魔王学院の不適合者 仮面の戦士の力を継承した転生者   作:コレクトマン

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プロローグ ~1億人目の人間~

とある広い白い空間にて、一人の男性が迷い込んだ。その男性は此処まで来るまで以前の記憶が曖昧だった。何故、自分は此処に来たのかもさえも、まるで無意識に導かれたかのように此処に辿り着いたのだ。

 

「……ここはいったい何処なんだ?」

 

この白い空間にポツンとただ一人彷徨う中、彼は壁らしき物を見つけたと同時に文字が書かれていた。その文字には[1億人目の者へ]と何かしらの歓迎の言葉があった。

 

「“一億人目の者へ”……?ここに来た人が俺以外にもいるのか?」

 

 

……その質問には私が答えよう。

 

 

「…!誰だ?」

 

突如と謎の声がこの空間内に響く。彼はその謎の声の主に対して警戒した。

 

『君の話し相手だよ。そうだな……名前が必要なら、私のことは“神の使い”と呼んでくれ』

 

「神の使い、か。……差し詰め、ここはあの世か何かか?」

 

『その認識は正解であり、不正解でもある。厳密にはあの世とこの世の狭間だ』

 

その声の主は神の使いと呼称し、この白い空間は生死の狭間……つまり、生きているのか死んでいるのか曖昧な場所でもあった。

 

「……」

 

『驚くのも無理もない。君は一度死に、此処に訪れたのだ。気づいているかもしれんが、君は自分が死んだ原因が何なのか思い出せないのだろう?』

 

「…あぁ。全くもって分からん。これはアンタの仕業か?」

 

『いや、それは違うな。これから行われる転生においてごく稀に起きる記憶の一時的な消失だ』

 

彼は神の使いを警戒したためか、神の使いが彼を殺してここに連れてきた犯人ではないのかと考えていたが、その線は無いと判断して切り替えた。仮にそうだとしても彼を殺して何かしらのメリットが得られるわけではない。

 

……しかし、それは時と場合によって違うこともある。

 

『…もっとも、君の場合はこちらにとってあまりにも早すぎる死だ。君の定められた寿命は八十代あたりなのだが、君は二十代になる直前に死んだのだ』

 

「二十歳になる前に?……それで、俺の死因は?」

 

『通り魔だよ。よりによって幼き頃に君を虐めていた者が通り魔として君を包丁で何度も滅多刺しにし、君を殺したようだ。どうやらその者の環境はかなり最悪で、苦痛に耐え抜き、豊かに暮らす君を偶然見かけたのか、その者は君に嫉妬して君の殺害を目論んだ』

 

どうやらその通り魔は中学か高校あたりで彼をストレス発散のための道具としていた者の一人だろう。その者が今までの行いが足枷となって人生の転落期に堕ちてしまったのだろう。

 

「その結果が今に至り、俺は死んでここにいるってことか……」

 

『すまないが、君の過去を調べさせてもらった。君は生まれた時から瞳の色が左右非対称のオッドアイであり、それが原因で子供のころから虐められる日々を送っていたようだな?それも小学校から高校まで。しかし高校生の時に此処で転機が訪れた。君は我慢強い性格だったためか、不良たちに虐められながら暴行を受けていたが、その光景を担当の女性教師が目撃し、君を虐めていた者たちを退学処分とした』

 

今でも懐かしいものだった。あの時のことを思い返せば一度も仕返ししたことがあまりなかった。もっとも、小学生のころからもう無駄だと悟り、何もかもあきらめていた。その教師がいなかったら彼は変わることはなかった。

 

『しかし退学処分をした彼らはその教師に復讐しようと誘拐計画を画策した。だが不良たちはあの時に気づかなかった、君が偶然その計画を聞いていたのだから。その当時の君は警察に連絡し、不良たちの誘拐を未然に阻止した。その結果、学校から信頼と感謝を得り、警察からは賞を受け取った。そして君は高校卒業後にそのまま就職し、安定した生活を送るはずだった。二十歳になる誕生日一日前、元不良だった一人に殺された』

 

「……あまり言わないでおいたが、もはやプライベートすら無意味だな」

 

相手の過去を調べることすら造作もないことに神の使いと名乗るだけでのことはあると彼は納得した。下手をすれば心理眼で相手の心を読んでしまうことも可能だろう。

 

『すまないな、君の過去を蒸し返すつもりはなかったのだが……』

 

「いやっ気にするな、もう過ぎたことだ。それよりも、そろそろ本題に移ってくれないか?何故俺をこの空間に連れ込んだのかを…」

 

『……そうだな。では本題に移る前に君には知っておいてほしいことが二つある。一つは、本来の寿命より早く死んでしまった者。これらの大体の原因は神のミスによって死んでしまった者たちだ。そしてもう一つは、神のミスではなく何かしらの因果が歪んで君の運命が狂ってしまい、早死にした者だ。君の場合は後者にあたる。それも歪んだ運命によって殺された者として丁度一億人目の人間なのだ』

 

何やら嬉しくないキャンペーンのような人数の一人にカウントされていたようだ。……なんだよ、一億人目の人間って……

 

「……何かダーウィン賞に似た何かの賞を当ててしまったような気がする」

 

『ダーウィン賞とは違うから関係ないぞ。……話を戻そう、君を此処に連れてきたのは他でもない。君は一億人目の人間として選ばれたと同時に()()()()から頼まれて此処に連れてきたのだ』

 

「ある人物……?誰だそいつは?」

 

『君がよく知る人物だ。もっとも、その人物は二人もいて架空の人物なのだがね……』

 

「架空の人物?それはどういう……」

 

『おっと、その人物の一人が来たようだ。後の詳しい詳細は彼に聞くといい。……グットラック』

 

彼は架空の人物について神の使いに問い詰めようとするが、その人物が来たと言って説明を丸投げしてその声は聞こえなくなった代わりに足音が響く。彼はその足音がする方向に向けるとそこには、本来ならいない筈の架空の人物がいた。

 

「やれやれ……あいつの頼まれごとがこいつの手渡しとはな」

 

「門矢…士……」

 

 

“門矢士”

 

 

平成仮面ライダーの一人で十人目の平成ライダーである。神の使いが言う架空の人物とは門矢士のことだったようだ。

 

「俺のことを知っているなら好都合だ。説明の手間が省ける」

 

「名前だけは知ってても、神の使いから具体的なことはまだ聞かされてないけどな」

 

「……そうか。だったら説明しておくぞ」

 

そうして士から自分はこれからどうなるかを説明した。

 

先ず、彼は元の世界での転生が不可能な為に別世界に転生することになった。何でも神々の決められたルールであるため、神のミスで死んだ者、死ぬ筈のない人間が死んだ者は元の世界での転生が硬く禁じられているようだ。その代わりに元の世界とは別の世界で転生し、第二の人生を歩むのが転生者の流れらしいが、その際に転生の際に転生特典と呼ばれる力を神から授かって別世界に転生するのが転生プロセスのようだ。

 

彼の場合は例外であり、神々を超える存在からの依頼であり、士を通してあるものを渡すために来たとのこと。

 

それは、平成と令和のライダー達の記憶だった。それだけではない、ベルトやシステム、知識が詰められていた。

 

「何故俺に?俺以外にもピッタリな者がいる筈じゃあ?」

 

「いや、お前だけだ。平成最後の仮面ライダー“ジオウ”がこれと一緒に渡すよう言われている時点で分かるはずだ」

 

「ジオウ?……!オーマジオウか。しかし、オーマジオウは常盤ソウゴの未来の人物だ。何故そこで俺とジオウが繋が……!」

 

この時に彼はある可能性が二つ浮かび上がった。それはもう一人の架空人物がオーマジオウではないのかという線だ。そしてもう一つは……

 

「……その贈り物がオーマジオウからのものであり、そのオーマジオウはリ・イマジネーションライダーの一人。しかもそのオーマジオウは……未来の俺なのか?」

 

「正確にはパラレルワールドのお前だな。そいつはお前と違って神のミスで死に、転生特典でジオウの力を得て異世界に転生した。……だが、転生した場所が魔王幹部の御子息という形でだがな」

 

どうやら並行世界の彼がとある異世界の魔王幹部の御子息に生まれ、ジオウの力を使って生き延びたのだろう。

 

「……それで、並行世界の俺はどうなったんだ?オーマジオウになった時点である程度察しているつもりだが」

 

「どうもこうも、成長するに伴って魔王幹部の息子のお前は、魔王に匹敵する力を有していた分、その魔王に命を狙われた。己の権力を保持するために危険分子であるお前を排除するためにな」

 

「まぁ、そうなるな。何せオーマジオウの力は使い方によっては最高最善の魔王になれたり、最低最悪の魔王になりえる可能性があるからな。……ところで、その俺はどっちになったんだ?」

 

「後者の方だな。並行世界のお前は目の前で父親や母親を殺されるところを目撃した。その結果、オーマジオウとしての覚醒条件を満たしてしまった。後は両親を殺した魔族や魔王を皆殺しにし、お前が魔族にとって最低最悪の魔王になった感じだな」

 

どうやら権力争いに巻き込まれたことでオーマジオウへの変身条件が満たしてしまったようだ。その後どうなったのかというと、オーマジオウになった並行世界の彼は、前の魔王が段階的に計画していた人間抹殺を白紙にし、人間達と魔族の和平を結ぶことにした。無論、旧魔王派の者たちは大反対であったが、並行世界の俺は物理的に黙らせて強引に従わせた。

 

そして人間達と無事に和平を結ぶことになり、未来永劫平和を維持することが出来た。しかし……魔王となり、人と魔族が手を取り合うことが叶った並行世界の俺は心が満たされることがなかったそうだ。人や魔族は魔王となった彼にいつ殺されるのか分からない恐怖と畏怖に取りつかれていた。オーマジオウには最高最善、最低最悪以外にももう一つの肩書きがある。それは“最大最強”というものだ。この肩書きがある故に人々から恐怖と畏怖の感情が溜まっていった。その結果、誰も魔王となった彼を殺せるものがこの世に生まれることはなかった。

 

「……しかし、その世界の神も並行世界の俺のことを黙ってみていなかったのだろう?なのに何故、神は何もしなかったんだ?」

 

「神とて万能じゃない。そのオーマジオウの力は神をも殺せる力を有している為に、一回でもちょっかいだしたら確実に死ぬことを理解した時にはその世界を見捨てたんだとさ」

 

「どの世界の神も何というかいい加減なんだな……」

 

若干並行世界の神の対応に引き気味になり、何とも言えない感じになった。その時に士が「本題に戻るぞ」といって本来彼が何をするべきなのかを説明した。

 

とある物語の世界で歴史が狂い、本来存在するはずのない人物や物、組織が普通に存在してしまい、世界の理が壊れてしまってやがてその世界が消滅してしまうとのこと。それを修正するために彼が選ばれたようだ。

 

「……なるほど、俗に言う“大体分かった”って感じだな」

 

「俺のセリフをパクるな」

 

「冗談だ。…要は、俺にディケイドの真似をしろというのか?滅びの歴史を破壊し、本来の歴史の道を繋げる。それが役目なんだろ?」

 

「まぁ、大体そんな感じだ」

 

その世界でやるべきことを理解した彼は一つある質問をした。

 

「ところで、転生する世界なんだが、その世界は何なんだ?」

 

「“魔王学院の不適合者”の世界だ。その歴史が狂いながら消滅しかかっている」

 

転生する場所を聞いた瞬間、「マジか…」とつい呟いてしまった。魔王学院の不適合者はラべノの一つで、最強魔王が二千年後の世界に転生して無双する物語なのだが、その魔王でも敵わない者でもいるのか?そう考えていると士からあることを告げられる。

 

「…それとだ。その世界には一人転生者が送られている」

 

「何、転生者が?」

 

「あぁ…もっとも、お前を殺した奴だがな」

 

そう聞かされた時に俺は警戒した。士が言うにはその転生者は死神によって転生したようで、魔王学院の世界に転生したようだ。神様転生の様に転生特典を手にして転生したようだ。その転生特典が何なのかは不明とのこと。……少し思ったが、神は転生者の質の見極めが甘すぎるのでは?神は神でも神と死神は管轄が違うとのことで、それが分かった時には後の祭りだそうだ。全く神々は危機管理能力がなさすぎる……

 

「…とにかくだ、俺が向こうの世界に転生してその転生者を倒して世界を守ればいいんだな?」

 

「そう言う事だ。だが、お前は分かっているのか?仮面ライダーの力を得るという事は平成、令和のライダーの力を継承するということだ。お前はオーマジオウになる可能性もありえなくもない。それでも継承していくのか?」

 

「確かに、俺は死ぬ覚悟や決意もなければ、あまり仮面ライダーに相応しくないかもしれない。だが、そう言っている間に向こうの世界で死ぬはずのない人や魔族が死んでいく。俺個人、それを見過ごすほど人情は捨ててはいない。困っている人がいたら助けるのが俺の性格だからな。例えそれが嫌いな相手であったとしてもな」

 

「お前……人からお人好しが過ぎるって言われたことはないか?」

 

「今が初めてかもしれないし、前から言われてたかもしれない。まぁ、それがどうしたって感じで生きてたから余り疑問に思わなかったが……」

 

「お前なぁ……まぁいい。それと一つ言っておくが、平成と令和のライダーの力を継承するってことはディケイドの力も継承するってことだ。その際には鳴滝に気を付けろよ」

 

「鳴滝?……あぁ、あのディケイドストーカーのことか」

 

彼の答えに士は呆れつつも彼にディケイドに出てくる鳴滝の存在に気を付けるように促す。ディケイドの力を継承するという事は、世界にも嫌われて鳴滝にも狙われるという事だ。それを了承して仮面ライダーの力を継承することにした。そうして士から渡されたのはグランドジオウライドウォッチを模造した二つの大型のライドウォッチだった。その二つのウォッチを起動してみる。

 

 

《平成ライダーズ!》

 

《令和ライダーズ!》

 

 

起動した瞬間、二つのウォッチが独りでに浮かびあがって彼の体の中に溶け込むように入っていった。少し戸惑いもしたが、体的に何でもないことが分かった瞬間、彼の脳に様々な記憶や知識、戦い方などがいっぺんに送って来た。あまりの情報量の多さにパンクしてしまいそうになったが、数秒後には収まって痛みがなくなった。

 

「…ってて、あまりの情報量に飲まれるかと思った」

 

「これでお前は平成と令和のライダーの力を継承した。後は転生するだけだ」

 

そう言って士はオーロラカーテンを発生させる。どうやらあのオーロラの先がこれから転生する異世界なのだろう。

 

「このオーロラをくぐれば、お前は転生する。だが代償として前世のお前の名前の記憶が失われる」

 

「名前以外の記憶は失われずに転生か……」

 

「一応聞くがお前、前世に未練とかはないのか?」

 

「ない……と言えばウソになる。俺が死んだ後、両親はどうなった?」

 

「悲しんでいたな。お前を殺した奴も裁判に掛けられ、最終的に死刑宣告された。その結果、お前が死んでから30年後に刑が実行された」

 

彼が死んでから三十年もの年月が経っていることに驚いたが、彼を思ってくれる両親がいてよかったとこの時の彼は思った。

 

「じゃあもう未練はないな。それじゃあ言ってくるよ」

 

彼はオーロラカーテンに入り込むようにその世界に転生するのだった。そして士は彼を見送った後に独りでに呟いた。

 

「あぁ、行ってこい、平成と令和のライダーの力を継承した男。逢魔 玲央」

 

かくして彼こと逢魔玲央は魔王学院の世界に転生し、滅びいく原因を破壊して世界を救う物語が始まった。暴虐の魔王と仮面の戦士を力を継承した転生者、この二人が歩む道は果たしてどのような結末が待っているのか……

 

 

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