好奇心は猫をも殺す   作:やまぎ

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今回でアニメ第四話までが終了します。
真島さんの言葉にできない魅力が全然表現できない。
文章力はどこで買えるのだろうか。


俺の目的は、嫌がらせかな

「さて、自己紹介も済んだことだし、これで俺たちは互いの名前を知ることとなった訳だが。

 目的を教えてくれないか、真島さん。わざわざ人払いをして、そんな物騒なものを構えて何をするつもりだい」

「目的…そんな大層なもんじゃねぇ。俺の仲間の雇われテロリスト共が、日本に入国した途端忽然と姿を消した。一切の連絡なく、全員が…だ。

 その原因の究明と解決のために、関わっているらしいDAとかいう嘘つき共をブッ潰すことにした。じゃねぇとバランスが悪い」

「なるほど。そのために千丁もの銃を入手したのか」

「さすが大将、話が早ぇ。嘘を吐けねぇほどのことをしでかして、そいつらのメンツごとつぶしてやろうと思ってなぁ」

「それでバランスかい。面白いこと考えるね」

「あんたに褒められるのは悪い気分じゃねぇな」

「俺もDAという組織は気に入らないからね。可能なら一発殴ってやりたい女史も一人心当たりがある」

「へぇ」

 

 大将はそう言うとさて。と話を終わりに向かわせた。

 

「DAが気に入らないというのは個人的には大いに賛同できるところだ…しかし死者を出すような方法は、気付いてしまった以上止めなければならない。

 真島さん、おそらくあなたは今日この場で、次に来る電車に向かってお仲間と共にその手にあるモノを撃ち込む予定だね?」

「まあわかるよな、大将なら。ご名答ってやつだ」

「ならばソレは止めておいた方がいい」

「なんだそりゃ。止めてと言われてはいわかりました、というとでも思ってんのか?」

「止めてくれ、ではなく止めた方がいい、だ。俺はね真島さん。あなたの為になることを言っているつもりだよ」

「…続けてくれ」

「おそらくDAは、真島さん自身の素性まではわからなくとも、今日この場所で何かが起きる程度の情報は入手している。詳しくは言えないが、ここに来る前に俺は外で、DAに所属している人達を見た。何人もだ」

「…」

「そうであるならば、当然対策を講じていると考えた方が自然だ。例えば、次に来る電車を回送電車へと変更した後で、車内にエージェントをたんまり乗せて、真島さんたちを抹殺しよう、とかね」

 

 あり得る話だ。いやそれどころか、この考察を聞いた後じゃ否定できる要素がなさ過ぎる。

 

「真島さんたちはプロの戦争屋だ。次善策はあるだろうがね。これも予想だが、万一のために爆弾を仕掛けておいて、いざという時の為には起爆させて圧し潰してしまう、なんてのはどうだい」

『!』

 

 俺を含めて仲間達全員の顔が強張った。

──マジかよ大将。どこまでインフレすりゃ気が済むんだ。

 

「すまないが真島さん。それは止めてくれないだろうか。今からくるかもしれないエージェントの中に俺の知っている顔はないだろうが、俺の大切な友人達の知己かもしれないんだ」

 

 大将はそう言って、緩やかに頭を下げて懇願してきた。

 

「止めてくれ大将。あんたほどの男が軽々しく頭なんか下げんな」

 

 そういう俺に対し、大将は頭を下げたまま重ねて懇願してきた。

──参った。俺の敗けだ。

 

「わぁったよ。大将の仮説には信憑性があった。

 大将の言う通りなら俺たちの中に死者が出てただろうよ。そうなりゃあんたは命の恩人だ。恩人の願いの一つも叶えないのはバランスが悪い」

 

 俺が頭を掻き毟りながら言うと、大将は頭を上げてありがとう、と微笑んだ。コイツと話してっと調子狂うな。

 

「ありがとう真島さん。ああでも」

 

 大将は微笑んだまま爆弾発言をブチかました。

 

「爆破自体をやめる必要はない。エージェントが立ち去って無人になった後なら、盛大にやってくれたまえ」

 

 固まっている俺たちの耳に、ファァァァン!と電車が近付いてくる音が木霊した。

 

 

────────────────────

 

 もうすぐ目的地に着く。そこに、いるのだ。凶悪なテロリストたちが。

 

 DA本部から命じられた任務は、北押上駅に集うテロリスト集団の抹殺。

 参加リコリスはすべてサードで、人数は20名弱。

 

 これだけ大規模な任務だ。成功させればセカンドへの昇進が一気に近付く。

 ごくりとつばを飲み込むサード達は、走る車内で身を屈め、駅突入の際に速度を落とす電車への無差別掃射を警戒した。

 

 予想と反し滞りなく減速した電車は、やがて停止しその扉を開いた。

 

『!!』

 

 開いたと同時に屈めていた身を起こし、正面に銃口を構えたリコリス達は、みな目を疑った。

 

────誰も、いない?

 

 テロリストどころか人っ子一人いない。

 動揺のままに、リコリスの中の一人が指示を仰ぐために通信を開始した。

 

「司令部、応答願います」

『どうした』

「目的地点に到着したのですが、その、テロリストの姿はどこにもありません」

『なに?』

「それどころか、誰も。指示をください」

『…』

 

 司令は少しの間答えに窮していたが、ラジアータが再演算を行ったのか指示が返ってきた。

 

『任務完了。総員帰投しろ。異論は認めない』

──以上だ。

 

 その言葉を最後に通信が切断された。質問すら許されない、ということだ。

 帰投命令が下された以上、選択肢はない。

 リコリス達はみな疑問に思うことはあれど、それぞれが少人数のグループを作り、女子高生を演じながら地上へと上がった。

 

 最後尾のリコリスが、電話で話すフリをしながら階段を昇り終え、数歩歩いた、その瞬間だった。

 

 地下からドォンとくぐもった破裂音が聞こえ、先ほどまで自分たちが居た駅は崩落した。

 ほんの少し遅れただけで確実に巻き込まれていた。

 この規模だ。命を落としていた可能性は充分ある。

 

 リコリス達の脳裏に、とある少年の言葉が想起する。

──自分たちでは想像もつかない、悪意。

 

 リコリス達は皆揃って、額に冷や汗を浮かびながら撤退した。

 

────────────────────

 

 爆破スイッチを押した俺は、野次馬が群がる駅を見下ろしながら、隣立つ男に声を掛けた。

 

「いいのかよ」

「なにがだい、真島さん」

「爆破を止めず、俺たちも見逃すなんて」

「おかしなことを言う。俺は聖人君子でも、DAでも、警察でもない。

 やりたいこと最優先の、しがない一般人だ」

「あんたみたいな一般人が居てたまるか」

「フ…それに俺は真島さんのことが嫌いじゃないらしい。さすがに人死にが出るような行動は止めるが、あとは自由だ。そもそも俺にはあなたの思想を否定する権利はない。仲間の弔い合戦の側面もあるようだしね」

「ハッ」

「それに言っただろう。俺も、DAは気に入らないんだ」

「…」

「今回の爆破も、お得意の情報操作で脱線事故あたりに書き換えられるだろう。奇跡的に死傷者ゼロなんて美談めかしてね。そうなれば矢面に立たされるのは、鉄道会社の責任者だ。当然、裏ではDAが復旧に尽力して、ともすれば全額弁済するだろうがね」

 

 大将は、すでに見慣れつつある微笑みの表情を変えないまま続けた。

 

「DAから大量の金が流れて、痛めるのは上層部の頭と組織そのものの財布だけ。エージェントたちはケガもないし、彼女たちが自ら金を出すのはあり得ない。万々歳だ。

 だからまあ、今回の俺の目的は、嫌がらせかな」

「なんだそりゃ」

「地下が戦場になるんだ。爆発による崩落なんて真っ先に思いつき、警戒し、対策しなければならない。それを怠ったのだから、少しはお仕置きしないと。次に活かしてもらうためにもね」

 

 そう言った大将は、両手を頭の上にあげぐっと背伸びをした。

 

「さて、俺はそろそろ帰るよ」

「つれねぇな。一杯どうだ」

「嬉しいことを言ってくれるね。でも残念、予定があるんだ。それに俺は酒はまだだ。また誘ってくれると嬉しい」

「マジかよ」

 

 コイツ未成年なのかよ。ぶっ飛んでんな、いろいろと。

 

「20になったら付き合えよ」

「ああ。約束だ」

 

 そう言った大将は、瞬き一つしたその瞬間に、影も形もなかった。マジかよ。

 

「すげぇな。どうやってんだ、それ」

 

 呟いた俺の声に、また新たな声で返事があった。

 

「僕が調べてやろうか?」

「あぁん?」

「手元だ、手元」

 

 手に持っていたスマホに目を向けると、ロボットのような被り物をした人物が映し出されていた。

 

「なんだてめぇ」

「お前が真島だな。僕はロボ太。お前を手助けする世界一のハッカー。リコリスを倒したり、秘密を暴くには僕のような頭のいい奴が必要だ。僕の頭脳と、お前の力を」

 

 

 通話終了っと。なにを一人でペラペラしゃべってやがる。

 手遊びにスマホを指の上で回転させながら呟く。

 

「もっとすげぇことすりゃいい話さ。それに、大将のことは俺が直接聞くよ。酒の肴にでもな」

 

 しかし、もっとすげぇことか。難易度クソ高ぇな。

 リコリスとかいうらしいあのガキどもを一人でも殺しゃ、その時点で詰みだ。

 あのバケモノが、本気で牙をむいてくる。

 

「ありゃ無理だ。俺とはバランスがとれねぇ」

 

 いや、俺どころか…

───世界を天秤にかけてもバランスがとれねぇ。

 

────────────────────

 

「ただいま」

「おかえり~、神楽くん!先に始めてるよ!ほら、入って入って!」

「ああ、ありがとう。次のゲームから参加させてもらおうかな」

「よしきた!」

 

 そう言って俺は、手洗いうがいのためにカウンター内に入る。さすがの俺も細菌は避けられない。そんな俺にたきなが話しかけてきた。

 

「それで万里さん。なにかあったんですか」

「ああ、駅で事故があってね。それの救助か何かにリコリスが駆り出されてたんじゃないかな。銃撃戦とか物騒なことはなかったよ」

「そうですか…」

 

 俺の言葉にほっと胸を撫で下ろし、一礼して千束のもとへ帰っていった。

 心配してくれてたのかな。優しい子だ。

 

「オイ万里」

「今度はクルミちゃんか。どうしたんだい」

「……本当だろうな」

「ああ、嘘なんてついてないよ」

 

───言っていないことは、あるけれど。




まさかの北押上事件を未然に防いでしまった…と思いきや防がなかった主人公。
なにしてくれとんねん。駄文とはいえ一から文章考えるんの大変やねんぞ。
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