な顔で答えた。

 

「…バイトだ」

 

「ほんとに?」

 

「バイトだ」

 

「絶対に?」

 

「バイトだ。」

 

「ア、ハイ…」

 

一切ブレのないナイトの返答に、樹と太陽は問うのを辞めた。

 

というかナイトのいるパソコンって学校の備品だから勝手に持ち運んじゃダメなのでは———

 

「オラオラ、ガキンチョはさっさと出てけ出てけ!」

 

奥のカウンターの内からツインテールを靡かせるボラーまでもが現れ、樹と太陽を追い出そうと背中を押してくる。

 

…いや見た目的にはアンタが1番ガキンチョ————-

 

「「"いっっだっっ"!!」」

 

樹たちの思考を読んでか、いつも通りの強烈な蹴りをスネに入れ、海の家の外へと追い出してくる。

 

「ライラのやつもその辺で遊んでるはずだから会いに行ってくれ」

 

レックスは「悪りぃな」と苦笑しつつ、後に言葉を続ける。

 

「いいか太陽、樹。…世の中には人として守らなきゃいけないことが———-」

 

「…それ前にも聞きましたから」

 

「いいや…今回は…夏スペェシャルゥヴァージョンだッ!」

 

「あっそれそういう感じなんだ…」

 

そう呆れつつも、あまりのレックスの真剣な眼差しに思わず二人は息を呑む。

 

「いいか…この夏は…今しかない…だから…全力で楽しめッ!」

 

二人の背中を力強く押し、最後にニヒッと口端を上げレックスは送り出す。

 

「「……」」

 

その言葉に、しばらく顔を見合わせ唖然とする二人。

 

思えば最近、非現実的なことばかり起きすぎていて忘れていたが、一応自分たちは普通の学生なのだ。

 

普通に学校生活を送り、普通に生活し、普通に旅立っていく——そうなるはずだった。

 

だが怪獣との遭遇が彼らの生活を狂わせた。

 

本来ならあり得ない現象、日々怪獣たちとの戦いに身を投じ、背負うはずもない責任について苦悩している。

 

交わることのない世界との邂逅。

 

それによって本来歩むべき青春を失ってしまっているのではないか————

 

その想いは少なからずともナイトもボラーもあったのかもしれない。

 

だからこそこの言葉は、レックスたちなりの配慮だったのかもしれない。

 

二人はお互いにうなづき合い、レックスの笑顔に応えるように力強く返事を返した。

 

「「はいッ!」」

 

 

 

そうして浜辺のクラスメイトたちの元へ踵を返した時。

 

「ありがとうございましたー」

 

カウンターの奥から聞こえてきた声に、樹はふと目線を海の家に戻した。

 

「……?」

 

見送りの言葉を発したらしき、白いスーツの男性の姿が樹の目に溜まる。

 

…あの人のスーツ…何処かで———-

 

 

⬛︎

 

「…んで、俺らを呼び出した要件はなんだ…ヴィット」

 

樹と太陽が完全にいなかくなったのを確認したボラーたちは、海の家を完全に密閉し、カウンターで1人マイペースにくつろいでいる白スーツの…ヴィットを囲むように詰め寄る。

 

「…うん。時間もないし…単刀直入に言うよ。グリッドナイト…俺たちと手を組まない?」

 

「「「……」」」

 

その言葉を一同は無言で返し、ヴィットは苦笑した。

 

「…まぁ怪しむのも無理ないよね。こっちだって虫のいい話だっていうのは解ってる…だけど」

 

瞼を閉じ声のトーンを下げ、続ける。

 

「知りたくない?この世界の…裏を、さ」

 

その提示されたカード(取引)にナイトは厳しい目つきで問う。

 

「…それでお前たちには何のメリットがある?」

 

「キミたちからの信頼…今は…それ以上でも以下でもないよ」

 

それは、誰かに命令されて放った言葉ではなく、ヴィットたちの本心だとも受け取れた。

 

…少なからず…キャリバーたちも自身の存在…そして世界に違和感を持ったのだろう。

 

そしてこのタイミングの共戦協定…。

 

素直に受け入れるべきか、否か。

 

…もしかしたら…これが黒幕の狙いなのかもしれない。

 

…だがここは——賭けに乗るしか…道はない。

 

「…了承する」

 

ナイトのその答えに、ヴィットは頷き言葉を紡いだ。

 

「よし…じゃあ話そうか。俺たちの知っている限りの…この世界の黒幕について」

 

 

♦︎ ♦︎ ♦︎

 

結局ナイトたちが何故海の家に集まっていたのかは聞けず、釈然としないまま二人は歩く。

 

そして樹はそれとは別のことでも頭を抱えていた。

 

「…うーん…誰だったかな…あの服…」

 

最後に一瞬だけ掠めた白スーツ…あれは…

 

——み、見えている世界だけが…正しいわけじゃない—

 

「あぁ!?。あの時の!ホワイトビー玉サムライマンだ!」

 

夏休み前、コンビニの前で意味深なことを呟いたあの謎の男と同じスーツだ、と気づいた。

 

…樹のあまりにも不名誉すぎるあだ名をキャリバーが聞いたら斬り倒されそうだ。

 

「……なに…急に…こわ…」

 

太陽に奇異の目線を向けららながら、樹たちはクラスメイトの元へとかけていくのだった。

 

 

…そーえばあの人…今頃、どうしてるのかな———

 


 

気味の悪い培養液の入ったカプセルが立ち並ぶ、言わば研究室とも見て取れる空間。

 

その中心には、白髪の青年:ファージと、その背中を見つめる二人の影があった。

 

「…キャリバー、理解っているな」

 

「無論だ」

 

…ヴィットは無事、グリッドナイト等と合流できただろうか…

 

キャリバーとマックスは奇しくも、同じことを考えていた。

 

…今回の突然の申し入れ、何より前回のボラーへの強襲で、こちらに不信感を募らせていることだろう。

 

こちらとしても虫の良い話なのは重々承知しているつもりだ。

 

だが…ここで行動を起こさねば、ファージの計画が完遂してしまう。

 

…それだけは避けねばならないのだ。

 

「…頼んだぞ…ヴィット…。」

 

何も考えていなさそうで、実は自身の軸というものがしっかりとしているヴィットのことだ。

 

きっと上手く事を運んでくれることだろう。

 

このヴィットとグリッドナイトたちの邂逅は、なんとしても守護すべきものだ。

 

決して勘づかれてはならない。

 

そのために…ファージ…貴様を、ここから一歩も外へ出すわけにはいかない————

 


 

「…まず、この世界に出現する怪獣は【何者かによって意図的に創られた怪獣】ってことは把握してる?」

 

「…まぁ…なんとなくは…な。」

 

今まで、数々の世界で戦ってきてわかったこと。

 

それは怪獣とは大きく分けて二種類の怪獣に分けられる。

 

一つ目は、自然的発生型。こちらは世界にもよるが、その世界の守り神であったり、突然変異、もしくは生物の進化…により出現する怪獣。

 

二つ目は、情動干渉型。こちらは主に人間の情動によって創り出された怪獣だ。自然発生型との相違点で言えば自我の有無、もしくは怪獣の見た目だろう。(様々な情動が混じり合っているため、カラフルなものが多い)

 

…そして、この今いるキヨシ台に出現している怪獣は後者。

 

それに…これまで戦ってきた怪獣はどれも激しい憎悪が込められていた、以上の特徴からもこの世界の怪獣は誰かの手によって『意図的』に創られた可能性が高い。

 

「なら話は早い…で、ここからが本題なんだけど…首謀者は…三人」

 

スラスラと、言葉を繋げて、黒幕を解剖していく。

 

「まず…一人目は、『ファージ』。彼が首謀者で間違いないだろうね。

彼の担当は…怪獣の研究…だと思う…

あ、ちなみに俺たちを創った?…ことになってるのもコイツだよ」

 

「そいつが…キャリバーの言ってた『魔王の影』ってやつか…」

 

「あー…キャリバーの奴そう言ったのか…まぁ間違ってはないけど」

 

言い返す言葉も見つからず、ヴィットは苦笑する。

 

「で、二人目は『小鳥遊 望美』って紫色の髪の娘。見た感じ…女子高生だね。彼女は怪獣の実体化担当で——-」

 

「見た感じって…一応仲間なんじゃないのか?」

 

その歯切れの悪い特徴に、レックスは口を出す。

 

「…それがさ…俺たちあんまり彼女たちとは関わらせてくれなくてさ…だからファージの情報は大体わかるけど『望美』ちゃんと、もう一人に関しては俺たちもよくわかってないんだよねー…」     

 

こればかりはお手上げと言った感じで、それ以上彼女については特に突出した情報はなかった。

 

「んで…その3人目は?」

 

「…それに関しては望美ちゃん以上に情報がなくてね…いつも部屋に篭ってるから会ったことすらなくてさ…わかってるのは名前だけ…」

 

「3人目の名前は…『コピー』。彼女が怪獣を創り上げてる…それ以外は何もわからない謎大き人物…かな」

 

3人目の説明にどうにも適当さを拭えず、レックスとボラーはそれぞれ声を漏らす。

 

「…なんのコピーだよ…」

 

「おいヴィット、なぁにが『この世界の黒幕について』だ!名前以外の情報すっからかんじゃねぇか!?」

 

「0よりはマシでしょ?これでもさ。一応俺たちも頑張って集めたんだって————-」

 

あーだこーだと言い合う一同を横目に、画面内のナイトは一人何か言葉が引っかかったように眉間に皺が寄る。

 

「…コ、ピー…」

 

そのような名の人物には遭遇したことはない筈だ。

 

だが、この『キヨシ台』そして『創られた怪獣』。

 

…どことなく『ツツジ台』での出来事を連想させる。

 

コピー… 主に、写し,複写,そして複製を意味する言葉。

 

…怪獣を創る…コピー………ツツジ台と…キヨシ台…複製———

 

「……!」

 

その情報を紡ぎ、世界の一端に触れようとした、その一瞬(とき)

 

パズルのピースがハマったかの如く、ナイトの頭に、記憶が流れ込んでくる。

 

 

——これはどうなっている!ここは何だ!!

 

 

—-風呂、とは、湯をかぶるものじゃないのか

 

 

—早く撮影しろ、麻中蓬

 

——この可能世界が存在する手助けをした者が、お前たちの中にいる

 

今までの記憶が蘇……いや 違う これは  俺の記憶(・・・・)であって俺の記憶ではない。

 

 

別人の見た何かが、ナイトの思考に浸透し、さらに未知なる景色を見せる。

 

 

 

 

写鏡の世界で黒髪が、揺れる。

 

 

—-いいじゃん、私がアカネで!本物のアカネはここにはいないんだからっ!!

 

 

ノイズ混じりの少女の声。

 

 

——-君の生きる目的を、無くしてあげる

 

響く雄叫び、激震、閃光。そして————-

 

 

—-ちゃんと見て。アンチ———

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

なんだ、この今まで体感したことがない感覚は—————

 

…いや、違う。俺はこの感覚を知っている。

 

いつだ…どこで、どの世界で————

 

記憶の湖の中から、二代目の声が再生される。

 

—新条アカネとアレクシス・ケリヴが、グリッドマンの中からダイナゼノンを実体化させたことにより、私たちも同化(・・・)したのでしょう—

 

「…同化…」

 

二代目があの時放った言葉を反芻する。

 

マッドオリジンとの戦闘の際の…別の何かが重なったような感覚———

 

「…どしたよ?」

 

様子のおかしいナイトに気づき、ボラーたちはいざ胡坐をやめ、駆け寄る。

 

「……」

 

パソコンの画面の中で、無表情を貫きながらナイトは口を開けた。

 

「…何も聞かずに答えろ。お前たちはこの世界に来てから"自分たちも知らない記憶"があると思ったことはないか?」

 

「「「……!」」」

 

その問いに、この場の全ての者が息を呑む。

 

ボラー、レックス、ヴィットまでもが、心当たりがあったからだ。

 

レックスが、キャリバー戦時に見せた『ダイナソルジャーダイバーコンバイン"バーストスマッシュモード"』もそうだ。

 

全員、言葉にはしなかったが、この世界に来てから記憶が"増えている"。それも、自身が体験したこともない記憶を。

 

「…ヴィット。どうやらお前の情報も、僅かなりだが無駄ではなかったようだな」

 

「…褒められてるのかディスってんのかわかんないなぁ…」

 

ナイトの言葉に、ヴィットは苦笑する。

 

「何か…わかったんだな」

 

レックスたちの声音が、強くなっていく。

 

「確証はない。だが、少なくとも『この世界』についておおよその憶測ができたまでだ」

 

点と点が繋がり、ようやく先が見えた。

 

魔王の影…ファージ…貴様の目的を。

 

「この世界の正体は————-」

 

そして何故、【コピー】という少女が必要なのかも。

 

 

「——全てのグリッドマンユニバースの融合体だ 

 

キヨシ台。この世界の真実が——





どうもお久しぶりです。
いやあの...エタろうとしてた訳じゃなくてですね...モチベが無かったというか(問題発言)
気が向いたら更新していくスタイルなので…そのご了承を。

終盤に出てきたナイトの回想?みたいなのは、ご存知の方なら「なんか見たことある(^人^)」的なやつなんでそんな気にしなくてもいいです。

ちゃんと映像作品のみ鑑賞の方への配慮も考えて、ちゃんと語るべきことは語りますのでご安心を。

次回…水着回やりたいような…やりたくないような(ストーリーの進みが悪くなりそうなので)…まぁその時の気分で。

それではadieu!
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