魔王学院の不適合者 仮面の戦士の力を継承した転生者   作:コレクトマン

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魔王の力、紅き閃光の救世主

 

全ての測定と検査を終えた時には既に夕方になっていた。その帰り道でアノス達と合流した。

 

「おっ…アノスとミーシャか」

 

「レオンか。そっちも終わったようだな」

 

「あぁ。それで、そっちはどうする予定だったんだ?」

 

「ミーシャを俺の家に来ないかと誘っていたところだ。お前も来るか?」

 

そう言えばアノスは検査後にミーシャを遊びに誘い、アノスの家に招待しようとしていたんだったな。まさか俺にも誘いがくるとは思いもしなかった。

 

「それも良いな。少し待ってくれるか?」

 

俺は一旦家族に相談するべくこの世界には存在しない道具こと連絡手段“ガラバゴス携帯”。略称ガラケーを取り出して連絡を取った。一ヶ月前に両親と連絡を取り合える手段として仮面ライダーWに出てくるメモリガジェット“スタッグフォン”を二つ両親に渡している。因みに俺の使っているガラケーはスタッグフォンではなくカブトムシをベースにした“ビートルフォン”だ。アノスとミーシャは初めて見るガラケーを見て魔道具の一つかと思っていた。

 

「母さん?レオンだよ。……うん、試験は合格だよ。それで、試験の時に知り合いになったアノスから家に誘われたんだ。何でも、合格祝いだって。少し帰りが遅くなるけどいい?……うん、わかった。ありがとう、じゃあ後で……」

 

母に連絡を取り終えた後にアノスに大丈夫であること知らせる。意図を知ったアノスは俺とミーシャもつかまるよう言った。

 

「大丈夫だって。それで、今すぐに移動するか?」

 

「それも良いが、俺ならすぐだ。レオンもミーシャも俺につかまれ」

 

飛行(フレス)なら使える……」

 

「それよりも早い」

 

どうやらアノスは転移魔法を使うようだ。俺とミーシャはアノスの言われた通りにつかまった。するとアノスの足下に魔法陣が展開し、俺たちを包んだ。

 

「…転移(ガトム)

 

アノスがそう唱えると魔法陣が発光し、目の前の風景が真っ白に染まる。

 

次の瞬間、目の前には鍛冶・鑑定屋『太陽の風』の看板が見えた。木造で、二階部分が住居になっている。

 

「ついたぞ、俺の家だ」

 

「テレポート類の魔法か。俺が知っている魔法とは違う魔法だな」

 

「あぁ、転移だ。簡単に言えば、空間と空間をつなげて一瞬で移動する魔法だな」

 

「……神話の時代に失われた魔法……」

 

そういえば、元々この世界は平和が二千年も続いていた分、魔法レベルが退化していることを忘れていた。そう考えながらも俺はアノスの家にお邪魔するのだった。最初に出迎えたのはアノスの母親“イザベラ”さんだった。

 

「いらっしゃーーあ、お帰りなさい!」

 

「ただいま、母さん。父さんは?」

 

「工房にいるわよ。……で、ど……どうだった?」

 

「合格したよ」

 

そうアノスが言うと、イザベラさんがほっとしたように顔を綻ばせ、アノスをぎゅっと抱きよせた。

 

「おめでとうっ!!アノスちゃんすごいわ!!一ヶ月で学院に合格しちゃうなんて!!本当にどうして賢いの!!今夜はご馳走にするわねっ!!ねぇっ何が食べたい?」

 

「そうだな。キノコグラタンがいい」

 

「ふふっそう言うと思って下ごしらえしてあるのよ!!…んっどなた?」

 

完全に蚊帳の外の状態だった俺たちをようやく認識したイザベラさん。流石アノスの母親、愛情表現は家の母といい勝負だ。

 

「あぁ、紹介が遅れた。レオン・オーマとミーシャ・ネクロン。今日学院で知り合った」

 

「どうも、アノスと知り合ったレオンです。今後ともよろしくお願いいたします」

 

「……よろしく……」

 

俺とミーシャはイザベラさんに挨拶をした。するとイザベラさん、ミーシャを見て何やら驚いたような表情で、口元に手をやっていた。……あれっ?なんだろ、このデジャヴ……?

 

「まだ……まだ一ヶ月なのに……もうお嫁さんを連れてきちゃったよぉっーー!!」

 

「すまぬ、母さんはちょっと早とちりのところがあってな……」

 

「俺の両親も似たような感じだな」

 

アノスの心情に少し同情してしまった俺。すると工房からドタバタと足音が響いた。アノスの父親“グスタ”である。

 

「でかしたぞ!!それでこそ我が息子だ!!今夜はご馳走だ!派手に祝うぞ!!」

 

どうやら父親も早とちりのようだが、何かと嫌いになれない雰囲気だった。

 

 

なんやかんやあったが、アノスの家で夕食を取ることになった。アノスの好物であるキノコグラタンだ。食してみたが、かなり美味かった。アノスがキノコグラタンを好むわけだ。イザベラさんやグスタさんからいろいろな質問をされたが、悪い気はしなかった。キノコグラタンを食した後なのだが、俺の家とアノスの家が偶然にも真正面のお隣さんだった。どうやら入学試験に向かう際に知らぬ内にすれ違っていたのかもしれない。その後にアノスがミーシャを家に送るとのことだったので俺も同行した。

 

「……楽しかった……」

 

「騒がしい両親ですまぬ」

 

「慣れてる」

 

「こっちもだ。アノスの両親の愛情表現が家の両親とほぼ似ていたからな」

 

「確かに、レオンの両親とミーシャの父さんも、あんな感じであったな」

 

そうアノスが言うが、ミーシャは一つ訂正する。

 

「違う……お父さんじゃない、親代わり」

 

「実の親は?」

 

「……いる…けど、忙しい。お姉ちゃんは騒がしい」

 

ミーシャはそう答える。俺はミーシャの正体を知っているために何とも言えなかった。アノスはミーシャの姉とは仲がいいのか聞き出した。

 

「仲がいいのか?」

 

「分からない。……二人は、心配?」

 

「そこそこな」

 

「心配と言えば心配かな」

 

「……やっぱり優しい」

 

「…くっははっ!レオンはともかく、俺がか?」

 

「おかしい?」

 

まぁ、アノスの過去のことを考えれば、二千年前に人間族と戦争していたんだよな一部の人間からすればアノスのことを“お前は生きているとこの世の為にはならない”など“鬼、悪魔、鬼畜、外道”など、etc……

 

色々な悪名を得てしまったアノスだが、そのように振舞っていた自覚があるためにアノスはあまり気にしていないようだ。アノスがかつて体験したことを聞いたミーシャは少し同情した感じでアノスを見ていた。

 

「……いじめられていた?」

 

「まさか、実際に俺がそのように振舞っていただけだ」

 

「それはそれでどうなんだ?仮に俺がアノスと同じように振舞っていても、いくら俺が我慢強い性格でも流石に自殺願望を抱くぞ」

 

俺でもアノスの様に振舞う事は出来ないとツッコミながらも周りを見てみると、人気がないことに気が付く。どうやらアノスか俺のどちらか、あるいは両方、この場で闇討ちするつもりなのだろう。俺が警戒している時にはアノスとミーシャが仲が深まったところだった。

 

「帰ったら、父さんと母さんにミーシャは朋友だと訂正しておく」

 

「朋友……?」

 

「あぁ、この時代だと友達か」

 

「友、達……?」

 

「違ったか?」

 

「……ううん、嬉しい」

 

「そうか」

 

「二人とも、仲が深まったところですまないが、どうやらお客さんのようだ」

 

そう俺が二人に警告した時に魔法陣が展開し、俺たちを包囲するように壁が生成され、実技試験の時に行った闘技場が出来上がった。どうやら創造魔法創造建築(アイビス)による魔法だ。だが……

 

「闘技場?いくら闇討ちだからって闘技場にするか?普通……」

 

「創造魔法……外へ……」

 

「逃げられはしない」

 

ミーシャが出口を探す中、通路から貴族らしき人物が出てきた。

 

「すでにこの一帯は、我が意を受けた衛兵が封鎖した。魔大帝“リオルグ・インドゥ”である。弟が世話になった」

 

どうやらリオルグの他にもゼぺスやその配下が俺たちを闇討ちに来たようだ。……おいおい、完全に俺、とばっちりじゃないか。するとゼぺスが調子づいてアノスに挑発している。

 

「くっひっひっひ…!デルゾゲートじゃあな、ちょっと力があったって混血は皇族に勝てねえんだよ、なんでだと思う?」

 

「勝てば闇討ちされる訳か」

 

「いや、皇族が闇討ちって……こっちは完全にとばっちりなんだが……」

 

「ひゃっはっはっは!覚悟しな、兄貴は俺よりはるかに強ぇぞ……!?」

 

その時にリオルグがゼぺスの胸ぐら掴み、無理やり黙らせた。あ……確かこのシーンはゼぺスが実の兄に殺されるシーンだったか?

 

「あ…兄貴?」

 

「もう喋るな、恥知らずが…!惨めな負け姿を晒すような弱者は、インドゥ家に不要である!!」

 

するとゼぺスの胸ぐら掴んでいるリオルグの手から黒紫の電流が走り、それが一気にゼぺスに流れ込む。

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

リオルグが放った魔法は恐らく、魔雷(デモンド)と呼ばれる魔炎(グレスデ)と同程度の威力の魔法だろう。それを反魔法なしで直に受けたとなるとゼぺスは無事ではないだろう。その証拠にゼぺスは黒焦げになって絶命していた。

 

「やれやれ……ひでぇことをしやがるな。今どきの皇族ってのは……」

 

「弟の為に動いたのではないのか?」

 

「貴様らが消える事実に変わりはない。偉大なる暴虐の魔王、その尊さを受け継ぐ純血の我らが、雑種に侮辱されたままでは終われんのでな」

 

どうやらリオルグは俺たちもとい、混血の者たちのことを雑種だと認識しているようだ。全く、それだから敵の本当の力を見定めることが出来ずに逆にやられるフラグだというのに……逆に相手が可哀想に思えてきた。

 

「純血?雑種?……くだらぬ。魔王とは、全てを己の力で捻じ伏せる者のことだ。血の濃さなど関係ない」

 

「俺もアノスの意見に同意だな。純血やら、混血やら、雑種やらと、それしか己の価値観を見いだせない言い訳しか出来ない皇族も、実際のところ大したことがないんだな」

 

アノスと俺の言葉にリオルグは少しキレかけていた。いや、純血どうのこうの言われたくらいでキレるってどうなの?

 

「今の言葉……我らの始祖の偉業を軽視する発現である!」

 

「俺が俺を語ることが、何故偉業を軽視したことになる?」

 

「何っ?」

 

「感の悪い奴だ」

 

アノスがそう言っているけど、アンタ、二千年後に転生したから相手が知らないだけだからな?まぁ、知らないが故の罪というかなんというか……

 

そんなことを思っていたら、リオルグやその配下たちが攻撃魔法を放つ準備をしていた。

 

「…世迷言を!その不敬な態度、万死に与えする!!なぶり殺してくれる!」

 

そうリオルグが言うが、既にアノスの術中にはまっていることに気づいていないようだ。

 

「……まだ気づかぬのか?もっとよく魔眼()を凝らして深淵を覗いてみろ」

 

「……手元……」

 

「あれま……相手の魔法陣が大変なことに……」

 

そう、リオルグたちの魔法陣……否、正確には魔力が独りでに暴走し始めたのだ。この現象にリオルグは焦った。

 

「…なっ!?魔法陣が勝手に…!?」

 

「ぼ…暴走している!?」

 

「お…抑えきれん!?」

 

「そら、自分の魔力ぐらいさっさと制御しろ、死ぬぞ?」

 

暴走した魔力を抑えようとするリオルグ達。しかし、時すでに遅く、全員がまるで火をつけた火薬庫のように派手に爆発した。その中で唯一リオルグだけ、右手のみ負傷だけで済み、他の者は再起不能だった。

 

「……貴様、なにをした?」

 

「少し威嚇しただけだ。魔力は、身体の奥底にある根源から生み出されるもの。格の違う相手には怯え、時には暴走させることもある」

 

相変わらずのアノスの魔王チートがここでも炸裂していた。しかし、リオルグは皇族としての意地があるのか退く気配はなかった。

 

「……っ。私は皇族として、断じて雑種ごときに敗北する訳にはいかぬ!」

 

リオルグは負傷した右手で何かしらの強力な魔法陣を展開する。

 

「特別に見せてやろう。皇族にしか伝えられぬ禁呪である!」

 

「ほぉ……起源魔法か」

 

どうやら相当ヤバい雷魔法のようだ。リオルグの周りから黒い紫電が漏れ出している。でも、その起源魔法の魔力はアノスから借りているために、借りている本人にはダメージを与えられないことをリオルグは知らないだろう。しかし、ミーシャにまで巻き込む可能性があると考えた俺は、令和ライダーが使っていたある()()()()()を取り出した。

 

「貴様と私の格の違いを思い知るがいい!!魔黒雷帝(ジラスド)!!」

 

リオルグから放たれた黒い紫電はまっすぐアノスの方に向かう。俺はアノスの前に割り込み、そのまま剣で魔黒雷帝を切り裂く。切り裂かれた魔黒雷帝は、まるで鏡が割れた破片のように散らばり、自然消滅した。流石のリオルグでも魔黒雷帝を切り裂く者がでるとは思わなかっただろう。

 

なにせ、俺が使ったのは仮面ライダーセイバーに出てくる禁忌の聖剣“無銘剣虚無”なのだから。この聖剣の属性は文字通り“無”であり、全てを無に帰す、そして無限という意味である。それに対してアノスは、魔黒雷帝を切り裂いた俺に更に興味を持ったようだ。

 

「なっ…!?皇族にしか伝えられぬ起源魔法が……!?」

 

「いやぁ、すまないな。このままだとミーシャまで巻き込まれると思ってな?アンタの魔法を無に帰したよ」

 

「無に……帰しただと!?」

 

「ほぉ……その剣、中々面白い代物だな?」

 

「アノスほどじゃないよ。それとアンタ、起源魔法は本来、絶大な魔力を有する起源から、その力を借りてくる魔法だ」

 

「な……どこでその秘密を……?」

 

俺の言葉にリオルグはかなり焦っているようだ。一応捕捉の為に説明しとこう。

 

「起源魔法を使うには、その力を借りてくる存在のことを明確に知っていなければならないのは絶対条件だ。アンタが知っている限りの存在と言えば暴虐の魔王くらいだけだろう。だが、それをアノスに放ったとしても無意味に終わるぞ?」

 

「それは……どういう意味だ!?」

 

「レオンの説明を聞いてもわからぬとは……起源魔法は、起源そのものに影響を与えることは出来ない。……つまり俺には効かぬ」

 

アノスがそう説明した時にリオルグは何かを悟り、冷や汗を隠せないでいた。この時にアノスは俺に疑いの目を向けていた。無理もない、俺が説明した内容は、アノスが暴虐の魔王本人であると言っているようなものだ。

 

「それとレオン、何故俺が始祖であると分かった?」

 

「その点も説明したいけど、まだ説明できる材料が足りていない。材料が足り次第、説明をするよ。必ず……」

 

「……分かった、その時が来るまで待とう。それはそうとだ……」

 

アノスは再びリオルグの方を見る。リオルグはアノスがまた何かするのではないのかと迂闊に動けず、警戒するしかなかった。

 

「未熟にも程があるが、命の危険すらある魔法を使った覚悟に免じて、一つチャンスをやろう」

 

「チャンスだと……?」

 

アノスがリオルグにそう説明して魔黒雷帝によって吹き飛ばされたゼペスの死体に近づき、ある魔法を発動させる。

 

腐死(イグルム)

 

その魔法が発動した瞬間、ゼペスの死体がユラリと浮かび上がり、魔力が増大していくことがわかる。リオルグはアノスの死者をゾンビとして蘇生させる魔法を初めて見て驚きを隠せないでいた。

 

「な…何だそれは!?」

 

「初めて見るか?死人を腐死者(ゾンビ)として蘇生する魔法だ」

 

死体だったゼぺスは腐死者として復活し、その憎悪は兄であるリオルグに向けられていた。

 

「ああ、あぁぁぁぁーっ!! 痛え……痛え痛え、痛えっ!!兄貴、何故殺した?何故俺を殺したっ!!」

 

「ひっ!?く…来るな、亡者がぁっ!!」

 

リオルグは亡者となったゼぺスに魔雷を放つが、亡者のゼぺスから生み出される紫炎の魔炎が魔雷を上回り、燃やし尽くしたのだ。

 

「何っ!?」

 

「腐死者は絶大な魔力を得る。代償として、殺された憎悪に身を焦がし、癒えぬ傷の痛みに苛まれることになるがな……」

 

リオルグはゆっくりと迫りくるゼぺスに恐怖し、少しづつ後ろに下がっていった。この時にリオルグは最悪な結末を思いついてしまった。

 

「ゼ……ゼぺスに俺を殺させる気かっ!?」

 

「残念ながら俺はそれほど悪趣味じゃない。チャンスだと言った筈だ、さっきまで見下していたゼぺスも、今はお前より強い。弟を認め、共に力を合わせて俺にかかってこい」

 

「何だと…!?信用できるかっ!!こんな奴が正気を保てる訳がない!!」

 

まぁ、リオルグの言う通り、さっきアノスが殺された憎悪に身を焦がし、癒えぬ傷の痛みに苛まれると言ってたしな。だが、そんな傷を抱えて戦ってきたヒーローはいた。そう、仮面ライダー以外のヒーロー達だ。詳しくは知らないが、そんなヒーローが癒えぬ傷に苛まれても、最後には自由と平和を守るためのヒーローになったことを覚えている。

 

「かもしれんな。…だが、地獄のような苦しみの中でも、相手を、互いを思いやるのが家族というものではないか?」

 

そうアノスが言う最中、ゼぺスは殺された憎悪に身を焦がしながらも魔炎を発動する状態に入る。どうやらリオルグに向けて放つつもりだ。リオルグも後ろに下がっている内に壁側についてしまい、最早背水の陣の状態に陥った。

 

「憎い……憎い憎い、憎い憎いっ…!うがあぁぁぁぁっ!!痛え、痛えっ!!殺すっ!殺してやるぅっ!!」

 

「くっ…!?貴様正気か!?腐死者として生きるくらいなら、殺してやるのがせめてもの情けではないのかっ!?」

 

「そんなものは、自分が楽な方向に逃げているだけだ」

 

「俺から言えたことじゃないが、これだけは言わせろ。アンタは選択を間違えたんだ。ゼぺスを恥知らずとして処分するのではなく、ゼぺスと共に俺たちに立ち向かうという選択肢を取ればよかったのだ。だがアンタはゼぺスを恥知らずとして殺した結果がこのような結末を招いた。ただそれだけのことだ

 

「だからこそだ、信じてみよ、家族の絆を。立場など気にせず、兄として、弟として過ごした日々が、お前たちにもあった筈だ!」

 

アノスがそう言うが、リオルグは皇族としてのプライドがあったが故に肯定したくてもできなかった。

 

「断るっ!!」

 

「クソがああぁぁっ!!死ねえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ゼぺスはそのままリオルグに跳びかかるように距離を詰める。リオルグは亡者となった弟によって殺される恐怖に縛られていた。

 

「呼べっ!弟の名を、呼べと言っている!!」

 

「うおおおぉぉ、ゼペェェェェェェェェェェェェェェェェスッ!!」

 

死の淵にリオルグは弟の名を叫ぶと同時に無意識のうちに魔雷でゼぺスの魔炎を相殺しようとした。

 

「ぐあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

「があああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

無論、相殺できる訳もなく、ただリオルグとゼぺスを巻き込むだけの自爆という結末に終わった。そこに残されていたのは黒焦げになって絶命したリオルグとゼぺスの姿だった。しかし、見方によっては、ゼぺスがリオルグに抱き合うような形になっていた。

 

「この時代の絆は、こんなものか……」

 

そうアノスが呟きながらも死体となったリオルグ達のところに向かう。その際に、闘技場が突如と崩れ始める。どうやらこの闘技場を創造したのはリオルグのようだ。その術者が死んだことで、闘技場が崩れ始めたのだろう。

 

「殺したら死ぬ、腐死者となったら正気を失う、まったく……世話の焼ける奴らだ」

 

そんな事すらお構いなしにアノスは二人の蘇生と、俺たちやリオルグの配下たちを魔障壁を展開させて守りつつも、落下してくる闘技場のガレキを魔障壁で止め、闘技場が崩壊し終わるまで待った。

 

そして、全てが終わった頃には、完全に戦意を喪失して蘇生されたリオルグ達の姿があった。……全く、本当にアノスのチートっぷりには恐ろしさを感じるよ。

 

「我が同胞は、二千年のうちにすっかり弱体化したようだな?強くなったらまた来い、何時でも相手にしてやる」

 

「二度とご免だ、化け物め……!」

 

「貴様いったい、何者だっ?」

 

リオルグにそう問われた際にアノスは答えた。

 

「……よく聞け、愛しき子孫どもよ。お前たちの始祖は帰ってきた。俺こそが暴虐の魔王……

アノス・ヴォルディゴードだ!」

 

そう宣言したアノス。これがアノスの物語の始まりの瞬間でもあった。俺は何かとアノスの魔王っぷりにあこがれを抱いた。やっぱりアノスは凄い奴だと改めて認識させられたよ。そのまま何事もなくミーシャを家に送り届けようするアノスだったが、突如と俺が知っている()()()()()()()()が響く。それはバイク音だ。無数のバイクの音がアノス達やリオルグ達を包囲する。そのバイクに乗っている正体は、黒服をまとい、謎のベルトを装着した集団だった。

 

「ふむ……どうやらお前らが用意した者たちではないな?」

 

「知らんぞ、あのような者たちは……」

 

「……やれやれ、皇族とはいえこの程度ですか」

 

するとバイクの集団の中から一人の黒服の男が出てきた。その男にもベルトが装着されていた。俺はそのベルトを見て驚活きを隠せないでいた。何せ、そのベルトは仮面ライダー555(ファイズ)に出てくるスマートブレイン社が開発した量産型ライダー“ライオトルーパー”の変身ベルト“スマートバックル”を装着していたのだから。バイク集団のバイクをよく見てみると、ライオトルーパーが乗るバイク“ジャイロアタッカー”だ。するとリオルグが黒服の男が魔族でも人間でもないことに気づいたのか何者かと問いだす。

 

「貴様、魔族ではなければ人間ではないな。何者だ?」

 

「そうだな……私、いやっ我々は偉大なる組織から派遣された者だ。厳密に言えば「()()()()()()だろう?」……!」

 

相手が何者なのか名乗る前に、俺が答えたことにオルフェノクの連中は驚いていた。アノスとミーシャ、リオルグ達もオルフェノクという名には聞き覚えがなかった。

 

「……オルフェノク?」

 

「レオン、あの連中のことを知っているのか?」

 

「あぁ、知っている。正確には、この世界には存在しない怪人だけどな」

 

奴らのせいでまたアノスに説明しなければならないことが増えてしまった。本当についてない。そう考えている中、黒服の男もとい、オルフェノクが俺に目を付けた。

 

「我らのことを知っている?となると貴様、貴様がレオン・オーマか?」

 

「そうだと言ったらどうするんだ?」

 

「決まっている。貴様は暴虐の魔王以上の脅威だ。この場で排除する」

 

そう言って包囲しているオルフェノクたちに合図を送る。ジャイロアタッカーに乗っているオルフェノクたちは縦に向いているスマートバックルに手にかける。そしてリーダー格のオルフェノクもスマートバックルに手にかけ……

 

「変身っ」

 

「「「変身っ!」」」

 

 

[Complete]

 

 

スマートバックルを横に倒して変身する。変身して姿を現したのは、量産型ライダーのライオトルーパーの軍団だった。アノスは俺以外にライダーに変身する者がいると冷静に判断していた。

 

「なるほど、そのベルトが変身する為の力の源か。魔力を感じないところ、魔道具の類ではなさそうだな」

 

「まぁ、冷静に解析するのも良いが、先にこいつ等を倒さないと面倒だ」

 

そう言って俺はビートルフォンとは別のガラケーを取り出した。俺が取り出したのは同じスマートブレイン社製の携帯電話型のマルチデバイスこと“ファイズフォン”である。ライオトルーパーの連中は、俺がファイズフォンを取り出したことに驚いていた。ミーシャは俺が連絡に使っていたビートルフォンとは違う物に興味を持った。

 

「試験帰りに使ったものと似ている……?」

 

「似ているけど、メーカー……っと、作っている工房が違うけどな」

 

そうミーシャに説明していると、ライオトルーパー軍団の中から無人のバイクが中央突破してきた。そのバイクことスマートブレインの子会社にあたるスマート・モータースが開発した、可変型バイク“オートバジン”である。オートバジンのテールウインカーには一つのトランクケースがあった。俺はそれが何なのか既に分かっていた。

 

「ありがと、バジン。ベルトを持ってきてくれたか」

 

俺はトランクケースを開けて、その中からファイズに変身する為のベルト“ファイズドライバー”を装着し、ファイズフォンを開いて、テンキーでコード“555”と入力し、“ENTER”キーを押す。

 

 

[Standing by]

 

 

入力を終えた後にファイズフォンを閉じ、それを上にあげて俺は叫ぶ。

 

「変身っ!」

 

そしてファイズフォンをファイズドライバーのトランスフォルダーに接続し、左側へ90度倒してセットする。

 

 

[Complete]

 

 

ファイズフォンをセットされたファイズドライバーから赤い“フォトンストリーム”が全身に流れ、戦闘用特殊強化スーツを纏う。その姿こそ、ギリシャ文字のφをモチーフにした仮面ライダー、“仮面ライダー555(ファイズ)”である。ファイズの頭部ヘルメットの目の部分である“アルティメットファインダー”と、赤いラインの“フォトンストリーム”が夜中の暗闇でも光っている。ファイズの変身者である“乾巧”と同じように手首をスナップさせ、戦闘準備を終える。

 

何故オルフェノクでもない俺がファイズに変身できるのかと言えば、ディケイドの力を継承しているためにファイズの固定概念を破壊して、変身可能になったのだろう。俺がファイズに変身したことでライオトルーパーに変身したオルフェノクたちは戸惑いを隠せないでいた。

 

「ば…馬鹿なっ!?ファイズだと!?」

 

「まさか、貴様もファイズに変身できるのか!?」

 

「例外という点ではだけどな!そして、お前たちの敵であることには変わりはないだろう」

 

俺がそうツッコムなか、アノスはファイズから流れるフォトンブラッドの特性を見抜いていた。

 

「どうやら実技試験で見せた奴と違って、そのベルトに流れる魔力とは別の何かが流れているようだな。それも、奴らにとって天敵のようなものだ」

 

「まぁ、フォトンブラッドっていうオルフェノクにとって天敵のエネルギーが流れているからな。それとアノス、すまないがこいつらは俺が片付ける。ミーシャや皇族たちを頼む」

 

「いいのか、一人で奴らを相手するようだが?」

 

「問題ない、俺もそれなりに鍛えているからな」

 

そう言って俺はファイズドライバーの右側に装着してある“ファイズポインター”を取り出し、ファイズフォンの外装部に装着されているカードキー“ミッションメモリー”を外し、それをファイズポインターのソケット部分に差し込む。

 

 

[Ready]

 

 

ファイズポインターが“キックモード”に切り替わったと同時に右下腿部にセットする。その際にオルフェノクのリーダー格がファイズの必殺技を警戒し、必殺技を出される前にライオトルーパーたちに攻撃支持を出す。

 

「攻撃開始っ!奴にクリムゾンスマッシュを使わせるなっ!!」

 

ライオトルーパー達はジャイロアタッカーでファイズに向かって突っ込む。しかし、俺は突っ込んできた一体のジャイロアタッカーに乗るライオトルーパーを蹴り落とす。そして俺は、左腕に装着しているデジタルリストウォッチ型のコントロールデバイス“ファイズアクセル”から“アクセルメモリー”を外してファイズフォンにセットする。

 

 

[Complete]

 

 

するとファイズの胸部装甲である“フルメタルラング”が左右に展開し、胸部中央には“ブラッディ・コア”を中心に外回りには“パワーローディング・ボード”、“スマートPC・TYPE AXEL”、“ブラッド・スタビライザー”、“ラング・コネクター”、“クーラント・ブリーザー”が内蔵されている。赤いフォトンストリームがフォトンブラッドの出力上昇に伴い、フォトンストリームが、通常フォーム時のクリアレッドからシルバーへと変色し“シルバーストリーム”へと変化する。ファイズの頭部ヘルメットの超高感度カメラであるアルティメットファインダーが黄色から赤色に変わる。この姿こそ、通常の1000倍もの速度で移動が可能になる“仮面ライダー555 アクセルフォーム”である。

 

俺はファイズアクセルの“スタータースイッチ”を押す。

 

 

[Start Up]

 

 

これによりアクセルモードが発動し、10秒間、通常の1000倍の超高速移動に入り、俺はそのまま上へと飛び上がった。

 

「なっ!?消えた?」

 

「ファイズアクセルだ!警戒しろ!!」

 

「ほぉ、超高速移動による強化形態か……」

 

アノスがファイズアクセルフォームを分析していると、ライオトルーパー達の頭上にファイズポインターから射出されたフォトンブラッドで出来たポインティングマーカーが出現する。

 

「か、回避だっ回避っ!!?」

 

リーダー格のオルフェノクがそう指示を出すが、既に遅く、ファイズアクセルフォームの必殺技“アクセルクリムゾンスマッシュ”によって次々とライオトルーパー達がやられていく。最後のマーカーである一体のライオトルーパーは距離を取ろうとジャイロアタッカーで移動するが、逃げれるはずもなく、アクセルクリムゾンスマッシュを受けて爆散するのだった。

 

 

[3…2…1…Time out!]

 

 

丁度10秒が経過し、この場に残っていたのは、俺に蹴り落とされたライオトルーパーとリーダー格のオルフェノク、そして運よくポインティングマーカーを付けられなかった一体のライオトルーパーだけだった。

 

 

[Reformation…]

 

 

俺はアクセルメモリーを引き抜いてファイズアクセルに差し込んだ。その時に左右に展開していた胸部装甲のフルメタルラングが閉じ、シルバーストリームも元の赤いフォトンストリームに戻り、通常のファイズに戻った。

 

「くっ…!だいぶ数を減らされたが、まだ数の利はこちらが上だ!」

 

そう言ってオルフェノクと残ったライオトルーパー達はライオトルーパーの専用武器である“アクセレイガン”を構えて俺に集団戦を仕掛けてきた。向かってくるライオトルーパー相手に構える俺だったが、その時に俺の背後から何やら詠唱が聞こえた。

 

獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)

 

すると、俺の背後から漆黒の太陽が放たれていた。

 

「うぉっヤベッ…!?」

 

いきなりの炎属性魔法に俺は直ぐに回避した。オルフェノクも回避したが、残りのライオトルーパー達は逃げ遅れて、そのまま漆黒の太陽に飲まれて焼却される。その漆黒の太陽を放ったのは言うまでもなく、アノスだった。

 

「ふむ、奴らには魔法も効くようだな」

 

「ちょっおま、アノス!今、俺ごと獄炎殲滅砲で滅しようとしたろ!?」

 

「何、奴らに魔法が通用するか試してみようと思ってな。それに、お前ならこの程度のならよけられると思ったから問題はあるまい?」

 

「問題大有りだっての!?もし俺がよけられずに死んでしまって、アノスに蘇生で蘇っても精神的に恐怖を覚えるわ!!」

 

「貴様ら……俺を無視するなっ!」

 

「お前が邪魔だっ!!」

 

 

[Exceed Charge]

 

 

俺とアノスの喧嘩という名のコントにオルフェノクはアクセレイガンのヒートブレードで俺に切りかかろうとするが、逆に俺はベルトに接続しているファイズフォンを開いてENTERキーを押してフォトンストリームを通してファイズポインターにフォトンブラッドを送り込み、俺は真上に高く跳び上がり、一回転してポインターをオルフェノクに向けポインティングマーカーを射出する。

 

「ぐっ!?しまっ…!」

 

マーカーによってロックオンされるオルフェノク。ポインティングマーカーはコマのように回転しながら跳び蹴りを放つ俺とマーカーが重なる。

 

「ツアアアアアアッ!!」

 

「ぐああああああっ!!?」

 

マーカーと同化してそのまま急加速してオルフェノクを貫く。背後に降り立つと共に、オルフェノクからΦのマークが浮かび上がり、青い炎の爆発を起こしたあと、灰化して崩れ落ちる。全ての敵を倒したのを確認した俺は、ファイズドライバーからファイズフォンを取り外し、変身を解除する。しかし、アクセルフォームからの連続アクセルクリムゾンスマッシュに続いてのクリムゾンスマッシュ。俺の体力が消耗するには十分すぎる力だった。

 

「あー……かなりしんどいな。帰ったらトレーニングの見直しと体力作りしないといけないな」

 

「……お疲れ様、レオン」

 

「あぁ、ありがとな、ミーシャ……」

 

「くっははは、本当に退屈させないな、レオンは……」

 

何とか敵の襲撃を切り抜けた俺たち。一方のリオルグ達はあまりの出来事に理解が追い付いていなかった。

 

「マジかよ……見たことない連中を秒殺かよ」

 

「貴様といい、奴といい、いったい何者なんだ?」

 

リオルグから俺が何者なのか聞かれたときには、隠しても無駄だろうと察して名乗ることにした。

 

「俺か?そうだな……俺は仮面の戦士、またの名を仮面ライダーの力を継承した混血とでも言えばいいか?」

 

そうして皇族による闇討ちと、オルフェノク集団による襲撃は幕を閉じたのだった。しかし、これはほんの序曲に過ぎず、後から来るであろう敵がどのようなものか、俺は引き続き警戒するのだった。……余談だが、襲撃してきたオルフェノクたちの内一体を残してどこの組織なのかを聞き出せばよかったと、後からやっちまったと後悔した。

 

……敵の正体を聞き出すチャンスだったのに、やっちまった。

 

 

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