ブルーアーカイブRTA キャラ個別√ 作:パプテマス・シロコ先生
アリウス自治区内の中庭。かつてトモルが「花でいっぱいにしたい」といった場所。
ここにいた頃はいくらかの野花が咲いていたが、今は見る影もなかった。
「………」
先ほど、スクワッドが先生を連れて、自治区内に攻め込んできたと知らせがあった。アツコの救出のため、先生が手を貸したのだ。
先生。情報を聞くだけで、相当な影響力を持つ大人だと言う。だが、マダム・ベアトリーチェもまた大人であり、入念に戦略を整えてきた。先生ひとりが手を貸したところでどうにもならないだろう。
『ごめん、ね………トモル………』
「……煩い」
逃げれば良かったのに。何故こうも抗うのか。
一縷の奇跡にでも縋っているのか。それで全てを失うつもりなのか。
『ごめん、ね………トモル………』
「煩いッ!!」
声が耳から離れない。
それでもトモルは二丁のライフルを握り、ひとつの花もない中庭に立つ。
「……来い、スクワッド。せめて苦しまずに終わらせてやる」
◆
「来たか、サオリ。聖園ミカが追ってきただろうに、よく生きているものだ」
「……トモル。アツコを解放しろ」
「『全ては虚しい。何処までいこうとも、全てはただ虚しいだけだ』」
「……!」
「忘れた訳ではあるまい」
「……ああ、覚えている。忘れるはずがない」
「ならば何故抗う」
「ッ……!」
「あの子はロイヤルブラッドだ。生まれながらにして、こうなることを運命付けられている。あの子があの子である限り、マダムからは逃れられない」
「それが……どうした」
「定められた死だ。あの子はここで死ぬために生まれてきた」
「ふざけるな!!」
「ふざけているのはどちらだ! 貴様も分かっていたはずだ」
「……!」
「今までマダムの駒として動いてきた貴様らが、今更救おうなど、遅いんだよ何もかも!」
「ぐぅ…!?」
「分かった上での今だろうが!」
「それでも、それでも私は……」
「驕るな——!!」
「!?」
「何も出来ない貴様が、駒でしかない貴様らスクワッドが、なぜそちらに立っている? 何故、何故だ! 理解出来ん!」
「お前っ…!?」
「我々は大人に搾取されるだけの道具だ、我々もあの子も例外なく道具だ、あの子はここで消えるべきなんだ!」
「他でもない貴様がアツコを貶すな——!!」
「ッ!?」
「あの子の支えだった貴様が、誰よりもアツコの幸せを願った貴様がアツコを貶すなッ!!」
「な、にを……そうするしかないだろう!? 事情があった! 事情が……!」
「私はもう決めたぞ、信じると決めた!」
「それが全員をみすみす死に追いやる選択でもか!?」
「ああそれでもだ! 乗り越えると決めた!」
「貴様はその選択を未来永劫後悔するだろう——!!」
「後悔するのは貴様だ——!!」
「サオリぃぃぃぃ!!」
「トモルぅぅぅぅ!!」
◆
「ハァ、ハァ……!」
「…………負けた、か」
「ああ、私の勝ちだ……!」
「こんな、ことをしたって……」
「…………」
「結局、何も変わらない……」
「…………」
「【Vanitas vanitatum】……全ては虚しい、それだけだ」
「だったらそこで見ていろ」
「……!」
「永遠に続く諦観の中で、ただ揺蕩えばいい。私は……」
「…………」
「私も、まだ答えが見つからない。だが先へとたどり着いた者も居る」
「……アズサ、か」
「私は抗う。たとえその先に答えがなくとも、それは抗わない理由にはならない」
「……毒されたな、サオリ」
「まだ足りないくらいさ」
「馬鹿野郎、ばっかりだ……」
「そこで寝ていろ、トモル。お前の姫は私達が救う。お前が呑気に起きた時には全て元通りだ」
「はっ、口先ばかり達者になりやがって……」
「どの面さげろってんだよ……馬鹿野郎……」
◆
【かすんだ意識が浮上する】
【一体どれくらい眠っていたのだろうか】
お、暗転が解除されましたね。
無事にサオリに負けることが出来ました。後は先生達が何とかしてくれるでしょう。
だから、耐久を程々に留める必要が、あったんですね(メガトンコイン)
遠くから迫ってくるミメシスの群勢が見えます。あの気配でホモ君は目を覚ましたようですね。
どうやら物語も佳境のようです。今頃、先生とスクワッドはアツコを救う決戦を挑んでいることでしょう。
さて、ここから第3章終了まで短縮ポイントはありません。
まだホモ君はベアトリーチェ陣営なので、あのミメシスも敵対していません。
RTA的には、このまま放置してトイレ休憩なり出来る期間です。
ああ、皆さんの仰りたい事はよく分かります。
私もここはベアトリーチェ陣営で何周も試走してますから、気持ちはよ〜くわかります。
ミカァ!みたいにミメシスと戦わなくていいのか、ですよね?
でも此処は戦おうが戦うまいが短縮になりません。
貴重な休憩タイムですし、わざわざリスクを負う必要はありませんね。
ここでの戦闘結果次第ではホモ君が死亡し、再走になる可能性も十分にあります。もう走りたくない
じゃけんのんびり見守りましょうね〜
ほな、おやすみなさい。
▶︎銃を拾う
ホ モ は 嘘 つ き
ここで踏ん張らなきゃノンケの名が廃るよなあ!?
◆
俺は何をやっているのだろう。
アツコを裏切って
スクワッドの皆を裏切って
その志も完遂できずにサオリに負けて
そして今、こうしてまた立っている。
眼下に広がるユスティナ信徒の複製体ミメシスの群勢。恐らくマダムが召集したのだろう。凄まじい戦力だ。
コイツらが集まれば、例え先生がいれど消耗したスクワッドでは勝てないだろう。
俺は何がしたいんだろう。
俺は何がしたかったんだろう。
俺にとっての大事なものは何だ?
マダムへの忠誠か?
虚しい世界への諦観か?
スクワッドとの絆か?
アツコを裏切った罪悪感か?
どうして俺はミメシスの前に立ち塞がっている?
どうして俺は今こんなにも滾っている?
『これが
ああ、いや……違うな。そういうことか。
今わかった。俺は馬鹿だ。こんな簡単な事、今更気付くなんて。
「惚れた女ひとり守れねえ青春なんざクソッタレじゃねえか!!」
◆
『ふふ、へんなひと』
『むりだよそんなの』
『ありがとう、大事にする』
『どこにもいかないで』
『私、変わりたい』
『むー』
『きっと大丈夫だよ』
『みんなでずっと一緒に…』
『トモル、一緒にお風呂入ろう』
『いつかみんなであの場所に』
『美味しいね、トモル』
『怪我したらダメだからね』
『もう無茶しないで』
『この場所をお花でいっぱいに』
『ずっと一緒だよ』
『トモル』
『ごめん、ね………トモル………』
『私達………出会わない方が、良かったのかな………』
◆
朝日が昇るのが見えた。世界に変動はない。
(マダムは負けた、か)
つまりアツコは無事だ。そのことを認識した瞬間、どっと力が抜ける。
ほぼ瓦礫に埋まったような状態で身体が動かない。血を流しすぎたようだ、意識が薄まっていく。
(これでいい)
まるで奇跡のような展開だった。
ここ以外から侵入したミメシスはどうした?*1
聖女バルバラは間に合わなかったのか?*2
マダム本人も戦闘力を持っていたはずだが?*3
追ってきた聖園ミカはどうした?*4
主力のアリウススクワッドは消耗していたはずだが?*5
これら全てをクリアしてアツコを助け出したというのか。それはまるで
ああ、でも信頼できる。
あの人になら、アツコ達を任せられる。
サオリはリーダー面してるが、アツコよりも世間知らずだ。道筋を示してやってくれ。ほっといたらヘルメット団に入りそうな子だ。
ミサキは最初は冷たく見えるかもしれないが、この中で一番子供っぽいところがある。是非とも構い倒してやって欲しい。
ヒヨリは今まで苦しかった分、思う存分甘やかしてやってくれ。でも意外とすぐ調子に乗るから注意しろ。
アズサも最後まではっきり関わることはなかったが、あの子もスクワッドの家族だ。トリニティで救われたあの子にも苦難が降りかかるだろう、どうか最後まで見届けてやってくれ。
そしてアツコ、あの子を頼む。
俺が惚れ込んだ女だ。ああ見えて図太いししたたかだし、よくこっちを揶揄ってくるから気を付けてくれ。
俺は間違えた。けれど、貴方ならば大丈夫だろう、先生。
ああ、信頼できる大人ってのはこんなにも心強いのか。
心残りが一掃されてしまった。安心して眠れる。
ここで祈ろう。どうか皆の未来がなるべく幸せなものでありますように。
【エデン条約編】
【第4話 少年少女のすれ違い
ガッコン!
「も〜〜ソイツの事まだ許してないんだけど!でも先生の言う事は従っちゃうええーい☆」
聖園ミカ?何故ここに……が、瓦礫をぶん投げてる……
「ふんむむむむむむむ」
何やってんだアツコ…?
「あ、アツコ義姉ちゃん*6……お兄ちゃんをひとりで抱えるのは重いし苦しいですよ?」
「やってみなきゃ分からない。奇跡が起きるかも」
「安い奇跡もあったものだね…」
ミサキとヒヨリの声も聞こえる。
「無理をするな。片方の肩は抱えるから、そっち側は頼む」
「サッちゃん、この際だから言うけどやっぱり怪しい関係……」
「ど、泥棒猫!?!?」
「間女。第四夫人」
「あっふーん、そういう関係なんだ。やーいBSS女ー!」
「違っ!? そ、そういうのではないぞ!?」
アツコとサオリから肩を支えられる。
どうして皆がここに…
【まだ眠るには早いんじゃないかな】
先生、貴方の差金か。
【やるべき事……いや、やりたい事が残っているだろう?】
そう、だな……
俺はまだエンディングを迎えていない気がする。
【私達がついている。もう一度立ち上がってみないかい?】
そう、か。
俺が望むエンディングを迎えるために。
もう少し、頑張ってみようか。
●今日のホモ君
言えたじゃねえか……
●アツコ
この日を契機に「うるせー!!出会わなきゃ良かった訳ねーだろ!!」と言わんばかりの猛アタックが始まることを誰も知らない。
●謎のナレーション
ククッ、そうだ。それでいい。全て吐き出して楽になれ、今日という日を忘れるな。
お前のもっとも大切な物……それを祝う喜びをくれないか、曇り空の少年。
さあ――祝電を、贈ろうか。