魔王学院の不適合者 仮面の戦士の力を継承した転生者   作:コレクトマン

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破滅の魔女と魔王との模擬戦

 

闇討ち、ライオトルーパー兼オルフェノク襲撃事件から数日が経ち、今日が初の登校日である。俺とミーシャはアノスより先に教室にいた。制服は混血は白で皇族は黒と見事に区別された感じだな。校章も十字の烙印が押されており、アノスと同じ不適合者を示していた。……道理で他の生徒から妙な視線が感じられる訳だ。思い当たる節と言えば、魔力測定の時に0と表示され、測定不能だったことや、闇討ち、オルフェノク襲撃時に、あの時は緊急時だったとはいえ、オルフェノクたちを撃退するためにファイズに変身したんだよな。まぁ、きっとそれ以外のことかもしれないが。そう考えているとアノスが登校してきた。

 

「皆のもの、良い朝だな?今日からこのクラスは俺が支配してやる。逆らう奴は皆殺しだ!」

 

「いやいやいやっ朝っぱらから何を言っているんだっ!?それだと変に誤解されるだけだからな!?」

 

「ふむ……そういうものか?これでも冗談で言ったつもりだが?」

 

「アノスの魔王ジョークは、彼らにとって魔王ブラックジョークそのものだよ。俺やミーシャならまだ理解できるけど、ほとんどが誤解されているぞ……」

 

アノスの魔王ブラックジョークにツッコみつつも俺とアノスはミーシャがいる席に就くのだった。

 

「なるほど……二千年前は受けたんだがな?」

 

「……無理」

 

「アノスよ、流石にそれは無理があるぞ……」

 

「そうか。……それと、今日はずっと見られている気がするが、何か知っているか?」

 

「……噂になってる」

 

「あの兄弟のことか?」

 

「それもあるが、多分、俺と同じ理由かもしれない」

 

「同じ理由?」

 

「あぁ。ミーシャ、俺とアノスの校章に刻まれいている印と何か関係あるんだろう?」

 

「……うん、ある」

 

そこから俺とミーシャでアノスに説明する。校章の印には魔力測定と適性検査の結果を表してる。多角形や、芒星の頂点が増えるほど優良で、魔皇の始祖の可能性を秘めているとのこと。対して俺とアノスは十字のマーク。これが意味するものは俺とミーシャは知っているが、アノスは知らない。

 

「……二人の印は、魔王学院で初めての烙印」

 

「どういう意味なんだ?」

 

「“不適合者”。結論から言えば、魔王学院は魔王の素質を持つものを教育する場所。つまり、俺たちは魔王としての素質はないと言っているもんだ」

 

「これまで魔王族で魔王の適性がないと判断された者はいない。レオンとアノスは初めての不適合者。だから、噂になった」

 

ミーシャの言う通り、俺とアノスは不適合者として学院のはみ出し者みたいなものだ。まぁ、俺はもともと魔王は魔王でも、最低最悪の魔王になるつもりはないけどな。アノスは魔力測定はともかく、適性検査に対しては自信を持っていた。しかし、それが何故かこのような結果になっていた。いくつの可能性を浮かび上がらせ、考えていると、何やら答えを見出したようだ。

 

「ミーシャ、始祖の名前を知ってるか?」

 

「……うん。でも、呼んではならない」

 

ここでも暴虐の魔王の名を呼ぶことは恐れ多いようで、ミーシャでも答えられなかった。それを理解してアノスはミーシャの頭に手をやった。ミーシャは特に嫌がるわけでもなく、不思議そうに視線を向けてくる。

 

「どうしたの?」

 

「名前を思い浮かべるだけでいい」

 

「……ん」

 

ミーシャはアノスに二千年後の暴虐の魔王の名を聞き出した。その暴虐の魔王の名は“アヴォス・ディルヘヴィア”。さすがのアノスも聞き覚えのない魔王の名に疑問を抱くと同時にある一つの可能性が出た。それは、二千年という長い時の中、恐れ多い魔王の名を語ることもなく、間違った魔王の名が今に伝わってしまったという何ともマヌケなことだ。アノスはもう一つの確認のためにある質問をした。

 

「暴虐の魔王はどんな奴だと言われている?」

 

「冷酷さと博愛を合わせ持ち、常に魔族のことだけを考え、己を顧みず戦った」

 

「何だその完璧超人は……」

 

「いやっ魔王チートであるアノスが言うか……」

 

「始祖の思考や感情に近いほど、魔王としての適性が高いとされている。今、この学院で、とくに魔王に近いと言われている……」

 

ミーシャの説明を聞き、ある程度情報を得たアノス。俺にとってはどうでもいいが、問題はこのまま何も問題なく学院生活を送れるかどうか……

 

そうして時間が過ぎていき、遠くから鐘が鳴り、このクラスの担当の教師が入って来て、今日の授業が始まった。

 

「2組の担任を務めます、“エミリア・ルードウェル”です。先ずは班分けを行います。リーダーの希望する人は立候補をしてください。但し、この魔法を使えることが条件になります」

 

そう言ってエミリアは、黒板に魔法陣を描いていく。記憶が正しければ、あれは軍勢魔法の魔王軍(ガイズ)だったか?

 

「集団の戦闘能力を底上げする軍勢魔法魔王軍です。魔王軍を発動すると、班員には魔王(キング)築城主(ガーディアン)など、七つのクラスが与えられます。術者は王者となり、絶えず配下に魔力を与え続ける為、単独では弱くなります」

 

改めてエミリアの説明を聞いてみた感じだと、まるでチェスの駒だな。キングは何処でも移動できるが、一歩ずつしか進まない。対してクイーンやルーク、ビショップなどの駒は移動する向きが制限されているものの、移動距離はほぼ無限。キングはそれほど大事な役割なんだなと思う。……まぁ、どこぞの仮面をかぶった奇跡を起こす男が戦場で常識外れの戦略を指揮しているような奴もいるが、あれは例外だろう。

 

「一週間後の判別対抗試験では、魔王軍を使った戦闘を皆さんに実践していただきます。それでは立候補したい方は挙手を」

 

エミリアがそう言うと、クラスの黒服の皇族たちが立候補した。しかし、白服の混血たちは何故か立候補する気配がなかった。ここでも皇族と混血の格差社会が深かったようだ。まぁ、俺としてはリーダーよりもアノスと共にいたほうが向いているし、挙手はしなかった。アノスはそんなこと関係なしに力を示せばいいという感じで挙手した。案の定、クラスメイトたちの反応は芳しくなかった。

 

「…アノス君、でしたか?残念ですが白服……つまり、混血の生徒には資格がありません」

 

「…では、混血が皇族に劣らぬことを証明すればよいのだろう?契約(ゼクト)に応じよ」

 

「いいでしょう。出来なければ、不敬を謝罪して自主退学してもらいますよ」

 

エミリアは混血が皇族に劣っていると強く確信しているためか、アノスの挑発に応じ、契約を行うのだった。やれやれ……あの兄弟といい、皇族も皇族で血の濃さ云々で面倒くさいな。アノスは黒板に描かれている魔王軍の魔法陣を見た。

 

「これを仕上げたのは皇族か?」

 

「えっ?えぇ……」

 

「欠陥品だぞ」

 

「まさか、ありえません。二千年もの間、欠陥など……」

 

エミリアは疑いもなく欠陥はないと言うが、アノスにとっては見つからない欠陥などなかった。

 

「転生前に気付いていたのだがな……」

 

そう言ってアノスは黒板に描かれた魔法陣の三箇所を書き換えた。すると魔法陣は前以上に発光し、魔法効果がさらに向上したのを確認できる。

 

「そんな…っ!?少し書き換えただけで?これは…魔法効果が1.5倍!?」

 

「惜しいな」

 

アノスは描き足した魔法陣の説明に移る。もうここからはアノスの独壇場だろう。

 

「2倍だ。この魔力門が、三つの魔法文字と干渉を起こし、根源へ二度働きかける韻を踏む」

 

「あ……」

 

ようやく気がついたのか、エミリアは恥ずかしそうに身を小さくした。

 

「どうだ?」

 

「……立候補を許可します」

 

そうしてエミリアから実力で立候補の許可を得たアノス。エミリアは、混血……それもただの生徒に皇族が混血に後れを取ったその事実を受け止めきれず、反論する余地もなかった。クラスの生徒たちも不適合者であるアノスがリーダーに立候補するなんて誰も予想はつかずにざわついていた。

 

「静粛に!班分けを始めます。リーダーに立候補した生徒は自己紹介をしてください」

 

ざわついている生徒たちを静めさせ、挙手をした生徒たちに自己紹介するように言う。挙手した生徒たちが静まり、それぞれ自己紹介を始めた。

 

「ネクロン家の血族にして、七魔皇老が一人、アイヴィス・ネクロンの直系、破滅の魔女“サーシャ・ネクロン”。どうぞお見知りおきを」

 

最初に自己紹介したのは、ネクロンの直系のサーシャ・ネクロン。ミーシャの姉である。

 

「ネクロンってことは?」

 

「あぁ、聞いた感じだと、ミーシャの血縁だ」

 

「……お姉ちゃん」

 

「母親が違うのか?」

 

アノスがそう尋ねると、ミーシャは首を横に振った。

 

「……両親は同じ」

 

「それなら、ミーシャは純血のはずだろ?」

 

「白服になるのは血統以外が理由のこともある」

 

「なんだ?」

 

「……家の人が決めた」

 

「家の人というと?」

 

「ネクロン家」

 

ミーシャのネクロン家の事情……もとい、この物語の結末を知っている俺は何ともいえない。そう考えている間に次はアノスの番が来て、アノスが自己紹介すると同時に己が暴虐の魔王本人であると同時にこの時代に語られている魔王の名は偽りであると告げるのだった。

 

 

それぞれの班リーダーの自己紹介が終わった後、エミリアが班リーダーに立候補しなかった生徒たちに自分が良いと思ったリーダーのもとへ移動するよう言った。当然であるが、誰もアノスの班に向かう生徒は俺やミーシャ以外いなかった。

 

「姉のもとへ行きたいなら、行っていいぞ」

 

アノスは、ミーシャを気遣って姉の班に行っても良いといった。しかし、ふるふるとミーシャは首を振った。どうやら、アノスと一緒の方がいいようだ。

 

「……アノスの班がいい」

 

「そうか?」

 

「……ん……友達だから」

 

「そうだな。ところで、レオンもいいのか?他の班に行かなくても?」

 

「そうなんだが、どの班も俺みたいなやつはお断りのようだ。まぁ、理由は大体察しているけどな。どのみち、俺はアノスの班がいいな。無論、この班に入る為の覚悟を示すつもりだよ」

 

「そうか……なら、お前の言う覚悟を示してもらおう」

 

アノスの班にいるためには、友達とはいえアノスに認めてもらわなければならない。しかし、一体どんな内容なのか俺が考えていると、サーシャがアノスに声をかけてきた。

 

「ごきげんよう。アノス・ヴォルディゴードだったかしら?」

 

「ああ」

 

彼女は一瞬、ミーシャに視線をやった。

 

「貴方、まだ班員が二人しかいないようね。それも、出来損ないのお人形さん」

 

「出来損ないのお人形というのは、ミーシャのことか?」

 

「それ以外にあるのかしら?知ってる? その子ね、魔族じゃないのよ。人間でもない、命もない、魂もない、意志もない。ただ魔法で動くだけのガラクタ人形よ」

 

そうサーシャがいうが、俺とアノスはそうとは思わない。仮面ライダーの中でもミーシャと同じように仮面ライダードライブの一人のライダーである仮面ライダーチェイサーことロイミュード000(プロトゼロ)“チェイス”は、ロイミュードでありながら人間を傷つけないというプログラムをされており、一度はハート達に敗れ、彼らの改造により魔進チェイサーとして行動していた。しかし、仮面ライダードライブこと“泊進ノ介”との戦いを繰り返す中で“自身に課せられた本来の使命”に気づき始めたチェイスは、仮面ライダープロトドライブだった頃の記憶を取り戻し、人間の自由を守る戦士“仮面ライダーチェイサー”として、やり直す道を選択。

 

泊進ノ介らと共に、人々を脅かすロイミュードやゴルドドライブと戦い、最期は親友の詩島剛を守り抜いてこの世を去った。

 

ミーシャも過程が違えど、命を持った生命だ。これだけは譲れない。

 

「それがどうした?」

 

「……どうしたって……」

 

「魔法人形に命も魂もないと考えるのは、魔法概念の理解が浅すぎる。もっと魔眼()を凝らして、深淵を見ることだな」

 

「俺はミーシャが人形とは一度も思ってはいない。もし本当に人形なら、感情すらないはずだが、彼女の方がよっぽどの人だぞ?」

 

そう反論してやったら、サーシャは一度口を閉じた。しかし、その数秒後に再び口を開き、ミーシャに問う。

 

「……ミーシャ、貴女随分と面白い仲間を見つけたわね?」

 

「アノスとレオンは友達……」

 

「ふーん……良かったわね。でも、生意気が過ぎるんじゃないかしら?ねぇ……」

 

するとサーシャの碧眼に魔法陣が浮かぶ。記憶が確かなら、アレは“破滅の魔眼”と呼ばれるものだ。視界に映るすべてのものの破滅因子を呼び起こし、自壊させる。それが破滅の魔眼。生徒たちも、サーシャが破滅の魔眼を発動させたことに動揺していた。

 

「は、破滅の魔眼だ!」

 

「やばいんじゃないか…!?」

 

すると教室内で亀裂が入る。どうやら彼女の魔眼は視界に入ったものにも影響を及ぼすようだ。だが、アノスはともかく、肝心の俺は影響の“え”の字すら感じられなかった。どうやらここでもディケイドの力が干渉して魔眼の効果すら破壊してしまうようだ。

 

「効かない…!?」

 

何の影響がない俺たちにサーシャが驚く中、アノスもサーシャと同じ破滅の魔眼を発動させた。

 

「嘘…!?どうして…!」

 

「お前にできることが俺にできないと思ったか?」

 

同じ魔眼を持つ相手を初めてみたサーシャはアノスの魔眼の影響を受けていた。サーシャの魔眼と違って教室にあるものはなに一つ壊れていない。しかし、彼女の心を破壊したのは確かだろう。その際に彼女の魔力を魔眼で確認したようだ。

 

「ふむ……まあまあの魔力をもっているな、サーシャ・ネクロン。どうだ、俺の班に入らないか?ミーシャと仲良く出来るぞ」

 

「…っ!そのお人形を妹と思ったことなんて、一度もないわ!」

 

我に返ったサーシャはアノスの勧誘を断った。破滅の魔眼をうかべながら……

 

それから授業が始まり、全ての授業を終えた後に俺たちはそのまま帰宅するため帰路を歩いていた。授業なのだが、一応俺とミーシャは普通に勉強していたが、アノスに至っては授業中に寝ていた。アノスにとって知っていることばかりの授業内容だったので退屈なのだろう。

 

「授業……ずっと寝てて大丈夫?」

 

「ああ、全くつまらぬ話を聞かされた」

 

「だからって授業中に寝るのはどうかと思うが……」

 

俺がそう言ったときにアノスの視線が門の方に向いた。その方角にはサーシャが待っていた。

 

「気が変わったか?」

 

「勝負をしましょう。班別対抗試験、負けた方が相手の言うことを何でも聞く。もしも貴方が勝ったら、ご希望通り、貴女の班に入ってもいいわ」

 

サーシャがアノスが勝った場合、アノスの班に入ると言った。アノスは自分が負けた場合のことを聞いた。

 

「お前が勝ったら?」

 

「私の物になりなさい。私の言うことは絶対服従、どんな些細な口答えは許さないわ。それと、そこの彼もね」

 

「……俺か。やれやれ、二回目のとばっちり……でもないか。もう慣れた」

 

アノスと関わった時点でこうなることは確定していた。慣れてしまった俺はもう面倒くさいとおもってしまった。

 

「別にそれでも構わないぞ。どうせ俺が勝つ」

 

「私、自分の所有物は大切にするタイプなの。あなた達のこともちゃんと可愛がってあげるわ」

 

そう言ってサーシャは帰っていった。案の定、破滅の魔眼を浮かべながらであるが。アノスもサーシャの魔眼をよく見ていた。

 

「あの女……無暗に破滅の魔眼が出ているが?」

 

「感情が高ぶると、自然に出る」

 

「完全に制御が出来ていないってことか」

 

サーシャの魔眼を考えているなか、俺はある事を思いついた。一週間後に行われる班別対抗試験の前にアノスに()()()()の協力を頼むのだった。その実験は外で行うことにした。アノスは面白い余興として協力してくれるのだった。アノスの協力を得た俺は、創造魔法である創造建築で訓練所を作った。

 

「鍛錬所……とは違うな?レオンよ、お前は実験といっていたが、それはどういうものだ?」

 

「実験と言っても、ちょっとした確認だけどな。前に皇族達の闇討ち、オルフェノク襲撃のことを覚えているだろう?」

 

「ああ、お前が仮面ライダーと呼ばれるものに変身したあの姿のことだな?」

 

「そうだ。あの時に俺が変身した姿は仮面ライダーファイズと呼ばれるものだ。その時に使用したベルトがこれだ」

 

そう言って俺はトランクケースにしまってあるファイズドライバーとファイズギアを取り出した。そしてファイズドライバーに必要な携帯電話型マルチツールのファイズフォンを用意した。

 

「このファイズドライバーには、このファイズフォンを使って変身する。ただし、このファイズドライバーはある適合性がないと変身が出来ず、ドライバーから拒絶反応をだして、装着者を弾くんだ」

 

「適合者か……お前はその適合者に該当するのか?あのオルフェノクという連中と同じように?」

 

どうやらファイズドライバーの特性を説明だけで理解したようだ。俺がファイズに変身できる=俺がオルフェノクである可能性があるという疑惑だ。その疑惑を晴らすために俺はオルフェノクではないことを言いつつ、俺の正体を明かすことにした。

 

「俺はオルフェノクじゃないよ。……かと言って、()()()()()()()ではないがな」

 

「この世界?まるで自分が存在しない者のような言い方だぞ」

 

「文字通りだよ。……俺は、この世界とは別の世界、仮面ライダーが架空のヒーローとして存在する世界から転生した者だよ」

 

その後に俺は、アノスに何故俺がこの世界に転生したのか、俺がこの世界で何をするつもりなのかを洗いざらい喋った。アノスもアノスで、この世界や歴史が俺のいた世界では架空の物語として作られたことにちょっとは驚いたが、些細なことであった。

 

「なるほど、つまりお前はお前以外の転生者……お前を殺した者を殺すためにこの世界に転生したという事か」

 

「厳密には、神様の頼みで死神のやらかした後始末をやることになったんだけどな」

 

「しかし、お前もその神の使いとやらに断っても良かったのではないのか?」

 

「それもそうだが、よりによって俺を殺した相手がこの世界で好き勝手やって世界を滅ぼしたらそれはそれでこっちがたまったもんじゃない。関わりのある関係者が黙って見ぬフリする程、俺は畜生以下になり果てるつもりはない」

 

「そうか。……お前は少しお人好しが過ぎると言われたことはないか?」

 

「勿論、言われたよ。だが、その考えを今更変えるつもりはない。関わったら最後まで関わりぬくつもりだ。それはそうと、ファイズのことで続きがあるのだが……」

 

俺は自分が転生者であることを一旦切り上げ、本来の話題に戻す。俺が行おうとしているのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という実験だ。

 

「ほぉ……俺がファイズに変身か」

 

「ああ、さっき言ったように本来ファイズはオルフェノクかオルフェノクの記号を宿した人間じゃないと変身できない。ただ、俺の場合はその二つとは例外で変身が可能だ。その事で俺は思ったんだ。その例外はアノスでも持っているんじゃないかとね」

 

そう言いながら俺はアノスにファイズドライバーを渡した。アノスは渡されたファイズドライバーを腰に巻き付ける。仕上げに俺はアノスにファイズに変身する為のファイズフォンと変身方法が書かれている紙を渡した。その紙にはこの世界の文字で書かれた説明書である。この世界には英語や日本語はないからな。……まぁ、英語は一部似たような文字がこの世界でもあったが、間際らしいと思うのでなかったことにした。

 

「一応変身方法だが、この紙に変身方法や武器に関することが書かれている。先ずこれを読んでからその通りに行ってくれ」

 

「わかった。この紙の通りに行えばいいのだな?」

 

アノスは渡された紙を読み、読み終えた後に俺に渡してファイズフォンを開く。そして5のテンキーを3回押して、ENTERキーを押した。

 

 

[Standing by]

 

 

ファイズフォンから待機音が鳴り、アノスは全ての準備を整える。

 

「確かレオンはこう言っていたな。……変身っ」

 

アノスがファイズフォンをファイズドライバーのトランスフォルダーに接続し、左側へ90度倒してセットする。しかし……

 

 

[err…error……errrrrrrrrr……]

 

 

まさかのエラーとベルトから拒絶反応が出た。しかもその拒絶反応はバグった様子でアノスを弾き飛ばす様子がなかった。

 

「ふむ……レオンよ、ファイズのベルトはきちんと整備しているのか?」

 

「えっ?ああ、その筈だが、このようなバグり方は初めてだ」

 

このような事例は初めてで何とも言えない俺であったが、その数秒後にファイズドライバーに変化があった。

 

 

[……Complete]

 

 

なんと俺以外でもアノスも適合者と認定し、紅いフォトンストリームがアノスを纏い、光りだす。光が収まると、そこには仮面ライダーファイズの姿があった。アノスは初めて変身し、身に纏った姿を見ていた。

 

「……なるほど、この鎧に使われる魔力とは違うエネルギーは、オルフェノクでないと使えない代物か。道理で最初は拒絶反応があった訳だ」

 

「いや、それ以前にエラーのバグりからコンプリートと変身できたことに驚きを隠せないのだが……」

 

そんなこんなで、アノスにもディケイド同じ破壊者の能力に似た力を持っていたためかファイズに変身できるようだ。最初は少し怪しかったけど、無事に成功したわけだし、あまり気にしないでおいた。するとアノスからとんでもないことを言いだした。

 

「せっかくだ、レオン。お前の覚悟を此処で示すといい」

 

「いやっいきなりだなっ!?俺はあくまでも実験に付き合ってくれるだけで良かったんだが「では、朝の時に行ったことは偽りか?」…っ。意地悪だな、本当。分かったよ、此処で示すよ、俺の覚悟をっ!」

 

もはや半場自棄になった俺は、人類基盤史研究所、通称“BOARD(ボード)”が開発したライダーシステム“ブレイバックル”を取り出してトランプカードことビートルアンデッドが封印された、スペードスートのカテゴリーAに属する“ラウズカード”をカードスロットに挿入して体に当て、カードを重ねたような形状のベルトが左サイド部から出現して伸張。バックルを使用者の体に固定させる。

 

アノスもファイズ以外の仮面ライダーのベルトを初めて見て興味を持っていた。

 

「ふむ……こんどはトランプか。中々面白いな、お前のいう仮面ライダーというのは」

 

「こっちは殆どやけくそだけどなっ!……変身っ!!」

 

そう愚痴りながらもターンアップハンドルを横に引いてカードスロット部分をひっくり返す。

 

 

[Turn up]

 

 

ブレイバックルから神秘の金属・オリハルコンプラチナを原子分解した物質で満たされた“オリハルコン・エレメント”と呼ばれるエネルギースクリーンが放出。俺は走り出してそのオリハルコン・エレメントを通過するとブレイドアーマーが装着され、仮面ライダーブレイドに変身する。

 

この姿こそ、運命と戦い続けた男“剣崎一真”が変身するライダー“仮面ライダーブレイド”である。しかし、少し気になることと言えば……

 

「ウェェェーーイッ!(0w0)」

 

……このように何故かブレイドの有名言語?というか活舌の悪さによって誕生してしまった“オンドゥル語”に自動的に伝染してしまうようだ。さすがのアノスもオンドゥル語の活舌の悪さに聞きづらかったようだ。

 

「……レオン、お前はその姿になると活舌が悪くなるのか?」

 

ズンドコドーン、オリガシルクヮヨ(そんなこと 俺が知るかよ)!(0w0)」

 

「そうか……まぁ、気にしないでおこう。……オートバジン」

 

アノスがオートバジンを呼ぶと、バトルモードの状態でアノスの前に現れ、左ハンドルグリップ部分にアノスが手を伸ばしやすいようにしゃがみ込む。アノスは紙に書いてあった武装の一つである“ファイズエッジ”のことを思い出す。

 

「なるほど、これを差し込めという事か」

 

 

[Ready]

 

 

アノスはファイズフォンのミッションメモリーをファイズエッジに差し込み、そのまま引き抜く。するとファイズエッジのフォトンブラッドで形成された剣身が出現する。ファイズエッジの刃ことフォトンブレードが紅く発光した。

 

ヴァイズエッジカ、ダッダラ(ファイズエッジか だったら)!(0w0)」

 

俺はアノスに対抗するためにブレイドの専用武器“醒剣ブレイラウザー”を取り出し、逆手に持ちながらも構える。するとアノスが攻撃する前にこんなことを言いだした。

 

「レオン、お前はまだ剣などの戦い方は未熟なのだろう?だったらハンデとしてこっちは魔法を使わずこれだけ戦ってやる」

 

「|ア゙ンバディオリヲオディョグドゥナ《あんまり俺をおちょくるな》!(0w0)」

 

「そうか?なら、本気でいいんだな?」

 

エッ(えっ)?(0w0)」

 

アノスのハンデ付きという挑発に乗り、ハンデをふいにしたことでアノスは容赦なく獄炎殲滅砲を準備し、俺に向けて放つ。

 

「そら、言ったからには避けて俺に一撃を与えてみろ。獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)

 

ウゾダドンドコドーンッ(嘘だそんなことっ)!?(0w0:)」

 

アノスの鬼畜的な数の獄炎殲滅砲を掻い潜りながらも覚悟を示す模擬戦は、アノス直々の指導訓練となり、俺の体はボロボロになるまで続いた。たとえ死んだとしても蘇生で生き返らせるとのことで、俺は死ぬことは絶対に避けるべく、死に物狂いでアノスが変身したファイズと戦い一撃を与えることに集中するのだった。……まぁ結果的に言えば傷一つ与えることができず、敗北した。アノス相手は完全なる無理ゲーだったのだ。

 

これを教訓に俺は、アノスとは絶対に喧嘩しないことを固く誓うのだった。

 

 

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