その白スクで魔法少女は無理でしょ、スイムスイム   作:超天才清楚系病弱魔法少女

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問25.魔法少女モノをこよなく好むウェディンを、戦闘美少女モノの作品に傾倒させるよう説得せよ。ただし説得時に魔法少女モノの作品を貶めてはならないものとする。



第25話 スイムスイムですが、現場の空気が最悪です

 

◇スイムスイム(憑依)(残り時間17時間14分)

 

 ボクは相変わらずリップルに小脇に抱えられたまま、夜中のB市を移動していた。絵面さえ気にしなければ、これが一番速い移動方法だからだ。

 

 目的地は、リップルたち捜査班が緊急時の集合場所と定めているらしいビルの屋上だ。リップル曰く、魔法の端末でマナや7753と連絡を取れない以上、緊急時の集合場所が彼女たちと合流できる可能性が一番高い場所だとのこと。ボクもリップルと同意見だ。

 

 

「え?」

 

 目的地を目指してビルの屋上を転々と跳んでいるリップルが目を見開き困惑の声を零す。リップルの視線を追うと、そこには白いスクール水着が白く雄々しい翼をはためかせる光景があった。

 

 

(なんで??)

 

 翼の生えた白スクはボクの前に到着すると動きを止める。ボクが白スクをつかみ取ると、白スクの翼が消滅する。

 

 

「これ、さっきソニアと戦った時にスイムスイムが脱ぎ捨てた水着だよね?」

「うん」

「なんで水着に翼を?」

「わからない」

 

 つい1時間前。ボクがリップルに捕まり、マナ・7753の下へ連れていかれた時に、波山中学校組の魔法少女名と魔法は一通り共有している。

 

 ゆえに、ボクもリップルも、翼の生えた白スクがポスタリィの『どんなものでも持ち主のもとに送り返せる』魔法の産物だと察することはできていた。が、翼の生えた白スクというあまりに珍妙な光景を目の当たりにした影響で、そこでボクたちは思考停止していた。

 

 

 刹那。

 

 白スクが飛んできた方向にある交差点を左折する形で、大きな船がボクとリップルの視界に飛び込んできた。大きな船は当然のように陸上を突き進み、轟音と地響きを伴って、ボクたちへと接近してくる。

 

 

(なんで???)

 

 再度困惑したボクだったが、マストにある白い髑髏マークが刻まれた海賊旗を視認したことで落ち着きを取り戻した。あれは以前、ボクがキャプテン・グレースに海賊船から回収してほしいと頼んだ海賊旗そのものだった。つまりあの船は――。

 

 

「スイムスイム!」

 

 海賊船の持ち主、キャプテン・グレースが甲板からボクの名を呼んでくる。見れば、ファニートリック、ウェディン、レイン・ポゥ、ポスタリィ、繰々姫、テプセケメイ、そして兎耳の魔法少女がいる。兎耳の魔法少女はリボンで体を縛られているようだ。

 

 

「リップル」

「わかった」

 

 ボクとリップルは視線を交わし、リップルに海賊船に飛び乗ってもらった。ポスタリィがボクの水着に魔法を使ったということはつまり、ボクを捜していたということだ。ボクが必要とされている以上、ここであえて乗船を拒む選択肢はないだろう。

 

 

「――って、ちょっと!? どうして忍者が一緒にいるんですか!?」

「待って。リップルは敵じゃない」

「え、でも忍者は私を拘束して、スイムスイムを襲って……これで敵じゃないならなんだって言うんですか!?」

「色々あって今は休戦した。後で説明する」

 

 リップルがボクの体を甲板に降ろす中。ウェディンがリップルを指差して驚き、繰々姫が『何本ものリボンを自由自在に操る』魔法をリップルに使おうとしていたので、ボクはまず制止の言葉を放つ。

 

 

「それよりどうして街中で海賊船を走らせてるの?」

「それは……」

 

 下手をすれば海賊船で人をひき殺しかねない危険な行為をしているのはなぜか。

 ボクが言外に含ませて問いかけると、ファニートリックが海賊船の後方へと視線を向ける。そこには獰猛な笑みを携えて海賊船を追う剣士:プキンの姿があった。そのはるか後方には、占い師:ピティ・フレデリカと、ポップスター:トットポップの姿もある。

 

 プキンはじわりじわりと海賊船との距離を詰めている。テプセケメイが船の後方でプキンに対して空気の攻撃を飛ばしているようだが、プキンの接近を妨害できていないようだ。

 

 

「スイムスイムなら何とかしてくれるって思って」

 

 ポスタリィがすがるような眼差しでボクを見つめてくる。どうやらこれがポスタリィがボクの水着に翼を生やし、ボクの居場所を特定した理由らしい。

 

 海賊船に乗船している皆は今、プキンたちを撒くことを目的としており、ボクなら目的を叶えてくれるとの希望を胸に抱いているようだ。

 

 

 いや、結構な無茶振りだね??

 確かにボクの『どんなものにも水みたいに潜れる』魔法は、プキンの『魔法の剣で斬った相手に錯覚を与える』魔法と非常に相性がいい。ボクならプキンと戦っても負けはしない。

 

 だが、勝てもしないだろう。あのプキンの俊敏さにボクが太刀打ちできるとは思えない。よってボクがプキンを足止めして、海賊船を逃がすことも難しい。

 

 せっかくボクを頼ってきたみんなを絶望させたくはない。

 だけど、どうやって現状を切り抜けるべきか。

 

 

『貴様……なぜ生きている? ソニアをどうした?』

 

 ボクが考えあぐねていると、プキンが氷の眼差しでボクを射抜き、何事か語りかけてくる。当然ながら英語だ。

 

 こ、こいつ、超天才のボクにすぐさま英語のリスニングテストを仕掛けてくるとは、やってくれる。挑戦状を叩きつけられたからには応じなければ不作法というもの。いざ試されるボクの英語力!!

 

 

「サイトシーイング」

「?」

 

 ボクはプキンに対して非常に適切な返答をした。プキンはボクの発言に言葉を失っているようだ。くくく、ボクの英語力に恐れをなしたか。

 

 ボクだって、多少は戦いの中で成長することができる。プキンたちと初めてエンカウントし、英語を全然聞き取れなかった20分前とは違うのだ。

 

 

「『どうして貴様が生きている? ソニアをどうした?』……とのことですよ?」

 

 と、ここで。リボンで拘束されている兎耳の魔法少女がおずおずとボクに話しかけてくる。そういえば、この人の名前をボクは知らない。

 

 

「翻訳ありがとう。あなたは?」

「下克上羽菜です。リップルとチームを組んでいる者です」

「私はスイムスイム」

「よろしくお願いします、スイムスイムさん」

 

 ボクは下克上羽菜とどこかのんびりとした会話を交わしつつ、彼女をまじまじと見つめる。ピコピコ動いている兎耳は、コスチュームというよりは体の一部という印象だ。まさか、陸ガメに続いて今度は兎が魔法少女になったとでもいうのか?

 

 

『我輩を愚弄するか!』

 

 と、その時。プキンが大声を上げた。先ほどよりはるかに鋭い視線でボクを貫きながら、さらに出力を上げて海賊船との距離を縮め始める。その眼差しはまるで『なんだァ? てめェ……』と言わんばかりだ。

 

 

 プキン、キレた!! え、なんで!? 海外旅行で必ず使うとうわさの、汎用性の高い英語『サイトシーイング』で回答すれば現状を打開できると思ってたのに!?

 

 くぅぅ、これがイギリスで名を馳せた大悪党の魔法少女か。ソニア・ビーンといい、プキンといい、一筋縄ではいかない連中ばかりで嫌になる。

 

 リップルがプキンに幾多のクナイを投じるも、プキンはレイピアでクナイをすべて弾き飛ばす。プキンはいよいよ海賊船との距離をゼロにして、海賊船に手を――。

 

 

蜘蛛の監獄(アラクネー)

 

 プキンと海賊船の間に白く巨大な蜘蛛の巣が構築された。プキンの体は蜘蛛の巣に絡めとられて、強制的に動きを停止させられる。

 

 プキンはレイピアで蜘蛛の巣を切り刻む。蜘蛛の糸は見た目に反して金属を含んでいるようで、プキンの斬撃のたびに火花が散り、金属音が響く。

 

 切断された蜘蛛の糸から粘性の液体がどろりと零れ落ち、プキンが目を見開き――上空から飛来した漆黒のドームが、プキンを中心とした半径数メートルをすっぽりと覆うと同時に、ドーム内部で爆発音が轟いた。

 

 プキンがどうなったのかはわからない。

 一連の出来事が終わる頃には、海賊船はプキンを視認できないほど遠くへと突き進んでいたからだ。

 

 

「これはどういうことだ?」

 

 甲板で聞きなじみのない声が発せられる。ボクが視線を向けるとそこには、四枚の黒くて大きな羽を装備し、極端に布地の薄いビキニタイプのコスチュームをまとった、限りなく裸に近い魔法少女がいた。

 

 

 大魔王からは逃げられない。

 不思議とそんなワードがボクの脳裏をよぎった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

◇レイン・ポゥ(残り時間17時間06分)

 

 三香織(にのつぎかおり)の人生が始まったのはほんの2年前だ。

 それまでの香織は人間ではなく、姉を自称する何者かの玩具でしかなかった。

 

 物心がついた頃には既に香織に両親が存在せず、姉と二人暮らしだった。

 姉は、外面だけは良かった。『妹のために大学を中退して身を粉にして働いている立派な大人』というのが姉に対する一般的な評価だった。

 

 が、そんなのは虚構だ。嘘っぱちだ。

 香織にとっての姉は暴君だった。香織は姉の鬱屈を晴らすためだけの玩具であることを強いられた。

 

 香織が死なない程度の暴力。香織への虐待が近隣に気づかれない程度の暴力。そんなものは日常茶飯事だった。香織は己が死んでしまわないために、なるべく痛い思いをしないで済むために、姉の機嫌取りに全力で励むことしかできなかった。

 

 

 常に演技をした。

 己は姉に劣る存在なのだと。

 姉の自尊心を満たすことのできる、ちっぽけな存在なのだと。

 

 常に演技をした。

 己は姉にとって都合が良く、殺すには惜しい存在なのだと。

 姉が養う価値のある存在なのだと。

 

 演技、演技。演技演技演技演技演技。

 自分を殺して、自我を殺して、とにかく演技を続けた。

 

 だれかたすけて。

 そう願ったのは一度や二度のことではない。

 しかし誰も香織に救いの手を差し伸べてはくれなかった。

 

 どうして香織はこの世に生まれてしまったのか。

 どうして香織はこんなに苦しい思いを強制され続けなければいけないのか。

 姉を恨みながら、亡くなった両親を恨みながら、世界を恨みながら。香織はひたすら演技に埋没した。

 

 

 香織の転機は2年前。小学五年生の二学期が終わった頃だった。

 香織の前に、全身に淡く光をまとった妖精が舞い降りてきたのだ。

 

 

「あなたは魔法の才能を持っている。わたしが魔法少女にしてあげるよ!」

 

 魔法の国のマスコットキャラクター:妖精トコとの出会いをきっかけに、香織は魔法少女レイン・ポゥの力を得た。これが香織の境遇を一変させた。

 

 魔法少女の身体能力は並外れている。どれだけ武道を極めた人類最強がいたとしても、そいつは所詮、魔法少女のデコピン1つでノックアウトされる程度の矮小な生命体でしかない。

 

 香織は魔法少女の力を得て早速、姉に復讐をした。

 香織を散々苦しめてきた姉に盛大な仕返しをしてやった。圧倒的な力で姉を叩きのめした時のあの表情! 恐怖と絶望でぐちゃぐちゃになったあの汚い顔!

 

 香織の心がスカッとする感覚。胸がすく感覚。あの時のカタルシスはきっと一生忘れられない。

 

 結局、姉を殺しはしなかった。だって香織は姉のせいで11年間も苦しい生活を強いられたのだ。だったら姉も11年くらいは香織に怯えすくんでもらわないと気が済まない。

 

 

 香織はトコから魔法少女の力を与えられたことで、ようやく苦しい日々から解放された。香織の人生が始まった。洋服を買う、友達と遊ぶ、ゲームをする。全部、全部。香織が「やりたい」と思った時に好きなことをできるようになった。

 

 

 香織は理解した。

 この世では力が重要だ。力ある強者は力なき弱者に比べて、幸せを手にしやすい。力があれば己が身に降りかかる理不尽を打ち倒すことができるからだ。

 

 ゆえに、魔法少女は最高だ。

 世の中にはびこる大概の理不尽は、魔法少女の力で強引に解決できるからだ。香織が幸せになるために必要なツール、それが魔法少女レイン・ポゥに他ならなかったのだ。

 

 

 香織は妖精トコの教育を受けて、魔法少女レイン・ポゥとしてどんどん力を身につけていった。トコが出資者から受けた依頼を果たすために多くの人を殺していった。

 

 標的の大半は悪事に手を染めた魔法の国の関係者だった。だが、時には義憤に駆られる正義の魔法少女や、偶然秘密を知ってしまっただけの魔法少女も殺した。

 

 

 初めて人を殺した当時の気持ちはもう忘れた。人を殺した罪悪感だの、両手を血に汚した気持ち悪さだの、そういう感情を抱いていたのかもしれない。けれど、今は何とも思わない。

 

 人生は一度きりで、己の人生の主人公は己自身に他ならない。

 誰かを犠牲にする必要性があるのなら、香織はためらわない。

 

 姉が幸せになるために、香織を虐げることをためらわなかったように。

 香織も幸せになるために、他人の命を刈り取ることをためらわない。

 

 

 が、順調だった香織の人生が今、脅かされている。

 レイン・ポゥとトコの悪事が魔法の国に露見し、魔法の国から捜査班を差し向けられたのだ。

 

 トコが前々から見繕っていた、魔法の才能を持つ波山中学校の面々を魔法少女にして、捜査班を一度撃退できたまでは良かった。出資者の望みどおりに捜査班の1人を暗殺できたのは良かった。が、そこから現在に至るまで、レイン・ポゥとトコを取り巻く状況は悪化の一途をたどっている。

 

 魔法の国の外交部門がB市全域に結界を張って閉じ込めてくる。捜査班に追加人員が派遣される。加えて。先ほどの、レイン・ポゥよりもはるかに濃い血の匂いをまとった謎の魔法少女たちの襲来だ。

 

 そもそも結界に閉ざされたB市は、暗殺者の捕縛を理由に用意された舞台だ。その舞台に途中から乗り込んできた謎の彼女たちも、レイン・ポゥとトコの身柄を目的としていると考えていいだろう。彼女たちに捕まってしまえば最後、悲惨な末路が待ち受けているに違いない。とことん逆風ばかりが吹き荒れている。

 

 今も暗殺者の正体がレイン・ポゥだと割れていないことは不幸中の幸いだ。

 だが、いつレイン・ポゥの正体が露見してもおかしくはない。いつレイン・ポゥが捕まってもおかしくはない。それくらい危機的な状況だ。

 

 ふざけた話だ。せっかく姉から解放されて、トコという悪友を得られて、ようやく楽しくなってきたところなのに、たった2年で香織の幸せな人生が終わるなんて馬鹿げている。まだ香織は今までの苦しみに見合う幸福を手に入れられていない。

 

 必ず窮地を凌いでみせる。

 最後まで正体を隠してみせる。

 どこまでも逃げきってみせる。

 絶対に幸せになってやる。

 

 

 迫りくる謎の魔法少女たちから逃げるためにキャプテン・グレースの海賊船に乗り込んだ後、ポスタリィが提示した『スイムスイムと合流する』という策に否はなかった。レイン・ポゥを守ってくれるかもしれない肉盾の確保は歓迎だった。

 

 が、まさか他の捜査班と次々と合流する流れになったのは想定外だった。

 スイムスイムと一緒に忍者リップルが合流し、まもなくして魔王パムが合流した。この流れは、暗殺者レイン・ポゥとトコにとって非常に都合が悪い。

 

 

「さっきは助けてくれてありがとう。私はスイムスイム」

「魔王パムだ」

 

 魔王パムの介入により謎の魔法少女たちが追ってこなくなったため、キャプテン・グレースが魔法の海賊船を送還する。魔法少女たちは目立たないように路地裏へと移動し、それからスイムスイムと魔王パムが互いに魔法少女名を交わす。

 

 

 ちなみに、この場にトコはいない。スイムスイムが忍者リップルと一緒にいたことを目撃した時点でしれっと海賊船から離脱している。

 

 ウェディン曰く、リップルはウェディンを拘束し、スイムスイムを襲った。つまりリップルは捜査班の一員だ。なのに、レイン・ポゥたちと合流した際、スイムスイムはリップルと一緒にいた。しかもスイムスイムはリップルに拘束されていない。

 

 この時点でスイムスイムには『捜査班が悪い魔法使いの一味である』というトコの嘘がバレている可能性が高い。ゆえにトコは海賊船を中心とした逃走劇の最中、誰にも悟られずに姿を消した。まだ暗殺犯だとバレていないレイン・ポゥに迷惑をかけないためだ。

 

 速やかに状況を精査し、最善策を導き出し、即断して動く。つくづくトコらしい。狡く、汚く、卑劣で、卑怯で、計算高い魔法少女を完成させようとするだけのことはある。

 

 

「当面の危機は去ったみたいだから、私が状況を説明する。多分、私が一番中立だから」

「ほう?」

「でも、その前に」

 

 魔王パムが興味深そうにスイムスイムを見つめる中、当の本人はリボンで拘束されている下克上羽菜へと視線を移す。

 

 

「まず、下克上羽菜の拘束を解いて」

「え、でも……」

 

 スイムスイムの要求に繰々姫が難色を示す。おそらく繰々姫は下克上羽菜と交戦し、気絶させられている。下克上羽菜が怖いのだろう。

 

 

「彼女はあなたたちの敵じゃない。敵はトコだよ」

 

 が、繰々姫の恐怖心は、スイムスイムが続けて放った言葉により吹っ飛んだようだ。繰々姫だけじゃない。波山中学校でトコが魔法少女にした面々がそろって目を丸くしている。

 

 やっぱりスイムスイムにはバレていた。

 リップルがスイムスイムに仔細を話したのだろう。

 厄介な状況になった。

 

 

「あれ? そういえばトコいなくない?」

 

 スイムスイムの口から『トコ』というワードが出たため、レイン・ポゥはさも今気づいた風を装って声を上げておく。あくまで今日魔法少女になったばかりの、油断だらけで隙だらけの新米の演技に徹するためだ。

 

 

「あれ、ホントだ」

「いつの間に」

「それよりトコが敵ってどういうことですか、スイムスイム?」

「それは……」

 

 キャプテン・グレースやファニートリックが首を傾げ、ウェディンがスイムスイムに疑問を投げかける。スイムスイムがウェディンに返答しようとして――。

 

 

「これはどういうことだ?」

 

 先ほどの魔王パムと同じ言葉で新たな人物が場に割り込んできた。いかにも魔法使いと言わんばかりの装いをした少女だ。一度、レイン・ポゥたちが撃退した捜査班の1人だ。

 

 魔法使いの少女の後ろには、学ラン風のワンピース服をした少女がいる。彼女には見覚えがない。彼女もまた、忍者や魔王パムと同様に捜査班の追加人員か。

 

 

 前々から魔法少女だったレイン・ポゥ。

 今日トコが魔法少女にしたキャプテン・グレース、ファニートリック、ウェディン、ポスタリィ、繰々姫、テプセケメイ。

 仕事を探しに偶然B市にやってきたスイムスイム。

 捜査班の下克上羽菜、リップル、魔王パム、魔法使い、学ラン。

 

 ずいぶんと大所帯になった。

 

 

 これからこの場では状況整理が行われた後、『①トコ→暗殺犯の順で捕まえる方法』と『②謎の魔法少女たちへの対処方法』の2つの観点で会話が展開されていくのだろう。

 

 B市から出られない現状、結界が解けるまでの17時間をトコが単身で凌ぐことはとてつもなく困難だ。きっとトコは見つかってしまう。捕まってしまう。

 

 トコさえ切り捨てるのなら、レイン・ポゥが『トコに騙された哀れな新米魔法少女』として潜伏しきるのはそう難しいことではない。

 

 けれど、できることならトコを助けたい。

 トコは唯一、レイン・ポゥを助けてくれた。生き地獄から救ってくれた。

 

 トコが日々悪行を重ねて、他の者がどれだけトコを悪しきように言おうとも。レイン・ポゥにとって、トコは光なのだ。トコがいなければ、レイン・ポゥに利用価値を見出してくれていなければ、今もレイン・ポゥは姉の玩具でしかなかった。

 

 失いたくない。

 逃げるなら2人一緒に逃げたい。

 トコが隣にいた方が絶対に楽しいからだ。

 

 どうする、どうすればいい。

 レイン・ポゥは必死に考えを巡らせて――。

 

 

「……?」

 

 学ランの魔法少女がゴーグル越しにレイン・ポゥを見つめていることに気づく。

 レイン・ポゥが学ランの魔法少女へと視線を向ける。学ランの魔法少女はただただレイン・ポゥを見つめ返している。固まっている? 呆然としている?

 

 

(マズい――!!)

 

 レイン・ポゥは強烈に嫌な予感がした。

 『逃げなければ!』との直感に急かされるままに動こうとして――刹那、後頭部に強い衝撃を受けて、レイン・ポゥは意識を闇に葬った。

 

 

 ◇◇◇

 

◇魔王パム(残り時間17時間01分)

 

 

 強大な力を持った個人を取り巻く環境ほど面倒なものはない。

 魔法の国の外交部門に所属する魔王パムは日々、己の一挙手一投足や呼吸一つからも意図や思惑を邪推されてしまいがちだ。

 

 正式な魔法少女の採用試験との名目の下、何度も何度も魔法少女同士を殺し合わせた森の音楽家クラムベリー。そのクラムベリーの師匠という魔王パムの肩書きのインパクトはすさまじく、それゆえ今の魔王パムの立ち位置は酷く不安定になっていた。

 

 魔王パムを警戒したがる面々の心情も理解しているつもりだ。その気になれば世界征服だって余裕で成しえてしまう輩、しかも森の音楽家クラムベリーを教育した経歴のある輩の動向は気になって仕方ないだろう。だが、当の本人からすれば窮屈極まりない。

 

 どうしてこうなってしまったのか。

 魔王パムは強敵との戦いが好きで、『戦う魔法少女』の高みに興味があって、同志と切磋琢磨するのが好きで、ただそれだけだったのに。

 

 

 だが、そうなってしまったものは仕方ない。

 魔王パムは魔法の国の外交部門に所属する魔法少女として、外交部門の道具であることに努めた。外交部門が持ち込んできた任務に否は唱えない。反対しない。反抗しない。

 

 その任務が、途中から強引に捜査班に加わるという、当初から捜査班として暗殺犯の捕縛に尽力してきたマナや下克上羽菜の気持ちを慮らない任務であってもだ。

 

 魔王パムの扱いは外交部門のお偉方が正式な手続きに則って決めている。そこには複数人の判断が入っている。魔王パム1人の感情に起因した判断よりはマシなはずだ。

 

 暗殺者の捕縛は外交部門の悲願だった。

 暗殺者に殺された外交部門の関係者は数多い。それゆえ外交部門のお偉方は大なり小なり「次は私が殺されるのでは」と怯えていた。

 

 ゆえに、外交部門は魔王パムをB市に投入し、B市全域に魔法的な要素を通さない結界を展開した。外交部門の力を改めて誇示するために。暗殺者を何が何でも捕縛し、暗殺者がどこの部門の差し金なのかをはっきりさせるために。

 

 

 魔王パムは戦闘面においては絶対的な自信があった。

 しかし捜査面においては大して貢献できていなかった。

 

 トコ一派が潜伏している無人のアパートを下克上羽菜・リップル・魔王パムが三方向から襲撃した際、魔王パムは空中でアラビアの踊り子と交戦し、取り逃がした。その後、リップルが追跡していた水着の魔法少女を無力化してリップルに託せたのは魔王パムの功績だが、それから魔王パムはトコ一派とまるでエンカウントできなかった。

 

 魔王パムには戦闘の適性はあれど、捜査の適性は乏しいのだろう。

 加えて、魔法の端末で捜査班と連絡できなくなった。魔王パムは上空から『四枚の黒くて大きな羽』を各地に飛ばして捜査班との合流や、トコ一派の現在地の捕捉に努めた。

 

 結果、魔王パムは奇妙な集団を発見できた。

 地上を突き進む海賊船。そこに乗船するトコ一派の魔法少女たち。下克上羽菜はリボンで拘束されており、しかしリップルは拘束されていない。

 しかも魔王パムが気絶させて、変身を解除させたはずのスイムスイムが魔法少女に変身している。リップルがスイムスイムの変身を認めたということか?

 また、海賊船に追いすがろうとする面々もいる。特に剣士の出で立ちをした魔法少女は濃厚な血と死の気配を周囲にまき散らしている。

 

 聞きたいことはたくさんあったが、事情を聞くにもまずはあの追手を退けなければ話にならなさそうだ。そう判断し、魔王パムは剣士の足止めに特化した攻撃を放ちつつ、海賊船に合流した。

 

 

 海賊船に合流した時から魔王パムはひそかに警戒し続けていた。トコ一派の魔法少女たちの中に紛れている暗殺者にとって、トコ一派の魔法少女が捜査班と合流し、互いに会話できる機会を設けられると都合が悪いと推察できたからだ。

 

 いつ暗殺者が動くかわかったものではない。

 魔王パムの介入で謎の追手から逃げきれたことで一見、安堵の雰囲気になっていたようにみえて、ふとしたきっかけで大惨事になりかねない危険な状況だった。

 

 ゆえに魔王パムは、マナと7753の2人が魔王パムたちへと姿を現した時、動いた。魔王パムの『四枚の黒くて大きな羽で戦う』魔法で、透明かつ極力気配を消した小さな羽を作り、7753の顔とゴーグルの隙間に忍び込ませた。

 

 7753の視界をジャックし、『相手の能力がわかる魔法のゴーグル』で得られる情報を魔王パムも入手するためだ。

 

 

 魔法の端末が使えなくなった今も、7753が魔法のゴーグルを介して、上司からの指示を逐次受け取っていたことは驚きだった。が、現状7753の秘匿行為は害より益の方が勝るため、7753を問いたださず放置する。

 

 だから。7753が得た情報を魔王パムも得るくらいは許してもらえよう。

 そうして魔王パムが羽で7753の視界をジャックしたことにより、暗殺者の正体が割れた。

 

 7753は魔法少女たちの『魔法少女名』と『魔法少女を殺した数』をゴーグルで観測していた。結果、レイン・ポゥの『魔法少女を殺した数』が異様に多いと判明したのだ。

 

 7753はレイン・ポゥに見つめ返されて、固まっていた。これまで数々の殺害を重ねてきた暗殺者:レイン・ポゥが、7753の不審な動きを見れば、己の正体がバレたと悟るのは時間の問題だ。ゆえに、魔王パムは一瞬で勝負を決めた。

 

 羽をハンマーに変化させてレイン・ポゥの後頭部を強打し、地面に倒れたレイン・ポゥの全身をロープに変化させた別の羽でグルグル巻きにして拘束した。今のレイン・ポゥは黒いサナギのようにしか見えないだろう。

 

 

「香織ちゃん!?」

(にのつぎ)さん!?」

「あんた、レイン・ポゥに何しやがった!?」

 

 郵便配達人とリボンの魔法少女が悲鳴に近い声を上げ、海賊の魔法少女が魔王パムを睨みつけてくる。

 

 

「奴こそ我ら捜査班が此度追い求めた暗殺者よ。そうだろう、7753?」

「……あ、あってます。彼女が今まで殺した魔法少女の数、それと彼女がトコと過ごした累計時間も確かめました。間違いありません、レイン・ポゥが暗殺者です」

 

 魔王パムが7753に話を振ると、7753は深呼吸を挟んでから魔法のゴーグルで得られた情報を宣言する。マナたち捜査班の面々は驚きつつも魔王パムと7753の発言を受け入れた。

 

 また、スイムスイムもマナたち捜査班と同様の反応を見せた。どうやらスイムスイムの『中立』という発言に偽りはないようだ。スイムスイムは捜査班の事情もある程度知っているとみえる。

 

 が、トコ一派は違った。

 

 

「暗殺者? 何それ、妄言も大概にしなよ。あたしたちはみんな、トコの力で魔法少女になったばかりの一般人よ。あたしたちの中に暗殺者? とやらがいるわけがない。あんたら、あたしたちの仲間に手を出して、タダで済むと思ってんの?」

「黙れ。お前らは我々に文句を言える立場じゃない。身の程をわきまえろよ」

「はぁ? このデコチビ女!!」

 

 海賊の魔法少女が片刃剣(カトラス)を鞘から抜き、マナが魔法の杖で海賊を迎え撃とうとする。まさに一触即発だった。魔王パムは羽を使って双方を無力化しようとして。

 

 

「――ストップ」

 

 スイムスイムの声が響いた。

 スイムスイムの声が場に浸透し、海賊とマナがスイムスイムへと振り向く。

 

 

「私たちに必要なのは『対話』。今、何が起こっているのかを対話を通じて整理すること。争うのはその後からでも遅くはない」

 

 海賊とマナの鋭い視線が突き刺さる中、スイムスイムはウェディングドレスの魔法少女へと歩み寄る。

 

 

「ウェディン。魔法を使って」

「わ、私の魔法ですか?」

「そう。立場の違う私たちが冷静に会話をするためには、あなたの魔法で制約を設けないといけない」

 

 なるほど。どうやらウェディンは他者に行為を強制させる魔法を使えるらしい。スイムスイムから促されたウェディンはおずおずと手を上げる。

 

 

「……その、私は『約束をしたらそれをぜったいに守らせる』魔法を使えます。この魔法で今から1時間、みなさんが嘘をつけなくなる魔法をかけるつもりなのですが、使ってもいいでしょうか?」

 

 ウェディンの進言に、マナは7753を見やり、7753は「大丈夫です。彼女、ウェディンさんに私たちを陥れる意思はないです」と告げる。

 

 が、万が一のことはある。魔王パムは念のため、誰にも気づかれないように2枚の羽根を小さくして、耳栓とする。ウェディンが話す約束の内容は、ウェディンの口の動きから読み取れるため、約束を耳で聞かずとも問題ない。

 

 

「今から1時間、絶対に嘘をつかないでください。良いですね?」

 

 ウェディンの発言が終わったタイミングを見計らい、魔王パムは耳栓の役目を果たしてもらった羽を耳から外す。

 

 それにしても、一定時間嘘を吐けなくするだなんて、ずいぶんと甘い約束だ。嘘を吐かずに人を騙す方法なんてこの世にはごまんとあるというのに。

 

 改めて思い知らされる。彼女たちは暗殺者レイン・ポゥの、トコの被害者なのだと。ちゃんと育てられないまま、戦場に放り出されてしまった未熟な戦士なのだと。レイン・ポゥとトコが捜査班から逃げ延びるためだけに利用された存在なのだと。

 

 レイン・ポゥとトコの所業に、はらわたが煮えくり返る思いだ。

 

 

 魔王パムの心情をよそに、魔法少女たちの情報共有が始まった。

 トコ一派の事情は、スイムスイムが説明した。トコ一派の魔法少女たちは波山中学校の生徒や先生(+亀)で、今日魔法少女になったばかりで、魔法少女の力を永続的に与える対価として、『悪い魔法使いの一味=捜査班』と戦うことを要請されたこと。

 

 捜査班の事情は、班長のマナが話した。魔法の国で散々暗殺を繰り返した凶悪犯。その凶悪犯にトコが関与しているとの情報を基に、暗殺犯&トコが潜伏するB市へ赴いたこと。

 

 続いて、マナの話は暗殺者レイン・ポゥが積み重ねた所業へと波及した。

 レイン・ポゥが暗殺者として、これまでどのような人物を暗殺し続けていったかを事細かに説明していった。

 

 マナの話を受けて、トコ一派の魔法少女たちはそろって絶句していた。

 

 

「……違う」

 

 ただ1人を除いて。

 

 

「違う違う違う違うッ!」

 

 郵便配達人:ポスタリィがマナの話なんて聞きたくないと耳を塞ぎながら首をブンブン左右に振った。

 

 

「香織ちゃんはそんなことしないもん!」

「お前がどれだけ否定しても、レイン・ポゥが罪を犯した事実は変わらないんだよ」

「友達だからわかる! 香織ちゃんは、香織ちゃんはそんな酷いことしない……!」

「今日になるまでその友達が魔法少女だと知らなかった者が何を言っても説得力はない。根拠の伴わない、ただの感情論だ。お前はレイン・ポゥの本性を知らなかった。それだけだ」

「だって! 今日だって香織ちゃんは自分が魔法少女になって驚いて、ずっと憧れてたから魔法少女を続けたいって言ってて! だから、だからぁ……!」

「全部、演技だったんだよ。お前たちを巻き込むことで、少しでも我々追手から逃れる確率を上げたかったんだ。学校で友達関係を作っておけば、いざという時、盾になってくれる。レイン・ポゥが思い描いていた構図はこんなところだろうよ」

「ッ!!」

 

 ポスタリィとマナで繰り広げられた口論は、マナがポスタリィをねじ伏せることで終わりを告げた。ポスタリィが膝をつき、きつく唇を噛んで涙を零す。マナは深々とため息を吐く。

 

 マナもまた、魔王パムと同種の気持ちを感じているようだ。

 そう、胸糞悪い。レイン・ポゥはあくまで肉壁として、ポスタリィと友諠を結んだ。だが、ポスタリィは虚構の友諠を信じており、それゆえ情緒を著しく乱している。その構図が、とにかく胸糞悪い。

 

 

「……あの、質問しても良いですか?」

 

 ポスタリィが静かに涙を零す中、繰々姫が恐る恐る手を上げる。

 

 

「なんだ?」

「あなたたちに捕まった(にのつぎ)さんは、これからどうなるんですか?」

「厳正なる法の裁きを受けてもらう。おそらく魔法に関する記憶をすべて消去して放逐するか、封印刑になるだろうな」

「封印刑?」

「永遠に檻の中に収監されるようなものだ」

 

 繰々姫の質問に対するマナの回答に、繰々姫は息を呑む。そんな繰々姫の背後でゆらりとポスタリィが立ち上がる。その両眼には昏い決意が宿っている。

 

 

「香織ちゃん、香織ちゃんを返せぇぇええええええええ!!」

 

 ポスタリィが叫びながら、レイン・ポゥを拘束した張本人:魔王パムへと破れかぶれで突撃してくる。

 

 魔王パムがポスタリィという少女を今まで観測した限りでは、彼女はどちらかというと引っ込み思案で、気が強くない性格。そのはずだ。そんなポスタリィが魔王パムに逆らおうと思えるぐらい、この子はレイン・ポゥに依存している。

 

 このままレイン・ポゥは連行する。これは絶対だ。これまでひたすら罪を重ねてきた暗殺者をあえて逃がすなんて選択肢はない。

 

 ただ、残されたこの子のことが心配だ。今後、友達のレイン・ポゥと会えなくなるかもしれないことに絶望し、最悪の場合、自ら命を絶つかもしれない。

 

 だから、動機が必要だ。

 どんな感情だっていい。ポスタリィが生きる原動力を失わずに済むように。

 

 

 此度は悪役に徹してやろう。

 私は『魔王』なのだから。

 

 

「遅い」

「う゛!?」

 

 魔王パムはポスタリィに平手打ちを放った。

 ポスタリィがドサリと倒れる。魔王パムはポスタリィの胸倉を掴んで、ひたすら平手打ちを続ける。

 

 

「この世で無理を通すには力が必要だ。貴様には力がない。だから暗殺者の友達を守れない。我々の措置が気に入らないというのであれば――強くなれ。私を倒せるくらいにな。さすれば、囚われの友達を檻から救うこともできよう」

「……う」

 

 胸倉を掴む手を離すと、ポスタリィがなすすべもなく倒れる。震える体でどうにか立ち上がろうとして、しかし体に力が入らず、まもなく気を失った。

 

 

「ポスタリィ!」

 

 トコ一派の魔法少女たちがポスタリィへと駆け寄る。そんな彼女たちを見つめながら、マナが吐き捨てるように口にした。

 

 

「お前たちは犯罪者のレイン・ポゥとトコに利用された被害者だ。この一件が終わり次第、魔法の国はお前たちがまっすぐ生きられるようフォローすることを約束しよう。……だが、さっきのポスタリィみたいに、これ以上我々の意向に背くようであれば、レイン・ポゥ同様、お前たちも共犯者として捕縛する。一時の情に流されて、己の人生をふいにするような愚は犯すなよ?」

 

 

 ◇◇◇

 

◇スイムスイム(憑依)(残り時間16時間32分)

 

 

 ……スイムスイムですが、現場の空気が最悪です。

 

 だれかたすけて!(【求人】ラフ・メイカー【学歴不問・未経験者歓迎・昇給あり】)

 

 

「どうした、ヘンタイ」

「…………何でもない」

 

 ボクが現場の空気に耐えきれずに虚空を見やると、空中をふわふわ浮遊していたテプセケメイが空虚な瞳でボクを見下ろしてきた。テプセケメイはいつも通りだった。

 

 

「ヘンタイ」

「私は変態じゃない」

「お前に聞きたいことがある」

「なに?」

 

 そんなテプセケメイから珍しく問いが投げかけられる。

 

 

「お前は空を飛ばないのか? 飛べるのになぜ飛ぼうとしない?」

 

 ……え、え?

 

 

 テプセケメイからの問いに、ボクは目を丸くした。

 

 




次回 第26話
『諸君、私は魔法少女が好きだ』
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