魔王学院の不適合者 仮面の戦士の力を継承した転生者 作:コレクトマン
アノスと実験兼模擬戦(途中から死ぬ可能性のある地獄の特訓に変わったが……)を行ってから一週間が経ち、アノス班とサーシャ班による班別対抗試験が行われようとしていた。因みに今の俺の姿は顔に包帯を巻かれていてミイラ擬きになっていた。何故ミイラ擬きになっているのかというと、アノスとの地獄のような模擬戦を繰り返してきた結果がこれである。これにはサーシャやサーシャの班のメンバーもドン引きだった。
「あなた……一体なにをどうやったらそんな大怪我になったわけ?」
「気にするな、既に完治済みだ。といっても、そこの魔王さんに聞いてみたらどうだ?」
「なに、彼の実験と訓練に付き合ってやっただけだ。その分、彼は強くなっただけのことだ」
「そう……それはそうと、ちゃんと約束は覚えているわよね?」
サーシャはアノスと俺との間に何があったのか深く追求せず、一週間前に約束した内容のことを聞き出した。
「ああ、契約を交わすか?」
「そうね。その子にやらせなさい」
サーシャはアノスではなく、ミーシャを指名してきた。ミーシャは指名されたことに驚いたが、アノスは問題ないと言い、そのままミーシャとサーシャで契約をするのだった。それぞれ所定の場所に位置に付き、準備を行うのだった。
ここで少しお浚いだが、魔王軍という魔法には七つのクラスが存在し、魔王軍の中心核ともいえる
その七つのクラスがあっての魔王軍なのだが、何故か俺はその七つのクラスの内、どちらとも該当しないのだ。そのクラスの名は
「それでは、サーシャ班とアノス班による班別対抗試験を行います。魔王が戦闘不能、あるいは魔王軍を維持できなくなれば決着です」
そう考えている内にもう班別対抗試験が始まるのだった。敵の数はこちらの十倍。考えをいったん中断し、顔に巻き付いている包帯を外す。ミーシャはアノスに作戦はどうするのか聞き出している。
「作戦は…?」
「といっても三人ではな、サーシャ班はざっと30人はいる。ミーシャの意見は?」
「…わたしのクラスは築城主。創造建築の魔法が得意。創造建築で魔王城を建築、籠城が有利」
「…と、相手は考えているだろうな。レオン、お前はどうだ?」
「俺の場合はどのクラスにも適さない謎のクラスである破壊者だ。文字通り、相手の常識でも破壊することが得意だったりしてな?」
「なるほど、常識を破壊か……」
何やらアノスは何か良からぬことを考えているようだ。一応俺はどうするのかを聞いてみた。
「なあアノス?もしかして何だが、相手の裏をかくつもりか?」
「ああ、お前の言う通りだ。…相手の裏をかく。レオンよ、お前が試したかったことを此処で実践するのはどうだ?」
相手の裏をかくと同時に俺が実験兼模擬戦で出来なかったことを此処で行うと言ってきた。……絶対
一方のサーシャの方は既に城を築城しており、臨戦態勢に入っていた。城内のモニターではミーシャが創造建築で三つの城を築城していた。恐らくは三つの内二つがトラップなのだろう。
「サーシャ様、敵陣に三つの城が建てられました」
「おそらく二つは罠ね。この短時間じゃミーシャは完全な魔王城を作れないわ。時間を稼いでいる間に堅牢な魔王城にするつもりよ。その前に叩く…!先ずは先発部隊を敵陣へ!編成は「サーシャ様!」…どうかした?」
サーシャの班がなにやらモニターを見て驚いていた。それは、魔王のアノスとその配下のレオンがサーシャの城の前に出現したのだ。
「た…大変ですっ!魔王と配下が……アノス・ヴォルディゴードとレオン・オーマが……城の前に現れました!」
「何ですって!?いったいいつの間に……?」
「分かりません!本当に突然のことで……」
サーシャの班は突然と表れたアノス達に少しパニックになっている中、サーシャは冷静にアノス達が一気にここまで近づけたことに関して考えていた。
「まさか…失われた魔法転移?そんなわけ…でも、それ以外考えられない……」
考えが纏まったところでサーシャは向かってくるアノス達を迎撃することに切り替えるのだった。
「…いいわ。二人で来るなんて、無謀と戦術をはき違えていることを教えてあげなさい!」
『『それはどうかな?』』
すると城の外にいるはずのアノスとレオンの声が城内部のサーシャ班の思念通信を通してしゃべりだしたのだ。
「なっ…!?どういうことだ!こちらの思念通信が聞こえているのか!?」
『こっちの場合はアノスを中継にして君たちの暗号術式にハッキング……じゃなくて、解析して傍受した次第だ』
『それにしても、暗号術式が低次元すぎる。傍受しろと言っているようなものだぞ』
アノスの規格外な魔王チートを此処でも見せる。レオンはアノスに便乗するばかりではなく、サーシャ班が築城した城の状態を魔眼を通して確信していた。その城には敵の魔法攻撃を想定した反魔法術式がかけられていた。
『対魔法戦を想定した反魔法が掛けられているな。中途半端な魔法じゃ防がれるのがオチだな』
「思念通信を傍受されたことには驚いたけど、問題ないわ。いくら傍受されても所詮は魔王と配下の二人だけ、多勢で造り上げたこの城を突破できるはずがない!」
『それはどうかな?その常識すら、俺が破壊する』
モニターに映るレオンは中央に透明のクリアレンズが付いている白いバックルを取り出し、それを腰正面に当ててベルトを出現させて巻き付かせる。レオンが取り出したのは平成10番目のライダーが使用するベルト“ディケイドライバー”である。レオンはディケイドライバーのサイドバンドルを引き、バックル部を回転させた後にベルトの左腰に装備されている“ライドブッカー”を開き、一枚のカードを取り出す。そのカードにはマゼンタ色の仮面の戦士が描かれていた。サーシャはレオンの持つ能力をあらかじめ耳にしていたが、実際に見るの初めてであった。
「まさか…!」
『変身っ!』
KAMENRIDE DECADE
カードを裏面にしてそのままバックルに装填し、サイドバンドルを押し戻して変身プロセスを完了する。するとレオンの周囲に九人の灰色の人らしき何かが出現し、それがレオンを中心に集まり、やがて一つとなって鎧と化し、バックルから赤いプレートが出現してプレートはそのままレオンの仮面部分に吸い込まれるように突き刺さり、同化した。その赤いプレートはどうかした瞬間に黒くなり、灰色の鎧がマゼンタと白と黒の三色に染まった。この姿こそ平成十番目のライダーであり、世界の破壊者と呼ばれる存在ありながらも滅びゆく運命を破壊し、新たな未来へと繋ぐ仮面ライダー、その名も“仮面ライダーディケイド”である。
サーシャは入学試験の時にレオンが変身して戦うところを見ていたが、あの時はクウガの姿で戦っていたのだが、今回は違う姿で変身したのだ。
「入学実技試験の時の姿とは別のようね。…けど、いくら姿を変えても無駄よ、この城には反魔法が多重にかけられているわ」
『それは敵が魔法を使用する前提の話だ。俺の場合は違う』
ATTACKRIDE BLAST
レオンは再びサイドバンドルを引いてライドブッカーからカードを一枚引く。そしてそのままバックルに挿入してサイドバンドルを押し戻して効果を発動させる。ライドブッカーを取り出し、ガンモードに切り替えた後にそのままサーシャの城に銃口を向けて引き金を引くと、ライドブッカーの周囲に光の残像が発生し、武器本体と共に50口径のエネルギー弾丸を高速連射し、反魔法が掛けられているサーシャの城に直撃する。無論、ディケイドの攻撃は魔法とは無縁の攻撃なので反魔法の効果が発動せず、城に大きな傷が入り、その振動はサーシャたちがいる指令室までに響いた。
「!!??な、なにが起きているのっ!?呪術師っ!?」
「し、信じられません!奴は、レオン・オーマがこちらの施した反魔法に反応せず城にダメージを与えました…!!」
サーシャ班もディケイドに変身したレオンの攻撃に理解が追い付くのがやっとだった。その時に更なる追い打ちと言わんばかりにアノスの方も動き出した。
『レオン、そろそろ交代だ』
『分かった。だが、いったい何をするつもりだ?』
『なに、ちょっと
そう言ってアノスはサーシャの城に近づき、そのまま城を掴んで持ち上げた。さすがのサーシャ達でもアノスが城を持ち上げてくるのを想定していなかった。
「そ…そんな馬鹿なっ!?」
「この城を、持ち上げてますっ!?」
「うそっ…!?どうしてこんな力が…!?」
『なに、地力の差だ』
『いや、そんな差があったら城を軽々と持ち上げられねえよ……』
レオンがアノスの言葉にツッコミつつもアノスは城を上に高く投げる。城の中にいるサーシャ達は最早絶叫マシーンにでも乗せられたかの様に室内は大きく揺れて、皆は受け身を取るのに精いっぱいだった。そして落下してくる城を難なく受け止めるアノス。
『そら、うまく受け身をとれ。でないと…死ぬぞ』
そういうと今度は城を回し始め、城内のサーシャたちを物理的にかき回し、そのまま遠くに投げ飛ばすのだった。アノスの地力があってのことか、投げ飛ばされた城は約1,000mか2,000mまで投げ飛ばされたのだった。
城を平然と投げ飛ばしたアノスを見た俺は、アノスの魔王チートに呆れるほかなかった。しかも本人はこれでも手加減がすぎたかと思う程度にしか思っていない。すると傍受した思念通信からサーシャの声が聞こえた。どうやら無事に受け身を取れて大事に至らなかったようだ。
『……
どうやらサーシャは獄炎殲滅砲を使うつもりのようだ。それを聞いたサーシャ班は戸惑いを隠せなかった。
『獄炎殲滅砲をっ!?し…しかし、獄炎殲滅砲の成功率は僅かです!失敗すれば……』
『怖気ついている場合じゃないわっ!!敵の力を認めなさい!炎属性最上級魔法“獄炎殲滅砲”でなければ、アノス・ヴォルディゴードやレオン・オーマを倒せない!!こんなところで恥をさらすために魔王学院に入ったんじゃないでしょう?死力を尽くして臨みなさい。あなたたちの最高の魔法を……皇族の誇りを、あの雑種たちに見せつけてやるのよ!!』
『…はいっサーシャ様!!』
どうやら俺たちに勝つつもりで獄炎殲滅砲を撃つ準備に入ったようだ。アノスもサーシャのカリスマ性と統率力に感心していた。本当に敵にしておくには惜しい人材だ。
「敵にしておくには惜しいな」
「向こうは獄炎殲滅砲を使うために魔王軍を利用して発射準備に入っている。こっちもこっちで相手の本気に答えてやらないとな」
「ああ、そうだな。レオン、そろそろ
「ああ、ならやるか」
そう俺が答えつつもアノスは俺から借りたファイズドライバーを装着し、ファイズフォンを5テンキーを三回押してENTERキーを押す。
[Standing by]
「変身っ」
[Complete]
そしてそのままアノスはファイズへと変身するのだった。その様子をサーシャ班は崩壊した城の生き残ったモニターを通して見ていた。まさかアノスがレオンと同じように変身するとは思いもしなかった。
『まさか…アノス・ヴォルディゴードがレオン・オーマと同じように変身するなんて……!!』
『ここで怖気づいている場合じゃないわ!!たとえアノス・ヴォルディゴードがレオン・オーマと同じように変身したとしても私たちがやるべきことは変わらないわ!!』
サーシャ達の覚悟を示したように俺も己の覚悟を示すようにライドブッカーからある一枚のカードを引き、サイドバンドルを引いてそのまま挿入してサイドバンドルを押し戻す。
FINAL FORMRIDE FA FA FA FAIZ
「アノス、ちょっとくすぐったいぞ」
俺はファイズに変身したアノスの背後に立ち、アノスの背中に突き刺すように手を差し込んで開くと、ファイズの体から次々とパーツが生成しつつも人体の構造を無視した変形を行い、一つの超大型の銃へと変形した。これぞディケイドの能力で仮面ライダーファイズが、ライダーカード「ファイナルフォームライド ファイズ」の効果によって
「ふむ……まさか自ら武器になるとは思いもしなかったな」
「これがディケイドが九つの世界を紡いできた力だ。さてと……」
俺はファイナルフォームライドしたファイズブラスターを掴み、照準をサーシャ達がいる方に向ける。サーシャ達も既に獄炎殲滅砲の準備を終えていた。さすがにアノスが超大型の銃に変形したことには驚きを隠せなかったようだが、それでも勝つ気でいる。
そもそも、獄炎殲滅砲は魔法技術の研鑽があってこその賜物。アノスという例外を除いて、一人分の魔力では到底不可能。それをサーシャ達は魔王軍を教わった後に約一週間の間に実戦で使えるレベルまでに練り上げた。それぞれのクラスの特性を生かし、発動する集団魔法は各々の魔力を足し、十倍以上に引き上げる。これぞ魔王軍の真骨頂だ。
『みんなの力、預かるわ!』
『サーシャ様、我々皇族の力を…』
『見せてやりましょう!』
それぞれの魔力が高まったところでサーシャは術式を展開し、獄炎殲滅砲を放つのだった。
『いくわよおぉっ!!獄炎殲滅砲!!!!』
放たれた巨大な獄炎殲滅砲はそのまま真っ直ぐに俺たちの方に向かっていく。
「その本気、俺も本気で返す!」
俺はファイズブラスターを放たれた獄炎殲滅砲に向け、ポイントマーカー光で捕捉する。そしてライドブッカーからファイズ専用の必殺技のカードをバックルに挿入する。
FINAL ATTACKRIDE FA FA FA FAIZ
「……ハアァッ!!」
ファイズブラスターからエネルギーが一気に溜まり、そのまま俺は引き金を引く。するとフォトンノズルから赤いエネルギー光線が照射される。これぞ砲撃必殺技“ディケイドフォトン”である。その照射された赤いエネルギーはサーシャ達の獄炎殲滅砲を上回る威力でかき消した。これを見たサーシャは放った獄炎殲滅砲が相殺されたことに驚いていた。
『相殺されたっ!?』
『サーシャ様、向こうはまだ生きています!』
『っ!?…総員、退避っ!!』
今もなお赤いエネルギー照射が向かってきている。このままでは拙いと判断したサーシャは皆に退避命令を出し、魔法障壁を何重にも展開する。例え防ぐとこはできなくても威力減少目的という形ですれば退避する安全性が上がると判断したのだろう。しかし、赤いエネルギーは威力がおちるどころか変わらないままサーシャの魔法障壁を易々と砕いていく。残り魔法障壁が十枚のところでサーシャは危険だと判断し、
「これで決着か。……これもこれで、威力の加減がいるな。その辺も含めて要訓練だな」
そう言いつつも俺はファイズブラスターを上に投げる。するとファイズブラスターが元のファイズへと変形して、そのまま着地する。もう決着がついたと判断したのかアノスはファイズの変身を解くのだった。俺は万が一に備えてまだ変身は解かないでおいた。
……何かとこの後に襲撃されそうな予感が漂ってきた。