SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish   作:ゴリニティ75

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第49回 終・潮

 

波間を切り裂き、海上に立つ二つの巨影。

 

合体竜人ダイナゼノンと、合体怪獣ゴウ・スカイラヴィーゼル。

 

禍々しく波打つ螺旋状のリングエフェクトが空を舞い、海面をえぐるように走り抜けた。

 

『っとと! また先回りされた!?』

 

先程からこれだ。

 

ゴウ・スカイラヴィーゼルは、まるで、コチラの行動を見透かしたかのように、ダイナゼノンの攻撃が通じない。

 

『アイツ…こっちの動きを完全に読んでるのか!?』

 

レックスがそう訝しむのも束の間、次々と追尾ミサイル群とリング攻撃がダイナゼノンを襲う。

 

『─ライラッ!』

 

『わかってる…!!』

 

攻撃を迎撃するべく、ダイナストライカーの砲門を展開、狙いを定める。

 

『ストライカーストーム──────』

 

 

 

しかし、その発射の瞬間を狙い澄ましたかのようにリングが飛来。

 

砲口を弾き、弾道は大きく逸れた。

 

『くそっ、攻撃が全部潰される!』

 

直後、インナースペース内を激しい衝撃が貫いた。

 

 


 

──────その光景を、遥か離れた場所から冷静に見据える存在

 

───ファージ。

 

彼の瞳は無機質に光り、ダイナゼノンの一挙手一投足を詳細に解析。

解析結果は即座に怪獣へと伝達され、最適な防御と反撃を指示していた。

 

「…ダイナゼノン、お前の攻撃パターンは既に把握している」

 

そう言って右腕を突き出し、紅く染まった瞳をさらに輝かせる。

 

[——!—;::/-:;!!!!!!]

 

 

ファージにより、"掴まれた"ゴウ・スカイラヴィーゼルは全身から更に無数の螺旋状のリングが放つ。

 

そのリングは何重にも重なり合い、宙を舞いながら軌道を変え、まるで狙ったかのようにダイナゼノンを縛り上げていく。

 

「よし……拘束完了だ」

 

絡め取られたダイナゼノンの脚は自由を奪われ、動きは鈍る。

 

「…ダイナゼノン…お前には今日、この世界から退場してもらう…!」

 

冷徹な声が戦場に響き渡る。

 

 


 

 

『ッぐぅ……!』

 

 

ゴウ・スカイラヴィーゼルにより、拘束されたダイナゼノンの巨体が海面に沈みかけ、波が荒れ狂う。

 

『レックスさん! このままだと…!』

 

『わかってる!』

 

だが、合体怪獣の動きは止まらない。

 

螺旋の檻が徐々に全身を締め上げ、合体怪獣の口部には不気味なエネルギー光が収束していく——

 

『まずいッ——』

 

全身の毛が逆立ち、背筋が凍るような危機感が走る。

 

これだけの近距離で攻撃を喰らえば、確実に致命傷になる。

 

拘束を何とかして解こうと全力で対抗しようとするも、各部位に食い込み、武装類を展開することができない。

 

[——!—;::/-:;!!!!!!]

 

 

そして、今まさに、怪獣の口部からの攻撃が放たれる。

 

 

轟音と共に、海面が弾け飛ぶように割れる。

 

 

 

 

だがそこへ、押し寄せる水柱を切り裂き、紫の閃光が一直線に走り抜けた。

 

 

その軌跡は螺旋の檻を易々と両断し、煌めく破片と共に海風へと消えていく。

 

 

『相変わらず…苦戦しているようだな、レックス』

 

 

姿を現したのは、鋭いシルエットを持つ紫色の巨躯。

鋼の装甲が陽光を反射し、眩い光を四方に放つ。

 

しぶきを浴びながらも一歩も引かず、その眼光は怪獣を真っ直ぐ射抜いていた。

 

リングから解放され、膝をつくダイナゼノンの前へ、まるで盾のように立ち塞がる。

 

海面から立ち昇る蒸気と、耳をつんざく波の轟きが、彼の再登場をさらに劇的に演出しているように見えた。

 

『…なぁにが『相変わらず』だ、来るなり一言多いんだよお前は』

 

グリッドナイトの再登場に、レックスは毒付きながらも、ニヤリと口端を上げた。

 

『戻ってきたんだな…グリッドナイト!』

 

『絶対帰ってきてくれるって、信じてたよ…』

 

『新条くん…ナイトさんも…良かったぁ…』

 

グリッドナイトの帰還に、それぞれ安堵と喜びの声があがる。

 

〈みんな、待たせてごめん…、ここからは俺たちも一緒に…!!〉

 

ダイナゼノンとグリッドナイトが並び立ち、拳を固めて構える。

 

『…ヨシ、それじゃ…改めて!!バトルゥ…ゴオォォォッ!!!』

 

レックスの号令と共に、両者はゴウ・スカイラヴィーゼルへと駆け出していく。

 

 

 

海面を蹴り、二つの巨影が並んで突き進む。

 

波しぶきが尾を引き、轟音が空気を震わせた。

 

『ペネトレーターガンッ!!』

 

『ストライカーストームッ!!』

 

ダイナゼノンの両肩、腕部からの砲撃が一斉発射され、青空を切り裂く。

 

〈出遅れた分、一気にいくよナイト!〉

 

爆炎が螺旋の防壁を揺らし、そこへグリッドナイトが低空で滑り込む。

 

『当然だ…!グリッドナイトサーキュラー!!』

 

空中で尚も放ち続けられるリングの断面を紫の光輪が薙ぎ、金属音のような破砕音が響く。

 

『すげぇ…息ぴったりだ!』

 

太陽がインナースペースで目を輝かせる。

 

『見惚れてる場合じゃねぇぞ!こっちも合わせるぞ!』

 

砕けたリングを突き抜け、二機は一気にゴウ・スカイラヴィーゼルの間合いへ迫っていく。

 

目前まで迫りあと一歩…のところで、ゴウ・スカイラヴィーゼルの全身が鈍い青光を放つ。

 

[——!—;::/-:;!!!!!!]

 

空気が重く沈み、海面が一瞬で逆巻いた。

 

『来るぞッ!』

レックスの声が鋭く響く。

 

怪獣の脚部から放たれた螺旋状のリングが、今度は網のように広がり二機を包囲。

 

しかも先ほどより速度が倍以上…目で追うだけでもやっとだった。

 

グリッドナイトが瞬時に側転回避するが、真横から別のリングが突き刺さるように飛び込んでくる。

 

『ぐっ…! 避けただけじゃ切りがない!』

 

ダイナゼノンも海面を滑るように回避するが、リングの一部が肩装甲をかすめ、火花が散った。

 

〈ちっ…機動を読まれてる!?〉

 

『どうやらそのようだな……この場合、お前ならどう対処する?』

 

〈ええっ…急に言われても……あ、閃いた!みんな───〉

 

 

直後、怪獣が巨体をひねり、尾部をムチのように振るう。

 

海水とリングの破片を巻き上げた一撃が、二機をまとめて吹き飛ばそうとしてくる。

 

尾の一撃が迫る刹那、グリッドナイトが海面を蹴り、ダイナゼノンの前へ飛び込む。

 

 

『俺を飛ばせッ!』

 

『『『『任せろッ!』』』』

 

バレーボールのレシーブを打つように、ダイナゼノンはグリッドナイトの足を受け止め、勢いよく弾き飛ばす。

 

『トルネイド…サーキュラーッ!!』

 

ダイナゼノンを足場とし、跳躍の要領で勢いよく回転し加速して間合いを詰めていく。

 

そして両腕のサーキュラーが紫光を帯び、迫る尾とリングをまとめて切り裂いた。

 

その隙を逃さず、ダイナゼノンが全砲門を展開。

 

 

 

『ダイナゼノン……フルバーストォッ!!』

 

 

怒涛の連射が怪獣の動きをわずかに止める。

 

『今だッ!グリッドナイト!』

 

『フンッ…行くぞ!』

 

二機は同時に海面を蹴り、螺旋の檻を突破。

 

グリッドナイトが接近して怪獣を蹴り飛ばし、ダイナゼノンが至近距離から胸部へ砲撃を叩き込んだ。

 

衝撃でゴウ・スカイラヴィーゼルが大きく後退し、海水が爆ぜた。

 

[——!—;::/-:;!!!::;;:;;;;!!!]

 

だが怪獣は咆哮を上げ、すぐさま態勢を立て直す。

 

『まだやる気か…!』

 

再び海面に螺旋の光が走り、リングエフェクトがダイナゼノンを絡め取る。

 

 

『くそっ…! また拘束だと!?』

 

怪獣の口部が赤黒い光を帯び始める───

 

 

今度こそ逃さない──そう言わんばかりに、ゴウ・スカイラヴィーゼルは更に無数の誘導ミサイルが噴射する。

 

弾道は迷いなく、ダイナゼノンの中心──コアとなるダイナソルジャーを狙う。

 

 

『ッ…うわぁッ!?』

 

炸裂音と衝撃が連続し、海面と空が黒煙に包まれる。

 

集中砲火を放たれ、ガクンと地へと膝を着くダイナゼノン。

 

その様子を見て、ゴウ・スカイラヴィーゼルの眼許がニヤリと不敵な笑みを浮かべ、更なる砲撃を開始しようとしている。

 

『ッ─────』

 

 

 

インナースペースに緊張が走る中──レックスは、不敵に口角を上げた。

 

 

『…なんてな!拘束されたのは…お前の方だッ!』

 

 

と、リングの拘束を予め予想し、展開しておいたダイナセイバーでリングの檻を斬り裂き、そのままゴウ・スカイラヴィーゼルの胴を両腕でがっしりと掴む。

 

怪獣の視界に映るのは、中央の構造が欠けたダイナゼノン。

そう、そこにダイナソルジャーの姿はない。

 

[——?—;::/-:???]

 

 

慌てて辺りを見渡すゴウ・スカイラヴィーゼル。

 

すると、空中から合体怪獣へ一直線に降下してくる"一つ"の影が。

 

それはグリッドナイトと、彼に適応反応してダイナミックキャノンと化したダイナソルジャーだ。

 

[——?!—;::/-:?!]

 

海へ逃げようと、空へ舞い上がろうと必死に暴れるゴウ・スカイラヴィーゼル。

 

『逃がさないよッ!!』

 

しかし、残った機体で作られた“なんちゃってダイナゼノン”が全力で引き止める。

 

『イツキの策に引っかかったね!ダイナセイバーッ!!』

 

ライラの掛け声とともに翡翠の輝きが、ゴウ・スカイラヴィーゼルの脚部の接合部を切り裂く。

 

 

『決めろォ!グリッドナイトッ!!』

 

砲口が怪獣の胸部を捕捉。

紫と炎の光が溜まり、樹とグリッドナイトが叫ぶ。

 

 

『〈これで…終わりだぁッ!!〉』

 

 

それを合図として、合体怪獣を掴むのをやめて、レックスたちは合体を解除して分散していく。

 

『まだ…まだ…ま──今だ!解散!!』

 

 

レックスたちが捌けるのと入れ違いで、ゴウ・スカイラヴィーゼルの頭部へ銃口が触れ、そして────

 

『ダイナミック───ファイヤァァァッ!!!』

 

超至近距離から放たれた閃光が海と空を切り裂き、轟音と爆炎が全てを包み込んでいくのだった。

 

 

 

 

爆炎の中から、静かに光が消えていく。

 

視界が戻ると、ゴウ・スカイラヴィーゼルの姿は跡形もなく消え去っていた。

 

海面は穏やかさを取り戻し、波間に漂う煙がゆっくりと流れていく。

 

〈やっと…終わったぁ…〉

 

さまざまな出来事が巻き起こったこの海での戦いは、戻ってきたグリッドナイトとダイナゼノンの見事な連携によって、ついに終止符を打たれたのだった────

 

 

 


 

 

「あーあ…結局負けちゃったー…」

 

砂浜に膝をつき、コピーは呟くように言った。

 

苛立ちと悔しさが混ざった声が、まだ静まりきらない海風に溶けていく。

 

「ファージさんの力借りても勝てないじゃんッ!!」

 

フードを深くかぶったコピーが、足元の砂を蹴り散らしながら不満を吐き出す。

 

苛立ちを隠そうともせず、肩を震わせる。

 

「ぷっ…アハハ♪ファージさん言われてますよ〜★」

 

望美が口元を押さえながら、楽しげにファージを冷やかす。

 

「……」

 

ファージは何も言わない。

だが沈黙の奥から、確かに苛立ちが滲み出ていた。

 

「もぉ〜お二人ともプンプンしてるのはわかりますけど〜」

 

望美はひらひらと両手を振り、軽やかに声を続ける。

 

「本来の目的の二つはちゃんと果たせたんですから〜上上じゃないですか〜♪」

 

彼女たちの今回の目的…一つはゴウ・スカイヴィッターを使用した第三実験。

 

二つ目はバスターボラーの入手。

 

彼女の視線が砂に押さえつけられているボラーへ向かう。

 

「と・こ・ろ・で〜♪」

 

踏みつけられ、呻くボラーの顔を覗き込んで、望美はにこりと笑った。

 

「…地面を這いつくばる気分はどうですか〜?バスターボラーさん★」

 

だが彼は、その状況にも関わらず、薄く笑みを浮かべていた。

 

「…ハンッ…お前ら御自慢の合体怪獣が倒されて…いい気味だぜ…とでも言えば満足か?」

ニヒルな笑みが、砂浜に響く足音の間にかすかに揺れる。

 

「…」

 

ファージは無言のまま、鋭い視線でボラーを見下ろす。

 

「だから言ったろ?俺が居なくても…アイツらはお前らなんかに負けないって」

 

ボラーの声に力がこもる。小さな体から滲む自信が、かえって威圧感を増していた。

 

その瞬間、ファージが踏みつける力が弱まるわずかな隙を、ボラーは見逃さなかった。

 

踏まれていた脚を器用にずらすと、地面を蹴り、身を小さく縮めて勢いよく飛び上がる。

 

ファージの視界外から瞬間的に距離を取ると、手元のダガーを振り上げた——

 

 

…せめてコイツだけでも…最後に一矢報いてやる…!

 

焦燥と決意が入り混じり、ボラーの胸を駆け巡る。

 

周りのキャリバーとマックスが反応するよりも先に、ダガーの刃がファージの首元へと迫る———

 

 

 

「アハッ★」

 

間に割り込む影。

 

望美が笑顔のまま、ボラーの前に立ち塞がっていた。

 

「…お前…いつの間に———」

 

その手には、金色の縁取りを持つ白い菱形の鎧のようなパーツ。

 

見覚えのある、この世界に現れた怪獣たちが必ず身につけている白い鎧———

 

「まだ抵抗する力があるなんて〜

不屈の精神ってやつですか〜♪流石はグリッドマンの一部さんですね〜♪」

 

ボラーの腹部目掛け、捩じ込まれる。

 

「……ッ、な……!」

 

 

…なんだ…これ……

 

ボラーの顔が歪み、声が掠れる。

 

鋭い衝撃と共に、体の奥から何かを吸い上げられるような感覚が広がる。

 

視界が狭まり、黒がじわじわと覆っていく。

 

 

ボラーの意識が途切れるその最中、砂浜に立つコピーの口から小さな声が零れる。

 

 

「…次の怪獣…創らなくちゃ…」

 

その瞳はボラーにも、ファージにも、望美にも向けられず、ただ遠くの虚空だけを見据えていた。

 

「グリッドナイトにも…あのオモチャにだって負けない…今度こそ…最強の怪獣を…」

 

 

冷たくも淡々と紡がれる言葉。

 

仲間のことも戦いの余韻もどうでもいい。

 

ただ「怪獣」という存在だけが、彼女の全てだった。

 

 

吹きすさぶ風が砂を巻き上げ、コピーのフードを捲り上げた。

 

露わになったその顔を見て、ボラーは掠れた声で呟く。

 

「………その……顔……」

 

言葉はそこで途切れ、ボラーの視界は闇へと閉ざされていった。





あとがき
はい…ということで…海編終了です…

……長い!また9話って!( ̄ー ̄ )

どうも中弛みが目立った気がして、反省モードに入っております。
仮面ライダーの年明けくらいの「ちょっと停滞」感的な…

正直納得いかないので…いつかはリベンジしたいですね…(遠い目

次はもっと端的に換言して、5話ぐらいで終わらせたいなって思いました(棒)
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