好奇心は猫をも殺す   作:やまぎ

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ご無沙汰しております。

全話のあとがきを見た方から多数のリクエストメッセージをいただきその中でも特に多かったのがまさかのエリカ参戦…という訳でぶち込みました。

そしてその次に多かったのが一朗くんとのエピソード関係でした。
これもいつか書きたいと思います。


伏兵

 

「むぅ…」

 

 

 

 

 

 

「あ、あの! お兄さんの写真を撮ってもいいでしょうか!?」

「俺のですか?…構いませんよ」

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

「また来ます! その時は神楽さん指名で!」

「当店に指名制度はありませんよ?」

 

 

 

 

「ケッ…この小娘共がぁ…」

 

 

 

 

「連絡先とか…聞いてもいいですか…?」

「連絡先…ああ、これが当店の名刺ですよ」

「あ、いや…お店のじゃなくて…」

 

 

 

 

 

「…スマホに()()()か…?」

 

 

 

 

 うちの看板娘たち──娘という年齢かわからん者も若干名居る──が、万里くんのモテっぷりに改めてご機嫌ナナメだ。

 というかクルミ…仕込むってなんだ。ウイルスか、ウイルスなのか。

 

 どうやら真島との密会を覗き見た際に改めて危機感を植え付けられたようで、ここ最近は万里くんに過度な接触を行う客に対して露骨に警戒を強める。

 しかし店員に対してアクションを起こせるような強い女性たちがそんなことで怯むはずもなく、彼女たちは悶々とした日々を送っているようだ。

 

 娘のような存在の彼女たちの恋路がうまくいくよう祈るとともに、想い人が全て同じというレアケースにどうしていいかわからんのも本音だ。

 

 

 だがそんな懸念を抱いているのは店主たる私だけのようで、当事者である彼女たちの仲は極めて良好…閉店後万里くんが帰宅した後に寄り集まって話し合っているのをよく見かける。

 

 

 …その際に「いっそのこと全員で…」とか、「たまに独り占めできるなら基本は共有でも…」という言葉が飛び交っている気がしないでもないが、年のせいかうまく耳に届かないこともままあった。

 

 …許せ万里くん。父という生き物は往々にして息子より娘に弱いのだ…。

 

 

 

 そんな益もないことを考えていると、カランと来客を告げる鐘の音が響いた。

 

 

「キミたちか…いらっしゃい」

 

「ご無沙汰してます、先生」

 

「こんちはっス! 早速ですが団子セット一つ!」

 

「あのぅ…かりんとうって置いてますか?」

 

 

 ぺこりとお辞儀をするフキと溌溂としているサクラ…最後尾に、たきながリコリコに異動になる遠因となったエリカという少女が、かりんとうを要求しながら入店してきた…初来店でなかなか肝の据わった少女だ。

 

 

「三人ともここに座るといい。 かりんとうか…すまないがうちの店では取り扱って…」

 

「ありますよ、かりんとう…俺の私物なのでサービスとしてお出しできます」

 

 

 聞き慣れた声に振り返ると、他のお客様の対応を終えた万里くんがいつもの微笑を携えて立っていた…その後ろには千束をはじめとした従業員全員がジトッとした目で万里くんを睨んでいる…女性客を引っかけまくる万里くんに辟易して、露骨に監視することにしたらしい。

 

 そんな視線をものともせず普段通りの彼に脱帽する…彼のことだからまた何か新しい遊びでもしてるのではなどと考えていそうだ。

 

 

 そんな益もないことを考えていると、この中で一番予想していなかった人物からの声で現実に引き戻された。

 

 

「本当ですか()()()()!」

 

 

「「「「「「万里さん!?」」」」」」

 

 

「ああ…()()()が好きだと聞いてね。いつか来てくれた時に出せるように持ち歩くようにしていたんだ」

 

 

「「「「「「エリカぁ!?」」」」」」

 

 

 …ふむ、避難だ。戦士は危険に自ら留まる愚を犯さない…そうだろう、シンジ。

 

 脳内に響く『さすがだ、ミカ』という言葉を背に少し離れたところに退避する…ここならば彼らの会話はしっかりと届く。そうでなければ面白くな…いや、店の平和を守るために致し方ない。

 

 

「ちょちょちょ!万里くんいつの間にエリカと仲良くなったの!?」

 

「そうです! ちゃんと説明してください!」

 

「どうしたんだい二人とも…説明と言われてもね。ハワイから帰ってきて少し経った後、フキたちにお土産を渡すためにDAに行っただろう?」

 

「ああ…司令が万里と顔を合わせないようにそそくさと逃げ回ってたなそういや…」

 

「っスねぇ…廊下の奥から万里先輩の姿が見えたときなんか、人類史上最速のUターンで女子トイレに逃げ込みましたから…」

 

「…まあその日だね。キミたちが全員席を外しているときにエリカが通りかかってね…真島さんと戦闘した時以来だったからそのことへのお礼を言われて…」

 

「それで私が連絡先を聞いて、そこからちょくちょく電話してるの。万里さん聞き上手だしお話も面白いし…この前は任務帰りにたまたま会って流れで食事に行ったかな」

 

 

 エリカという少女からもたらされる新事実のオンパレードに、フキたちを含めた全員が硬直した…外敵ばかりを警戒して、こんなにも近くに潜んでいた伏兵に気付かなかったのだから当然だろう。

 

 

「…万里くん…ごめんなんだけど買い出し変わってくれない?出来る限りゆっくり…一時間くらいかけて…」

 

「千束?もちろん買い出しは構わないけれど、どうしたんだい?」

 

「…ボクからも頼む。何も聞かずに席を外してくれ」

 

「クルミちゃん…わかった。それじゃフキたちはごゆっくり」

 

 

 千束たちの表情をぐるりと見渡し、彼女たちの並々ならぬ意志が込められた瞳に万里くんは何かを感じ取ったのか、それ以上何も言わず店を出た…この後行われるのが、新たに現れた恋敵への尋問だなんて彼は露ほども思っていないだろうな…。

 

 

「さてエリカ…キリキリ吐いてもらおうか?」

 

「どうしたの?顔が怖いよフキ…吐くって何を?」

 

「そりゃ万里先輩のことどう思ってるかっしょ!」

 

「万里さんを?好きだよ?」

 

 

「「「「「「!?!?」」」」」」

 

 

 …顔に似合わずダイレクトな子だな。何を当たり前なことを、とでも言いたげな表情だ。

 

 

「す、好きって…ああ!頼りになるお兄さん的な意味でってことですよね!?」

 

 たきなが顔を引き攣らせながら牽制する…対するエリカはこれまたあっけらかんと答えた。

 

 

「え、ううん?できればお付き合いしたいなって。…たきなやフキたちもそうだと思ってたんだけど違うの?」

 

「……違わない」

 

「だよね。私は出遅れちゃったから頑張らないとな~」

 

 予想外の攻勢だな…更に他の皆の気持ちにも察しがついていたようだ。

 

「それにしても助かったよ、みんなが()()()()()()()…そうじゃなかったら私が好意を抱いた時には誰かと付き合っててもおかしくないもんね」

 

 おっと、まさか挑発するとは…いや、あれは素で言ってるな。思ったことを言ったらそれが煽りにしか聞こえないという一番タチの悪いヤツだ。

 

「こっの…!」

 

「エリカぁ……」

 

「……」

 

 万里くん親衛隊──今命名した。そして後日シンジにこれを伝えたらさすがに古いと言われた──の中でも直情的なミズキとフキ、さらに万里くんのこととなると理性を吹っ飛ばすことに躊躇がないたきなのこめかみに青筋が立っている。

 

 

 

 

「そんなわけで、ガンガン行くからフキたちも覚悟しておいてね?」

 

 

 

 

 

 にっこりと人好きのする笑顔が、なぜか周囲の顔を引き攣らせるところに万里くんの影響が窺えた。

 

 

 

 

 それとクルミ、ボソッと仕込むかなんて言うな…ウイルスか、ウイルスなのか。




コメントでリクエストの募集方法を教えてださった方ありがとうございます。

活動報告にアイデア募集をさせていただきましたので、なにか設定だけでも投げていただけますと筆者がこねくり回します。

当然駄文になりますし、場合によっては他の方のアイデアと混ぜ合わせる場合も出てくるかと存じますので、それでもええんやでという聖人様からの応募をお待ちしております。
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