魔法少女リリカルなのはStrikerS〜サスケ転移伝〜   作:我来也

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 生きてます。


第14話

 サスケが模擬戦に乱入したことによりフェイトやヴィーダ、そしてライトニング隊のエリオやキャロも驚きの声をあげる。

 

「あいつ!どういうつもりだ!?」

 

 サスケの勝手な行動を咎めようとヴィーダが通信を試みようとしたが、次元漂流者である彼に通信する手段はないことに気付き「クソっ」と悪態をつく。

 

  写輪眼でティアナの体内にあるチャクラ基、魔力を確認したが問題はなさそうだ。あれだけの攻撃を受けながら致命的な怪我はない。バリアジャケットがすごいのか、非殺傷設定のおかげなのか分からないが無事で何よりだ。

 

「サ、サスケさん…!」

「スバル、さっさとティアナを連れて行け。」

 

 は、はい!とスバルは急いで彼女を寝かせたビルの屋上へ向かった。スバルが彼女のところへ向かったのならきっと大丈夫だろう。そう判断し、なのはがいつ仕掛けてきても対処出来るように右眼を写輪眼に開眼する。

 

 なのはは顔を若干下へ傾けてるせいか表情が見えない。そんななのはが小さくそしてどこか悲しそうな声で自分のデバイスの名前を唱える。

 

「───フープバインド。」

 

 瞬間、輪っか状のバインドが俺の体を拘束する。先程スバルに対して同じように拘束してた魔法と一緒だ。

 “フープバインド”なのはが有するバインド魔法の一つで、近距離限定ではあるが、発動すれば瞬時に拘束できる。サスケとなのはの距離的にギリギリ発動しても問題ない距離だった為なのはは使用した。

 

「──っ!?」

 

 いくら写輪眼を持ち動体視力が良くてもそれを理解し瞬時に動くには多少のラグが掛かる。

 

「───ショートバスター」

 

 なのはが「砲撃魔導師」たらしめる誘導射撃魔法の“ディバインシューター”のバリエーションの1つ。近距離機動攻撃型の魔法で射程と威力をある程度犠牲にしてチャージタイムを短縮している。

 つまり確実に相手のサスケに当てる為の魔法の組み合わせをしている。

 

(このまま食らえばマズい。非殺傷設定にしてるとか関係なく無事では済まない。)

 

 神羅天征で自分の身の回りを全て斥力で弾き返しても良いが、次の術の発動までの最短5秒のインターバル中になのはが何か別の魔法でしてきたら対処は出来ない。

 かといって、封術吸印をして魔法の吸収を試みるのは得策ではない。“魔法”と“忍術”、“魔力”と“チャクラ”は似てるようで実際は違う。吸収は全く出来ない訳ではないだろう。だが全部を吸収は出来ないと思う。

 

 つまり、この状況で出来る選択肢は輪廻写輪眼の固有術の“天手力(アメノテジカラ)を使い自分と対象物の位置を瞬時に入れ替えるか、須佐能乎を展開し防御に専念するかの2択だ。

 目の前にショートバスターの砲撃が迫る中、サスケが選択したのは後者の須佐能乎だ。

 

 

 

 

「なのは!サスケ君!もうやめてっ!」

 

 フェイトが彼女らの戦闘を辞めさせようと声を上げるが、ヴィーダがそれを止めておけと止めに入る。

 

「あたしはなのはに賛成だ。ティアナもスバルもなのはの教導の意味を理解してねぇ。ここいらで一度体で教えてやった方がアイツらの為だ。」

「でも…!」

「───それにアイツ(サスケ)も勝手に訓練の邪魔だけに留まらず偉そうに説教をしようとしやがって。」

 

 ヴィーダがそう言い終えるとサスケになのはのショートバスターが炸裂したところだった。煙が立ち上がってるせいか、サスケの姿は見えない。

 流石に頭に血が昇ってる状態のなのはでも、特殊な能力者持ちの民間人とはいえ致命傷を与えてないギリギリの状態で抑えてるだろう。

 さてサスケの野郎はどうなってるかな?

 

「───っ!?あれは!?」

 

 

 

 

 

 

──── ────

 

 

 

 

 

 撃った。撃ってしまった。でも私は悪くない。間違ってなんかない。だってこのまま独善行動が過ぎれば、もしかしたら取り返しのつかないことになるかもしれないから。

 ショートバスターを直撃させた。死ぬことはないが無事ではないだろう。なんせバリアジャケットを彼は身につけてないから。

 直撃させ立ち上がった煙が徐々に消え、彼のシルエットが見え始める。

 すると、煙とは別に彼の周りには紫色の何かが纏ってるのが見えた。

 

「────っ!?」

 

 煙が完全に消え、彼の周りにまるで人間の肋骨のようなものが私の攻撃を守ってくれていたのだ。

 

(バインドで縛ってたのにそれを解くなんて…!それに威力は弱かったとはいえ、ショートバスターを直撃したのにびくともしてないなんて…!)

 

 速さを意識した魔法では対処出来ないなら速さではなく威力のある魔法を放とうと、なのははそう考える。どんな防御魔法でもそれを超える砲撃を当てると。

 

「なのは、こんな無駄な事はもう辞めろ。」

 

「無駄?無駄って何?」

 

 どうして?

 ティアナもスバルもサスケ君も何で?

 私が間違ってるの?誰かを傷付かない為に、守る為に色々教えてる事の何がダメなの?

 皆の為に私…頑張ってるのに…。

 苦しい…心が痛いよ…

 ねぇ…誰か助けて…。

 

 

 

 

「アクセルシューター」

 

 

 

 

 

 

 私はこのグチャグチャに混ざり合った気持ちを力でぶつけていく。

 私の周りに展開された幾つもの沢山の桃色をした魔力弾が様々な軌道を描き彼を狙っていく。

 『アクセルシューター』は誘導操作をして魔力弾をぶつけていく魔法だ。その為、威力よりも確実に相手にダメージを与える事に比重を置く魔法なのだが、それが彼女が使うと数も多い事ながら威力も申し分なく、サスケが千鳥を使って破壊したガジェット・ドローンも難なく破壊出来るほどだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ちっ、誘導弾か。厄介だな。

 

 

 

 

 目の前に迫る無数の魔力弾に若干顔を顰める。写輪眼であの魔力弾を観るに、あれはそれなりの魔力量と魔力の密度がある。ちょっとした『螺旋丸』のようなものだ。

 あの数を避けるより防御で防ぐ方が良いか。再び須佐能乎を展開する。ただし先ほどよりチャクラを放出し肋骨部位しか展開してなかったものが、徐々に骨格を形成し上半身の人型の骸骨が出来上がった。術者によってチャクラを放出し展開する須佐能乎の色や武器、顔付きが異なる。サスケの須佐能乎の色は闇そのものの色だ。暗い紫色で誰も一度は怖気ついてしまう程だ。

 

「ふーん、少しは本気になったってことかな?」

「俺はお前と闘う気はない。」

「なら、その禍々しいものは何?それは闘う為の力でしょ!?破壊する為の!レイジングハート!」

 

 

 なのはは、レイジングハートを構え魔力を生成していく。

 

(あの禍々しい魔力で作られたあの人形の骸骨、あれはサスケ君の周囲を展開しているから後方から不意打ちを狙おうが誘導して狙おうが意味がない。なら、威力重視の魔法で決める!)

 

 なのはの足元に魔法陣が展開されレイジングハートを頭上の空に一度上げサスケに向かって構え、これから発動する魔法の為か、カートリッジを4発ガチャガチャと消費していく。

 

 

 

 

「エクセリオンバスター!」

 

 

 

 

 

 

 放たれた砲撃魔法を見て、サスケは即時理解する。あれはマズイと。すぐに須佐能乎の形態を第3形態にし骸骨姿だったものが鎧を覆う形になり独特な形の弓と矢をチャクラで作りそれをクロスボウのように構える。そして紫色に揺らめいてる矢に黒い炎が覆い、黒炎の矢が出来た。

 

 

加具土命(かぐつち)

 

 

 サスケの右眼の万華鏡写輪眼に宿った瞳術。当たればその物体を燃やし尽くすまで消えない黒炎、炎すら燃やし尽くしてしまう左眼に宿った瞳術の“天照”を形態変化させコントロールする事ができる。先ほど述べたが、当たればその物体を燃やし尽くす天照の黒炎を自在に操ることができるという性質は脅威であり更に、須佐能乎の矢に加具土命を付加させることで威力に加え、天照の効果も入って来る。これでなのはの魔法に多少なりの抵抗になればとサスケは思う。

 

 

 

 

 

 

「炎遁・須佐能乎加具土命!」

 

 

 

 

 

 

 黒く炎える漆黒の矢を放ち砲撃とぶつかり合う。黒炎がぶつかり合ってる砲撃を燃やし尽くしていくが、なのはの砲撃が圧倒的に力で押していく。このままだと間も無くして砲撃がサスケに直撃する。サスケはすぐに次の手を打つ為に左眼を閉じチャクラを溜めスゥーっと赤い血が垂れ流れながらも術を発動する。

 

 

 

 

 

 

 

「───天照」

 

 

 

 

 

 

 かつて兄、イタチとの闘いで互いの豪火球をぶつけ合った際、威力の勝っていたサスケにイタチが天照で炎で炎を打ち消し対処してみせた。そのイタチのようにサスケも須佐能乎加具土命に加え天照でなのはの魔法を打ち消してみせた。

 

 

 

「───え?うそ…」

 

「なのは、この前話してた事覚えてるか?ティアナの事についてだ。彼女に対して色々言っていたが、お前まで彼女と同じように1人で何でも背負う必要はない。───昔、人の言葉に耳を貸さず1人で何でもしようとした男がいた───。」

 

 それは俺自身でもあるが、俺だけでなく、兄のイタチもそうだった。イタチは天才で優しい忍だった故に1人で何でもしようとした。頼れる存在のシスイを失い、里と一族のダブルスパイの板挟み状態になりどうすることも出来なかった。

 

「そんな孤高な男でも、慕ってくれる人がいた。だが男は慕ってくれるヤツに遠ざけるような事をしてきた。嘘をついたり、冷たい言葉を言ったりな。迷惑や巻き込みたくなかったのだろう。」

「…。」

 

 俺にサクラやカカシ、ナルトがいて俺がイタチを慕ってたように兄を想い続けた人だっていた。今のなのはにだって彼女の事を思い続ける友や仲間がいる。

 だが、話を聞けば休みがほとんどない中で夜遅くまで1人で仕事をしている。なのは1人でしなくても良い事を、迷惑をかけたくないのだろう。フェイトや他の仲間が声をかけても「大丈夫」の一言で済ませていたらしい。

 

「だが、どんな人でも1人で出来る事には限界がある。護りたかったモノも護れず、不信や疑惑、蟠り(わだかまり)といった残さなくて良いモノだけが男の周りには残った。」

 

 兄が護りたかったのは争いのない世界───。だが里と一族の争いを防ぐ事ができず、一族は俺を残して全滅した。

 俺は何も考えずただ復讐の事ばかり考え行動していた結果、一部の人にしか伝えてない里の代表『火影』になると言ったが誰1人耳を傾ける奴なんていなかった。まぁ当たり前だが誰も俺の言う『火影』とは何なのか聞こうとしなかった。

 

「なのは、俺はお前の事を完全には理解出来ない。お前も俺の事を分からないように、他人を理解し合う事は難しい事だ。」

「うん…。」

「だが、俺は今は思う。理解し合う事もだが、理解し合いたい、理解したい気持ちも大事なんだと。」

 

 似てるようで若干意味合いは違ってくる。『分かり合う』と『分かり合いたい』

 前者は(はらわた)を見せ合い相手が何を考えてるのか分かってること。だが、後者はそれが分からないがそれでも最後まで分かりたいという事。

 マダラが求めて来たものか、柱間がしてきたことか。の違いだ。

 

「なのは、お前はどうだ?ティアナのことどうしたいんだ?」

「私は…っ!」

「今なら、力ではなく話し合いで分かり、痛み合えるはずだ。不安なら俺も行くが。」

「ううん…。少し会いに行くの怖いけど、大丈夫。───あっ、この大丈夫は痩せ我慢の意味での大丈夫じゃないからね!?」

 

 長年の癖を改善していくのは難しいことだ。いくら頭の中で意識して行動しようとしても人間は常に楽を求めるもの。違う行動や考えより、今までの慣れて来た行動をしがちだ。今のなのはをみても心から大丈夫だと安心出来ない。気付かれない位置で見守ることにしよう。

 

「あぁ、分かった。ならこれでもう終わりだ。なのは俺の眼を見ろ。」

「え?────あっ…」

 

 なのはが俺の眼を見た瞬間、くらっとまるで貧血か何かで意識が飛んだように崩れ落ち、静かに眠っているなのはを抱き抱えてる。

 そう、なのはがショートバスターを撃つ瞬間に俺は写輪眼でなのはの眼を見て幻術をかけ己の位置を若干ずらした事でショートバスターの直撃は免れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはがショートバスターを放った後の光景はある意味印象に残っている。あの男はモロにくらって、くたばったと思っていた。けど、立ち込める煙が消えると男は何事もなかったかのように突っ立っていた。拘束魔法もいつのまにか解除されており、なのはが放った攻撃はどういう訳か彼のいた場所からずれた方向に向けて放っていた。

 あたしは当然驚いたさ。あんな魔法初心者がするミスなんてする訳ないからな。だがおかしい出来事はそこからだった。攻撃後のなのはは特に何かする訳でもなく、ただずっと立ち尽くしていたのだ。アイツと会話をしているわけでもなく、ただずっと虚空を見つめてるようなある種の瞳には何も映してない虚な目だった。

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