妖精女王と皇帝   作:白雪(pixivでもやってる)

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別れ

「シンボリルドルフ苦しいか!?外から突っ込んできたのはニホンピロ、さらにギャロップダイナとマヴ、シンボリ!ギャロップダイナ、マヴ!なんとギャロップダイナ~!!あっと驚くギャロップダイナ根元宏康!」

 

 

天皇賞秋では、出遅れながらはっとするほどの強さを見せたシンボリルドルフと、かかりまくってかなり珍しい先行策をせざるをえなかったマヴ。

 

その二頭を退けたギャロップダイナが優勝。

 

 

『『………は???』』

 

『えっ、なんか勝った……』

 

『……皇帝、なんなのあの走り。まさか出遅れるなんてね』

 

『それはこっちの台詞なんだが。あの掛かりはなんだ猛獣か?』

 

『おとめに向かって猛獣はないわよ』

 

『……お前が、乙女……???』

 

『ほんきで疑問におもってるんじゃないわよ!』

 

『あのー、一応僕勝ったんだけど』

 

『うるさい!さっさとウイニングランしてきなさい!』

 

『……はい』

 

 

皇帝と妖精女王に睨まれたギャロップダイナがとぼとぼとウイニングランへ向かう。

 

 

『……とりあえずジャパンカップまで勝負は持ち越しね』

 

『そうだな。さすがに不完全燃焼だ』

 

『ふかん……?まあいいわ、今回一応先着したし次は一着をとって負かしてあげる』

 

____________________________________________

 

「今日はルドルフと対決できる最後のレースなんだぞ」

 

 

マヴの五歳ラストレースはジャパンカップ。

 

有馬記念には出ない。

 

これは調教師の先生がマヴの馬主と相談して決めたことだ。

 

コースや脚の状態など色々理由があってジャパンカップを選んだ。

 

来年も現役は続行するが、シンボリルドルフは恐らく海外遠征中心のローテーションを組むと思うので最後のレース、と新発田は言った。

 

 

ぴくりとマヴの耳が動く。

 

 

『あいつもうわたしと走らないの……?』

 

 

新発田が慎重に乗り、パドックを済ませ返し馬もやるといつもより落ち着いているのがわかる。

 

じっと耐えてるのだ、マヴ自身も暴れようとする自分を一生懸命抑えている。

 

こんなに協力的なマヴははじめてだ。

 

 

 

 

『あんたと私、今日が最後なんですって』

 

『……は?』

 

『有馬記念に私はでないの。あんた来年海外行くんでしょ?もう走る機会ないわよね』

 

 

じゃあ、と一足先にゲートにマヴが入る。

 

「ルドルフ、どうした、ルドルフ」

 

『あの女……』

 

_________________________________________

 

「ゲートに全頭入って……スタートしました。マヴ好スタート。外からシンボリルドルフスーッと先団へ。最後尾にマヴがやはり控える形。ギャロップダイナも後ろから」

 

 

やはり、抑えている。

 

今回のマヴは大人しすぎるのだ。

 

 

あの末脚の爆発力が出せないかもしれない……

 

 

「いいこだマヴ」

 

新発田はそう誉めることしかできない。

 

なにせ珍しく折り合いを欠かずにレースを進めているのだ。

不安なところはあるがやるしかない。

 

 

『抑えて……今日が最後……もうまけられない……』

 

 

マヴはポツリと呟いた。

 

ある意味このライバルとの戦いがずっと続くかもしれないと思ってた。

 

……そんなこと、あり得ないのに。

 

マヴには全力で、ベストを尽くして頑張ることがわからない。

 

マヴはシンボリルドルフに勝ちたいけど、自分を抑えたくない。

 

縛られたくない。

 

折り合いとか、位置取りとか、そんなの知らない。

 

マヴはただ、一番自分が気持ちいい方法で勝ちたいだけだ。

 

 

「最終コーナー回って直線コースへ入った!マヴ外めに持ち出した!だがシンボリルドルフ抜けた!マヴは届くのか!?そして公営の星が追い込んでくる!!」

 

内から一気に追い込むロッキータイガーが先頭を走るシンボリルドルフに襲いかかる。

 

外からはマヴが脚を伸ばす、その差は二馬身。

 

 

だが、だが

 

 

皇帝には届かない。

 

 

 

「ルドルフ先頭ルドルフ圧勝!二着争いは大接戦ですがシンボリルドルフです!皇帝の強さを世界の前に見せつけました!」

 

 

 

僅差で二着になんとか入ったマヴは項垂れた。

 

 

 

 

「ごめん、マヴ。俺があのとき仕掛けどころが早かったら……」

 

『敗因は……ないわ。わたし、みんながいうとおりおとなしくして、がんばったもの。きっとこれが限界なのでしょう。本当に、あの皇帝は強かった。完敗よ、まさとさん』

 

 

寂しそうにマヴが言うと、勝者のシンボリルドルフが話しかけた。

 

 

『俺の勝ちだ』

 

『そうね、悔しいけど完敗』

 

『……素直すぎて気持ち悪い』

 

『失礼ね!?』

 

『俺は有馬記念を勝った後、海外に行く』

 

『知ってる。あーあ、つまんなくなるわねレース』

 

『詳しくは知らないが恐らく凱旋門賞は走るだろうな。世界最高のレースだ』

 

『へえ』

 

『なにがへえ、だ。お前も走るんだよ。』

 

『……は?』

 

『言っておくが、俺はまだ完全に勝ったと思ってないからな。先着回数だとお前のほうが上、勝ち逃げなんて許さない。俺が海外遠征するからもう走らない?甘いな、お前がこっちに来るんだよ』

 

『????』

 

『とにかく、来年のロンシャンで会えるよう祈ってる。……まずは宝塚記念連覇からだな?五歳勢に足元掬われないように精々頑張れよ』

 

『こいつ……!!』

 

 

____________________________________________

 

『まさとさん!!!わたしロンシャン行くー!!!』

 

「おい、俺の上着噛むな噛むな!引きちぎれるから!!」

 

 

 

 

 

 

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