好奇心は猫をも殺す   作:やまぎ

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続きです。

この話でアニメ第五話が終了いたします。

…特に書くことないな。


あ、もしよろしければ感想など頂けると大変喜びます。
『感』じた『想』いなので、誰かを攻撃するような内容でなければもしよろしければいただけると泣いて喜びます。嘘です。 


やりたいなら、やればよかった

「やっと到着っと」

 

 ボクが放った予備のドローンが、たきなのもとへ到着した。

 すぐさま通信を一本入れると、ドローンから送られてくる映像に注視した。

 

 空からたきなの姿を補足したと同時に、たきなはジンに足を撃たれ倒れ込んだ。

 たきなは地面を這って進むと、ジンから直接狙えない位置にあるコンテナに身を隠した。

 

「千束!急げ!」

 

 隣でミカが千束を急かす。

 

 ジンは今いる位置から直接狙えないと分かるや否やすぐさま位置取りを変え、たきなに狙いを定める。

 

 そんなジンに、発砲音と共に紅い華が襲った。

 千束が放った非殺傷弾だ。

 

 ジンは自分が狙撃されており、かつ制度があまり高くないことを瞬時に見極め、千束に牽制しつつその場を離れようとする。

 

 千束は絶えず銃弾を撃ち込み続け、距離を取ることを諦め、正確に狙いを定めるために向き直ったジンに距離を詰める。

 ジンも負けじと発砲するが、あれはムリだな。あそこはもう千束の距離だ。

 

 ボクの予想通りジンの弾をすべて躱した千束は、精度など知らんとばかりにジンに直接銃口を押し当て、装填されているすべての弾を撃ち切った。

 

──エグイことするなぁ。

 

 崩れ落ちるジンから目を逸らし、たきなにドヤ顔を向ける千束。甘いな。

 

「ぐぅ…!」

 

『!』

 

 さすがプロ、といったところか。全身を駆け巡るであろう激痛をねじ伏せ、それでも手放さなかった銃を千束に向けている。

 

──油断大敵だぞ、千束。でもまぁ──

 

「チェックメイトだ」

 

 座り込むジンが体重を預け支えにしている手すりに、万里が立ったままジンの後頭部に木刀の切っ先を向けている。

 間に合ったか。

 

「動かないでください。怪我が増えるだけですよ」

 

 ジンも感じ取れるモノがあるのか、先ほどまでの執念深さが嘘のように大人しくなった。

 

 

 済まないな、サイレント・ジン。ウチの最強は、音を置き去りにする。

 静かだなんだという次元じゃないんでね。

 

 

 

────────────────────

 

『殺すんだ』

 

『そいつは私の家族を奪った男だ。殺してくれ』

 

 ()()()()()()()()()()が、操作している様子のない車いすに乗ってこちらへと寄ってきた。よくわからないことを好き勝手言いながら。

 

「…でも」

 

 錦木さんが戸惑ったように返す。そりゃ混乱するよね。

 

『本来なら私が殺すべきだった。家族を殺された20年前に。…キミの手で殺してくれ。キミはアランチルドレンだろう。何のために命を貰ったんだ。その意味をよく考えるんだ!』

 

「松下さん…私はね、人の命を奪いたくないんだ。私はリコリスだけど、人を助ける仕事をしたい。『これ(ペンダント)』をくれた人みたいに」

 

『何を言っている…千束…それでは…アラン機関はキミを…その命を…』

 

「松下さんの言う通りです。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『!』

 

 ここにいる全員が驚愕し、耳元のインカムからクルミちゃんたちの息を吞む音も届いた。

 

「松下さん、あなたの言う通りだ。やりたいなら、やればよかった」

『…』

「仰ることに矛盾が多すぎます。20年間消えることのない憎悪の炎に絶やさず燃料をくべておきながら、なぜ逃げたんです。復讐のできないアメリカなんて遠い所に」

『…』

「余命宣告を受け、自力ではできないことの方が多くなった今、なぜ復讐しようだなんて思うんです。あなたは大企業の重役とお聞きしました。自由に動かせる金も普通の人に比べて何十倍も多いはず。あなたがまだ自由に動けるときに、あなたの目の前にジンを連れてきてもらうよう依頼し、自分の手で復讐をなすことも難しくなかったでしょうに。…その行いが、正しい正しくないは置いておくとしても」

 

 気に入らない。ああ、まったく、気に入らない。

 車いすに座っている男に装着されたゴーグルをのぞき込み、言う。

 

「松下さん。…いえ、このゴーグルで観ている『そこのあなた』。あなたの描いた稚拙な筋書きは、ここに破綻しました。あなたに『物語の語り手(ストーリーテラー)』の『才能』はなかったようです」

 

 気に入らない。錦木さんの表情を曇らせ、たきなに怪我を負わせ、ミズキさんを襲うなんて暴挙、面白いはずがない。

 

 

「どうしても『錦木さん』に殺させようとする…その辺の理由の辻褄を合わせて出直してこい、三下」

 

 俺が告げると同時に、騒ぎを聞きつけた誰かの通報によって、警察や救急が接近する音が響く。

 それと同時に、車いすのモニターが消え、ゴーグルのランプが消えた。

 

「え…松下さん?松下さん!」

 

 二度と電子音声が聞こえてくることはなかった。

 

────────────────────

 

 目覚めたジンと先生が話している。

 曰く、ジンの松下さん襲撃の依頼人は女で現金先払い。プライバシーを聞く気はなくそれ以上のことは知らない。

 

「20年前、松下の家族を殺したのか」

「その頃はお前といたろ」

 

 ジンは最後に先生の足のけがを心配する声を残して、バイクで走り去っていった。

 

 

「クリーナーから連絡があったわ。指紋で身元が判明。2週間前に病棟から消えた薬物中毒の末期患者。もう自分で動いたり喋ったりできないそうよ」

「そんな!みんなと喋ってたじゃない!」

『ネット経由で第三者が千束たちと話してたんだよ。ゴーグルのカメラに車いすのリモート操作。音声はスピーカーだ』

「松下さんは、存在しない…?」

「そんな…じゃあ誰が殺させようとしたの!?何のために!?」

 

 衝撃的なことが多すぎて、自分でもコントロールができず声を荒げてしまった。誰も悪くないのに。

 でも、いいガイドだって、言ってくれたのに…

 

 自分の考えに没頭する私は、息を呑んだ先生の様子に気付かなかった。

 

「つまり、全部万里くんの推理通りってわけね」

「え…ミズキさん…それって、どういう…」

「っ!そうだ!神楽くんはどこ行ったの?」

 

『俺なら先にリコリコにいるよ。車も人数的に厳しいしね』

 

 インカムから神楽くんの声が聞こえてくる。そっか…相変わらず速いなぁ。

 

「それで万里さん…推理というのは…」

『ああ、それか…。いや、実は…』

 

 万里くんが事前に披露していたらしい推理を、私とたきなにも聞かせてくれた。

 

『すまない、二人とも…。事前に共有していれば、怪我をすることも危ない目に遭うこともなかったのに』

「いえ、こんなのかすり傷ですし、私は全然…」

「私も。ていうか私は怪我ないし。でも、なんで?なんで黙ってたの?」

 

 怒っているわけじゃなくて、純粋に疑問だった。神楽くんの性格上、報連相はしっかりしそうなのに。

 

 神楽くんは言いにくそうに、それでもしっかり答えてくれた。…?なんか照れてる?

 

『俺の勘違いだったらいいなって、思っていたんだ。錦木さんとたきなの相手を思いやる気持ち…楽しんでもらいたいっていうその優しさを、相手が受け取らないなんてそんな予想、外れていればいいと…。もちろん、通信を飛ばして、松下さんを警戒してもらう手も考えたけれど、そうなってしまえばプロフェッショナルな二人のことだ、もう観光なんて気もそぞろで、厳戒態勢に入ってしまう。もしそれで俺の推理が外れていれば、今日の観光が楽しい思い出じゃなくなってしまう…。そんなことを考えていると、どうしても言い出せなかった。すまない、俺の弱さが原因だ』

 

 神楽くんは、心なしか恥ずかしそうに吐き出してくれた。

 

──顔熱ッ!!どこまで私たちのこと考えて気遣ってくれてるのこの人!!本人が恥ずかしそうなのがなおギャップ!

 

 火照る顔を覚ますため、手で仰ぎながら隣を見やると、やっぱりというべきか、顔を真っ赤にしたたきなと目が合った。たきなも仰いでるんかい。

 

 二人して顔が熱いならもう窓を開けてしまおうと、ミズキと先生に許可を貰おうと顔を前に向けて、顔が引き攣った。

 

──ミズキはまだわかるよ。女の子だもんね。自分が言われたと脳内ポジションチェンジを行えば、真っ赤になったその顔も頷ける。

 

 

 でも先生、てめーはダメだ。

 なんで先生も顔赤くしてんのよ!やだよ私!なんで育ての親みたいなポジションの人と好きな人取り合わなきゃいけないんだよ!

 好きな人って認めちゃったよああそうですよ初恋ですよ好きだバカヤロー!

 

 みんなに聞こえる通信でこんな話するんじゃなかったと思いながら、窓を開けて外を見る。

 

 でも、そっかぁ。いっぱい準備したのになぁ。

 

「いいガイドって言ってくれたのも全部嘘かぁ」

「…いいガイドだったのは嘘じゃないと思います」

「たきな…ありがとう」

 

 やっぱり、不器用だけど、優しい子。

 

『そうだね。それに、まだ終わりじゃないよ』

「?神楽くん、それってどういう…」

『俺も連れて行ってくれるんだろう?東京観光。その旅のしおりで』

「!」

『東京には住んでるんだけど、俺あんまり東京観光とかしたことなくてね』

 

──だから。

 

()()()()()、期待しているよ。()()

 

 ~~~~~!もうッ!

 

「この千束ちゃんに任せなさい!いろんなところに引っ張っていくから覚悟しててね!()()()()!」

 

 まんまと励まされてしまった私は、浮ついた気持ちを抑えるため、両手を後頭部に当てて背もたれに深く体を預けた。

 

──ってこら。

 

「ちょいちょいちょい」

「今は身内しか周りにいませんよ」

「…」

 

 まあ、いいか。

 

 

「本当に鼓動、ないんですね」

「そうなんだ。すごいだろ」

 

 窓の外に目を向けると、夜とは思えないほど明るい街並みが私たちを照らしていた。

 

 

────────────────────

 

 外の空気を吸ってくる、とクルミちゃんから張られた俺は、宣言通り店の外に出た。

 

 千束たちはまだ帰ってきていない。さっさと済ませるか。

 ポケットに入れてきたスマホを取り出して番号を呼び出しコールする。すぐに出た。

 

「やあ、フキ。息災かい。ああ、それはよかった。

 それにしてもずいぶん早口だね、もし都合が合わないなら日を改めて…ああ、いいのかい?すまないね。すぐに済ませるよ…ゆっくりでいい?はぁ」

 

 電話口に出たフキは、なにがあったかとてもテンパっているようだ。

 

「それでフキ。お願いがあって電話したんだ。

 …いや違うよ金じゃない。『いくらだ』とかじゃなくって。いやホントに。

 …うん、ありがとう。それでお願いの内容なんだけど」

 

 俺はそこでほんの一瞬言葉を切った。ごめんよフキ。多分すごく面倒なお願いをする。

 

「楠木女史にこの電話代わってもらえるかな。……ああ、ごめんごめん。『私に何の恨みが』ってフキに恨みなんてあるはずないじゃないか。ただ連絡先を知っているのが数えるほどしかいないし、その中でも一番話しやすいのがフキだから…あ、いいのかい?『しょうがねぇな』っていや本当に済まない。今度埋め合わせするよ」

 

 俺の埋め合わせ発言に、『今度鍛錬に付き合え。二人でだ。タイマンでだ』と念を押すフキ。お安い御用だ。

 

「ありがとう、では待っているから、楠木女史によろしく頼むよ…ああ、すぐそばにいるのかい。それは重畳。…ああ、内容か…そうだね。ではこう伝えてくれ、おそらくすぐに代わってくれる」

 

 楠木女史に刺さりそうな脅しm…説得の言葉を思い描いて伝える。

 

「『神楽 万里が欲しがっているものがあり、それはDAにしかないので調達してほしい。もし断ればDAの存在を、現存するすべての新聞社および雑誌社に二束三文で売りつける』とね」

 

─────どうしたんだいフキ、泣いているのかい?

 




クルミだけ露骨に出番多くて本当にすみません。
けれど筆者はクルミ推しもかなり多いと思っております!言い訳です!

Q:フキの扱いひどくない?
A:ごめんっ!!!(某航海士並みに潔く)

あとシンジ逃げて超逃げて。いやホントに。
音速超えて追いかけてくるけど、逃げて。
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