仮面ライダーO   作:墓脇理世

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第7話「走る『亀裂』、黒騎士の名は」

「オラ、さっさと退け有象無象!死にたくねぇならなァ!」

 OOが槍を振るう。その一振りで、無数の怪人が薙ぎ払われる。

「どれだけ頭数揃えようと、質が悪けりゃ何の意味も持たねぇってママに教わんなかったかァ!?」

 風を操り、上昇気流を発生させるOO。浮き上がった相手に、必殺技を叩き込む。

『Material Attack! Spiral Pierce!』

 回転する空気の刃が怪人を裂く。しかしその中からは何も出てくることはなく……

「にゃるほど、相手が人間じゃにゃいなら本気でいけるゾ☆」

「あっコラ!抜け駆けは許しまへんで奈菜々サン!」

 執行衛兵第六六支部が誇る二人の戦闘狂が、前線に躍り出る。

「ほ〜らほら、余所見してると体のアナが増えちゃうゾ☆」

 地面から生えた無数の槍が、怪人たちを貫く。

「いくにゃ〜ぶぶ漬けお化け!ちょっとだけ手ぇ貸してあげるにゃ!」

「おおきにな奈菜々サン!爆ぜてまえザコども!」

 奈菜々が出現させた土のスロープを通り、怪人たちに謎の金属片を刺す右月。

「ファイア!」

 右月が指を鳴らすと、怪人たちに突き刺さった金属片が爆発し、怪人たちを消しとばした。

「さて、そこで偉そうに踏ん反り返ってるそこのあなた。あなたがアレを呼び出したことは割れています。投降するか叩き潰されるか、選びなさい」

 


 

『投降するのもボコられるのもや〜だよっ!べぇっ!』

 裏で怪人たちを率いていた狐のような怪人──フォックス・シャトランは嗤い、遠山に飛びかかる。

『死ねっ!風紀委員長!』

「生憎、こんなところで死ぬ気はありませんよ」

 遠山は首元のペンダントに触れ、呟いた。

「……武装、限定解除」

 ペンダントは籠手へと形を変え、瞬時に遠山の腕に装着される。

 遠山は、迫り来るフォックスに一撃、パンチを加えノックバックさせた。

「痛ッ……流石に反動が馬鹿になりませんね」

 ズキズキと痛む右手を抑え、遠山は言った。

『うぇ〜痛ったいな〜何してくれるのさ〜!』

「のこのこと出てきた自分の間抜けを恨みなさい、狐」

『む〜!ちょっとボクを馬鹿にしてるでしょ〜!』

「いえ、そんなことはありませんよ?貴方のような直情バカほど簡単に倒せそうだなと思っただけで」

『それを馬鹿にしてるって言うんだけど〜!?も〜怒ったからな、後悔しても知らないぞ〜!!』

 フォックスは高く飛び、遠山の心臓を貫こうとする。しかしそれは、突如現れた緑色の光に遮られた。

『も〜!!仲間にやらせるなんて卑怯だぞ〜!!正々堂々と勝負しろ〜!!』

「卑怯も何もありませんよ、正義を執行するためなら、ね」

「おい委員長それ悪役の台詞じゃねえのか」

 槍を振り下ろし、OOは呆れたような笑みを浮かべる。

「まぁ、僕も同感ですけど、ねっ!」

『げぇっ!そんなもの振り回して危ないだろ〜!?』

「知らねぇよカスが、恨むなら怪人の力に手を出した自分でも恨むんだな」

 OOの槍がフォックスの腕を貫く。

『うッ……!あッ、あァ……ッ!てめぇ、ぶっ殺……ッ!』

「できることだけ口にしろよ……なんて、自分にできないことを他人に望むのは酷か」

 OOは、半狂乱に陥ったフォックスの拳を素早い挙動で躱し、槍の穂先に指を添える。

「僕にはテメェみてぇな雑魚相手に立ち止まってる暇はねぇんだよ」

 そして、ベルトのレバーを倒す。

「懲罰房で大人しくしてろクソ野郎」

『Material Finish! Spin-Strike!』

 投擲された槍が放つ風は、怪人の体を浮き上げさせた。そして、OOの両脚にエネルギーが収束する。弧を描きながら空中のフォックスにキックを叩き込むと、同時に爆発があった。

「……あーあ、絶対バレたくなかったんだけどな」

「どういうことですか……」

 怪人の殻から転がり出てきた少年を見て、遠山は声を震わせる。

「なぜあなたが、執行衛兵であるあなたが怪人の力などに手を……ッ!」

「言いたくないんだけど、言わなきゃ駄目なの?」

 少年は淡々と紡ぐ。先程までの舞い上がった様子など、微塵も感じさせない。

「私を挑発するのも大概に……ッ!」

「はいはいストップストーップ。今はとっ捕まえて懲罰房にぶち込むのが先でしょうが、トップが暴走してどうすんですか」

 遠山は額を抑えながら頭を軽く下げる。

「失礼しました……結城ヒナタ、怪人事件の現行犯で確保します」

 


 

「それで?ボクを拘束して何をするつもり?言っておくけど、ボクのような少女(おとめ)の貞操は世界の命運よりもずっとずっと重いんだよ?」

「少女、ねぇ……テメェ、男のくせに何言っ……」

「違うッ!ボクは女だ、どいつもこいつもボクを男だとか言いやがってッ!」

 結城は突然に声を荒げた。

「あぁ?いや待て、お前はずっと……」

「なんやワケありみたいどすなぁ、黒薙はんは下がっとってくださいね」

 そこに、下総が現れる。

「尋問は僕ら『スプレー』のお仕事やさかい……後は任せとき」

「……まぁ、専門外の仕事しても状況悪くするだけだしな。後は任せたよ」

 下総の肩を叩き、黒薙は懲罰房を後にした。

「ほな、楽しい楽しい拷問のお時間どすえ」

 

「うにゃ〜っ、あんなに暴れたの久しぶりだから流石に疲れたんだゾ☆」

「ケロッとした顔で何言ってるんですか奈菜々ちゃん……しかし、なんですかあの燃費の悪いシステム」

「作ったのは委員長だにゃ〜……しっかしひどい腫れっぷりだにゃ〜」

 風紀委員室には、赤く腫れた右腕を抑える遠山と、そこに氷を押し当てる奈菜々がいた。

「確かに怪人を怯ませる程度の力はありましたが、反動が大きすぎます……改善点として深く受け止めましょう」

「仕事熱心で真面目だにゃ〜委員長、ただ委員長……野乃々から連絡が来たんだけど」

 声のトーンを一段落として、奈菜々は言った。

「そのライダーシステムを量産できるだけの形状記憶合金νを確保できないらしいにゃ〜、さてどうするかにゃ?」

「………………本当に、どうしましょうかね。正直に言うと、こうして平静を装うのがやっとなのだけど」

「装えてない装えてない、敬語崩れてるぞ委員長」

 茶々を入れるように黒薙が割って入る。

「黒薙くんのドライバーの仕組みさえわかれば後は何とかなるんですけどね」

「……まぁ、無能力者の僕が使えてる時点でホルスとかは関係ないはずですしね」

「そうなのよね……表面はそれほど特殊な素材を使っているわけでもないし……中身さえ解析できれば……」

 遠山は顎に手を当て、小さい声で早口で呟き始めた。

「だ〜もうアホ委員長〜!今そんなことやってる場合じゃないにゃ〜!!」

 そんな遠山の首に、奈菜々は強烈な手刀を叩き込む。

「はっ!……奈菜々ちゃん、あとでお説教してあげますから覚悟しておいてくださいね」

「別に説教は構わにゃいけど今あたしらがすべきことはそんなことじゃないにゃ」

 ふわぁ、とあくびをしながら奈菜々は言った。

「それで黒薙〜、あたしらを呼んで話がしたいってどういうコトかにゃ〜?」

 結城を確保した後、黒薙は遠山、奈菜々、下総の三人を呼び出していた。

「……そうだな、拷問モード入った時点であいつが戻ってくるまではしばらくかかりそうだし下総には後から伝えとけばいいか」

 一息つき、黒薙は話す。

「アレだ、僕のパチモンいるでしょう、あの黒いやつ」

「確かにいますが……それがどうかしましたか?」

「僕の予想が当たってさえいればなんですけど、多分、アイツの正体は……」

 そう思い至った経緯を、黒薙は説明した。

「……ま、疑わしきを追求するのがあたしらの仕事だけどにゃ〜、黒薙はどうしたいのかにゃ?」

「それが、次に怪人が出たとき、敢えてレーツェルちゃんにだけ情報を送らないってのしか浮かばねぇんだわ」

 黒薙の発言に遠山は噴き出した。

「……ごめんなさい黒薙くん、あなたよく馬鹿って言われるでしょう?」

「馬鹿で悪かったっすね馬鹿で。つっても特に他浮かばねーんだよな……」

「そもそもあたしはさっきも言った通りだし……その策、あたしはいいと思うゾ☆」

 奈菜々が言った。

「正気ですか?……まぁ、私も別に構いませんが、ただひとつだけ約束してください」

「何をです?」

「黒いOOが現れたならば、どんな手を使っても撃破、確保しなさい。できなければ相応の代価を支払ってもらう」

 遠山は鋭い目をさらに細めて口にした。

「そのためならば多少の無理は許します、地面をくり抜いたりしても賠償金は私が払う」

「おやおや〜?あの委員長が珍しく太っ腹ですにゃあ?」

「……正直、私は彼女を信じたいです。嘘にせよ真にせよ、不安の種は一つでも少ないに越したことはありませんし」

 目を伏せながら遠山は言う。

「で、話は以上かにゃ〜?ならあたしは帰らせてもらうゾ☆」

 


 

 黒薙らが風紀委員室で話していた裏で、菱杖は有栖川の病室を訪ねていた。

「……あっ、なんだ先生っすか。先生はこういうのなかなか来ないものと思ってたっす」

「手厳しいですね有栖川さん。誰だって仲間が傷つくのは悲しいものですよ」

「そうっすか?自分は割とその辺りは気にしないっすけど」

「口ではなんとでも言えますよ有栖川さん。黒薙くんが負傷した際にあれだけ慌てふためいておいてその言葉は無理があるかと」

 菱杖の言葉に有栖川は息を吐いた。

「……で、どうしてここまで来たんすか?自分が思うに、先生は悲しいとかの感情で見舞いに行くタイプじゃないはずっすけど」

「バレましたか……実は妹がここに入院していましてね。妹の様子を見るついでに、と思って立ち寄ってみただけです」

「正直っすね……妹さんは何か病気とかされてるんすか?」

 有栖川の問いに、菱杖は露骨に顔をしかめながら、

「……2年前、色々とありましてね。昔話は嫌いなのでこれ以上は語りませんが」

「そっすか。人の嫌がることをするのは本意じゃないので自分もこれ以上の追求は避けておくっすよ」

 二人の間に沈黙が訪れる。

(やっべ、めちゃくちゃ気まずいんすけど……もしかして自分、選択肢間違えたんじゃ……)

 最中、不意に菱杖が口が開いた。

「……そうですね。有栖川さん、今一番したいことだとか欲しいものだとかはありますか?」

「いや、特にないっすけど……」

「そうですか……無欲なんですねぇ有栖川さんは。もう少し欲を持った方がいい」

「そう言われてもっすね……自分は必要最低限のものさえあれば十分なんすよね、自分の知り合いならいくらでも答えるでしょうけど」

 その言葉を聞き、菱杖は有栖川に背を向けた。

「では、また。早く怪我を治して復帰してくださいね」

「言われなくてもさっさと治すっすよ」

 

(えぇ、えぇ。何を焦っているのですか菱杖透流。あんな小娘に心を乱されるなど……ましてや、怒りを覚えるなど、あってはならない)

 菱杖は壁を蹴ろうとして、ここが病院であることを思い出して足を引っ込めた。

(ワタシはもう決めたのです……妹をあんなにした下衆をこの手で殺すと)

 歩いているうちに、ある病室に辿り着いた。

(そのために手段は選ぶなと言ったろう……躊躇うな、菱杖透流)

 病室のネームプレートに記された名は、早瀬ジュン。持病で執行衛兵の活動を休んでいるという少年だ。

「……やぁ早瀬くん。貴方の望みを叶えてあげに来ましたよ」

 


 

「……ですから〜、鉛直上向きに初速を与えた場合は真逆に鉛直上方投射となるわけですね〜」

 水削が話すのを、黒薙は半分眠りながら聞いていた。

「……では問3の答えを黒薙くん、教科書を閉じて答えてくださいね〜」

「ふぁ〜……あァ!?」

「どうしましたか〜?勿論解けているから寝ていたんですよね〜?」

「いや分かるには分かるんですけどちょっと待ってください!」

「はい待ちますよ〜、さ〜ん、に〜い、い〜ち……」

 焦燥に駆られ、まともな思考ができなくなる黒薙。そこに助け舟を出すかのように、黒薙の懐の携帯が震える。

「すいません先生!お仕事入ったんで失礼します!!」

「あっ待ちなさい黒薙く〜ん!……行ってしまいました〜」

 爆速で駆けていく黒薙。

「……アイツ、ほんとに何やってんのよ」

 亜矢の呟きは、黒薙の足音にかき消された。

 

 黒薙のバイクが、執行衛兵の装甲車に追いつく。怪人が現れたという場所に到着し、武装を固めて執行衛兵たちは降り立つ。

「さ〜て、どっこにい〜るの〜かにゃ〜あ?」

「お元気がよろしいようで、奈菜々サン。バトりたいちゅうんはよう分かりますが」

「にゃっはは、下総だって足バタバタ動かして落ち着きも説得力もないゾ☆」

「そら言わへんお約束やで奈菜々サン、強いヤツを前に興奮しいひん方がおかしいわ」

 二人の戦闘狂は執行衛兵にあるまじき笑みを浮かべる。

「……いたぞ、アイツか」

 黒薙は目を凝らし、マンションのベランダから何かを探している怪人の動きを見た。

『あぁもう面倒臭ぇ、全部殺しちゃダメなのか』

 怪人は振り返り、手元の巨大な武器をマンションの中に向けた。

「アレはマズい……!被害が出る前に引きずり出さねぇと……!」

 ベルトを巻き付け、黒薙は叫ぶ。

「僕が怪人を引きつけてる間に住民の避難を頼む!変身ッ!」

『The Wind Fluttering! Spin-OO!』

 緑色の鎧を身に纏い、風に乗ってベランダに飛び込む。

「オラオラこっちだ掃除機野郎!」

『……仮面ライダーか。お前の相手してる暇ないんだが』

「安心しろ、僕も前座のお前に手こずってやれるほど時間的余裕ねぇから」

『……前座、か。舐められたもんだ』

 掃除機のような武器を手にした怪人──バキューム・シャトランの注意を引きつけるべく、OOは挑発を繰り返す。

「オラ来いよ雑魚……あぁ悪い、小物専門の掃除機じゃ大物は吸い込めねぇか」

『……言ったな、お前の命まで全て吸い尽くしてやる』

「いいじゃねぇか、最も……」

 バキュームの懐に潜り込み、槍を構えて言った。

「……お前みたいな粗大ゴミにンな大それたことができるなら、の話だが」

 バキュームは咄嗟の判断で腕を振るう。OOはバキュームの持つ武器の先端を掴み、後方に放り投げた。

「オラ、隙だらけだ間抜け!」

 落下するバキュームのバックルを狙い、OOは槍を突きつける。

『……隙だらけなのはお前だよ、ホコリ野郎』

 バキュームは武器をOOに向けると、そのまま引き金を引いた。周囲の空気を吸い込み、OOを飲み込もうとする。

「ぐっ、なんだコレは……なんて言わねぇぞ間抜け」

 掃除機のような武器に吸い込まれながらも、OOは不敵な笑みを崩さない。仮面で隠していては、その様子は伝わらないが。

「お前がブッ飛ばされた時点でもう勝負はついてんだよ」

 OOは槍を手放すと、どこからか銃を取り出して、

「愉快に爽快に理解しろ、クソ野郎。この手の武器は今使ってる鍵以外も使えるらしい」

 腰のホルダーから抜いたマテリアキーを銃にセットする。挿入されたマテリアキーは、メタル。

『Material Finish! Oblivion Metal Blast!』

 胸のディスクから供給されるエネルギーが全て銃に収束し、鋼鉄のごとく重々しい一撃を叩きこむ。

 爆風とともにバキュームの装甲は剥がれ、中からはまたもや見知った顔の少年が現れた。

 


 

「……ったく、執行衛兵が二人も何やってやがる、ここまでくるとキレることすら煩わしくなるぞ。結城に早瀬……まさか、テメェらが怪人の力なんかに手を出すとはな」

 ベルトからマテリアキーを抜き、怪人だった少年を省みて黒薙は言った。

「えぇ〜もう終わっちゃったのかにゃ〜!?あたしまだ一個も暴れられてにゃいんだけど〜!?」

 黒薙は地団駄を踏む奈菜々を振り返る。すると、そのはるか後方に黒い影を見つけた。

「……喜べよ銭谷、いくら殴っても僕以外に反撃してこないサンドバッグのお出ましだ」

「にゃるほど。少しは抵抗してくれないと美味しくないけど……戦えないよりはよっぽどマシかにゃあ」

 そして、黒いOOが現れる。

「よう、毎度恒例の遅刻魔さん。まんまと釣られて出てきてくれたな」

『……言っている意味は理解しかねるが、私に勝つことすらできない貴様が一体何をできるというのかな?』

「テメェの正体を突き止められる。そういうわけだから……その仮面引っぺがさせてもらうぞ」

 黒薙の体が青い鎧に包まれる。

『その力は既に見切った。その程度で勝てるものだと思われたのなら……些か心外であるな』

「勘違いしてんじゃねぇぞ間抜け、僕の目的はテメェを倒すことじゃねぇ」

 直後、剣を握りOOと相対する黒いOOの足元が揺らいだ。

 周囲の地面が隆起し、それは刃となり黒いOOを襲う。

『“異能共鳴”……ではないな、であればこの力は何だ?』

「答え合わせの時間だにゃ〜」

 地面に手をついた少女が言った。

「OOに物質を操る能力はない、なら今あんたを攻撃してるのはいったい誰かにゃ?」

『小娘……貴様か』

「ご明察、ってやつだゾ☆『殻土断刃(アースブレイド)』ってやつにゃんだけどこれがなかなか面白いんだよにゃあ?」

 黒いOOは押し寄せる土の刃の全てを切りつけながら、嗤う。

『なるほど、確かに面白い……が、貴様、一つ失念しているようだな?私は邪魔をする者に危害を加えないと言った覚えはないぞ』

「あ〜何を言うかと思えばそんなことかにゃあ、あたしはそう簡単にやられるタマじゃにゃいから安心してほしいんだゾ☆」

 黒いOOが腕を振るうと、旋風が奈菜々を切り裂こうと放たれる。しかし、横合いからの重力を受け、旋風は消滅した。

「オラ、本来の敵はこっちだって忘れてんじゃねぇぞ」

 OOは拳を振るい、黒いOOを一歩ずつ後退させていく。ある程度まで退いたところで、ふと何かが横切った。気にも留めずにOOに斬りかかろうとするも、光の鎖が黒いOOの右腕と左脚を掴んだ。

「ちょい油断しすぎちゃいます?ええ目してますなぁ」

 銀髪の少年はつま先で地面を数回蹴り、笑う。

「ちなみにこらボクの能力で、『万地滑走(スケーティング)』言います」

 黒いOOが鎖を引きちぎろうと足掻く。ようやく拘束から解放された時には、既にOOの必殺技の準備は整っていた。

「卑怯と言いたきゃいくらでも言え、これが『正義』のやり方だ」

『Material Finish! Oblivion Metal Strike!』

 小さく飛び上がり、遠心力を利用したキックが炸裂する。黒いOOの装甲は剥がれ、その中からはとある少女が姿を見せた。

 

「くっくく、あは、あっははははははは!!なぁおい、こんな面白ぇことがあるか!?」

 黒薙は壊れたように笑う。

「テメェ、今までナニ考えて味方ヅラしてきやがったんだ?」

 一拍おくと、黒薙の声は途端に低くなった。

「予想通りだったとはいえ……流石に少しばかり笑っちまうよ。よくあれだけ白々しいコト言えたよな」

 目を伏せる少女に対し、黒薙は責めるように淡々と言葉を並べる。

「敵のそばで散々媚び諂ってきて、ついに正体がバレた。どんな気持ちなのか教えてくれよ……なぁ、ミスティーク=レーツェル」




新フォーム・スピンフォームの初陣に、黒いOOの正体発覚と、盛りだくさんの回でしたね。
黒薙の予想通り、黒いOOの正体はミスティでした。これからは、彼女の思惑などについても語られることでしょう。
それから、菱杖も何やら不穏な動きを見せています。彼の動向にも注目していきたいところ。
感想などございましたら、是非ともコメントなどよろしくお願いいたします。墓脇でした。
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