妖精女王と皇帝   作:白雪(pixivでもやってる)

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あなたがきらい

栃栗毛の端正な顔に筆で一筆書いたような流星。

 

二冠の妖精女王テイタニヤの三番子として、マヴは産まれた。

 

 

父は天馬トウショウボーイ。

 

 

父も母もG1馬という血統、人々が期待しないはずはない。

 

蝶よりも花よりも手厚く育てられた彼女は、それに比例した自尊心と実力を身に付けていった。

 

テイタニヤ産駒のなかでは早くも最高傑作と呼び声も高かった。

 

 

『まさとさん、おみずくださいな』

 

 

新馬戦に乗る予定の新発田政人にせがむと、バケツに入った水が差し出される。

 

満足そうに飲み、もういいわ、と言うようにバケツを突き返す。

 

「我が儘お嬢様だな……」

 

思わず新発田がそう言うと、まるで言葉の意味がわかったかのようにマヴが前肢で新発田の足を蹴った。

 

 

「うおっ!なんだお前、言葉わかるのか?」

 

『わからないけどなんかばかにされたきがするわ』

 

 

キッと彼を睨むとスタスタと先に行こうとする。

 

マヴは非常に我が儘で厩舎では女王様。

 

たとえ手慣れた厩務員であっても容赦はない。

 

それが騎手なら反抗してるのは当たり前である。

 

 

『しんばせんのあとのレース、なににするのかしら』

 

 

傲慢と思われるかもしれないが、関係者はほぼ全員同じことを思っていた。

 

何事もトラブルがなければうちのマヴが一番。

 

マヴはきっと世代を代表する馬になる、と。

 

そう思っていたのに

 

 

_________________________________________

 

『なによ、これ』

 

しんじられない、とマヴは嘶いた。

 

人間たちに可愛がられ、そうさせるだけの能力と出生を持つマヴは勝利を約束されていた。

 

 

強烈な追込戦法、33.3の末脚。

 

マヴと同じところから走って勝てる馬なんて、今までいなかったのに。

 

 

『あんた、なにものなの……!?』

 

 

 

半馬身届かない、二着。

 

 

 

期待馬マヴは、負けた。

 

 

 

吼えると、鬱陶しいなと言わんばかりにその鹿毛の馬が振り返る。

 

特徴的な月の形の流星。

 

三歳で、デビューしてすぐのはずなのに威圧感のあるオーラ。

 

 

大物だ、とマヴの鞍上の新発田は思った。

 

 

『なんだ、小娘。さっきから煩いな』

 

『こむすめ!?あんたなにさまよ!えらそうね!』

 

『俺が勝ったんだから、どんな態度しても許されるだろ』

 

『むぐぅ……』

 

 

何も言えず睨み付けていると、負けじとあちらも睨み返す。

 

バチバチと二頭の間で火花が散った。

 

 

『あんた、名前は?』

 

『他馬に名前を聞くときは自分も名乗ると教わらなかったのか小娘。』

 

『……ふん、マヴ。わたしはマヴ』

 

『変な名前だな。』

 

『うるさいわね!で、あんたは?』

 

『シンボリルドルフだ。忘れるなよ小娘』

 

『だーかーら!マヴだって言ってるじゃない!』

 

 

ハッ、と笑い彼……シンボリルドルフが帰っていった。

 

ぷるぷると震えるマヴにどことなく嫌な予感を新発田は感じる。

 

 

「ど、どうした……?」

 

『あったまきたー!!あいつぜったいまかしてやるんだから!』

 

 

暴れ始め、慌てて落ち着かせようとするが、怒ったマヴは暴走機関車。

 

厩務員二人が到着しようやく宥めることができたのだった。

 

 

 




マヴ

父トウショウボーイ
母テイタニヤ

名前の由来はテイタニヤ(ティターニア)と同一視される女王

気性 荒い

基礎能力 非常に高い

操縦性 そこそこ

脚質 追込

適正距離 1600~2400
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