ブルーアーカイブRTA キャラ個別√ 作:パプテマス・シロコ先生
仏の顔も三度まで
初投稿は四度まで
もっと早くこうすべきだった。
この事件は自分の甘さが招いた結果だ。
クーデター発生の知らせを知った時、アズサは後悔した。
アリウス自治区から出て、地上に来たことでアズサは色んな経験をした。
これまで灰色だった人生が色付いていくような、青天の霹靂のような、そんな体験だった。
目を閉じれば、空を彩る華の光景が目に浮かぶ。
だからこそ、アズサはアリウスの皆を止めることができなかったことを悔やんだ。
どんな手段にせよ、アリウスを止めることができたのは自分だったはずだ。それができなかったからこそ、今こうして多数の犠牲が生まれている。
『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』
雨が降る中、アズサは膝を抱えていた。
戦う準備はすぐに済んだ。地上の諜報員だった「穂村トモル」という人物から提供された物資は、今日を全力で戦うに十分な量であった。
今、こうして心の整理をしている。これからアズサが起こすのは、命のやり取りに足る死闘だからだ。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
いつもの言葉が自然と口から出る。耳にタコができるほどに聞いたフレーズ。マダムが好んで使っている教えだという。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
全ては虚しい。その言葉に、アズサとて異論はない。
アリウス自治区で生まれて、今まで過ごしてきた経験は、全てが虚しいという価値観と一致した。アズサとて、他のアリウスの住民と大差ない感覚を持っている。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
だが、アズサはこうも考える。
全てが虚しいからといって、それは抗わない理由にはならない、と。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
アズサは拳で抵抗する。全てが虚無に葬られることに異議を唱える。より良い未来に繋がるために死力を尽くす。
そう決断したのだ。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
そして、この戦いにみんなを連れていくことは出来ない。
これから行うのは血生臭い死闘だ。命のやり取りをすることを厭わない。
アリウスが止まらないのであれば、相打ちになってでも倒す。
四肢が曲がれても止まらない、不退転の決意。そこに皆を巻き込むわけにはいかない。
「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas.』」
ヒフミ、コハル、ハナコ、先生。
補習授業部を通して、たくさんの繋がりを得た。
日向を歩む皆は、そのまま綺麗でいてほしい。
血に汚れるのは、自分だけで十分だ。
そんな考えをしていたから、アズサは勘違いをしていた。
「見つけた、アズサちゃん」
アズサは気付けていなかった。
覚悟ガンギマリなのは、アズサだけではない。友達と花火を見るために戦車盗んで走り出すような一般通過女子が、そんな理屈で止まるわけがないのだ。
どっかのホモに焚き付けられたヒフミと、どっかのホモに提供してもらった武装で素早く準備を終えたアズサ。
二人はホモの導きにより、本来の運命であったはずの葛藤云々を飛び越えて、ずっと早く遭遇した。
「ヒフミ……? なぜ……」
雨の中、座り込んでいたアズサを見下ろすのはヒフミだった。
走り回っていたのだろうか。傘もささず、アズサと同じくらいびしょ濡れの状態だった。
「わたしたちを置いていくんですか?」
身体も心も冷えていた今だからこそ、アズサに言葉が強く突き刺さった。
「ち、違う!」
「何が違うんですか」
「私は! ヒフミ達を巻き込みたくなくて……私はヒフミ達に汚れて欲しくない!!」
図らず、心の底からの本音が飛び出す。
皆を頼るという選択肢がないわけではなかった。補習授業部はこれまで皆で力を合わせて、数々の困難を乗り越えてきた。今回だって、ただ協力してくれと言えば済む話だった。
だが、アズサはその選択をしなかった。皆には、暗闇を歩いて欲しくなかったから。こっちの世界に来て欲しくなかった。
そう、アズサは勘違いをしていた。
「アズサちゃん。……私も、謝らなければいけないことがあります」
「え?」
「私もアズサちゃんに隠し事してました。実は私……」
困惑してヒフミを見上げるアズサ。目の前に広がる光景を見て、更なる困惑をすることになる。
「覆面水着団のリーダー、ファウストなんです!!」
「えぇ……?」
ヒフミはいつの間にか「5」と書かれた紙袋を被っていた。
いや、その、雨降ってるけど大丈夫なのだろうか。よく見たら水を弾いている。わざわざ紙袋を防水加工したのか。
というか、ほのかにかおるたい焼きのような甘い香りは何なのだろうか。まさかたい焼きの紙袋ではないだろうか。*1
5って何だろう。1〜4までいるのか。というか、1番じゃなくて5番がリーダーなのか。
今、覆面水着団といったか。たしか天下のカイザーコーポレーション相手に喧嘩を売り、銀行強盗で凄まじい金額を奪い去った謎の凄腕アウトローじゃなかったか。
え、ヒフミが覆面水着団??? 嘘でしょう?????
「??????」
頭がバグりかけたアズサを差し置いて、ヒフミは紙袋を脱いで丁寧に畳んで、アズサに微笑みかけた。
「私は違う世界の住民なんかじゃないです。アズサちゃんと同じ世界に住んでいるんですよ」
「……!」
「こんな、えっと、あうとろー?な事に声かけしてくれないなんて、水臭いじゃないですか」
ヒフミはアズサに歩み寄る。次第に雨は晴れ、空には虹が浮かぶ。
「一緒に止めましょう」
「!!」
「私たちはひとりじゃ何も出来ない。けれど、ふたりなら。ふたりがダメなら3人なら。それでもダメならもっといっぱいの人と力を合わせるんです」
ヒフミは両手を広げて訴えかける。その背後には、複数の人影があった。
「青いと言われても、甘いと言われても構いません。わたしは皆揃ってハッピーエンドを目指すのを諦めません! それがわたしの……
「いや〜、我らがボスはいい事言うねえ」
「ボスの晴れ舞台ね! 協力するわよ!」
「ん。銀行強盗より簡単」
「ボスのためにも頑張りましょ〜⭐︎」
『私もサポートします!』
1〜4までの番号がふられた覆面4人と、通信越しの1人を合わせた謎の5人組が。
「ちょっとアズサ! なんで私達を呼んでくれないの!?」
「正義実現委員会とシスターフッドから、人員を借りてきました♡」
補習授業部。コハルとハナコは多数の戦力を引き連れて。
「先生の依頼だから。私は直接戦闘できないけど、風紀委員会からいくらか戦力を提供するわ」
トリニティとは仲が悪いはずの、ゲヘナの風紀委員会が。
【アズサ、無事だったんだね。良かった】
「先、生…」
襲撃から守られて、本来の運命とは異なり健在で、すぐに動くことができる先生が。
「行こう、アズサちゃん! みんなで乗り越えるんだ!」
そして、その中心にいた一般通過女子ヒフミが、アズサに向けて手を伸ばした。
「ああっ……!」
新たな決意と共に涙を拭い、アズサはヒフミの手を取った。
かくして、アリウス分校によるクーデターは「約4時間」という異例の速度で収束した。
●アズサ
アリウスの敗因その2
ヒフミの嫁。原作であったアツコを爆⭐︎殺したイベントがカットされたが、それはそれとして決戦時に爆⭐︎殺した。
今日もどこかでベアトリーチェ製マスクが割れる。
●ヒフミ
アリウスの敗因その3
アズサの嫁。基本原作通りに動くが、第3話については、干渉して焚き付けると覚悟ガンギマリ一般通過女子になって勝手に事態を進めてくれる。
●謎の覆面水着団リーダー ファウスト
密かに語られる伝説のアウトロー。
一体何谷ヒフミなんだ…