ターフ・アドベンチャー   作:桂馬@ルキト

1 / 2
第1章 始まりの風

私は、薄暗い洞窟の中にいた。

洞窟の奥からは光が漏れていた。

そこには、黄金に輝く一本のヤリが台座に突き刺さっていた。

私はそのヤリを、おそるおそる台座から引き抜いた。

すると、ヤリはまばゆい光を放ち、私は目を開けていられなくなった。

徐々にその光は暗くなっていき、最後には光は完全に消えてしまった。

やっと目を開けられるようになって、しばらくぼんやりとヤリを眺めていると、突然、ギロリ!とヤリがこちらに目を向けてきた!

思わず、「わっ!」と驚いて手がすべる。

が、ヤリは落ちずにフワリと宙に浮いた。

私があっけにとられていると、宙に浮かんだヤリが突然、柄の部分で私の頭を ぽかっ!と殴った。

殴られたせいで頭がクラクラする。…なぜ…この洞窟に来たのか⋯

…このヤリは一体…?

 

──シワイ島。 ここが私の住んでいる島だ。

その片隅にある小さな村。カラス村。

そこで毎日魚を釣ったり、夜になったら星を数えたりして、自由気ままに暮らしていた。

 

だが、今日は私にとって、最も重要な日だ。

なぜなら、今日は「チキン大食いレース」の日。

この「チキン大食いレース」とは、その名の通り骨付きチキンをたくさん食べた者の勝ち!という、いたってシンプルな遊び。

しかし、私たち10代の若者たちにとっては、真剣勝負の「決闘」なのだ。

今日こそは、長年負け続けているライバル、ボルトに勝つ!

今までのアイツの最高記録は80皿、私の最高記録は73皿⋯

でも今日は、絶対にアイツに勝ってみせる!私は気合いを入れた。

いつもの食堂に、観客たちが集まってガヤガヤと騒ぎ出した。

私もウズウズと血が騒ぎ始めた。

 

「始め!」というシェフの合図と共に、「チキン大食いレース」が始まった。やはりアイツの食べるスピードは早い!他の参加者をぶっちぎりで追い抜き、あっという間に30皿40皿と平らげていく。

それに比べて、私はまだ15皿だ⋯もはや格が違う⋯

この食堂で作られる骨付きチキンは、とても美味しくて大好きだ。

だけど、何本か食べ進むと、油のギトギト感にやられて、胃がはち切れそうになってくる。

気がつくと、他の参加者と大差をつけたアイツは90皿という大記録を出していた。勝負はついた。

結局、私は75皿でギブアップ⋯完敗だ⋯

「これで113連勝!でもって、記録も更新しちまったぜ!」

アイツの得意げなヒーローインタビューが聞こえてくる。

私はため息をついて、食堂を後にした。

アイツに負けた事と、骨付きチキンの胃もたれとで気分は最悪。

その時、たまたま通りがかった薄暗い洞窟の奥から、光が漏れ出していて、私は導かれるように、洞窟の奥へと足を踏み入れた。

 

薄暗い洞窟の奥へ奥へと進んでいくと、そこには綺麗な装飾のされた1本のヤリが台座に突き刺さっていた。

私はそのヤリをおそるおそる台座から引き抜いた。

すると、ヤリはまばゆい光を放ち、私は目を開けている事が出来なくなった。

やがて、徐々にその光は弱まり、最後には完全に消えてしまった。

やっと目が開けられるようになり、しばらくぼんやりとヤリを眺めていると、唐突に装飾だと思っていた部分が開き、ギョロっとした目玉が私を睨みつけてきた!

私は「わっ!?」と驚いて手が滑り、思わずヤリを放り出してしまう。

瞬間、ヤリは落ちる事なく宙にとどまり、ますます私は驚いた。

 

私があっけに取られていると、ヤリが宙を滑り、柄の部分で私の頭を ぽかっ!と叩いた。

「うかつに触るな!ヒヨっ子が!!」

ヤリが動いて、喋っている!私は夢でも見ているのだろうか?

⋯いや、夢じゃない⋯叩かれた頭の痛みが、そう訴えている。

 

黄金のヤリが宙に浮き、喋っている、しかも睨みつける視線はヤリのように鋭い。ヤリだけに⋯

黄金のヤリは

「キサマの名はなんと言う?名乗れ!」

と、えらく横柄な態度で言い放った。

私は少し考えたが、戸惑っていても仕方がない。ひとつ大きく深呼吸をすると、私はこのナマイキなヤリに言い返した。

「私の名はターフ。ターフ・ザ・ジャッカルだ!」

ヤリは上から下まで私をジロジロと見ながら

「オレ様はアヌーだ。見たところオマエは⋯お、女!?⋯」

私が女だからなんだと言うのだ、そんな事は見ればわかるだろう。女で悪かったな。

 

これが、私とアヌーとの出会い。

この出会いが、全ての始まりだった。

 




初投稿です。
感想よろしくお願いします!
なるべく批判は優しめにしてもらえると⋯( ;꒳; )
次回もお楽しみに!

【次回予告】
「第2章 災いの杖」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。