魔法少女リリカルなのはStrikerS〜サスケ転移伝〜   作:我来也

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この小説はちゃんと生きてます。


第13話

 任務から帰った後、なのは達も訓練が終わったのか、ヴィーダや他の人たちと一緒に一室に座って茶を飲んで休憩していた。

 ティアナは先に部屋へ休んでおり、任務報告を兼ねてフェイトと一緒にいたが、なのは達がいたのを見つけると一緒に軽く休憩しようよ。と提案された。はやてに任務の報告はしなくていいのか、と内心思いつつもはやてとの親交のあるフェイトがそう言ってるのなら、まぁいいかと思い一緒になのはのところへ休憩という名の挨拶へしに行った。

 

 おつかれ様と、なのはをはじめ各々挨拶をしてきた。だがこういう女性しかいない空間はどうもなれない。いや女性に限らずこういう明るい空間自体慣れてない。

 だから頑張って「あぁ。」と精一杯挨拶を返す。

 俺がソファに座ると朱色の髪の小さな女のヴィーダが俺とフェイトに声をかける。

 

「今日の任務のことだけどよ、ティアナの様子はどうだった?」

「…?別におかしい様子はなかったが?」

 

 俺は彼女の聞きたいことの意味がわからず、今日一日振り返ってティアナの行動を振り返る。だが別におかしい様子はなかった。

 

「訓練中から時々気になってたんだよ、ティアナのこと。─── 強くなりたいなんてのは若い魔導師なら皆そうだし、無茶も多少はするもんだけど、時々ちょっと度を超えてる。」

 

 それは以前あったホテル・アグスタでの出来事のことだろうか。まだ成功していない、制御しきれない数の魔力弾を出しガジェットを攻撃した。だが複数の魔力弾をコントロールするのは難しく1発が味方であるスバルへ直撃しようとした。

 1人ならともかく、1つの小隊としてガジェット集団を処理してたのだ。仲間と連携して無理せず対処して問題なかったはずだ。

 

 だが彼女はまるで自分1人でその問題をクリアしようとした。

 

 ヴィーダが彼女がそういう行動や思考をするようになったきっかけ、原因はあるのかをなのはに尋ねる。なのはは「うん…」と彼女のちょっとした過去について話し始めた。

 

 きっかけは彼女の兄である“ティーダ・ランスター”だったという。

 

「執務官志望の、魔導師だったんだけど。ご両親を事故で亡くしてからは、お兄さんが一人でティアを育ててくれたんだって。だけど…任務中に…」

「亡くなってしまったの。彼女がまだ10歳の時にね…。」

 

 なのはと隣にいるフェイトがそう答える。尋ねたヴィーダも暗い表情をしてる。

 

「ティアナのお兄さん、ディータ・ランスター。当時の階級は一等空尉。所属は首都航空隊。享年21歳」

 

 なのはが彼女の兄さんに関する情報を見せてくれた。彼女と同じくオレンジ色の髪色をしており、優しくそして誠実そうな印象だ。

 

 階級や所属部隊のことはよく分からんが、ヴィーダが結構エリートなんだな、と言っていたことから優秀な魔導士なんだなと理解した。

 

 優秀な兄とその兄に追いつくために訓練する妹。…似てるな。

 

 だがそんな優秀な彼女の兄だったがとある任務でちょっとした失敗をしてしまった。曰く違法魔導士を取り逃したのだ。幸い手傷を負わせた上に、他の部隊と連携して無事捕まえることが出来た。だが彼はその任務で命を落とした上に、上司から心無い事を言ったそうだ。

 

「犯人を追い詰めながらも逃すなんて、首都航空隊の魔導師としてあるまじき失態で、たとえ死んでも取り押さえるべきだった…とか。もっと直球に、任務を失敗するような役立たずはうんぬん…とか。しかも、ティアナはその時まだ10歳。たった一人の肉親を失くして、しかもその最後の仕事が無意味で役にたたなかったって言われて…。きっともの凄く傷ついて、悲しんで…。」

 

 なのはのその言葉を聞き俺はカカシの言葉でありそして俺がティアナ達に言った言葉を思い出す。

 

 

『ルールや掟を破るやつはクズ呼ばわりされる。だが、仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ。』

 

 

 実際、こうしてそれ以上のクズの発言や行動を聞くとカカシのあの言葉がどれだけ大切な事か思い知る。

 だから彼女は見返したいのだろう。自分の兄は間違ってなんかない、と。兄が教えてくれた魔法は凄いんだと。兄と同じ執務官になるという夢を自分が代わりに叶える為に。

 

「だからサスケ君が最初の訓練の時に言ってくれた“あの言葉”はティアナにとってはもの凄く救われたんじゃないかな?」

 

「だが、“無茶”と“無理”を理解してないと意味ないがな。あのまま突き進めば必ず取り返しのつかない事が起きる。」

 

 なのはの言葉に対しそう返す。

 劣等感を抱き、それに負けないように訓練するのは別に良い。現に俺自身も兄─イタチに追い付くために、父に兄と同じように認めてもらいたくて毎日修行してきた。

 だが、だからと言って任務中に仲間と協力せず1人で解決しようとするのは違う。

 そのまま行くと1人で何でもしようとした、インドラやマダラ、そして俺や兄さんのようになってしまう。

 まぁ流石に任務直後は訓練せず部屋で寝てるだろうし一言声をかける必要はないか。

 

 それに仲間の大切さやその仲間が彼女の周りには沢山いる。きっと大丈夫なはず。

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 あれから数日経ったある日、今日もアイツら達は訓練をしている。今日はどうやら模擬戦をするらしい。最初はなのはとスターズ隊であるティアナと短髪青髪のスバルだ。

 模擬戦と言っても、これまで訓練してきた基礎内容を上手く活用するため、練習の成果を見るためのものだ。

 俺はフェイトやヴィーダ達と一緒にビルの屋上から観ることにした。

 

「お、サスケ。お前数日の間なのは達の訓練どころか全然姿を現さなかったけど、何処ほっつき歩いてたんだ?」

 

「少し調べ事をしてただけだ。」

 

 ヴィーダの問いに答える。その後フェイトやエリオやキャロが「調べ事?」と首を傾げてたが、後にしろと一蹴し、そろそろ始まる模擬戦に備え待つ。

 調べてた事、それは最初にはやて達と会った時に尋ねた『大筒木』の情報。あの時尋ねた時は彼女らは知らない様子だったが、アイツらが知らないだけでその痕跡は何処かにある可能性を捨てきれずにいた。

 だからティアナ達の訓練も手伝いたいがこちらの事も後回しにしていい問題ではない。だからここ数日は色々な所や人に尋ねたりして情報収集していた。

 今の所たいした収穫は得られてない。

 

「本当はスターズの模擬戦も私が引き受けようと思ったんだけどね。なのは、部屋に戻ってからもずっとモニターに向かいっぱなしなんだよ。訓練メニュー作ったり、ビデオで皆の陣形をチェックしたり…」

 

「あー、なのはもここんとこ訓練密度こい~からな。少し休ませねぇと。」

 

 なのはをよく知るフェイトとヴィーダが最近の彼女について話す。

 彼女らの話を聞いてるとなのはもある意味ティアナと同様に身体を休めていないようだ。

 

 身体を休めるのはとても大事な事だ。精神的疲労や肉体的疲労、生活環境的疲労など様々ある。そういった様々なストレスが掛かると、体の神経系・免疫系・内分泌系のシステムにひずみが生じ、細胞レベルではタンパク質や遺伝子に傷がつく。本来、人間にはそれを修復する能力が備わっているが、運動や作業を止めずに続けた場合や、過度のストレス状況に置かれた場合などには傷を修復することができないのだ。

 つまり、疲労は痛み・発熱と並んで、体の異常や変調を知らせる三大アラームの一つ。人間にとって必要な感覚なのだが、それを蔑ろにしてる奴もいる。

 身体を休まずにいると全身の痛み、神経伝達の異常、痺れだったり自律神経や精神の乱れ、場合によっては心筋梗塞や過労死だってある。

 

 なぜ俺がこんな事を少し知ってるのか、理由は単純。

 調べたからさ。ティアナやこいつらの為に。

 

 

 つまり今のティアナやなのはの身体の状態はあまり良くないということだ。肉体的な疲労は自覚しやすく、フェイトやヴィーダが気遣ってるところを見るとそこまで俺が気にする必要は感じないが、精神的な疲労というのは本人も含めて自覚しにくい。自分自身すら分かってない時があるのにそれを他人が察知するのは難しい。

 これが終わったら一度全員休暇を取る必要がある。はやてもはやてで心配だが、まずはこいつらの休暇を与えるように伝えておこう。

 

 模擬戦に再び集中する。正直今までの忍び世界での価値基準で見るとどれも優しいものだと感じる。例えば中忍試験の時は試験中に死ぬ忍だったり重症を負った奴だっていた。第7班で修行をしてた時だってこの世界にはないバリアジャケットや非殺傷設定なんてものはないなかでしてた。

 だからだろうか、今回の模擬戦はいつも見てた優しい感じがしない。まるでリスクを承知の上で突撃をしてるような、訓練というより喧嘩に近い感じだ。

 

「おかしいな。…二人とも、どうしちゃったのかな?がんばってるのは分かるけど、模擬戦は喧嘩じゃないんだよ。練習のときだけ言うこと聞いてる振りで、本番でこんな危険な無茶するんなら、練習の意味…ないじゃない。ちゃんとさ…。練習どおりやろうよ。ねぇ。私の言ってること…私の訓練…。そんなに間違ってる?」

 

「私は!もう、誰も傷つけたくないから!失くしたくないから!だから…っ、強くなりたいんです!!」

 

 なのはの静かに怒りを表して2人に言う。なるべく気持ちを落ち着かせようと自分に言い聞かせてるのか、それとも今まで我慢して抑えていた何かがキレてしまったのか。いずれにせよ、ああなった場合歯止めが効かない。

 ティアナはティアナで周りの環境や早く強くなって成長したい中、なのはの基礎ばかりの訓練に対し成長の実感が湧かない。そういう焦りと不満が高まり、気持ちが爆発してる。

 

 まるでナルトの急激な成長と自分自身の力があまり付かず焦りや不満で、あの病院の屋上でナルトと本気の喧嘩をしたあの日のようだ。

 

 今思えば、これがきっかけで俺たちの関係が変わった。俺は力を求め里を抜けた。

 

 

「少し……頭冷やそうか。

──── クロスファイア…シュート」

 

「うわぁぁぁぁあああ!ファントム・ブレイ───!?」

 

 

 お互いの攻撃魔法がぶつかり合おうとする。ティアナが放とうとした魔法は遠距離砲撃魔法の“ファントム・ブレイザー”

 だが放つ前になのはのクロスファイアが炸裂。死ぬことはないが、軽い衝撃波は当たり意識が飛ぶことはある。

 

 ティア!とスバルが彼女の無事かを確かめるかのように叫ぶ。煙が晴れ彼女の姿が見えるようになったが彼女はもう意識がない。ティアを助けようとするスバルをなのはが拘束魔法-バインド-を掛けそれを封じる。

 

「じっとして。よく見てなさい。」

 

 なのはは既に意識のない彼女に向かって先ほどのクロスファイアを一つに収束させ砲撃魔法のようにしてみせ、それを放とうとしてる。

 

「なのはさんっ!!」

 

 拘束されてるスバルが叫ぶ。だが彼女を止める事ができず、砲撃魔法と化したクロスファイアが放たれる。

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サスケ君…何してんの?」

 

 そこには片腕でティアナを抱えるサスケがいた。あの砲撃が当たる前にティアナを抱き抱えスバルが展開してるウィング・ロードに着地し砲撃を上手く交わしたのだ。

 

「既に彼女は意識がない。これ以上する意味がない。」

「何…?サスケ君も私の練習や訓練に文句があるの?言葉で伝えても分かってくれないから身体で覚え込ませないといけないじゃない。」

 

 スッとなのはがデバイスを俺に向けて構える。

 なのはもう冷静じゃない。彼女の為に止めに入ろうとしても彼女からしたら自分の邪魔をしてるとみなして攻撃する。

 憎しみを悲しみをただ周りに振り回してるだけ。

 

「分かり合えないからと対話を辞め、力を振るい分からせようとするのは、憎しみと恐怖を与える事になる。それはやがて大きな争いの元となり戦争になる。俺がいた世界のように。───────だが、そんなに憎しみをばら撒きたいなら俺だけにしろ。俺が相手だ。」

 

 抱き抱えてるティアナを今一番近いビルの屋上におろし、俺は地上に降りる。

 なのはも完全に狙いを俺に定めてるようで地上に降り立ったサスケを追うように地上から少し浮いた状態を維持しデバイスを構える。

 

 かつては憎しみと復讐の塊だったサスケは、今度は憎しみと復讐を断ち切る存在として、なのはの前に立ちはだかる。

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