SSSS.GRIDKNIGHT Another God Wish 作:ゴリニティ75
波間を切り裂き、海上に立つ二つの巨影。
合体竜人ダイナゼノンと、合体怪獣ゴウ・スカイラヴィーゼル。
禍々しく波打つ螺旋状のリングエフェクトが空を舞い、海面をえぐるように走り抜けた。
『っとと! また先回りされた!?』
先程からこれだ。
ゴウ・スカイラヴィーゼルは、まるで、コチラの行動を見透かしたかのように、ダイナゼノンの攻撃が通じない。
『アイツ…こっちの動きを完全に読んでるのか!?』
レックスがそう訝しむのも束の間、次々と追尾ミサイル群とリング攻撃がダイナゼノンを襲う。
『─ライラッ!』
『わかってる…!!』
攻撃を迎撃するべく、ダイナストライカーの砲門を展開、狙いを定める。
『ストライカーストーム──────』
しかし、その発射の瞬間を狙い澄ましたかのようにリングが飛来。
砲口を弾き、弾道は大きく逸れた。
『くそっ、攻撃が全部潰される!』
直後、インナースペース内を激しい衝撃が貫いた。
──────その光景を、遥か離れた場所から冷静に見据える存在
───ファージ。
彼の瞳は無機質に光り、ダイナゼノンの一挙手一投足を詳細に解析。
解析結果は即座に怪獣へと伝達され、最適な防御と反撃を指示していた。
「…ダイナゼノン、お前の攻撃パターンは既に把握している」
そう言って右腕を突き出し、紅く染まった瞳をさらに輝かせる。
[——!—;::/-:;!!!!!!]
ファージにより、"掴まれた"ゴウ・スカイラヴィーゼルは全身から更に無数の螺旋状のリングが放つ。
そのリングは何重にも重なり合い、宙を舞いながら軌道を変え、まるで狙ったかのようにダイナゼノンを縛り上げていく。
「よし……拘束完了だ」
絡め取られたダイナゼノンの脚は自由を奪われ、動きは鈍る。
「…ダイナゼノン…お前には今日、この世界から退場してもらう…!」
冷徹な声が戦場に響き渡る。
『ッぐぅ……!』
ゴウ・スカイラヴィーゼルにより、拘束されたダイナゼノンの巨体が海面に沈みかけ、波が荒れ狂う。
『レックスさん! このままだと…!』
『わかってる!』
だが、合体怪獣の動きは止まらない。
螺旋の檻が徐々に全身を締め上げ、合体怪獣の口部には不気味なエネルギー光が収束していく——
『まずいッ——』
全身の毛が逆立ち、背筋が凍るような危機感が走る。
これだけの近距離で攻撃を喰らえば、確実に致命傷になる。
拘束を何とかして解こうと全力で対抗しようとするも、各部位に食い込み、武装類を展開することができない。
[——!—;::/-:;!!!!!!]
そして、今まさに、怪獣の口部からの攻撃が放たれる。
轟音と共に、海面が弾け飛ぶように割れる。
だがそこへ、押し寄せる水柱を切り裂き、紫の閃光が一直線に走り抜けた。
その軌跡は螺旋の檻を易々と両断し、煌めく破片と共に海風へと消えていく。
『相変わらず…苦戦しているようだな、レックス』
姿を現したのは、鋭いシルエットを持つ紫色の巨躯。
鋼の装甲が陽光を反射し、眩い光を四方に放つ。
しぶきを浴びながらも一歩も引かず、その眼光は怪獣を真っ直ぐ射抜いていた。
リングから解放され、膝をつくダイナゼノンの前へ、まるで盾のように立ち塞がる。
海面から立ち昇る蒸気と、耳をつんざく波の轟きが、彼の再登場をさらに劇的に演出しているように見えた。
『…なぁにが『相変わらず』だ、来るなり一言多いんだよお前は』
グリッドナイトの再登場に、レックスは毒付きながらも、ニヤリと口端を上げた。
『戻ってきたんだな…グリッドナイト!』
『絶対帰ってきてくれるって、信じてたよ…』
『新条くん…ナイトさんも…良かったぁ…』
グリッドナイトの帰還に、それぞれ安堵と喜びの声があがる。
〈みんな、待たせてごめん…、ここからは俺たちも一緒に…!!〉
ダイナゼノンとグリッドナイトが並び立ち、拳を固めて構える。
『…ヨシ、それじゃ…改めて!!バトルゥ…ゴオォォォッ!!!』
レックスの号令と共に、両者はゴウ・スカイラヴィーゼルへと駆け出していく。
海面を蹴り、二つの巨影が並んで突き進む。
波しぶきが尾を引き、轟音が空気を震わせた。
『ペネトレーターガンッ!!』
『ストライカーストームッ!!』
ダイナゼノンの両肩、腕部からの砲撃が一斉発射され、青空を切り裂く。
〈出遅れた分、一気にいくよナイト!〉
爆炎が螺旋の防壁を揺らし、そこへグリッドナイトが低空で滑り込む。
『当然だ…!グリッドナイトサーキュラー!!』
空中で尚も放ち続けられるリングの断面を紫の光輪が薙ぎ、金属音のような破砕音が響く。
『すげぇ…息ぴったりだ!』
太陽がインナースペースで目を輝かせる。
『見惚れてる場合じゃねぇぞ!こっちも合わせるぞ!』
砕けたリングを突き抜け、二機は一気にゴウ・スカイラヴィーゼルの間合いへ迫っていく。
目前まで迫りあと一歩…のところで、ゴウ・スカイラヴィーゼルの全身が鈍い青光を放つ。
[——!—;::/-:;!!!!!!]
空気が重く沈み、海面が一瞬で逆巻いた。
『来るぞッ!』
レックスの声が鋭く響く。
怪獣の脚部から放たれた螺旋状のリングが、今度は網のように広がり二機を包囲。
しかも先ほどより速度が倍以上…目で追うだけでもやっとだった。
グリッドナイトが瞬時に側転回避するが、真横から別のリングが突き刺さるように飛び込んでくる。
『ぐっ…! 避けただけじゃ切りがない!』
ダイナゼノンも海面を滑るように回避するが、リングの一部が肩装甲をかすめ、火花が散った。
〈ちっ…機動を読まれてる!?〉
『どうやらそのようだな……この場合、お前ならどう対処する?』
〈ええっ…急に言われても……あ、閃いた!みんな───〉
直後、怪獣が巨体をひねり、尾部をムチのように振るう。
海水とリングの破片を巻き上げた一撃が、二機をまとめて吹き飛ばそうとしてくる。
尾の一撃が迫る刹那、グリッドナイトが海面を蹴り、ダイナゼノンの前へ飛び込む。
『俺を飛ばせッ!』
『『『『任せろッ!』』』』
バレーボールのレシーブを打つように、ダイナゼノンはグリッドナイトの足を受け止め、勢いよく弾き飛ばす。
『トルネイド…サーキュラーッ!!』
ダイナゼノンを足場とし、跳躍の要領で勢いよく回転し加速して間合いを詰めていく。
そして両腕のサーキュラーが紫光を帯び、迫る尾とリングをまとめて切り裂いた。
その隙を逃さず、ダイナゼノンが全砲門を展開。
『ダイナゼノン……フルバーストォッ!!』
怒涛の連射が怪獣の動きをわずかに止める。
『今だッ!グリッドナイト!』
『フンッ…行くぞ!』
二機は同時に海面を蹴り、螺旋の檻を突破。
グリッドナイトが接近して怪獣を蹴り飛ばし、ダイナゼノンが至近距離から胸部へ砲撃を叩き込んだ。
衝撃でゴウ・スカイラヴィーゼルが大きく後退し、海水が爆ぜた。
[——!—;::/-:;!!!::;;:;;;;!!!]
だが怪獣は咆哮を上げ、すぐさま態勢を立て直す。
『まだやる気か…!』
再び海面に螺旋の光が走り、リングエフェクトがダイナゼノンを絡め取る。
『くそっ…! また拘束だと!?』
怪獣の口部が赤黒い光を帯び始める───
今度こそ逃さない──そう言わんばかりに、ゴウ・スカイラヴィーゼルは更に無数の誘導ミサイルが噴射する。
弾道は迷いなく、ダイナゼノンの中心──コアとなるダイナソルジャーを狙う。
『ッ…うわぁッ!?』
炸裂音と衝撃が連続し、海面と空が黒煙に包まれる。
集中砲火を放たれ、ガクンと地へと膝を着くダイナゼノン。
その様子を見て、ゴウ・スカイラヴィーゼルの眼許がニヤリと不敵な笑みを浮かべ、更なる砲撃を開始しようとしている。
『ッ─────』
インナースペースに緊張が走る中──レックスは、不敵に口角を上げた。
『…なんてな!拘束されたのは…お前の方だッ!』
と、リングの拘束を予め予想し、展開しておいたダイナセイバーでリングの檻を斬り裂き、そのままゴウ・スカイラヴィーゼルの胴を両腕でがっしりと掴む。
怪獣の視界に映るのは、中央の構造が欠けたダイナゼノン。
そう、そこにダイナソルジャーの姿はない。
[——?—;::/-:???]
慌てて辺りを見渡すゴウ・スカイラヴィーゼル。
すると、空中から合体怪獣へ一直線に降下してくる"一つ"の影が。
それはグリッドナイトと、彼に適応反応してダイナミックキャノンと化したダイナソルジャーだ。
[——?!—;::/-:?!]
海へ逃げようと、空へ舞い上がろうと必死に暴れるゴウ・スカイラヴィーゼル。
『逃がさないよッ!!』
しかし、残った機体で作られた“なんちゃってダイナゼノン”が全力で引き止める。
『イツキの策に引っかかったね!ダイナセイバーッ!!』
ライラの掛け声とともに翡翠の輝きが、ゴウ・スカイラヴィーゼルの脚部の接合部を切り裂く。
『決めろォ!グリッドナイトッ!!』
砲口が怪獣の胸部を捕捉。
紫と炎の光が溜まり、樹とグリッドナイトが叫ぶ。
『〈これで…終わりだぁッ!!〉』
それを合図として、合体怪獣を掴むのをやめて、レックスたちは合体を解除して分散していく。
『まだ…まだ…ま──今だ!解散!!』
レックスたちが捌けるのと入れ違いで、ゴウ・スカイラヴィーゼルの頭部へ銃口が触れ、そして────
『ダイナミック───ファイヤァァァッ!!!』
超至近距離から放たれた閃光が海と空を切り裂き、轟音と爆炎が全てを包み込んでいくのだった。
爆炎の中から、静かに光が消えていく。
視界が戻ると、ゴウ・スカイラヴィーゼルの姿は跡形もなく消え去っていた。
海面は穏やかさを取り戻し、波間に漂う煙がゆっくりと流れていく。
〈やっと…終わったぁ…〉
さまざまな出来事が巻き起こったこの海での戦いは、戻ってきたグリッドナイトとダイナゼノンの見事な連携によって、ついに終止符を打たれたのだった────
「あーあ…結局負けちゃったー…」
砂浜に膝をつき、コピーは呟くように言った。
苛立ちと悔しさが混ざった声が、まだ静まりきらない海風に溶けていく。
「ファージさんの力借りても勝てないじゃんッ!!」
フードを深くかぶったコピーが、足元の砂を蹴り散らしながら不満を吐き出す。
苛立ちを隠そうともせず、肩を震わせる。
「ぷっ…アハハ♪ファージさん言われてますよ〜★」
望美が口元を押さえながら、楽しげにファージを冷やかす。
「……」
ファージは何も言わない。
だが沈黙の奥から、確かに苛立ちが滲み出ていた。
「もぉ〜お二人ともプンプンしてるのはわかりますけど〜」
望美はひらひらと両手を振り、軽やかに声を続ける。
「本来の目的の二つはちゃんと果たせたんですから〜上上じゃないですか〜♪」
彼女たちの今回の目的…一つはゴウ・スカイヴィッターを使用した第三実験。
二つ目はバスターボラーの入手。
彼女の視線が砂に押さえつけられているボラーへ向かう。
「と・こ・ろ・で〜♪」
踏みつけられ、呻くボラーの顔を覗き込んで、望美はにこりと笑った。
「…地面を這いつくばる気分はどうですか〜?バスターボラーさん★」
だが彼は、その状況にも関わらず、薄く笑みを浮かべていた。
「…ハンッ…お前ら御自慢の合体怪獣が倒されて…いい気味だぜ…とでも言えば満足か?」
ニヒルな笑みが、砂浜に響く足音の間にかすかに揺れる。
「…」
ファージは無言のまま、鋭い視線でボラーを見下ろす。
「だから言ったろ?俺が居なくても…アイツらはお前らなんかに負けないって」
ボラーの声に力がこもる。小さな体から滲む自信が、かえって威圧感を増していた。
その瞬間、ファージが踏みつける力が弱まるわずかな隙を、ボラーは見逃さなかった。
踏まれていた脚を器用にずらすと、地面を蹴り、身を小さく縮めて勢いよく飛び上がる。
ファージの視界外から瞬間的に距離を取ると、手元のダガーを振り上げた——
…せめてコイツだけでも…最後に一矢報いてやる…!
焦燥と決意が入り混じり、ボラーの胸を駆け巡る。
周りのキャリバーとマックスが反応するよりも先に、ダガーの刃がファージの首元へと迫る———
「アハッ★」
間に割り込む影。
望美が笑顔のまま、ボラーの前に立ち塞がっていた。
「…お前…いつの間に———」
その手には、金色の縁取りを持つ白い菱形の鎧のようなパーツ。
見覚えのある、この世界に現れた怪獣たちが必ず身につけている白い鎧———
「まだ抵抗する力があるなんて〜
不屈の精神ってやつですか〜♪流石はグリッドマンの一部さんですね〜♪」
ボラーの腹部目掛け、捩じ込まれる。
「……ッ、な……!」
…なんだ…これ……
ボラーの顔が歪み、声が掠れる。
鋭い衝撃と共に、体の奥から何かを吸い上げられるような感覚が広がる。
視界が狭まり、黒がじわじわと覆っていく。
ボラーの意識が途切れるその最中、砂浜に立つコピーの口から小さな声が零れる。
「…次の怪獣…創らなくちゃ…」
その瞳はボラーにも、ファージにも、望美にも向けられず、ただ遠くの虚空だけを見据えていた。
「グリッドナイトにも…あのオモチャにだって負けない…今度こそ…最強の怪獣を…」
冷たくも淡々と紡がれる言葉。
仲間のことも戦いの余韻もどうでもいい。
ただ「怪獣」という存在だけが、彼女の全てだった。
吹きすさぶ風が砂を巻き上げ、コピーのフードを捲り上げた。
露わになったその顔を見て、ボラーは掠れた声で呟く。
「………その……顔……」
言葉はそこで途切れ、ボラーの視界は闇へと閉ざされていった。
あとがき
はい…ということで…海編終了です…
……長い!また9話って!( ̄ー ̄ )
どうも中弛みが目立った気がして、反省モードに入っております。
仮面ライダーの年明けくらいの「ちょっと停滞」感的な…
正直納得いかないので…いつかはリベンジしたいですね…(遠い目
次はもっと端的に換言して、5話ぐらいで終わらせたいなって思いました(棒)