その白スクで魔法少女は無理でしょ、スイムスイム 作:超天才清楚系病弱魔法少女
問19.スイムスイム(憑依)を堕とす口説き文句を述べよ。ただし、口説き文句は100文字以内でなければならないものとする。
第19話 テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ~
◇スイムスイム(憑依)
ボクはあくまでその辺によくいる健全な18歳男子でしかない。
そんなボクはある時、なぜかライトノベル『魔法少女育成計画』の世界に意識だけ放り込まれた。時系列的に死んでいるはずのスイムスイムの体に憑依した。
死人に人権はなく、スイムスイムは魔法少女状態だと白スク姿だし、魔法少女に変身する前だと7歳児だしで、とにかく無一文であり、ボクは基本的に詰んでいた。
ボクが何事もなく今を享受できているのは、ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』の世界に巻き込まれた中でアカネと出会い、アカネの家に、不破家に住むことを認められているからだ。アカネにはとことん、頭が上がらない。
「いやぁ我が世の春が始まったぜ、へへ」
本日午前。その不破家には来客の姿があった。椅子に深く腰かけ、アカネが差し出したコップを受け取り、緑茶でのどを潤している。彼女もまた、ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』で出会った魔法少女の1人:夢ノ島ジェノサイ子だ。
「確信はあったんだよねー。あのゲームの出来事を漫画化すれば絶対話題になるって。それもこれも、あなたたちが私の漫画のモデルになることを認めてくれたからだよ。改めてあんがとね」
「どういたしまして」
夢ノ島ジェノサイ子がボクたちにニカっと微笑みかけてくる。
現実世界で夢ノ島ジェノサイ子と会ったのはこれで2度目だ。
初めて会った時も場所は不破家だった。夢ノ島ジェノサイ子は不破家を訪れ、ボクとアカネに『あのゲームの出来事をモチーフにした漫画を連載したい。もし良ければ取材させてほしい』と頼み込んできたのだ。
その時の主な質疑応答は以下のとおりだった。
Q1.魔法の国からゲームのことは他言無用って言われてなかった?
A1.『漫画化するな』とは言われてないし。それに多少は脚色を加えるし、これくらいはセーフっしょ。
Q2.どうしてスイムスイムを漫画の主人公に?
A2.読者を作品に引き込むにゃ初手でインパクトかますのが大事なもんでね。水着回でもないのになぜか魔法少女が白スク着てるって構図で読者を軽くワンパンしたかった。
Q3.私たちが漫画のモデルになるのはいいけど、みんなの許可はちゃんと取った?
A3.全員じゃないけど許可取ったよ。ディティック・ベル探偵事務所に依頼したおかげで、ゲーム参加者探しは想定より苦労しなかったしね。探偵ってすげえわ。でも、メルヴィルとは会えてない。全然手がかりがないんだわ、これが。
このまま見つからないようなら、メルヴィルからは事後承認をもらうってことで連載に踏み切るつもり。それでメルヴィルから訴訟されたとしても受け入れるよ。はぁ、マジでメルヴィルどこにいるんだろ?
Q4.てか、どこ住み? ラ〇ンやってる?
A4.なになに、おねーさんのことが気になるの? もー、しょうがないにゃあ! みんなには内緒だよ♡
とまぁ、そういうことらしい。
質疑応答を経て、ボクとアカネはゲームの世界の出来事を夢ノ島ジェノサイ子に共有した。それからほどなくして、ジェノサイ子は週刊誌で漫画の連載を始めた。
表題は『その水着姿で魔法少女は無理でしょ、ムイムイ』。
『水の力を使って敵と戦う』魔法を使える白スク姿の魔法少女:ムイムイが、唐突に巻き込まれたデスゲーム世界で、知恵を駆使して、仲間と協力して、黒幕に打ち勝つ様を描く物語だ。ジェノサイ子の漫画は現状、読者の評価が好調で、手ごたえは確かとのこと。
夢ノ島ジェノサイ子は今、順調な人生を歩んでいる。
これだけなら喜ばしい近況だ。でもボクもアカネも、ジェノサイ子の真意を知っている。だから今日、ジェノサイ子が自慢しに不破家までやってきていても、素直に喜べない。
「本当に良いのか? このまま売れっ子漫画家として生きたって良いんじゃないか?」
「んにゃ、もう決めたことだから」
アカネの問いかけに夢ノ島ジェノサイ子は即座に首を横に振る。彼女の意思は固い。覆すことに期待できない。
初めて現実世界で夢ノ島ジェノサイ子と出会った時、彼女はゲーム世界の出来事を漫画化する真意を語った。
ゲーム世界の出来事を漫画化すれば絶対に売れる。
夢ノ島ジェノサイ子こと、漫画家:園田かりんも有名になる。
まずは漫画を完結させる。完璧な結末を迎えさせる。
その後、園田かりんがあえてインパクトのある不祥事をやらかす。
で、園田かりんがとんでもなく惨めな姿をさらして格を下げる。
そうして、正義マンに園田かりん自身と、園田かりんの作品を標的にしてもらう。
散々酷評してもらって、非難してもらって。
最終的に魔法少女というジャンル自体を衰退させる。
そう。夢ノ島ジェノサイ子は己を犠牲にしてでも、魔法少女というジャンルを終わらせるつもりで、ゲーム世界の出来事を連載する気だったのだ。
当時の夢ノ島ジェノサイ子の決意は、実際に漫画が注目を浴び始め、『漫画家:園田かりん』が持ち上げられ始めた今も、欠片も揺らいでいないようだ。
「本当はね。魔法少女ってジャンルはもっともっと広がってほしかった」
「世の中の人がみーんな、魔法少女を好きになってくれたらいいなって思ってた」
「でも、人命には代えられない」
「あの時、ゲームマスターのせいで私たちの命は脅かされた」
「マジカルデイジーも亡くなっちゃった」
「ゲームマスターは魔法少女だったんだってね?」
「魔法少女にはそーゆー危うさがある」
「……だから、世の若人が魔法の国にそそのかされても決して魔法少女になると望まないように、誰かが対策しないといけないんだ」
「はぁぁ、やんなるなぁもう。さっさと滅べや、魔法の国」
夢ノ島ジェノサイ子が盛大にため息を吐き、テーブルに突っ伏す。
夢ノ島ジェノサイ子は強い人だ。
自分が嫌われる今後を織り込み済みで、それでも魔法少女というジャンルそのものを衰退させることで、未来の悲劇を防ごうとしている。ボクには到底できない芸当だ。
「私はあなたを尊敬する」
「へ?」
「ずっと尊敬する」
「……ありがとう。もーホント良い子だね、スイムスイムは。あの時、いきなり私をモンスター集団に投げ飛ばした時は『何だこいつ』って思ったけどさ」
「ごめんなさい」
「いいのいいの。今思えば、あれが最善だったんだろうしね」
夢ノ島ジェノサイ子がボクへ近寄り容赦なく髪をわしゃわしゃ乱雑に撫でてくる。
その、くすぐったい。しかしこの手の活発系女子相手に抵抗してもさらに苛烈なスキンシップを仕掛けてくるのは目に見えている。つまりここは無抵抗一択なのだ。
「実を言うと、ここまでの話は全部前置きでね?」
「え?」
「今ね、ゲーム参加勢でオフ会企画してるんだ。詳細が決まったら連絡するよ。2人にもぜひ参加してほしいな。そんじゃ、新進気鋭の漫画家は颯爽と去るぜぃ!」
夢ノ島ジェノサイ子はボクの髪の感触を存分に楽しんだ後、カラッとした笑みを残して不破家を後にした。相変わらず嵐のような人だった。
◇◇◇
◇スイムスイム(憑依)
実際のところ、ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』から解放された今も、ボクにはお金の問題がつきまとっている。
ゲーム世界の参加賞:10万円はゲーム世界からログアウトする度にもらえた。
夢ノ島ジェノサイ子の漫画の収益の一部ももらえる手はずになっている。
でも、これらの収入は到底、ボクが一生を過ごせる額ではない。いずれ底をつく。
まだまだ足りない。ボクはお金を稼がないといけない。
アカネはボクに言ってくれる。
お金のことは心配しなくていい。不破家には、お母さんとお姉ちゃんが稼いでくれたお金がたくさん残っている。私もいずれ働いて、お金を稼ぐようになる。スイムがお金を気にすることはない。遠慮しなくていい。スイムはいつまでも、不破家にいてくれていい。
優しいアカネはボクにそう語りかけてくれる。
でもそれじゃあダメだ。
ボクはまだ、アカネに肝心なことを言えていない。かつてボクが憑依する前のスイムスイムが、多くの魔法少女を殺した過去のことだ。
かつて、ボクはアカネに正気に戻ってもらうために、一緒に戦ってほしいと頼んだ。さもボクもアカネと同じ、森の音楽家クラムベリーの被害者だと偽った。
けれどその実、スイムスイムは被害者であると同時に加害者だ。森の音楽家クラムベリー側の立場と称したって何ら問題ない存在だ。
アカネの家族は森の音楽家クラムベリーに殺された。
ボクが宿る前のスイムスイムも、クラムベリーと同じように誰かを殺せる人だった。
この事実を伏せたまま、不破家の財産を食いつぶす人にボクはなりたくないのだ。
さりとて、ボクはスイムスイムの過去をアカネに話したくない。アカネに失望されたくない。拒絶されたくない。嫌われたくない。
ボクは夢ノ島ジェノサイ子とは違って、とにかく弱い。
要するに。せめてボク自身が生きるために必要なお金は自分で稼ぐことで、どうにかアカネにボクの秘密を話さないで済むようにしたいのだ。アカネに金銭面で迷惑をかけていないから、ボクの秘密を全部話す義務はないと、そういう構図を作りたいのだ。
もうなんか、ボクってば醜いな。
嫌悪感が心を蝕む中、今日も今日とてボクは魔法の端末で仕事を探す。
魔法少女は慈善活動をするしかなく、慈善活動は無報酬。というのはボクの思い込みだった。先入観を捨てて魔法の端末で調べてみると、意外と魔法少女を対象にした有償の依頼があった。仕事の募集があった。幸い、ボクでも何とかなりそうな内容だ。
はぁぁ。本当なら18歳男子の夢の大学生活が始まるはずだったのに。
まさか大学受験に合格した上で、大学に行かずに就活ルートに入ることになろうとは。人生はてんでわからないものだ。
「いってきます……」
「……いってらっしゃい」
ボクとアカネは互いに言葉を交わし、ボクはアカネに背を向けて不破家のドアを開ける。ボクたちの声はどこかぎくしゃくしていた。
◇◇◇
◇スイムスイム(憑依)
①1つ目のお仕事募集先
ボク「よろしくお願いします」
募集先の担当者「コスチュームが水着の魔法少女はちょっと……今後のご活躍をお祈り申し上げます」
②2つ目のお仕事募集先
ボク「やる気はあります」
募集先の担当者「やる気はみんなあるから。今後のご活躍をお祈り申し上げます」
③3つ目のお仕事募集先
ボク「必ず役に立ってみせます」
募集先の担当者「ありがとう、嬉しいよ。今後のご活躍をお祈り申し上げます」
④4つ目のお仕事募集先
ボク「何でもやります」
募集先の担当者「うちはそういうのじゃないから……今後のご活躍をお祈り申し上げます」
ふぇぇ、全然就職できない。
お仕事もらえない。
水着か!? コスチュームが白スクのせいか!? 担当者との顔合わせの時はちゃんと普通の格好してるのにまるで塩対応なんだが?? マジで呪いの装備じゃないか、これ!
魔法の端末で見つけ出した仕事の面接は全滅。酷い有様だった。
お金を稼ぎたいのに中々稼ぎ先を見つけ出せない。のっこちゃんを預けた手前、ディティック・ベル探偵事務所に『ボクも雇ってほしい』と転がり込むのも違うだろう。ボクはどうにかして自力で、魔法少女としての仕事を勝ち取らなければならない。
ボクは血走った眼で魔法の端末で情報収集を続ける。
今日こそ、今日こそ仕事を見つける。と、その時、とある内容がボクの目に入った。
『ゲリラお仕事発生につき飛び入り魔法少女を募集中だワン!』というふざけた見出しから始まったそれは、仕事内容自体はまともだった。それに仕事の募集人数が多い。これならボクも採用してもらえるかも。
乗るしかない、このビッグウェーブに!
集合場所はB市とのこと。迷うことはない、いざB市へ出発だ!
ボクは魔法の端末経由でB市の位置を確認し、魔法少女の脚力で飛び立った。
◇◇◇
◇スイムスイム(憑依)(残り時間23時間55分)
B市に到着するまでは早かった。
しかし仕事の集合場所へのルートがやけに入り組んでおり、目的地に到着するまでに存外時間がかかってしまった。
だが、それはそれで楽しかった。
B市は見たところ、特に見どころのないただの都市だ。駅前から少し外れれば、すぐに田んぼの群れがボクを出迎えてくる。それでも今のボクにとってB市は希望の園といっても過言ではなく、ボクの気分は高揚していた。
テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ~。
かくしてボクは目的地に到着し、首を傾げた。募集人数はとても多かった。てっきり、目的地たるパン屋付近に魔法少女たちがひしめいているものと思ったが、魔法少女どころか人1人いない。パン屋の入り口には『閉店のお知らせ』との張り紙がある。
ボクは改めて魔法の端末を確認する。情報が更新されている。
――ゲリラお仕事は中止になっちゃったワン。大人の事情だワン。
――集まってくれた魔法少女のみなさん、誠にごめんなさいだワン。くぅぅん。
(クソが!!!)
ボクはとことん運に見放されているらしい。
せっかく良い仕事だと思ったのに、はしごを外された気分だ。
(帰るか……)
仕事がないならB市にとどまる理由はない。ボクはテーマパーク要素を感じなくなったB市を後にして不破家へと帰ろうと歩を――。
魔法の端末が着信音を奏でる。プフレからだ。
何かあったのだろうか。ボクは魔法の端末を耳に当てる。
「やぁスイムスイム。調子はいかがかな?」
「微妙」
「それは良くないね。何かあったのかい? 私で良ければ話を聞くよ」
「助かる」
世知辛い魔法の国界隈に弄ばれたボクの気持ちをちょうど誰かにぶつけたかったため、プフレの申し出はありがたかった。プフレが何の用事でボクに連絡してきたのかは気になったが、ボクはプフレへの質問よりもボク自身の感情を優先し、今日のボクの顛末をプフレに話した。
「……」
ボクが一通り話し終えると、プフレは意味深な無言を貫いていた。
「どうしたの?」
「いや……そうか、B市か。今、君はB市にいるんだね?」
「うん」
「君は本当に面白いね。騒ぎの渦中に当然のように居合わせているのだから」
「騒ぎ?」
「状況を説明する。まずは傾聴したまえ」
その後、プフレはボクに衝撃の情報を与えてきた。
曰く、現在魔法の国で出世街道まっしぐらなプフレには様々な情報が入ること。
曰く、B市には今、魔法少女の凶悪犯が潜伏していること。
曰く、魔法の国の監査部門の捜査班が凶悪犯を捕まえようとしたが、凶悪犯が想定以上の戦力(魔法少女軍団)を有していたため撤退したこと。
曰く、捜査班の1人が死亡してしまっていること。
曰く、監査部門が他部門に応援要請をした結果、凶悪犯を外に逃がさないという建前で、外交部門が応援を派遣するとともにB市全域を覆う結界を張ったこと。
曰く、結界は24時間経過すると解けること。
曰く、結界はあらゆる魔法的な要素を通さない強力なもので、スイムスイムの『どんなものにも水みたいに潜れる』魔法を使っても抜けられないこと。
プフレから説明を受ける中、ボクの脳内では電流が走っていた。
結界とか、凶悪犯とか、捜査班の1人が死亡したとか。
何かと展開が早すぎる。
え、まさか始まった?
スイムスイムがキルリーダーやってた第1部。
ゲームの世界に囚われた第2部。
で、今回はB市を舞台に第3部が始まったってコト!?
ゲーム世界のことといい、今回といい。
ホントいきなり始まるね? 心の準備をさせちゃくれない。
だが始まったと仮定するならまずはボクのスタンスを決めないといけない。
今回はどうするか。ボクはどんな生存戦略を採用しなければならないのか。
――あなたは私の命の恩人です! 助けてくれてありがとうございました!
ふと、のっこちゃんに心の底から感謝された時の情景がよみがえる。
「さて、君はどうする?」
プフレがボクに問いかけてくる。
ボク1人が生き残るだけなら、結界が解けるまでやり過ごすだけなら、きっと難しくない。でもどうせなら、どうせなら。
「悲劇を防ぎたい」
魔法少女育成計画は、魔法少女の命がとことん軽い世界だ。ボクの想定通りにB市で第3部が始まるなら、きっと多くの魔法少女が命を落とす。それは嫌だ。ボクが奮闘して、それで守れる命があるのなら守りたい。
「そうか。ならば忠告だ。ゲームの世界で私が君に目的を尋ねた時、君は『透明な敵』を含むみんなを死なせないことが目的だと回答した。その方針を迷わず選べるのは君の美徳だ。だが今回はその考えを捨てたまえ」
「え」
「味方を見極めろ。敵を見極めろ。そして、敵は迷わず殺せ。それができなければ君は悲劇を防げない。守りたいと思った者の命をすべて取りこぼすことになる」
え、今回の第3部ってそんなにヤバい案件なの?
まさか、まほいくシリーズってパワーインフレするタイプなの? 魔法少女育成計画ってどっちかというと能力バトルの系譜で、パワーインフレはしないと思ってたんだけど。
「殺したくないかい?」
「うん」
「殺人に臆する気持ちは理解する。しかし此度の敵は、放置すれば瞬く間に屍の山を築き上げる怪物だ。敵を人間と思わず、モンスターを討伐する気概で挑むことを推奨する」
超ヤバいじゃん。マジか。
「とにかく。B市が結界で隔離されてしまった以上、B市の外にいる私に助力できることはない。悲劇を防ぐという君の望みを叶えるには、君自身が動くしかない」
「がんばる」
「うむ、君が望む未来を手中に収められることを祈っているよ」
「ありがとう」
プフレとの電話連絡は終わった。
状況がヤバいことは分かった。まずは情報を集めないといけない。
プフレはまだ色々知っていそうだったが、聞き出すのはやめた。
プフレはボクに伝えたいことだけ伝えて電話を切った。今のボクに必要な情報はすべて伝え終えたと態度で示した。ここでさらなる情報を、とせがんでもプフレからの心証を悪くするだけだろう。天才キャラ相手にクレクレムーブはよろしくない。
さて、何をどうしようか。
味方は誰だ、敵は誰だ。目的を果たすためにボクは何をするべきだ。
考えることは山ほどある。
けど、まずはアカネに現状を伝えなければ。結界が24時間経過しないと解けない以上、今日は不破家に帰れないことが確定しているのだから。
ボクは魔法の端末でアカネと連絡しようとして、何となしに空を見上げて、目が合った。ピーターパンのフック船長を擬少女化したかのような、海賊風の人だった。その美貌は間違いなく同業者の証だった。
(――ッ!??)
海賊風の魔法少女は空からボクへと一直線に向かい、カトラスを振るう。ボクはとっさに後ろに飛んで、カトラスの振り下ろしを回避する。
「よぉピンク髪」
ボクがさっきまでいた地点に着地した海賊風の魔法少女が顔を上げる。その瞳はぎらついていて、ボクは身をすくませた。
「あんたも兎耳と同じ、悪い魔法少女の一味でしょ? あんたは逃げずに最後まで戦いなさいよね!」
海賊風の魔法少女は凶悪な笑みを浮かべて飛びかかってきた。
いやいや、いやいやいや!?
だれかたすけて!(急展開)
次回 第20話
『変態だーー!!!!』