SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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第48回 接・心

 

—巨大化して怪獣と戦う六花?!

 

——いつもと様子が違う裕太たち!?

 

——— グリッドマン同盟のメンバーたちによるコメディから大迫力のバトルまで

 

—— バラエティ豊かな物語を君のもとへアクセス・フラッシュ!! ———

 

ユニバース♯Ⅸ【SSSS.GRIDMAN ANTHOLOGY】

 


 

 

 

 

──空には黒い雲が垂れ込め、吹きつける潮風すら生ぬるい。

 

「ッ…はぁ…はぁ…」

 

潮の香りが混ざった重たい空気の中、樹はひとり、パソコンを乗せた台車を押していた。

 

カラリ……カラリ……

 

砂が混じる舗装道路を、頼りない車輪が鳴る。

 

台車の上には、まだ電源の入らないパソコンと、接続ケーブルの束。少しでも早く、電気のあるコンピュータを復旧できる場所を見つけなければならない。

 

背中にじっとりと汗が滲む。

 

水着姿でここら一帯を徘徊しているという羞恥心も、消え失せ、足を動かす。

 

「……あっちの避難所はもうダメだったし……」

 

地元の公民館も、怪獣の影響で電気が止まっていた。

 

行く当てもなく、それでも足を止めるわけにはいかない。

 

「……重っ……!」

 

傾いた道の斜面に足を取られ、台車がぐらりと揺れた。

 

必死に体を支えながら、顔をしかめてもう一度押し出す。

 

「…ッはぁ…ヒィ…オタクには…重労働すぎるぞ…これ…ったく……なんでこんな時に……」

 

 

「…ナイト」

 

思わず漏らした声には、怒りというより、焦りと心細さがにじんでいた。

 

──ナイトを、もう一度呼び戻す。

 

そのために、何がなんでも、このパソコンを動かす。

 

……頼む、もう少しだけ耐えてくれよ…

 

そう心の中で念じながら、樹は前を向く。

 

 

 

灼けたアスファルト。

傾いた電柱。

看板はぐにゃりと曲がり、道路脇の自販機はへし折れて、土台ごと斜めに沈んでいた。

 

…海辺の景色が……こんな悲惨な風景に……

 

怪獣の被害はニュースや映像では何度も見ていた。

 

でも、こうして“目の前”に広がっているのを見たのは、これが初めてだった。

 

グリッドナイトとして空から町を見下ろしていたときには、正直、気づかなかった。

 

いや、見ていたはずなのに――ちゃんとは“感じて”いなかったのかもしれない。

 

言葉にならない現実の光景に、息が詰まりそうになる。

 

これが今起きている現実なんだ。

 

フィクションなんかじゃない、かけがえのない現実。

 

それを守らなくちゃいけない。

 

「…ッ」

 

歯を食いしばり、台車の取っ手を握り直す。

 

 

 

──そのとき。

 

少し先、橋の手前に2台の自動車と二つの人影が見えた。

 

崩れかけた橋の前で、立ち尽くしているのは、二人の男性。

 

ひとりは、小太りで顔に汗をにじませた外国人。

Tシャツとショーツ姿で、焦ったように身振り手振りで橋の向こうを指していた。

 

…どこかで見覚えがある…確か太陽が助けていた、外国人だ。

 

そして…もう一人は、黒髪を短く整え、眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の青年。

 

姿勢は端正で、口数は少なそうだが、視線は静かに状況を見極めようとしているようだった。

 

ふたりとも、進めず、戻れず──橋の前で足止めされているようだ。

 

ここは通れそうもなさそうだ。どこか別のルートで─────

 

台車の方向を変えようと力を入れたところで、二人のうち小太りの外国人が、いち早く樹に気づいた。

 

「オー! イツキ・シンジョウ!」

 

手をブンブン振りながら、カタコト混じりの日本語で叫ぶ。

 

「ユー、タイヨウさんの…フレンド! アイ、ソー・ピクチャー!」

 

「ヘ…?」

 

樹が目を瞬かせると、外国人は得意げにスマホを取り出して見せてくる。

 

画面には、太陽と肩を並べてピースする自分の姿──ってか、いつ撮ったんだよコレ。

 

…撮った…というか勝手に撮られたような写真…なんでこの人持ってるの?

 

と、注意深くスマホを見ると左上に見覚えのある太陽のアカウントのアイコンがあり、察する。

 

…アイツなんで今日会ったばっかりの外国人とL◯NE交換してんの!?

 

…これだからナチュラルお節介コミュ強陽キャは……プライバシーもクソもない。

 

 

内心で太陽にジト目を向けながらも、樹は思わず小さくため息をつく。

 

「タイヨウさん、セイ…“ディス・イズ・マイ・ベストフレンド!”って! ハハ! ナイスガイ!」

 

「……はいはい、どうも……」

 

…なんだか水着で台車引いて歩いているよりも恥ずかしい気分だ。

 

なんとも言えない空気に包まれつつも、もう一人の眼鏡の青年が静かに会釈してくる。

 

無駄な動きはせずに、眼鏡の奥の目で、じっとこちらを見つめていた。

 

「君も……避難中?」

 

穏やかで、どこか落ち着いた声。

 

樹は一瞬きょとんとしてから、すぐに首を横に振った。

 

「……えっと…少々事情があって……」

 

「ふむ。じゃあ、そのコンピュータはその“事情”ってやつに関係ある?」

 

彼はちらりと、樹が引いている台車を見やる。

 

その視線が、台車の上に積まれたパソコンで留める。

 

「……ちょっと見せてもらってもいい?」

 

そう言って、軽く手を差し出す。樹は一瞬迷ったものの、頷いて台車を止める。

 

慎重にパソコンを持ち上げると、自身の車の後部へと向かった。

 

「なるほど、見覚えある機種だ。新しくもないけど、まだ現役……でもこれって学校の備品に見えるけど…」

 

「……えぇっと…あの…ハイ…話せば長くなるので…」

 

ぽつりと、樹が気まずそうに言うと──

 

「……うん、そんな気はした」

 

それ以上詮索する様子もなく、彼は微笑むと、車の後部ハッチを開ける。

 

中には工具箱にケーブル類、簡易電源装置などがぎっしり詰め込まれている。

 

「仕事柄、こういうの積んでおくクセがあってね。ちょっと診てみよう」

 

「……それって治せますか?」

 

「通電できれば、ね。ハードの破損がなければ立ち上がるかも。見たところ目立った外傷はないし着くとは思う……運がよければ、だけど」

 

彼は手際よくケーブルを繋ぎ、バッテリーからパソコンへ電源を供給し始めた。

 

車内は空調がよく効いており、思ったよりも居心地が良さそうだ。

 

「………」「………」

 

電源が付くまでのあいだ、互いのあいだに沈黙が落ちる。

 

遠くで聞こえる爆音と振動──怪獣との戦いは、今も続いているのだろう。

 

けれどこの場所だけ、ひととき戦火から切り離されたような静けさがあった。

 

…古澤さんは今頃みんなと合流して戦ってくれているだろう…俺も早く、ナイトと話して加勢せねば……

 

と、そこへ、外人の男性がニコニコと割り込んでくるように口を開いた。

 

「カレ、シゴト、ハヤイデショ? マイ・カーのエンジンも、なおしてくれました!テンサイ!ジーニアス!」

 

自分の車を指さして、誇らしげに笑う。

 

「…いやいや"天才"…だなんて、僕はただのコンピュータオタクですよ。

それの応用で、機械弄りをやってるだけなんで」

 

「ハハ!japaneseはジブンをケンソンシスギネ!ネンショー?とかゆーの? それも、バッチリです。まるでニュウカー!ハハッ!」

 

あいかわらずのカタコトだが、言いたいことは伝わる。

 

小太りの外国人が笑いながら親指を立てる。

 

あいかわらずのカタコトだが、彼の感謝の気持ちは素直に伝わってきた。

 

……それはそれとしてちょっと鬱陶しくなってきた…

…いつまで俺と太陽のツーショット見せてくんの!?もうええて……(涙目)

 

若干、空気が和んだところで、眼鏡の青年がぽつりと口を開く。

 

「実は……首都圏の方の…キヨシ台ってところの片隅でジャンクショップを営んでいてね。

人が要らなくなったものを集めて、直して、また誰かのもとへ…ってね。

──気になったら、来てみてよ」

 

肩をすくめながら微笑むその表情には、どこか安心感がある。

 

そして、彼もキヨシ台から来ていたようだ。なんたる偶然。

 

不思議と、懐かしさすら感じるような──そんな穏やかさを彼からは感じた。

 

 

「……そこって、玩具とかも……取り扱ってます?」

 

思わず口をついて出た質問に、男性は眼鏡越しに眼を丸くし────

 

 

「…もちろん」

 

一瞬の間の後、男性は小さく得意げに頷いた。

 

 

 


 

海上──合体怪獣・スカイラヴィーゼルが吠える。

 

空を裂くその咆哮に応じるように、鋼の咆哮がぶつかる。

 

『ダイナゼノン…バトル…!』

 

レックスの叫びがコックピットに響く。

 

『『『『ゴオォォォォッッッッ…!!!!』』』』

 

響子が加わり、太陽、ライラ、そしてレックス。

 

全員の気迫がひとつに重なり、合体竜人ダイナゼノンが眼前の怪獣に突進する!

 

スカイラヴィーゼルの両腕に備わった長大な鉤爪が、鋭く振り下ろされる。

 

『…ダイナセイバーッ!』

 

両手に展開された翡翠色の光剣が交差し、その一撃を寸前で受け止める。

 

『ぬるいなぁオイ!! そっちが3体合体でも…こっちは4体合体だぞ!』

 

レックスの叫びとともに、ダイナゼノンが左腕をひねり、怪獣の体勢を崩す。

 

『ペネトレーターガン──っ!』

 

響子の声と共に、ダイナゼノンの背部から砲身が伸び、続けざまに浴びせる。

 

『さぁらにィ…!バーストミサイル…キィーック!!』

 

崩した怪獣目掛け跳び蹴りを喰らわせる。

 

[——!—;::/-:;!!!!!!]

 

次の瞬間には、スカイラヴィーゼルの脇腹を中心に、小さな爆炎が連続して弾ける。

 

『連続攻撃成功! でも……まだまだ来るよ!』

 

ライラの警告と同時に、怪獣の脚部のスラスター部から浮遊する光のリングが回転を始める。

 

光輪から放たれる紫色のレーザーが、うねるように海面を焼いて迫る。

 

『あぶなっ──!』

 

太陽が即座に回避操舵を行い、ダイナゼノンは海面を滑るように退避。

 

爆風と水柱を背に、鋼の巨体が旋回して態勢を立て直す。

 

『そう簡単にやられるかっての……!』

 

『新条くんが…ナイトさんと一緒に…戻ってくるまで……』

 

『絶対、負けられないッ!!』

 

それぞれの想いがシンクロし、ダイナゼノンが再び大海を踏み砕いて跳ぶ──

 

 

 


 

 

パソコンの画面に、ふっと明かりが灯る。

 

「……ついた」

 

樹が思わずつぶやく。

 

「よし…どうやら、熱がコンピュータの中に籠って熱暴走しただけっぽいね。良かった、よかった。深刻な故障じゃなくて」

 

落ち着いた声でそう言いながら、彼は軽くメガネを押し上げる。

 

「……よし、起動は問題なさそうだ。……それじゃあ、ここから先は…"君が"、やるべきことだ」

 

優しくも、少しだけ背中を押すような言葉。

 

樹が顔を上げたそのとき、男性は既に立ち上がりかけて、ふと思い出したように言葉を続けた。

 

「あー………そうそう…外も暑いし、橋もまだ渡れそうにないだろ? しばらく、僕の車の中で涼んでいくといい。エアコンも効いてるし、電源も安定しているから…ね」

 

思いがけないその“配慮”に、樹は一瞬言葉を失い──

 

「……ありがとう…ございます」

 

かすかに頭を下げる。

 

…なんか…聖人すぎて裏があるんじゃないかと心配になってくるな…

 

…あとになって…デッカい大きな壺買えって言われたらどうしよ……

 

……俺、大宇宙根源調和呼吸法とか絶対信じないからね?

 

 

「じゃ、僕は……アレックスさんの車の点検に戻るよ。まだ見ておかないといけない場所がいくつかあってね。

…"当分"ここには戻れそうもないから、ゆっくりくつろぐといいよ」

 

何故か再度休んでいくといいアピールを受け、若干怪しむ樹だが…まぁ…今からまた外へ出る気もさらさら無いので好意を存分に受けることにした。

 

「グッドラック、タイヨウズ・フレンド!イツキ!」

 

外国人──アレックスが親指を立てて笑う…というかお前…アレックスっていう名前なんかよ…初耳だわ…めっちゃどーでもいいわ

 

けど……いい名前だな!(レックス風)

 

 

「……せ、センキュー…」

 

照れくさそうに目をそらしながらも、樹は手を軽く上げて応えた。

 

ふたりがスライドドアを開けて外に出ていく。扉が静かに閉まり、車内には静けさが戻る。

 

 

「……」

 

パソコンの前に座り直し、ゆっくりとモニターと向かい合う。

 

薄暗い車内に、パソコン画面の白い光だけがふわりと浮かび上がっていた。

 

──手が震える。

 

緊張なのか、暑さのせいなのか、それとも……別のなにかか。

 

樹はひとつ、深く息を吸い込んだ。

 

「……よし」

 

そう小さくつぶやいて、樹は画面へと臨む。

 

エアコンの効いた車内は、外の蒸し暑さとは打って変わって、静かで快適な空間だ。

 

ほんのり冷えた空気が、火照った頭を落ち着かせてくれる。

 

けれど、その涼しさ以上に──胸の奥には、熱が残っていた。

 

画面の奥にいる“彼”に、伝えたいことがある。

 

「……ナイト」

 

そっと声をかけた、その瞬間。

 

パソコンの画面がふっと徐々に切り替わり、仄暗い背景の中に──ナイトの姿が浮かび上がる。

 

変わらぬ鋭さを宿した双眸。しかし、その視線の奥には、ごくわずかに揺れる迷いの色があった。

 

「……来たか、樹」

 

静かに、けれど確かに──その声が応える。

 

「……うん。待たせて…ごめん」

 

樹は画面を見つめながら、深く息をつく。

 

 

 

「……無事だったか」

 

「…なんとかね。パソコンが熱暴走しちゃってただけっぽい……こういうこともあるんだな」

 

「そのようだな」

 

短いやり取りのあと、静けさが落ちる。

けれどそれは、気まずい沈黙ではない。

 

「あのさっ……ナイト、ちょっとだけ時間もらってもいい?」

 

「時間?」

 

「うん、3分だけ…ほんのちょっとでいいから。ナイトと話したい。

…“3分”にしたのは、ウルトラマンかよってツッコみを待ってたわけじゃないからね」

 

一拍、間を空け。

 

 

「…その言葉の意味はよくわからない」

 

「…いや、いいよ!こっちの話だから///」

 

思わず声が裏返り、樹は顔を逸らして小さく頭を抱える。

 

……ギャー!? 恥ずかしい!?

 

勝手に自分で振っといて自爆したみたいな気分に、樹は内心でのたうち回る。

 

思わず声が裏返り、樹は顔を逸らして小さく頭を抱えた。

 

沈黙。

 

でもその空気は、出会った頃の樹とナイトの会話のようで懐かしく思える。

 

「……残り、2分47秒」

 

「え、数えてたの!?」

 

「“3分”という時間を自ら提示してきたのはお前だ」

 

「……いやまあ、そうだけどさぁ……」

 

そう呟いてから少し間を置いて、樹はぽつりと口を開く。

 

「……まず、謝んなきゃいけないことがある」

 

少し息を整えてから、画面に向かって想いを吐露する。

 

「この前……ナイトにきつく当たったこと。本当に、ごめん」

 

視線が少しだけ動きそうになるも、堪え、ナイトへ真っ直ぐに伝えるために、言葉を続かせる。

 

「俺…焦ってた。

…ナイトが…何か隠してるんじゃって感じて……

俺にも言ってくれないのが、信じてもらえてないみたいに思えて……それが、悔しかった」

 

ぽつぽつと絞り出すように言葉を紡ぎながら、樹は一度うつむき、小さく息をつく。

 

「…俺なりに頑張ってたつもりだったんだ。“変わらなきゃ”“ちゃんとしなきゃ”って、そればっかり考えてて……」

 

自然と、言葉に熱がこもっていく。

 

「でもそれって結局、俺、自身のことしか見えてなくて…

ナイトに“もっとちゃんと話してほしい”とか、“信じてほしい”とか……そういう気持ちばっかで…

ナイトが何を思って戦ってるのか、何を抱えてるのか……

…俺、全然知らないことに気づいた」

 

小さく息を吐く。

 

全然言葉が繋がっていないかもしれない、伝わりにくいかもしれない。

 

けれど、今、向き合わなきゃ…きっと後悔する。

 

顔を上げて、画面の向こうにいるナイトをまっすぐ見据える。

 

「自分ばっか勇気出してるつもりで、空回ってて……

ほんとに勇気出さなきゃいけなかったのは、

ナイトのことを“ちゃんと知ろうとすること”だったのに」

 

少し間を置いて、言葉を紡ぐ。

 

「……だから、謝りたかった。ちゃんと伝えたかったんだ。

あの時は、本当にごめん」

 

静かな言葉のあと、樹はほんの少し、目を伏せる。

そして、意を決したように顔を上げる。

 

「……でさ、あの時ナイトが言ってくれた“勇気を出せ”って言葉……

ずっと、引っかかってた」

 

自分の手のひらを見つめるように視線を落としながら、ゆっくりと続ける。

 

「最初は、“よし、勇気出して何か行動しなきゃ”って思って、

頑張ってるつもりだった。ちゃんとみんなと向き合って、前に進もうって。

でも……空回りだったんだよな」

 

苦笑しながら、首を振る。

 

「“行動すること”が“勇気”なんだって……どこかで思い込んでた。

けど……ほんとは、違ったんだ」

 

ふっと、画面越しのナイトに視線を戻す。

 

「怖くても、恥ずかしくても、自分の気持ちにちゃんと向き合って、

誰かにそれを伝えること。

誰かを、ちゃんと知ろうとすること。

……そういうのが、“本当の意味での勇気”なんじゃないかって、やっと思えたから」

 

画面越しにナイトの瞳を見定め、声を出す。

 

 

 

「……だから、俺、ナイトのこと……もっと知りたい」

 

 

 

 

 

しん、と静寂が落ちる。

 

画面越しのナイトはしばし何も言わず、ただこちらを見つめていた。

 

 

しばらくして──

 

 

 

 

「あの時……『……俺がしているのは、所詮……責任の“押しつけ”にすぎん……』

……そう言ったのは、“戦えなくなった俺自身”への言葉でもあった」

 

 

ナイトがポツリと口を開く。

 

「本来なら、俺一人で戦うべきだった。

だが──この世界で目を覚まし、コンピュータの中に閉じ込められ……戦う術を失っていた俺には…あの日…偶然居合わせたお前の手を借りる以外、方法がなかった」

 

言葉を紡ぎながらも、ナイトの声音には、どこかにわだかまりのような響きが残る。

 

画面越しのその瞳は、まるで遠い過去を見つめるように静かだった。

 

「その結果……お前を戦いに巻き込み、

本来お前が背負うべきではなかったはずのものまで、背負わせてしまった」

 

樹は、黙ってその言葉を受け止めていた。

 

自分の想いを打ち明けたばかりのその胸に、ナイトの“責任”の重さがじわりと沁みていく。

 

「これ以上巻き込んでいいのだろうか……そういう迷いが…あった。」

 

ナイトの表情は変わらない、樹が話した時と同じように、こちらの瞳をしっかり背けずに見続ける。

 

「これ以上踏み入れば…"この世界の真実"へ辿り着けば…お前たちを傷つけてしまう…かもしれない。

だからこそ…伏せていた…

お前を…お前たちを“戦いの中心”にまで踏み込ませるべきではないと、そう判断してのことだった」

 

語尾が静かに落ち着く。

ナイトの口調には明確な自責と、それでも譲れなかった“覚悟”のようなものがにじんでいた。

 

「しかし、それが逆に─お前を不安にさせてしまっていたらしい」

 

画面越しに映る樹の表情が、わずかに揺れる。

 

彼の真意を知った今、ようやく点と点が繋がったように、胸の奥に広がるものがあった。

 

「…俺もまた、お前に"勇気"とやらを出せていなかった」

 

短く、けれど重く放たれたその言葉。

 

ナイトの中で、“勇気”という言葉の意味が、かつてよりも少しだけ深くなっているのがわかる。

 

「樹──すまなかった。」

 

言い終えたその瞬間、ナイトは深く、画面の向こうで静かに頭を下げた。

 

 

画面越しとはいえ、確かにそれは“謝罪”だった。

 

思わず樹は目を瞬かせる。

 

「……ナイトが、謝る必要なんか……ないのに…

ナイトは、俺の──俺たちのことを考えて、それで……」

 

ナイトはほんの少し目線を逸らし、淡々と答える。

 

「……そもそも、これは俺の経験の乏しさと、

対話における配慮──すなわち、“意思疎通の練度”の欠如が招いたこと…」

 

互いに謝罪を譲らず、言葉を交わすたびに少しずつ緊張がほぐれていく。

 

「グリッドマンと違い、俺は他者と一体化して戦うこと自体がこの世界に来て初めて経験したことだ」

 

「……そーなんだ?」

 

樹が少し驚いた顔で首をかしげる。

 

「色んな世界で戦ってるって言ってたから、てっきりナイトはこーいうのには慣れてるのかと思ってた…」

 

ナイトは静かに首を横に振る。

 

「他者と心を通わせ、互いに協力し、戦うこと──

俺にとっては、ほぼ“未知の領域”だ。

故に……どう接するべきか、常に手探りだった」

 

「……そっか、…そっかぁ…ハハ…なんか安心した」

 

自然と口からふふっと笑い声が出る。

 

肩から、どこか力が抜けたような表情を見せた。

 

「……笑われるのも無理はあるまい」

 

「いや、違う違う。そーいうのじゃなくてさ。

…なんかちょっとだけ、俺と通ずるところがあるなぁって……」

 

ほんの少し前まで、ナイトはどこか別世界の存在に思えていた。

 

でも今は──同じように迷って、悩んで、踏み出せずにいる姿が、少しだけ重なって見えた。

 

「……なんかさ、ちょっとだけだけど…ナイトのこと、わかった気がする」

 

ナイトは返さない。

ただその目に浮かんだごく僅かな変化が、否定ではないことを、樹はちゃんと感じ取っていた。

 

 

「……あ、やば。もう3分ちょい過ぎてる」

 

「“ちょい”では済まない気もするが──」

 

「細かいことは気にしないのっ」

 

樹はパソコンの前に立つ。

 

「それじゃあ──いこう、ナイト!」

 

いつも通りの掛け声と共に、左腕を前に突き出し、深く息を吸う。

 

「アクセス……!フラァーッシュ!!!」

 

右腕をクロスさせ、プライマルアクセプターのボタンを押す。

 

閃光が画面いっぱいに弾け、戦場へと二人は駆ける──





あとがき

\\\ダイナゼノンリライブ!?///

白いダイナゼノンとか…カッコ良すぎぃ!!

スパロボY…最初からダイナゼノン使えるの神…

…みんなもやろうね(^^)
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