ブルーアーカイブRTA キャラ個別√   作:パプテマス・シロコ先生

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秤アツコ編11話

 

 

今日もまた物資の調達のため、内戦の跡地を探りに来ていた。

俺とミサキのコンビで動いている。ミサキはハンドガンを手に警戒し、俺は落ちている物資を拾っていた。

 

 

「こんなもんだろ」

「そう、なら離れるよ」

 

 

物資をあらかた集め終わり、リュックを背負って足早に立ち去る。ここに来るまでに少し暴れたため、敵の仲間が騒ぎを聞きつけて集まってくるまでに逃げる必要があった。

 

 

空き家に侵入し、内部で成果の確認をする。

 

 

「医療品が集まった、助かる」

「貴重品だから気をつけて運んでよ」

「分かってるって」

 

 

必要なものとそうでないものを簡単に仕分けする。

ただ、ほとんど持って帰る物だ。俺達は基本的にどの物資も不足している。

 

 

「よし、今日はさっさと帰るか」

「ちょっと待って」

「ん?」

 

 

さあ帰ろうとした時、ミサキが立ち塞がって制止した。

 

 

「まだ体力も銃弾もリュックも余裕がある。もう少し行かない?」

「あ、あぁ……構わんが」

 

 

確かにまだまだスタミナも残っているし、時間もある。もう少し欲張っても良い機会だろう。だが違和感を感じる。

 

 

「何? 何か文句あんの?」

「ミサキが積極案を出すの珍しいな」

「気のせい」

「語気強くね?」

 

 

やたら強く否定するミサキに少し不安を抱くが、俺はともかくミサキが他の皆を裏切ることはないだろう。一瞬浮かんだものを否定して、提案に乗ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「暴れすぎたな。一旦引くぞ!」

「わかった」

 

 

蓋を開けてみれば大成功だった。

物資は当初から2倍ほどに増えた、豊作だ。

 

 

やはりこういった現場での判断はミサキの方が優れている。サオリとミサキの司令塔2本立てによるコンビネーションは目を見張るものがある。メンタル的に隊長格はサオリの方だろうが、実力は決して劣っていない。

 

 

「遠出した甲斐があった。たくさん物資が集まった」

「良い囮だった。やるじゃん」

「それが役割だからな」

 

 

俺の役割は高いスピードに任せて前線を撹乱することだ。ミサキには横っ腹からクロスファイアしてもらっていた。

 

ただ、やはりハンドガンだと火力不足が目立つ。物資の目処が立てば、いつかロケットランチャーみたいな重火器を待ってもらってもいいかもしれない。

 

 

「よーし、流石にもう撤収するか」

「ちょっと待って」

「お、おう?」

 

 

流石に荷物もいっぱいなので帰還しようとした矢先、またしても引き止められる。

やはり今日のミサキはらしくない。どうしたのだろうか。

 

 

「流石にもう追加で戦えないぞ」

「あ、え、えっと……そうだデートしよう」

「なんて?」

 

 

なんて???

 

 

「ほら親睦を深めようと……ね?」

「変なもん食ったか?」

「炙るよ」

「ごめんなさい」

 

 

こんな事で炙られるのは勘弁願いたい。

俺の帰りを待つ家族がいるんです! この前義兄弟になったばかりですけど。

 

 

「やっぱり挙動不審だぞミサキ」

「そ、そそそそそんなことないし!?」

「もう答え合わせじゃん」

 

 

どうやら誤魔化すのが結構苦手らしい。ミサキの新しい一面を見た気がした。

 

しかしどういう事だろうか。悪意は感じないが、まるで()()()()されているような気がする。

 

 

「……帰るか」

「ああもう、これ以上は無理……頼むから終わっててよ」

 

 

ほんとに何の話!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拠点が静かすぎる。

 

 

あれから結構時間が経ったはずだが、サオリ・ヒヨリ・アツコの3人が戻ってきたような気配がない。

これまで感じたことのない不気味な気配に銃を握る。

 

 

「ミサキ、気をつけろ。何かおかしい」

「いや、違くて……」

 

 

ミサキの様子も気になるが、侵入者なら3人が危ないかもしれない。

地の利はあちらにある。ならば取れる手はやはり不意打ちだろう。

 

 

「トモル、頼みがあるんだけど」

「なんだ? 今はそれどころじゃ……」

「中に入る時、発砲しないでね」

「……マジ?」

 

 

何を言ってるんだミサキは。

中にいたのが侵入者なら、即刻発砲するべきだろう。

 

 

「いいから。今回は騙されておいて」

「………わかった」

 

 

何やらミサキは訳知りらしいが、話す気はなさそうだ。

悪意も感じないし、危険な状態ではないのかもしれない。ここは従っておこう。

 

 

「開けるぞ」

「うん。………言っとくけど私の案じゃないからね」

「怖いんだが???」

 

 

なんだか別の意味で不安を煽られつつ、俺は拠点の扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハッピーバースデー!!」」

「は………はっぴーばーすでい」

 

 

 

パーン!!

 

俺を出迎えたのは、クラッカーの破裂音であった。

 

 

 

 

「………へ?」

 

 

おもいがけない光景に思考が少し停止する。

 

正面にいたのはサオリ、ヒヨリ、アツコの3人。アツコとヒヨリがクラッカーを鳴らした後、少し遅れてサオリが慌てて自分のクラッカーを鳴らした。

 

 

「……ま、そういうことで。ハッピーバースデー」

 

 

背後のミサキも遅れてクラッカーを鳴らす。飛び出たリボンが頭に乗る。お前これわざとだろ。

 

部屋を見れば、いつしか拾った色紙で飾り付けがされている。テーブルには俺達の中では豪華な料理が並べられている。

 

 

視線を上に上げれば、大きな横断幕が目についた。

 

 

 

 

【アツコお姉ちゃん トモルお兄ちゃん 誕生日おめでとう!!】

 

 

 

誰が書いたか特定が容易で笑ってしまった。お前、アツコより年上だろう。

 

 

 

「トモル、私達の誕生日だよ」

 

 

アツコがしてやったりの表情でこちらに歩み寄ってくる。このサプライズ、どうやら俺だけが知らなかったようだ。

 

 

だがツッコミたいところがある。

 

 

 

「姫……俺達の誕生日って今日なのか?」

 

 

 

孤児として生きてきた俺と、ロイヤルブラッドとして隔離されたアツコ。

俺達は自分の誕生日を知らない。知らない、はずだ。

 

 

「そうだよ。私達は今日、生まれたの」

 

 

それでもアツコは胸を張って答えた。

 

 

 

 

 

「だって今日は、私達が出会って1年だから」

 

 

 

 

 

 

ああ、そうだ…

 

 

孤児として生きて、マダムのところで道具として働いて。

それでも俺は本当の意味で生きてはいなかった。

 

 

 

 

アツコがそう考えていたように。

俺が本当の意味で生まれたのは、生きる意味を見つけられたのは、アツコと出会った日だった。

 

 

 

 

 

「………ありがとう。姫、誕生日おめでとう」

 

「ふふ、ありがとう」

 

 

 

 

 

仏頂面ばかりのサオリはこういった事に慣れていないのか、事あるたびに恥ずかしそうに慌てていた。

 

ミサキは楽しんでいたろうに、それでも素直じゃないのか仕方がなさそうに笑っていた。

 

ヒヨリは調子に乗って、ここぞとばかりに皆に飛び込んで抱きついて甘えていた。

 

アツコはそんな皆の中に囲まれて、心の底から満面の笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

この日はこの上なく楽しくて、2度と忘れない最高の1日となった。

 

 

そして、この5人が集まって笑い合える最後の日となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某年 1月21日

 

 

内戦の終結により、マダムの名の下にアリウス自治区が統合された。

 

 

 

 

 





●今日のホモ君
ろうそくみたいにきれいだね!

●アツコ
1月20日、運命に出会った。

●ミサキ
時間稼ぎが下手すぎる。
それでも請け負う程度には信頼が芽生えている。

●サオリ
このイベント中ずっとポンコツだった。
部屋の隅に飾り付けになるはずだった色紙の残骸が安置されている。

●ヒヨリ
アツコ義姉ちゃんと書こうとして怒られた。
ステイ! まだ早い!

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