SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
—とある日、六花が目覚めると、JUNK SHOP絢が執事カフェになっていた!?
—— そこで執事として働いているのはなんと新世紀中学生の4人で…!?
——— 執事となった新世紀中学生4人が賑やかにアシストする日常コメディ、開店!
—怪獣の力でアプリゲームに取り込まれた六花が、四人の執事たちと過ごす世界があったー
【SSSS.GRIDMAN 新世紀中学生の執事カフェ】
怪獣出現から、しばらくの時が経った。
クラス全員で来ていたはずの海水浴は、ほんの数十分で悪夢へと姿を変えていた。
避難先となった近くの大型ホテル。
ロビーの床には、水着のまま逃げ込んできた人々の濡れた足跡が残り、ところどころに海水が滴っている。
肩にタオルを掛けた子どもたち、足を引きずる老人、何もできずに立ち尽くす大人たち。
観光客と生徒たちが入り混じり、非常灯が照らす赤い光の中で、人々の声と体温が交錯していた。
「やば……さっきの、絶対怪獣だよな……!」
「てか今も外で戦ってるって……あれ、なんなんだよ、あんなのテレビでしか見たことないって……!」
「動画撮った! 後で上げよーぜ、バズるかも!」
浮き足立つ声がある一方で、ロビーのあちこちでは小さな不安が静かに広がり始めていた。
「……ちょ、風間! キョッピーは? あの子、さっきから全然見てないんだけど……」
「え?いや……わたし、てっきり戻ってると思ってたけど……」
その近くでは、別グループにいた西野がそわそわと辺りを見渡している。
「なぁ……太陽、どこ行った……?」
「そーいえば新条くんも……見てなくない?」
「えっ…、ほんとだ……さっき海辺の方で一緒にいた気がしたけど……」
クラスメイトの何人かの姿もなく、焦りと不安が、少しずつ口々に漏れ出す。
「まさか……まだ海の方に残ってるとか……」
「やめろよ、そういうの……!」
「……で、でも何人かは高台に逃げたって聞いたし、そっちに行ったんじゃ……?」
「……とにかく、電話しよ……」
だが、スマートフォンを取り出した生徒の顔が曇る。
「……だめだ。電波、死んでる……圏外って……」
「……無事だといいんだけど……」
そのとき──館内の照明がふっと落ちる。
数秒の沈黙の後、カツン、と音を立てて非常電源が点灯し、ぼんやりとした赤い光が空間を包む。
「……え? 今のって……」
「電気……止まった……?」
「やばくない? これ……」
かすかな震動と、どこかで聞こえる重低音。
──非日常が、現実味を帯びて忍び寄る。
ロビーに満ちていたざわめきが徐々に引いていき、空気がじわりと冷たくなっていく。
「皆様落ち着いて…!直ぐに予備電源に切り替わります…!」
誰もが言葉を呑み、どこか遠くで蠢いている“何か”の気配に、耳を澄ませるようにして。
日常という皮が、音もなく剥がれ落ちていく感覚──そんな、説明できない寒気があった。
「おそらく……奴らの狙いは、ボラーだ」
──空が、裂ける。
轟音と共に現れたのは、異様な存在だった。
先ほどまで戦っていたゴウ・リアーゾル、ゴウ・ソナーベル、スカイヴィッター──三体の怪獣が、融合するようにして生まれた新たな怪獣。
その名も《妖穹合体怪獣 ゴウ・スカイラヴィーゼル》。
陸の剛力、海の柔構、空の機動。
それらを一つに凝縮したかのような巨大な存在は、鋭い咆哮と共に、遂に戦場へと降り立った。
[——!—;::/-:;!!!!!!]
三種の声が絡み合い、異様な咆哮が天から轟き渡る。
その音はただの叫びではない。
まるで何かの数多もの意志が、怒りも、狂気も、すべて混じったまま押しつけてくるようだ。
『ぐっ……!』
グリッドナイトが、ゴウ・スカイラヴィーゼルの幾重にも連なる追尾ミサイルを受け、地面を抉りながら吹き飛ぶ。
それを見て、空中を飛ぶダイナウイングを操縦する響子が声を上げる。
『新条くん、ナイトさん…!?』
しかし響子が援護に入る暇もなく、上空に放たれたビームに反応し、急旋回。
先程まで得ていたダイナウイングの、空の優位性はすでに奪われていた。
その下では、ダイナソルジャーが滑空する怪獣の真下へと接近、ライラと合体してストライカーコンバインとなり、ストライカーストームを喰らわす。
それに続き、レックスのダイナダイバーも、バーストミサイルを放つ。
攻撃と攻撃の合間を縫うように攻撃するが、ゴウ・スカイラヴィーゼルはそれをものともせず、隙あらばレーザーの雨を浴びせてくる。
『ッウ…!畜生……効いてるのか、これ!?』
『…火力が……足りねぇっ……!』
グリッドナイトは再び体勢を立て直しながら、敵の懐へと踏み込もうとする。
『ッ……やってくれる…』
だが、その直前──
〈……ねぇ、ナイト……〉
その樹の声に、グリッドナイトの動きが一瞬だけ鈍る。
〈…さっきの、ボラーさんが狙われてるって……どういうことなの?〉
言葉と共に、踏み込もうとしていた足がわずかに止まった。
[——!—;::/-:;!!!!!!]
その隙を逃さず、ゴウ・スカイラヴィーゼルの背部から、螺旋状の光輪が三重に展開されていく。
ゴウ・リアーゾルが用いた衝撃波のリング、ゴウ・ソナーベルが纏っていた水圧のベール──
それらが幾重にも複雑に混じり合い、高速で収束・拡散を繰り返しながら空間を削るように放たれる。
『……ッ!? 回避が間に合わない!』
空間がねじれたように、三重の光輪が螺旋を描いて突き抜けた。
轟音と閃光。
ゴウ・スカイラヴィーゼルの放つリング状のビームが、戦場を駆け巡る。
『ッ…!?』
回避行動を取る暇すら与えず、それぞれの機体に正確に突き刺さっていく。
『ぐあっ……!!』
爆発的な衝撃が戦場を襲う。
太陽のダイナソルジャーが直撃を受け、巨体ごと砂浜を転がり、激しく岩場に叩きつけられる。
『ッゥ……!』
空中では、響子のダイナウイングが旋回中にバランスを崩し、螺旋を描いて急降下。
翼を折りながら浜辺へ墜落し、砂煙を巻き上げる。
『避け…きれなイッ……!』
浜辺の地上では、ダイナストライカーが回避動作に入るも遅く、強烈なリング状の光を食らって機体ごと後方へ吹き飛ばされる。
地面に何度も跳ね返りながら、鋼の外装が砂利を巻き込んでえぐれた。
さらに海中のダイナダイバーにも波打ち際から追撃が浴びせられ、爆風に巻かれながら機体は水面ごと押し流され、砂浜へと打ち上げられる。
『……クソッ!』
砂の地表は戦車の砲撃を受けたかのように抉れ、黒煙が立ち上る。
…このままではジリ貧だ…どうにかして奴を食い止めねば…その想いで必死に身体を持ち上がらせ、再び構える。
そこで再び、樹が小さく問いかけてくる。
〈ねぇナイト………今日、ここに来たのも、偶然じゃないんだよね?〉
先程の問いの続きを、樹はする。
〈…さっきは「バイトだ」なんて言ってはぐらかされたけど、今日ここに来たのも……何か別の理由があるからなんでしょ?〉
『……』
〈…俺…前々から薄々感じてたけど…ナイト…俺たちに何か隠してるよね〉
そう言った自分の声が、ほんの少し震えていることに、樹自身も気づいていた。
けれど、それでも止まらなかった。
〈…俺も…ナイトに言えてないこととかいっぱいあるし…ナイトの全部を教えてくれって意味じゃない…ケド…!〉
拳を握る。胸の奥にあるざらついた違和感を、言葉で押し出すように。
〈今、ここにボラーさんがいないことについては別!〉
この状況で、その理由だけは知る権利がある。──そう思った。
〈……そういうのはちゃんと教えてよ。ナイト……ナイトってば!!〉
声を張り上げる。
樹はナイトを頼りにしている。
戦う力も、判断力も、どこか達観したような冷静さも。
幾つもの世界を怪獣から救ってきたという彼に──自身のヒーロー像を重ねて憧れさえあった。
たまにいけすかない態度を取られても、少しズルいくらいに、彼は圧倒的に“頼れる存在”だった。
だが──そのナイトと共に戦っている自分は、果たして彼にとって"頼れる存在”なのだろうか?
ずっと隠されたままの事実。
後回しにされる言葉。
どこまで踏み込んでいいのか、わからない関係。
所詮自分は、この世界でナイトが怪獣と戦うための手段でしかないのでは────
〈ナイト!!〉
叫ぶ声には、ただの怒りではなく、そんな不安すら滲んでいた。
『……樹。』
その呼びかけに、ナイトがようやく口を開く。
『……その話は後だ。今は戦闘に集中しろ』
ナイトの一言が、何よりも無機質に、冷たく響いた。
その返答は、あまりにも予想通りすぎて、逆に腹が立った。
〈──また、それかよ……〉
静かに、けれど確かに声のトーンが苛立ちに染まっていく。
〈後で後でって……ナイトはいつもそうだ!
何か聞こうとしても、何か隠してるみたいに……ちゃんと話してくれたことなんて、ほとんどない……!〉
そう吐き出すように言うと、樹は唇を噛み、ほんの一拍だけ躊躇った。
だが、そこに浮かんだ記憶が背中を押す。
〈ナイト、前に言ってくれたじゃんか……“お前に足りなかったのは勇気だ”って──〉
『……』
〈……俺、最近変わろうって思って…頑張ってる…今だって…結構……勇気出して話してるんだよ?〉
前の樹なら、こんなことも言わなかったかもしれない。
『グッ……』
グリッドナイトの脚が、一歩地を蹴る。だが重心が安定しない。
言葉と動きのズレが、今のふたりの関係そのもののようだった。
〈なのに……なんで、それでも教えてくれないんだよ……!〉
その叫びは、怒りよりも悲しみに近かった。
声を張るほどに、自分がどれだけナイトに頼りたがっていたのかが、逆にはっきりしてしまう。
距離を縮めたくて、信じたくて、それでも遮られるたびに少しずつ削られていく心。
吹き抜ける潮風の中、その声は戦場の喧騒すら一瞬かき消すような静けさをもたらした。
ナイトの視線がわずかに揺れる。
普段なら絶対に乱れないはずの意識が、一瞬、確かに軋んだ。
それでもすぐには言葉を返さないまま、彼はひとつ、深く息を吐く。
そしてようやく、ナイトはひと呼吸の間を置いて一言、言い放った。
『……俺がしているのは、所詮……責任の“押しつけ”にすぎん……だからこそ──』
ナイトは、言葉の続きを紡ごうとし──しかし、それを飲み込むように口を閉ざした。
『ッ……はぁあっ…!!』
グリッドナイトは感情を振り払うように、俊敏な動きで敵の攻撃をいなし、地を蹴る。
〈…ナイト………!〉
樹は思わず名前を呼ぶことしかできなかった。
その声が届いているのかすらわからず、ただ胸の奥に、もどかしさだけが残る。
グリッドナイトは、すかさず重力を振り切るように跳躍し、紫光の軌跡を描きながら爆撃の中を突き抜ける。
『ナイト爆裂光破────』
一瞬の間を縫うような高機動、胸部の前に巨大なエネルギー弾を溜め、放たれる─────その筈だった。
『………!?』
グリッドナイトの動きが、周りよりも数コンマ遅れる───
…これは…また…あの時の…!
ゴウ・リアーゾル戦の際にも起こった、樹とのリンクが途切れるような奇妙な感覚がまたもナイトを襲う──────
『ッ──────────!!』
数秒という短い時間のズレ────それを感じた時にはもう遅かった。
追いすがるように軌道を変えていた螺旋ビームが、無防備な状態のグリッドナイトに迫る。
『…ックハァ…!!』
炸裂。
避けきれずに掠めた閃光がナイトの身体を穿ち、爆発が直撃。
装甲が弾け、地面へと叩きつけられるように墜落した。
火花と砂煙が巻き上がる中、体勢を立て直す暇もなく───
[——!—;::/-:;!!!!!!]
それを見逃さないとゴウ・スカイラヴィーゼルが勢いよく突進。
脚部の変形した翼が刃のように展開され、鋭利な一閃が地上のグリッドナイトたちを襲う。
『『『『ッ…グッ…ワアァッ!!!!』』』
グリッドナイトは咄嗟に腕を交差させて受け止めるも、凄まじい衝撃が装甲を砕き、地面へと打ち据える。
『…カハッ…!』
深く抉れた砂の中、グリッドナイトの身体が沈む。
『ッ……このままじゃ、埒があかねぇ……!』
ダイナダイバーを操るレックスが、息を切らしながら叫ぶ。
『…ダイナゼノンで一気にいくぞ!』
だが、追い打ちのように空から降り注ぐ追尾ビームが地を焼く。
ユニット同士の距離を断ち、合体のタイミングすら奪っていく。
『コイツ…合体させないつもりか…ッ!』
太陽の声にも焦りが滲む。
ダイナウイングは旋回しながらも追撃に晒され、呼吸すらままならない。
「あの動き……今までの怪獣と違う……!」
火花が弾ける。
再び放たれたゴウ・スカイラヴィーゼルの強烈な螺旋ビームが、四方へ散開する4機を狙って放たれる。
『…下がれ!』
そこへグリッドナイトが、咄嗟にその前へと飛び出す。
サーキュラーを盾にして攻撃を防ぎながら、4機の間に割って入るようにその身を滑り込ませた。
その身に、無数のビームが炸裂、装甲が火を噴き、空間に爆風が散る。
『……俺が時間を稼ぐ。今のうちに、合体しろ…!』
『で、でも流石にナイトさんだけじゃ……』
『長くは持たない……が、やれる事はやる…それまでだ…ッ!』
そして彼は、空へ跳躍する。
たった一人、圧倒的な巨獣に向かって。
『グリッドナイト…乱れサーキュ────』
光が唸りを上げ、両掌から輝きが放ち始めた───
しかし突如異変が起こる。
──空間が、歪む
『 ─── ─── ───── ────』
グリッドナイトの動きが、唐突に静止した。
それはまるで、映像が一時停止されたかのように。
跳躍の勢いも、身構えた腕も、何もかもが凍りついたように動かない。
そして次の瞬間、彼の身体が、ノイズのように揺れ始める。
『……っ!?』
誰かが声を上げる暇もなく──グリッドナイトの輪郭が、崩れる。
まるで無数の粒子、いやピクセルのように剥がれ落ちていく。
〈ッ…ナイトどうなって────〉
淡い光の破片となって、彼の姿は空へと散った。
そして──完全に、消えた。
『………え?』
呟きのような、かすれた声がコクピット内に漏れる。
誰ともつかぬその声には、驚きや焦燥よりも、理解が追いつかないという色が濃く滲んでいた。
視界に映っていたはずの騎士の姿は──どこにもなかった。
仲間たちの視線が、揃って空へ向けられる。
誰もが、ただ呆然と、言葉を失っていた。
砂浜に残されたのは、彼の跳躍で抉られた足跡と、なお響く怪獣の咆哮だけ。
『うそ……新条くんと…ナイトさんが…消えた……?』
響子の声が、風にかき消されるように震えた。
爆風の余韻がまだ砂浜に残るなか──
喧騒から少し距離を置いた、潮騒がかすかに戻り始めた浜辺の一角。
砕けた貝殻が混じる白い砂の上で、コピーは足を抱えて座り込んでいた。
まるで花火でも見物していたかのように、頬杖をつきながら空を見上げる。
「えー……グリッドナイト消えちゃったんですけどぉー……」
戦場の緊迫感とはまるで無縁の、緩やかすぎる声。
「…このままじゃ勝ち逃げされたみたいで……ズルいじゃん……!」
その瞬間、ふてくされたように砂を掴み──近くに転がっていた貝殻ごと、勢いよく海へと放り投げた。
小さく水柱が跳ね、波間に白い破片が散る。
「あらら〜…これは想定外★…って感じですね、ファージさん♪」
場違いな飄々とした口調で、呑気にかき氷を食べる望美。
戦闘…いや実験中だというのに緊張感のない2人を、ファージは気にせず、黙ったまま戦場の奥を見据える。
「……っぐ……てめぇ……グリッドナイトに何を……した…!」
足元でファージに踏みつけられていたボラーが、苦悶の中、唸り声を絞り出す。
「…何もしていないさ……こちらとしてもせっかくの実験中に居なくなられて迷惑被っているところだ」
「なに…?」
ボラーの目がわずかに見開かれる。
てっきりまたファージの策略かと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
「それで〜どうします〜?一回撤収…してもありっちゃあり…ですけど★」
そんな中、海風に髪を揺らしながら、望美が気だるげに口を開いた。
「なんで消えちゃうかなぁ…せっかくいいところだったのにぃ…」
その横では、コピーが砂を蹴りながら不機嫌そうに剥れている。
ファージは一つため息を吐いた後、踏みつけた足をやや緩め、視線を遠くの砂浜へと向ける。
「……そうだな…」
視線の先──崩れた砂浜の中心には、ダイナゼノンを構築する4つの機体たちが倒れ伏していた。
「……確かに……この展開は想定外……だが──寧ろ好都合とも言える…」
無表情で、淡々とただ言葉を並べる。
けれども、呟きには、静かに獲物を仕留める者の確信があった。
「この場で、──ダイナゼノンを潰せる…絶好のな」
あとがき
エンバートイズから出たアンチ(怪獣態)のソフビ…めっちゃクオリティ高くて好き…欲しい…
…値段は…まぁ…うん、可愛くないけど…(失笑
…みんなも買おうね!!!!