ブルーアーカイブRTA キャラ個別√   作:パプテマス・シロコ先生

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バカな、連続初投稿だと!? ありえん……!




秤アツコ編16話 エデン条約

 

 

 

アリウス自治区の中心地にある、巨大な大聖堂。

 

 

かつてアリウスの先祖が建設した大聖堂は、住民にとって大きな意味を持つ。紛争とアルカイック笑顔の絶えない職場であるアリウス自治区内でも、ここだけは中立の緩衝地帯として機能していた。

 

 

だが、それは以前までの話。

 

 

今の大聖堂は、アリウスを手中に収めたマダム・ベアトリーチェにより占拠された。

内装もまた、ベアトリーチェの好みに改装されている。大ステンドグラスも張り替えられた。趣味わっる

 

 

大聖堂の中にたたずむ赤い肌の女性。マダム・ベアトリーチェは扇子で口元を隠して、醜く嗤った。

 

 

 

「時は満ちました」

 

 

 

必要な情報は揃った。必要なものは揃った。戦力は未だ満足のいくものではないが、それもまたすぐに手に入る。

 

 

穂村トモル。己の腹心となった部下のもたらした情報により、目的のものが古聖堂の地下にあることが判明した。クーデターのための戦力として、スクワッドを中心とした部隊を地上に送り込んだ。

 

 

あとは待つだけだ。

 

 

 

「先生、と言いましたか。あなたにこの計画を止められますか?」

 

 

そう呟くベアトリーチェは、その実、微塵も計画の達成を疑っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫、支障はないか」

 

『良好』

 

 

サオリの問いかけにハンドサインで答えるアツコ。

アツコは今、マダムから授かった奇妙なマスクを装着しており、ハンドサインでの意思疎通を基本としていた。

 

 

今回のクーデター計画、要となるのが『ロイヤルブラッド』とされるアツコだと聞いている。だからこそ、マダムは一際、アツコの取り扱いに慎重である。このマスクも致命傷を防ぐ防具となるのだという。

 

 

「リーダー。こっちは問題ない」

 

 

索敵していたミサキが戻ってくる。グレネードを得意としていたトモルがスクワッドに加入しなかったことで、スクワッドは面制圧の手段に難を抱えていた。ミサキはスクワッドに不足していた面制圧力をカバーするため、メインウェポンをロケットランチャーに変更してある。

 

ミサキ自身は「アイツが勝手にフラフラするから…」と不満を隠そうともしなかったが。

 

 

「ああ……始まっちゃうんですね。痛くて苦しいんだろうなあ」

 

 

元から気弱なところがあったヒヨリは成長しても相変わらずであった。ヒヨリは本来、傷つくことも、傷つけることも嫌う。アリウスに生まれていなければ、きっと争いから程遠い生活をしていただろうに。

 

 

それでも、サオリ達はアリウスに生まれて、マダムの名のもとにクーデターを起こそうとしている。その善し悪しを判断することはない。彼女達はマダムの洗脳教育により、目的を遂行するための兵士となったのだから。

 

 

 

 

 

「揃ったか」

 

 

 

集合地点で待機していた、スクワッドをはじめとするクーデターの実働部隊。その前に現れたのは、白いコートを着た男性であった。

 

穂村トモル。アリウスの中で、トリニティにスパイを送り込む以前の数年前から地上に潜伏し、情報を集めていた諜報員である。

 

 

走者からホモ君という大変名誉な渾名で呼ばれているトモルは、スクワッドに一瞬だけ視線を送る。……だが、すぐに目を逸らして今後の動きの説明を続けた。

 

 

何を隠そう、これがスクワッドの皆との数年ぶりの再会である。ホモ君サイテー。

 

 

「以上だ。……これから地上の奴らは偽りの平穏を失い、我らと同じものを見るだろう」

 

 

 

「そして気付く。この世界は全てが虚無で構築され、もろく崩れ去るものなのだと」

 

 

「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」

 

 

「胸に刻め。そして奴らにも教えるのだ。我らの見たものを。我らの虚しさを」

 

 

 

「時刻だ。これより作戦を開始する」

 

 

 

 

 

トモルの号令により散開するアリウスの生徒達。

その中で、トモルとアツコの視線が交わる。

 

 

「…………」

 

『…………』

 

 

 

作戦は開始した。もはや雑談を交わす余地はない。

 

それでも何かを互いに感じているのか。二人はしばし見つめ合い、同時に逸らし、別々の方向へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脳が、脳が破壊されます。負け……?義妹キャラは負けヒロインなんですか……??」

 

「ヒヨリ、無駄口を叩くな」

 

「アイツ刺されればいいよ」

 

「ミサキ、お前まで……」

 

 

 

 

 

 

 

エデン条約の調印式。

 

 

トリニティ・ゲヘナの双方から、次々と主要人物が古聖堂に集まりつつある。

 

 

その景色がはるか遠めに見える高台。たたずむ白いコートの男と、それに追い縋る少女の姿があった。

 

 

 

 

「トモルさん! あのメールはどういう………」

 

 

阿慈谷ヒフミ。トモルとは一瞬邂逅しただけの存在だが、印象に残る出会い方と後のナギサ様御乱心事件により、よく覚えていた。

 

 

一度だけ邂逅した存在。ゆえに連絡先を交換したこともなかったが、何故か彼からメールが届いたのだ。

 

 

 

『知りたければ、指定する場所に来い』

 

 

 

ヒフミは自分では普通の女の子だと思っている一般通過覚悟ガンギマリ少女である。こんなメールが届いたなら確かめざるを得ない。

 

それに、自分が知りたいことについて、ヒフミには心当たりがあった。最近できた、大切な友人についてだ。

 

 

その確信を裏付けるように、トモルが羽織っていた白いコートに見覚えのある校章が刻まれていた。

 

 

「アリウス分校……」

 

「そうだ」

 

 

ヒフミの問いかけに答えたトモルが振り向く。元から「寂しそうな人」という印象を抱いていた瞳が、より一層強まっていた。

 

 

「阿慈谷ヒフミ。アズサと特に接触が濃い……友人とも言えるお前は、目にするべきだ」

 

「何を……」

 

「我らの孤独を。我らの虚無を。それが引き起こす因果応報を」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

遠目に見えた古聖堂は、凄まじい大爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……きゃあっ!?」

 

 

遅れて遠くまでも届く爆風が、ヒフミを揺らがせる。一般通過女子特有の体幹で耐えたヒフミは、突然の出来事に半ばパニックとなっていた。

 

 

「始まったか」

 

 

訳知り顔で見下ろすトモル。だが、彼よりも気がかりなことがヒフミにはあった。

 

 

 

「ナギサ様っ!! 先生!!」

 

 

古聖堂に集まっていたトリニティ生徒の中に、ヒフミと親交が深い生徒は少ない。多く動員された正義実現委員会に所属するコハルは現地配備ではなかったはずだ。

 

だが、桐藤ナギサはトリニティの中枢であるティーパーティーのメンバーである。そして、ヒフミの敬愛する先生もまた間違いなく、あの爆心地にいるはずなのだ。

 

 

 

 

「お前に何が出来る?」

 

 

だが、駆け出そうとしたヒフミに、トモルは銃を向けるという手段で引き留めた。

 

 

「トモルさん! どうして……!」

 

「あれを見ろ」

 

 

 

トモルが指差した先、瓦礫となった古聖堂。そちらに視線を向けたヒフミは、一般通過女子特有の視力で何が起きているのかを見た。

 

 

「な……何、あれ」

 

 

 

 

蹂躙が起きていた。

 

 

 

瓦礫の中から命からがらに立ち上がった生徒達。トリニティ・ゲヘナ双方に見境なく追撃を行う存在があった。

 

アリウス分校の生徒達。手際よく生徒達を排除する彼らを見て、今回の首謀者を察した。

 

 

だが、それとは別の異質な存在もあった。

 

 

 

青白い肌。シスターフッドを想起させる修道服を着たヒトガタ。

それらが武装して、周囲の生徒を見境なく襲っていたのだ。

 

 

 

一瞬シスターフッドを疑ってしまったが、そうではないと首を振って思い直す。よく見れば、あの謎のヒトガタ達はえっっっぐいハイレグを装備していた。清廉なシスターフッドがあのような格好をするはずがない。あれを堂々と着れるのはハナコくらいであろう。

 

 

 

 

「お前ひとりが向かったところで、蹂躙される者がひとり増えるだけだ」

 

「っ……」

 

 

 

トモルの言葉に足を止めるヒフミ。自分の戦力を一般通過女子並に計算しているヒフミは、自分が行ったところで何もならない事を悟った。

 

……それに、よく見たら戦闘の中に、キマリ顔ダブルショットガンでヒャッハーする某正義実現委員会会長の姿も一瞬見えた。彼らを信じて任せるしかないだろう。

 

 

ヒフミには、ここで他にやるべきことがあった。

 

 

 

「トモルさん!」

 

 

ヒフミは己の愛銃をトモルに向ける。此度の事件はアリウスによって引き起こされたものなのは明らか。ならば、目の前にいる男は敵なのだ。

 

 

 

 

 

 

古聖堂から離れた地にて、男と少女は銃を向け合って対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてこんなことを!」

 

「言ったはずだ。我らの虚無を知らしめるため」

 

「何を……」

 

「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』 全てはただ虚しいだけだ」

 

「理解できません……」

 

「因果応報だ。貴様ら地上の連中が、我らを闇に追いやった」

 

「今のみんなは貴方たちに何もしていません!」

 

「傷を受けたものは、それでは納得しない」

 

「だからって……」

 

「過去の振る舞いが時代を超えてやってきただけのこと。ミメシス、といったか……彼女達が我らの代弁者となるであろう」

 

「過去は未来を傷つけていい理由にはなりません! もっと他に方法が……」

 

「我らはこの道を選んだ。もはや変えることはできない。そのつもりもない」

 

「あなた達のやっていることはもっと多くの人を苦しめる!」

 

「それがどうした。全ては虚しい、そんなものは関係ない。俺達はそのつもりでここにいる」

 

 

 

 

 

 

「だったらどうして! あなたはそんな悲しい目をしているんですかっ!!」

 

 

 

「……なんだと」

 

「それは詭弁です、決して貴方の本心じゃない!」

 

「知ったようなことを」

 

「知りません! でもわかります、私なんかでも悟れるほどに悲しんでいるじゃないですか!*1

 

「……やはり厄介だな君は。だから声をかけた」

 

「なにを!」

 

「君もそうだが、この事態を目にしたら、あの子はきっと動くだろう」

 

「………アズサちゃんっ!!」

 

 

 

 

 

 

走り去るヒフミを、今度は引き止めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エデン条約編】

 

【第3話 わたしたちの物語】

 

 

 

下準備は全て終わりました。

 

ヒフミとの接触、アズサに提供した物資、マダムとのやりとり、etc...

 

これまでのフラグを回収して、この第3話を1日で終わらせます。

 

 

 

ホモ君の出番はありません。準備してきたことがちゃんと想定通りになるか、見守りましょう。

 

 

 

 

 

 

*1
一般通過女子特有の直感




●今日のホモ君
せっかくの再会を適当に済ます最低野郎。
その会話イベント、ロスだから仕方ないね。

●アツコ
視線だけで再会イベントを済ます正妻の貫禄を見せた。
まあ裏切りまで秒読みなんですけどね、初見さん。

●ヒフミ
自分のことを平凡女子だと思っている一般通過ギャングスタ。
レスバに見えてただの口喧嘩。内容はないようです。

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