綾小路シュガーレックス   作:チームメイト

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サバイバル試験を何だと思っている

「無人島か。しんどい試験になりそうだな」

 

 2年の夏休み前に実施される大型試験。無人島サバイバルの概要が発表された。

 さっそく一応まだリーダーらしき存在に位置している堀北と対応策を詰めていく。

 

 そろそろ堀北ってダメなんじゃねえの? ってクラスメイトも気づき始めているが、堀北がリーダーでそれなりの結果が出ているので、かろうじてリーダーという立場を維持していた。

 何より、こういうのは言い出した奴が、次のリーダーにされかねない。

 堀北がリーダーとしては微妙だったとしても、だからといってリーダーをやりたい奴がいるわけでもない。

 そして、クラスの誰もがこいつがリーダーだったら良いのにって思っているであろう平田は「堀北、リーダーやめろよ」とか言い出すようなキャラではない。

 よって、堀北しかリーダーがいないのが堀北クラスだ。

 

 松下リーダーやってくれ。

 今度また頼んでみるか。そろそろ松下も引き受けてくれるかもしれない。

 

 

 話を戻そう。

 

 無人島サバイバル。

 

 ルールに従って同学年で3人までグループを組むことが出来る。

 全学年合同の他学年のグループとも争わなければいけない試験で、学年別ではなく全体の所属するグループの順位によって報酬やペナルティーが与えられる。

 

 試験に影響を与えるカードがランダムで配備されるらしいが、これは実際に手に入ってから考えればいいか。

 

「クラスポイントにかかわってくるのは、上位と下位3グループだけ。多くのグループは影響しない」

「上位入賞を狙うしかないわ」

「だからといって弱いグループも作れない」

「下位5グループが退学と言うのは、厳しいわね」

 

 退学の条件が厳しい。

 一応、1人あたり100万のプライベートポイントを払えば退学を回避できるとはいえ、試験が始まった後のプライベートポイントの移行は認められていない。

 全員が退学を回避するポイントを事前に持つのは、堀北クラスには不可能だ。

 

 下位に沈みそうなグループの生徒には持たせておきたいが、堀北クラスはクラスでポイントの管理などをしていないため、各自で集めてもらうしかない。

 せいぜい呼びかけてみるくらいしかできないだろう。

 

「どんなグループを作るのか。上位を狙わず平均的にするのも手だが」

「3位までに手に入るポイントは大きい。狙わない手はないわね」

「3年に勝てるのか?」

「最初からあきらめてしまったら絶対に無理ね」

 

 なるほど、正論だ。

 

「あなたは真面目に挑むつもりはあるのかしら」

「やれるだけのことはやるつもりだが、ルール上ソロは厳しい」

 

 動きやすいのはソロだが、対応力はグループよりも劣る。

 グループを組むとなるとグループの相手次第となってしまう。

 

 他のクラスと組むことを考慮せずに考えれば、平田、オレにもう1人加えるのが最強グループとなるだろう。無人島サバイバルということで、サバイバルに強い池。体力に自信のある須藤。バランスの三宅あたりが候補か。

 

 幸村は頭脳面は申し分ないが、無人島サバイバルには向かないから無理だな。

 

「あなたと高円寺くんの2人なら1位を狙えると思うわ」

「無茶言うな」

 

 高円寺が言うことを聞くなら今まで苦労してないだろ。

 サバイバル試験は10日以上の長期にわたって行われる。グループは共同で生活することが求められるだろう。あの自由人に長期間振り回され続けるとか、きつすぎる。

 

「10日以上か。厳しい戦いだ」

 

 学校側はなんて試験を設けやがる。10日以上もTレックスをしないとか絶対に無理だ。

 Tレックスが破裂してしまう。大惨事だ。

 

 そんな失態をするわけにはいかない。

 

 となると、女子とグループを組んでこっそり処理してもらうしかないな。

 そのうえで上位を狙うとなると、松下やこの目の前の女が候補だ。

 

「堀北はどういうグループを考えているんだ」

「私はソロで挑むつもりよ」

「ソロ? トラブルが起きたらそれでアウトだ。やめておいた方がいい」

「せっかくのチャンスよ。活かさない手はないわ」

 

 堀北にとっては、誰かに足を引っ張られるよりもソロの方がやりやすいってことだろうか。

 協調性の無さは改善されてきたとはいえ、堀北はやっぱり堀北ってことか。

 

 そうなるとオレは、松下と2人で挑むことにするか。他のメンバーを入れてグループの平均を下げると上位を狙うのは厳しくなる。

 本当は櫛田あたりを入れたいが、誰とでも組んで結果の出せる櫛田は他のグループのサポートに回したいからな。

 

「厳しい試験にも前向きだな」

「そうね。将来のためになる良い試験だと思うわ」

「無人島サバイバルがか。どんな将来を思い描いてるんだ」

 

 精神力は鍛えられるかもしれないが、サバイバル経験が生きるような人生は送りたくない。

 

「あなたは将来をどう考えているの?」

「将来とか考えたこともない。普通に大学に進んで、就職して、働くんじゃないか」

 

 卒業後は、とりあえず大学進学を希望しておこう。学部とかはおいおい考えていけばいい。

 

 そんな普通の未来があればいいんだが、オレの場合はホワイトルーム関係から完全に逃れられたわけではない。結局は、どんな未来を希望しようが、余計な力に邪魔されかねないわけで、考えるだけ無駄とまでは言わないが、積極的に考える気にはまだなれない。

 

 そんなものを考える暇があれば、高校生活を楽しむことに集中したい。

  

「綾小路くん。あなたの将来は、オーストラリアに白くてとてもきれいで静かな家を建てるのよ」

「やけに具体的過ぎる」

 

 決まっているのかよ。

 

「広い庭を持つ素敵な家よ」

 

 それがどうしたっていうんだろうか。

 まあ、堀北の思い描くオレの未来像ってやつを聞くのも面白い。

 

「犬小屋を用意してくれればありがたいのだけれど、そこまでは望まないわ。テントを張らせてもらえれば十分よ」

「ん?」

 

 今なんか変な方向に向かわなかったか。

 

「ペットには、それに相応しい生活があるってことね。そのためになら私は頑張るわ」

「それは頑張らなくていい」

 

 櫛田家の庭でテント暮らしをする堀北とか、それはペットじゃなくて害獣だ。

 櫛田が夜中にテントに放火しかねない。

 

「サバイバル試験は良い経験になるわね」

「お前、サバイバル試験を何だと思っているんだ」

「ペット生活の練習よ」

 

 言い切りやがった。微妙にどや顔なのがイラっとする。

 

 クラスの上位を狙うのはどこいった。

 いや、堀北ならソロでも戦えるのは間違いないだろうから、堀北がソロと言うのは作戦としては有りだ。そこまで計算済みだと余計に腹立たしい。怒るに怒れない。

 

 無人島でのサバイバルを将来のペット生活に活かそうとするな。

 つーか、そもそもペットになるな。

 

 かくなる上は、オレが堀北と松下と組むしかないな。

 こいつを放置するのは危険すぎる。

 

 とりあえず立場を分からせよう。

 

「鈴音」

「ご主人様」

 

「お前は放置」

 

 Tレックスなんかしてやらない。

 

 それで喜ぶのがイラっとするけどな。

 

 サバイバル試験中は、クラスのリーダーの松下と楽しもう。

 もう松下がリーダーだ。それで行こう。

 

 続かない。




続くのならBL18禁に移行します。
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