SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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第43回 兆・候

 

 

— ボラーとヴィットが異世界転生!?

 

—— 記憶を失い、見覚えのない世界で魔王になってしまったボラー

 

——— また別の世界でアイドルと同居することになったヴィット

 

────そして2つの世界の陰でうごめく巨大な悪意

 

— それぞれの世界で彼らは背中を預けられる友と出会いアシストする…そんな世界があった…

 

ユニバース♯Ⅳ【SSSS.GRIDMAN ANOTHER LOAD】

 


 

乾いた大地に巨大な足音が響く。

 

[───!!!!”””!!!;::!!!]

 

鋭い牙と岩のように硬質な装甲を持つゴウ・リアーゾルは、咆哮と共に重たい拳を叩きつけてくる。

 

『フン…ッ!』

 

グリッドナイトはその猛攻を自慢の素早さでかわし、跳び蹴りを喰らわす。

 

『たあッ…!』

 

体勢を崩したところに間髪入れずに、ダイナストライカーを車体ごと突っ込み、続け様にバンパーに装備されたバルカン砲を斉射する。

 

[……!!!───””]

 

二人の連携攻撃にゴウ・リアーゾルは吹き飛ばされ、後退を余儀なくされた。

 

〈この調子で一気に行こう!〉

 

『うん!』

 

だが、油断はできない。

 

今戦っているこの場所は、浜辺のすぐ近く──海の家の裏手。

 

あそこには、自分とナイトを繋ぐためのコンピュータがある。

 

もしも戦いが長引いて、怪獣の攻撃があそこに及べば──

 

たとえ一瞬でも、リンクが絶たれれば戦えなくなる。

 

〈できるだけ早く、決める……!〉

 

グリッドナイトは拳を強く握りしめ、吹き飛ばされた怪獣を臨む。

 

乾いた大地をえぐるようにして、ゴウ・リアーゾルの巨体がよろめく。

 

だが─────

 

[……!!!───””@@@@!!!]

 

突如として、脚部の地盤振動器のような部分に螺旋状のリングエフェクトが浮かび上がる。それはバネのように収縮し、次の瞬間───

 

〈───!?!〉

 

信じられない跳躍力でグリッドナイトの頭上へと飛び上がる。

 

『なッ──!?』

 

落下と同時に、地を砕くような拳が振り下ろされる。

 

グリッドナイトはそれに即座に反応しようとした────その数秒。

 

『………!?』

 

体が、ほんの一瞬だけ、思考に追いついていなかった。

 

いつものように受け流すタイミングが、わずかにズレた。

 

……なんだ今のこの感覚は────一瞬、樹とのアクセスフラッシュが解けたような感覚は───────

 

ゴウ・リアーゾルの拳は肩口をかすめて直撃こそ免れたが、その衝撃に体勢が崩れる。

 

〈ッ……ナイト!?〉

 

怪獣の攻撃によって生じた衝撃波により地面がめくれ上がり、バランスを崩す。

 

『イツキ!グリッドナイト!』

 

ライラの声が響いたのも束の間、ゴウ・リアーゾルはバランスを崩したグリッドナイトの身体を容赦なくその巨腕で掴み上げた。

 

次の瞬間、轟音と共に─────

グリッドナイトはそのまま砂浜へと叩きつけられる。

 

『──ッ!!』

 

凄まじい衝撃で砂が舞い、地面がめり込む。だがリアーゾルの動きは止まらない。

 

[……!!!───””]

 

咆哮と共に、なおもグリッドナイトの上に覆い被さるようにのしかかり、体重をかけて押さえ込もうとする。

 

さらに、追い討ちをかけるように、脚部から螺旋状の光を帯びたリングエフェクトのようなものが噴き出すように展開される。

 

それは、重力すら歪めるような渦の力が空気を震わせ、収束した瞬間、リング状の衝撃波がグリッドナイトを正面から撃ち抜いた。

 

『ぐッ──!?』

 

乾いた大地が大きく抉れ、砂煙が爆発のように舞い上がった。

 

岩のような装甲が軋みを上げ、グリッドナイトの身を地面ごと圧し潰そうとする。

 

『マズいね…これは…』

 

焦りと悔しさをにじませたライラの声が、コックピットの中で乾いたように響いた。

 

 

 

──同時刻、沖合。

 

『これだけ離れれば存分に戦えるな…!』

 

荒れる波間を切り裂き、機動する三体のマシンがあった。

 

ダイナソルジャー、ダイナウイング、ダイナダイバー───

 

それぞれのコックピットには、太陽、響子、レックスの姿。

 

彼らの眼前に立ち塞がるのは、もう一体の怪獣──────深海から現れた蒼き脅威、ゴウ・ソナーベルであった。

 

『怪獣の能力は未知数だ…!気をつけて戦うぞ太陽!響子は空から援護だ!』

 

『『はい!!』』

 

その掛け合いが終わるのが合図となったか、海上での戦闘が開始した。

 

[……!!!───””]

 

唸るような咆哮と同時に、怪獣の口元から発せられた蒼いリング状のエネルギー波が水面を奔る。瞬間、海面が一斉に隆起し、爆発するように三人の目前に波飛沫が吹き上がった。

 

『ッ、コイツ…動きが読めねぇ……!』

 

『レックスさん、正面から押さえます!』

 

既に太陽たちお得意のダイナソルジャー・ダイバーコンバイン バーストスマッシュモードに合体し、突進するように海中へと突入。

 

『上からまる見えだよッ!』

 

ダイナウイングが海上を飛行しながら旋回、高速で浮上したゴウ・ソナーベルに向けて機関砲を掃射する。

 

だが─────

 

怪獣はリング状のエネルギーを体表に展開、まるで防壁のように弾き返した。

 

『うわっ!?』

 

『太陽、まずいぞ…奴の外殻、弾いてきやがる……!こっちの攻撃、通りが悪い!』

 

一瞬の隙を突いて、ゴウ・ソナーベルが海中へ潜行。泡と水飛沫のカーテンの中、その巨体はあっという間に視界から消える。

 

『……っ、どこ行ったの!?』

 

空中からも、海中のレーダーも反応が曖昧。どこから現れるか、まったく読めない。

 

『くそっ……どっから来る?』

 

その問いが終わる前に─────

 

水面を割って尾が飛び出し、機体に打撃を与える。渦巻くエネルギーと共に叩きつけられ、機体は大きく水上を滑って吹き飛ぶ。

 

『オワァ…ア…ッ!』

 

『太陽ッ、持ちこたえろ!』

 

急浮上してきたゴウ・ソナーベルが、再び渦を巻く尾で襲いかかる。太陽が操縦桿を必死に握り直すも、機体はバランスを崩しかける。

 

『ペネトレーターガン…ッ!!』

 

そこへ、響子のダイナウイングが間に入り、空中からビームを浴びせ怪獣の意識を逸らす。

 

炸裂する閃光が、ゴウ・ソナーベルは巨体を仰け反らせる。

 

『今のうちに──』

 

直後、ソナーベルの尾ビレ部分から螺旋状のリングエフェクトが怪しく点灯する。

 

海面に渦を描くような力場が発生し、中心へと吸い込むように、海中の機体が強制的に引き寄せられていく。

 

『太陽、バランス取れ!引き込まれてる!』

 

『制御効かないっ……!レックスさん、反動で機体が──!』

 

刹那、海面が爆ぜた。

 

巨大な渦の中心から跳ね上がったゴウ・ソナーベルが、リングエネルギーを収束させると、それをスクリュー状の突貫波動として真正面から撃ち出してくる。

 

その一撃は水を切り裂き、青白い光を伴いながらダイナソルジャー・ダイバーコンバインへと直撃。

 

機体は吹き飛ばされ、海中深くへと沈んでいく─────

 

『うああっ!』

 

『太陽っ!!』

 

振動と衝撃がコクピットを揺らし、各部に警告ランプが点滅。制御系統も一時的に混乱をきたす。

 

ゴウ・ソナーベルは海面を泳ぐように滑空しながら、その身にまとったリングを波のようにゆらめかせ、再び深海に姿を消していく。

 

『っ、ふたりとも、大丈夫……!?』

 

海上に浮かぶダイナウイング内のモニターから必死に呼びかける。

 

返答のない数秒間が永遠にも思える。

 

やがて、モニターにちらつくノイズの中──二つの声がようやく返ってきた。

 

『…クソッ…さっきの、攻…撃で……聞こえるか!…狙い…は……ダイナウイング、だ……!』

 

『……委員長……逃げ!!──』

 

映像は乱れ、音声も途切れがちだ。それでも、響子には二人の警告の意味がはっきりと伝わった。

 

その瞬間、背筋に冷たいものが走る。

 

波間から、ゴウ・ソナーベルの蒼い巨体が浮上してくる。

 

尾ビレに巻きつくようにきらめく螺旋リングが、まるで獲物を定めた狙撃手のよう妖艶に輝く。

 

次の瞬間、まっすぐに、ダイナウイング──響子めがけて、ゴウ・ソナーベルが突進してくる。

 

『──っ!!』

 

 


 

「よ〜やく会えたな…この世界の黒幕さんたちよぉ…!」

 

ボラーの挑発的な声が、潮風に乗ってあたりに響く。

 

ヴィットの言葉通り、最近の小鳥遊望美とコピーは怪獣の出現する場所の近くに見学…出現するらしい…という情報はどうやら本当だったらしい。

 

「あらあら〜見つかっちゃいましたね♪アハッ★」

 

ボラーの登場に、望美は軽い調子で手を振り、紫の髪を風に揺らしながら、飄々と笑っている。

 

「よしッ!いいよいいよお〜♪ どんどんやっちゃって〜ゴウ・リアーゾル! ゴウ・ソナーベル!」

 

その隣、顔はよく見えないが、黒いフードにメガネをかけた少女──コピーはボラーの姿を一瞥するも、すぐに視線を戦場へと戻した。

 

コピーの瞳に映るのは眼前の怪獣のみ。まるで遊園地のアトラクションでも眺めているかのようなテンションだ。

 

…ヴィットの話が正しければ…この少女たちが黒幕…

 

どうしてこうも毎回、少年少女たちが実は────的な展開が多いのだろうと、ボラーは心の中で愚痴る。

 

なんとも言えない、沈黙の後、ボラーは意を決し口を開いた。

 

「…紫色の髪ってことは…お前が小鳥遊望美……そっちのメガネフードがコピー…であってるんだよな」

 

ボラーの問いかけに、望美は片目をつぶってピースを作る。

 

「おお〜♪よくご存知ですね〜♪…その情報をいったいどこで?」

 

クルクルとその場を回りながら、無邪気に問い返す望美。

 

その調子に、ボラーはフンと鼻を鳴らして答えた。

 

「……んなこと教えるわけねーだろ、企業秘密ってやつだ…。ヒーローってのは秘密主義なんでね」

 

言葉は飄々としていても、その目はじっと相手を見据えている。

 

こいつらは──ただの女子高生なんかじゃあない。

 

どこか“おかしい”。言葉や行動の端々に滲む、説明のつかない違和感。

皮膚の裏を這うような、不気味さだけが静かに積もっていく。

 

そんな空気の中、怪獣の咆哮をよそに、フードの少女──コピーが、怪獣から視線を外さぬまま、ぼそりと口を開いた。

 

「……行かなくていいの? “仲間”がやられてるよ」

 

まるでテレビでも眺めているような、無感情な声。

 

その問いに、ボラーは肩をすくめて笑う。

 

「お前ら……グリッドナイトたちを舐めすぎだぜ」

 

…気に入らねぇが…連敗キッズ─グリッドナイトの実力は本物だ。それにまだ万全…とはいかなくともレックスも力を取り戻してる。

 

…それに、この世界で出会った樹、太陽、響子、ライラ。

 

…アイツらもまだ未熟だが…裕太たちグリッドマン同盟や、レックスと共に戦ったっていうガウマ隊の面々に似たものを感じる。

 

…だから───────

 

「俺がいなくたって、アイツらはお前らに負けねぇよ」

 

そう呟く口元には、ヒーローたちを信じる者の誇りが、確かに浮かんでいた。

 

…俺は俺のできることをやるだけだ。

 

「さぁって……それじゃあ、答えてもらおうか」

 

片手でくるりとスクラップメーカーダガーを回転させ、構え直す。

 

「お前らの目的を…!!!」

 


 

 

薄暗く湿った空気が漂い、幾つもの巨大なカプセルが立ち並ぶ。

 

どれも培養液に満たされ、中では異形となった何かが胎児のように浮かび、無音のまま鼓動だけを刻んでいた。

 

管と装置に繋がれ、生命のようなものを無理やり育てられているそれは、もはや自然の理から外れた存在

 

その実験室の中央に、ひとりの男が立っている。

 

漆黒の衣をまとい、冷たく光る瞳を持つ男──ファージ。

 

無表情のまま、静かにひとつのカプセルを見つめていた彼は、ふと口を開いた。

 

「……この世界における“正義”とは、何だと思う?」

 

問いかけというより、独白に近い低い声だった。

 

だがその一言は、重く沈み込むように空気を支配し、室内の温度をわずかに下げる。

 

「勝者が支配し、敗者は忘れられる。力なき正義は虚構に過ぎない。

 ならば──偽りに満ちたこの世界に“秩序”を与えるのは……誰だ?」

 

ファージの言葉に、部屋の奥、出入口付近に控えていたキャリバーとマックスは言葉を返さない。

 

彼らはファージの“側近”としてこの場所にいる。だが今は、まるで観察者のように、静かにその言葉を聞いていた。

 

「グリッドマンたちが守ろうとしている秩序──それは“選ばれた者”だけの世界だ。

 彼らが信じる正義は、選ばれた者によって選ばれた枠組みの中でしか成立していない」

 

ファージは歩きながら、ゆっくりとカプセル群のあいだを進む。

 

「……だが、選ばれなかった者たちはどうだ?

 彼らにとってはそれは正しさではなく、“拒絶”そのものだ」

 

その言葉に、マックスの眉がかすかに動く。

だが彼は顔色ひとつ変えず、低く問い返す。

 

「……君の言う“選ばれなかった者”とは、誰のことだ?」

 

ファージは立ち止まり、片手をカプセルに当てた。

 

その中では、まだ形を持たない“何か”が、静かに揺れている。

 

「この世界…コンピュータワールドに生まれながら、記録にも残されず、誰の記憶にも存在しない者たち。

 怪獣によって消され、二度と戻ることなく、ただ欠落として処理される者たち……」

 

ファージの目が、冷たい光を宿す。

 

その視線はカプセルの奥ではなく、もっと先、遥か遠くを見つめていた。

 

「──だから俺たちが、“新しいルール”を作る。

セラヴィービーム ──再構築の力によって、“存在しなかった者”を、この世界に刻み直す」

 

ファージはふと笑う。

 

それは人間の感情のどこにも属さない、静かで不気味な笑みだった。

 

「世界とは、もともと不完全な構造だ。

 誰もが自らの理想を正義と信じ、互いに食い違い、歪みを増す。

 ならば俺は、ただそれを……真に“美しい形”へと整えるだけのこと」

 

その声には激情も悲壮感もない。

 

ただ、純粋な目的と確信だけがあった。

 

キャリバーとマックスは、言葉を発しない。

 

視線を交わすことすらせず、ただ沈黙のまま、その背中を見つめている。

 

…ファージ…お前の目的の行き着く先とはまさか──────

 

そして、ファージは静かに目を細めた。

 

瞼の裏に映るのは、理想の世界。正義の世界。完全なる支配。

 

「……俺は望む。いや…望まなければならない…コンピュータワールド(この世界)の──リセットを」




あとがき

お疲れ様です。僕です。
ということで今回の最後の方に出てきた『セラヴィービーム』についておさらいを…

セラヴィービーム…グリッドナイトたちが怪獣との戦闘後に照射されている、グリッドマンのフィクサービームと非常に酷似した光線ですね。

第38回 初・夏のナイトたちの会議シーンで言及されていた別名『再構築の光』です。

怪獣によって破壊された街や死んでしまった人間を再構築する光…

グリッドマンのフィクサービームは死んでしまった人間は修正出来ないのに対し、セラヴィービームは再構築してしまう。

響子の家族もそうでしたよね(第18回 同・盟を参照)

再構築された人間は世界にとっての最適化を施され、元の人格とは違う人格となる…それがセラヴィービームなのです

この光が何を示すのか…長文失礼しました〜
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