その白スクで魔法少女は無理でしょ、スイムスイム   作:超天才清楚系病弱魔法少女

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問9.プフレとシャドウゲールの人格が入れ替わった時、高校のクラスメイトたちに入れ替わりを悟られないための方法を述べよ。ただし、欠席・遅刻・早退・体調不良からの保健室ルート等の授業をサボるためのあらゆる手段は使用禁止とする。



第9話 スポーティーな視線

 

◇キーク

 

「むぅぅー」

 

 ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』の開発者:キークは大層不満だった。ぷくーと、頬を膨らませて不満を体で派手に表明する。

 

 尤も、態度に表明したところで、キークの不満顔を観測できるのは、マスコットキャラクターのファルだけだ。それでも、不満を態度で示さなければ気が済まない。

 

 『魔法少女育成計画』は、キークがファルとともに丹精込めて作ったゲームだ。クラムベリーが強いた不当な試験(殺し合い)で生き残って正式な魔法少女になった者から、誠に正しい魔法少女のみをすくいとり、正しくない魔法少女を断罪するために作った舞台だ。

 

 それなのに、魔法少女たちが死ぬ気配がない。

 これまで17名の魔法少女たちには、ゲーム世界での3日間を2回、過ごしてもらった。結果、誰も死んでいない。17名の魔法少女は全員生存している。

 

 キークは、悪逆非道な森の音楽家クラムベリーとは違う。

 理不尽な試験を、殺し合いを強いない。

 

 ゆえに、『魔法少女育成計画』は理不尽な難易度にはしなかった。ゲームのセオリーに則り、序盤の敵は弱くする、街やエリアから必要な情報を集められるようにする等、工夫を重ねてきた。正しい魔法少女だけが生き残るよう、ゲームの構成を緻密に調整してきた。

 

 結果、誰もゲームオーバーしていない。誰も死んでいない。

 だったら、今回集めた17名は、実は全員正しい魔法少女なのだろうか。

 いいや、そんなことはありえない。

 

 例えばリオネッタ。

 奴は、金のためにひたすら魔法を悪用し続ける、唾棄すべき輩だ。

 

 例えばメルヴィル。

 奴は、森の音楽家クラムベリーの試験を当然のように受け入れて、次々と魔法少女の屍を重ねてきたキチガイだ。

 

 例えばプフレ。

 奴は、邪悪の最たるものだ。巧みに試験の場を掌握し、自身はほとんど手を汚すことなく、魔法少女たちを同士討ちさせて、シャドウゲール共々生き残ったサイコパスだ。

 

 どいつもこいつも魔法少女不適格。キークのゲームで死ぬべき存在だ。

 なのに誰も死んでいない。全員生きている。

 

 ゲームの難易度が簡単すぎたか?

 それとも土壇場でスイムスイムを参加者に追加したことで悪影響が起こったか?

 けれど、スイムスイムは大して動きを見せていない。あの狂人――アカネとは結託したのだろうが、それだけで魔法少女の死を完全に防げるわけがない。

 何が、何がいけない。あたしは一体何を計算ミスしている?

 

 

「ゲームの進捗は順調ぽん。みんな優秀ぽん」

 

 ついでにファルも気に入らない。せっかく誰かゲームオーバーしたタイミングで『ゲームオーバー=現実の死』だとカミングアウトするつもりだったのに、機会が全然来ないせいでこいつは今もお気楽だ。ゲームのシミュレーションを繰り返すうちに『クラムベリーの子供達』に肩入れするようになったファルが真実を知って、慌てふためく姿も楽しみの1つだというのに。

 

 ゲームの調整は必須だ。多少難易度を上げたところで、正しい魔法少女なら絶対に死なない。神様が選ぶのだから。正しい魔法少女のみを抽出しないといけない。魔法少女にほんの少しでも不純が紛れちゃいけない。 

 

 けれどまぁ。ゲームの難易度の調整作業は後回しにしよう。

 せっかく嬉しいイベントが向こうからやってきてくれたんだから。

 今まではつまらなかったが、これからは間違いなく楽しくなる。

 

 

「さすがだね」

 

 キークは扉の向こうの人影に声をかける。

 キークが存在を感知し、この場に招き入れた人影に熱のこもった視線を向ける。

 

 

「まだ魔法の国に通報していないのに、まさかもう嗅ぎつけてやってくるとは思わなかったよ。さすがは強く優しい正義の魔法少女。――ようこそ、あたしの世界へ。はじめまして、スノーホワイト」

 

 キークの意思一つで扉が自動的に開かれる中、キークは己の空間に入室してきた白い魔法少女に語りかける。キークの推しにしてキークの憧れ、正統派な魔法少女の鑑、スノーホワイト。ようやく、ようやく本人と直接、相まみえることができた。

 

 

「ねね、お話しよ? あなたには聞きたいことがいっぱいあるんだ」

「奇遇だね、私もだよ」

 

 キークはスノーホワイトをテーブルに案内した。スノーホワイトが近くの椅子に座り、キークがスノーホワイトとテーブルを挟んで向かい側の椅子に座り、双方向かい合う。

 

 

「それで? スノーホワイトの聞きたいことって?」

「3年前。N市で森の音楽家クラムベリーが試験を開催した。知ってるよね?」

「当然! 正義の魔法少女スノーホワイトが始まったきっかけだもの!」

「その試験に参加していたスイムスイムのことは知ってる?」

「……え。うん、まぁ」

「リップルがスイムスイムを殺した。そのことも?」

「知ってるよ。あたしの魔法は電脳世界全般に融通が利くからね。で? そんなこと聞いてどうしたの? もっとあたしと楽しい話をしようよ」

「あの時死んだはずのスイムスイムを生き返らせた人を探している」

「……」

「キーク。あなたがスイムスイムを生き返らせたの?」

 

 つまらない。つまらないつまらない。

 せっかく憧れのスノーホワイトと対話できているのに、どうして話題が『クラムベリーの子供達』の1人であるスイムスイムのことばかりなのか。スノーホワイトとはもっと有意義な話をしたいのに、どうして。キークは内心で苛立ちの舌打ちを放った。

 

 

 ◇◇◇

 

 

◇スノーホワイト

 

 スノーホワイトがN市に帰郷し、なぜか生き返っていたスイムスイムと出会った日。

 スノーホワイトはスイムスイムといくらか会話を交わし、最終的にスイムスイムの前から姿を消した。しかし、そのまま彼女の下を完全に離れ去ったわけではなかった。

 

 生き返ったスイムスイム自身には悪意を感じない。けれど、多くの魔法少女を殺したスイムスイムをあえて生き返らせた存在は決して見過ごせない。ゆえにスイムスイムを泳がせて、必ずやスイムスイムをよみがえらせた何者かへの手がかりを見つけてみせる。

 

 スイムスイムから感知されない程度に距離を取り、身をひそめる。

 そうしてスノーホワイトは、スイムスイムの監視を始めた。

 

 

 ◇◇◇

 

――スイムスイム観察日記――

 

 作:スノーホワイト

 

 

・1日目 晴れ

 

 スイムスイムはN市の街へ目指してテクテク歩を進めていく。私の監視には気づいていない。「もしも何か悪いことをやったなら、その時はわかるよね?」とわざわざ脅してから立ち去っただけあって、スイムスイムは周りを警戒していない。まさか今も私に監視されているとは思っていないだろう。

 

 

・2日目 曇り

 

 スイムスイムはN市の街には行かずに、裏山にとどまることにしたようだ。ぴょんぴょんジャンプをしたり、魔法を使って地面に潜ってみたり、雑草を食べてみたり、石を真上に投げてみたりといった行動は、魔法少女の体でどこまで実現できるのかを確かめているかのようだ。一度死んで、生き返った己に何ができるのか、何ができないのかについて、彼女はつぶさに情報を集めている。

 

 

・3日目 雨

 

 スイムスイムは雑草を食べている。

 そのほかは、これといった動きを見せない。

 

 

・4日目 晴れ

 

 スイムスイムは雑草を食べている。

 そのほかは、これといった動きを見せない。

 

 

 ◇◇◇

 

 

◇スノーホワイト

 

(監視、やめようかな……)

 

 スノーホワイトは心が折れかけていた。

 スイムスイムの監視は、あまりに実りがなさすぎる。

 

 実はスイムスイムは監視に気づいていて、だからこうも生産性のない行動を続けて、スノーホワイトを諦めさせようとしているのだろうか。しかしそれにしてはスイムスイムはあまりに無防備だ。周囲に一切、注意を払っていない。監視に気づいているのなら、一瞬くらい、体が反射で反応するはずなのだ。

 

 どうしてスイムスイムが雑草以外を食べようとしないのかはわからないが、いくら魔法少女とてさすがにこのままの偏りきった食生活はマズい。何かご飯を差し入れた方が良いのではないか。というか、あの時はみんなのお墓参りするっていってたのに、どうして頑なに裏山から動こうとしないのか。

 

 

(私、なにやってるんだろう)

 

 己の思考が散漫となっていることを自覚し、ため息を零す。

 復活したスイムスイムと出会ってからというもの、調子が狂いっぱなしだ。

 

 と、その時。スイムスイムに変化が訪れた。

 いきなり立ち上がり、どこかへ向けて一直線に駆け出した。

 

 

(動いた……!)

 

 スイムスイムの監視には意味があった。

 今までスイムスイム監視に費やした4日間は無駄じゃなかった。

 スノーホワイトは興奮する気持ちを押さえつけながら、スイムスイムの後を追う。

 

 それから色んな事があった。

 スイムスイムは病院の中に入った。その後、探偵っぽい姿をした魔法少女と一緒に病院から出ていった。探偵の魔法少女がファストフード店で食べ物を購入し、スイムスイムに与えた。探偵の魔法少女は魔法で建物と話しながら、スイムスイムをとある一軒家に導いた。

 

 とある一軒家にスイムスイムが入った。一軒家の中で怒号。その後、声は静まった。外で待機していた探偵の魔法少女が一軒家の中に入っていった。その後、しばらくしてから探偵の魔法少女が単身、一軒家から外へ出た。

 

 

(はぁ、参ったな。ロクに食事をしていないらしい7歳の子供(スイムスイム)を助けるだけのつもりだったのに、まさかこんな大変な話になるなんて)

(……整理しよう。私達は魔王討伐を目的とするゲームの世界に巻き込まれた。ゲームのテストプレイヤーに選ばれた17人はおそらく全員、森の音楽家クラムベリーの試験:殺し合いに生き残った者たち。何を思ってか、ゲームマスターは共通項を持つ私達に殺し合いを期待している)

(でも、何が悲しくて殺し合いなんてしないといけないのか。ってことで、スイムスイムはアカネと私を巻き込んだ。ゲームの世界でなるべく悲劇を起こさせないための作戦を、スイムスイムは共有してくれた。私は私の役目を全うしないといけない。あぁもうお腹痛い)

(でも、作戦とは別に、もっと仲間を集めたい。その方が作戦の成功率も上がるし。そのためにも現実世界で他のゲーム参加者に会いたい)

(会える難易度の低さで考えるなら、筆頭はマジカルデイジーだろうか。彼女の活躍はアニメ化されている。アニメの情報から『聖地』――彼女の活動場所を割り出せるかもしれない。聖地ならマジカルデイジーを見たことのある建物も多いはずだから、彼女の居場所を調査しやすい。アニメで描写された彼女の性格が事実なら、私達の作戦への協力も期待できる)

(とにかく慎重に動かないといけない。少しでも何かミスをしたら、大惨事になりかねない。みんな、みんな死にかねない)

(あぁもうどうしてこうなった。だれかたすけて)

 

 スノーホワイトは『困っている人の心の声が聞こえる』魔法を使える。

 探偵の魔法少女の心から聞き取った内容は、決して捨て置けない内容だった。

 

 心を読める魔法少女が近くに潜伏していることを知らない状態で、心の中でウソをつくことは不可能だ。探偵の魔法少女の心の声は真実だ。また、3年前のN市の時のような、魔法少女同士の殺し合いが行われる可能性がある。

 

 今のスノーホワイトは、3年前とは違う。

 もう、何も選ばずに後悔するだけの己ではない。

 スノーホワイトは迅速に行動した。

 

 探偵の魔法少女の心の声にはたくさんのヒントがあった。

 スノーホワイトは魔法の国で調査した。『クラムベリーの子供達』を1つの舞台に集めて、殺し合わせる動機がありそうな人。ゲームの舞台を用意して、そこに魔法少女を放り込めそうな人。そうして、スノーホワイトは最有力候補の下へ訪問した。

 

 キーク。

 魔法の国のIT部門トップに君臨する人物。

 『クラムベリーの子供達』の存在に疑義を提唱していた人物。

 

 スノーホワイトの推測は正解だった。最有力候補:キークがスノーホワイトを歓迎して、招き入れた部屋がすべてを物語っている。壁、天井、床。あらゆる場所に埋め込まれた無数のモニターが映し出す非現実的な風景と、魔法少女たちの姿が答えそのものだ。映像の中には探偵の魔法少女の姿もあるし、スイムスイムの姿もある。

 

 

「キーク。あなたがスイムスイムを生き返らせたの?」

 

 スノーホワイトは真っ先に、キークがスイムスイムを生き返らせたのかを尋ねた。これまでの行動を調査した限り、キークにはスイムスイムを生き返らせる動機はないが、万が一がある。

 

 

「そんなわけないじゃん! どうしてあたしが『クラムベリーの子供達』なんかをよみがえらせないといけないのさ! それも、人を何人も殺すようなサイコパスをさぁ……!」

「そう、ならいい」

 

 案の定、キークではないようだ。では、誰が?

 誰が、何のためにスイムスイムをよみがえらせた?

 キークの心の声を聞こうとしたが、できなかった。スイムスイムといい、キークといい、当然のようにスノーホワイトの魔法を封じてくるのは一体何なのか。

 

 

「スイムスイムのことなんかもういいじゃん。あたし達にはもっと大事なことがある。……あたしは今、ゲームを開催している。正当な魔法少女だけを生かして、不当な魔法少女を排除するゲームだよ。絶対、スノーホワイトもわかってくれる。あたし達はともに手を取り合えるよ」

 

 スイムスイムのことで気になることはたくさんある。

 けれどスノーホワイトは、一旦スイムスイムのことは忘れて、目の前の問題(キーク)を片付けないといけないようだった。

 

 

「ゲームの世界で死んだらどうなるの?」

「現実でも死ぬよ」

「……は? 何それ知らないぽん」

「うん、言ってなかったしね」

 

 キークの答えはスノーホワイトの想定内だった。

 しかし、キークの傍らで、空間に投影されているマスコットキャラクターにとっては想定外だったようだ。マスコットキャラクターはキークに問い詰めるも、当のキークは口笛を吹いている。

 

 

「魔法少女たちをゲームから解放して」

「やだよ、そんなの」

「解放して」

「いくらスノーホワイトの頼みでもそれはうなずけないよ。もーいいじゃん。あんな奴ら、放っておいてさ。それよりあたし達の未来の話をしよう。あたしとスノーホワイト、2人で正義を執行するんだ! きっと長い旅路になる。でもあたし達ならできるよ。この世界を、正義の魔法少女だけにしよう。論外な魔法少女もどきをこの世界から消し去ろう!」

 

 キークはスノーホワイトに好印象を持ってくれている。

 けれどスノーホワイトの意見に聞く耳は持ってくれない。

 自分の中の絶対的な正義に心酔していて、欠片も揺るがない。

 

 キークをどう切り崩すべきか。

 どうやって殺し合い(ゲーム)を強制終了させるべきか。

 

 スノーホワイトは、冷徹な眼差しでキークを見据えた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

◇スイムスイム(憑依)

 

 結局のところ、ボクがアカネとディティック・ベル様に提示した作戦は『遅延戦術』だ。

 ゲームの進行を遅らせる作戦だ。

 

 ベル様は新しいエリアが解放されるたび、どの辺でモンスターがポップしそうかを推理して、推理結果をアカネにメールして、情報共有する。アカネは、ベル様が推理した場所へ赴いてモンスターを殲滅する。

 

 目的は、他の魔法少女たちにマジカルキャンディーを集めさせないこと。

 ただしヘイトがアカネだけに集まるのはよろしくないため、チェルナー・マウスによる狩場独占行動は妨害せずに放置し、魔法少女たちのヘイトをチェルナー・マウスとアカネに分散させる。

 

 さらに、アカネには狂人の演技もしてもらう。そうすることで、他の魔法少女やゲームマスターからヘイトを集めにくくする。アカネがマジカルキャンディーを独占して、延々と「R」を買ってガチャしまくっていても、『でもこいつ頭おかしいしな……犬になりたがってるだけだしな……』で思考停止してもらう。

 

 新しいエリアに進むにつれて、モンスターは強くなっている。

 強いモンスターと戦うためには、新しいエリアで買える強い武器と防具が必要だ。

 ゲームの世界は、『マジカルキャンディー=お金』だ。アイテムを買うにはマジカルキャンディーが必要だ。強力な武具は当然、値段が高い。

 

 アカネにマジカルキャンディーをかき集めてもらって「R」で浪費させる。

 結果、他の魔法少女たちはマジカルキャンディーを集めにくくなる。アカネを殺してマジカルキャンディーを奪うという発想も抱けない。

 

 ゲーム攻略に役立つアイテムを買いにくくさせて、ゲーム攻略を遅らせる。

 とにかく遅らせる。

 

 そうして、時間を稼いで。

 ゲームの世界に囚われているボクたちの窮状を助けてもらう。

 じゃあ誰に助けてもらうの、という話だが……。

 

 

 ボクはスノーホワイトを信じている。

 アニメで繰り広げられた、N市を舞台とした殺し合い。その殺し合いに生き残ったスノーホワイトは、アニメ最終話で凄く頼もしくなっていた。強者特有のオーラをまとっていた。

 

 頼もしくなった彼女ならば、スノーホワイトならば。

 なぜか生き返ったキルリーダー:スイムスイムを決して放置しやしない。

 

 ボクの目の前から姿を消したとしても、何らかの監視の手段を残しているはずだ。本人が監視するのか、他の魔法少女に監視させるのか、監視用の魔法のアイテムを使うのかは定かではないが。

 

 ボクが動けば、スノーホワイトは看過しない。

 ボクがアカネに会おうと動けば、スノーホワイトは絶対に追跡する。

 ボクの心をスノーホワイトの魔法で読めないのならば、スノーホワイトにはアカネやベル様の心を読んでもらう。そうして、スノーホワイトにボクたちの窮状を把握してもらう。

 

 ボクはスノーホワイトを信じている。

 『魔法少女育成計画』というライトノベルの看板、スノーホワイトならば。

 きっと救ってくれる。何たって、主人公クラスの人物なんだから。

 

 だからボクのやるべきことは、ゲームの徹底的な遅延。マジカルキャンディー集めを妨害して、ゲームの進行を遅らせる。遅延させて、遅延させて、ひたすらゲーム攻略を遅延させて。正義のヒーロー(スノーホワイト)がすべて解決してくれるまで、耐え忍ぶのだ。

 

 そう、どこまでも耐え忍ぶ。

 そのためのプランもいくつか用意している。

 アカネやベル様に伝えていない手段だってある。

 

 とはいえ、運任せの策なのは確かだ。

 そもそもスノーホワイトがボクの望みどおりに動いてくれないかもだし。

 

 でもしょうがないじゃん!

 これくらいしか策が思い浮かばなかったんだよ!

 メタ推理を使ってもボクにはこれくらいが限界だ!

 ゲーム世界の参加者ポジションからゲームマスターを倒す方法なんてわかるわけないしさぁ! ボクを殺そうとした人も全然わからないしさぁ!

 てか誰だよ、透明になれる魔法少女ぉ!

 怖いんだけど!! なんでボクが狙われたのさ!?

 

 ちくしょう、やってやる!

 ぼくのかんがえたさいきょうの作戦と心中してやる!

 すべては1人でも多くの魔法少女を生存させるため! ボクの生存戦略のため!

 うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

 

 だれかたすけて!(心が叫びたがっているんだ。)

 




次回 第10話
『身体は闘争を求める』
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