遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
「……………………ねえ偽遊」
「うん? どったの?」
時刻はお昼。空は快晴。こんな日は外で飯食うに限るよね。こんだけ空が青いのに禿狸に呼ばれて男と天上院明日香だけの空間で缶詰なんて人生の損失だぜ。
まあ、前世の俺のお昼休みは、休みとは名ばかりで仕事してましたけどね。損失ってレベルじゃねえぞ。
そんなわけで、人生の損失を埋めるが如く俺はレイたんと青い空の下でランチタイムを楽しんでいた。前世ゴミカスだったんだから、一生分の幸せを二回分一気に支払って貰わねえとな。
ところでレイたん。じっと睨んでどったのけ? 可愛い。
「…………美味しい?」
「うむ。レイたんと一緒に食べるお昼ごはんは最高だぞ」
何せ飯とレイたんが吐いた息も同時に堪能出来るのだ。最高しかない。
例え、今さっきレイたんから手渡されたお昼ごはんが一ミリ以下の分厚さに切られたパンとハムのサンドイッチ一つだったとしても。
「……………………言うこと聞いてくれたらちゃんとしたお弁当も用意してるんだよ?」
「どうしたレイたん。お小遣いのおねだりかな〜? よしよし。月に十万円くらいあげちゃおう」
「そんなに貰ってどうしろって言うのよ」
「んー…………サンドイッチの体積を増やすとかどう?」
ぐ〜。と腹の虫が鳴いた。
「やっぱりお腹空いてるじゃない!」
「当たり前だろ。一ミリ未満の薄さのサンドイッチだぞ? あのワドルディですら忠義や忠誠の心を忘れて怒り狂うレベルのランチだ。仮にも人類の俺の胃袋に一瞬でも満腹感をもたらすとでも?
って言うかそもそもどうやって切ったのコレ」
「執念の力だよ」
「周年怖えなぁ…………復活のコアメダルとか」
「何の話よ?」
「ナンでもない。カレー食いたい……」
ぐ〜。
「うっ、ぐっ……! ぐうううぅぅっ……!!」
レイたんが持っているサンドイッチを差し出そうとして、歯を食いしばって自分の手元に戻した。焦らしプレイですか? 最高かよ。
「あ、あげないもん! 昨日は体育でヘトヘトになってたから仕方なく上げたけど。一昨日はトメさんが大変だったのを助けるために頑張ってたから上げたけど。
今日は絶対にあげないからっ! 偽遊がボクにシンクロ召喚を教えてくれるようになるまで、お昼ごはんはずっとそのサンドイッチなんだから」
「普通に弁当抜きの方が楽なのでは?」
一ミリ以下にパンとハムをスライスする作業って、本職の人にやらせてもちょっとした苦労じゃね? 本職じゃないから知らんけど。お客様の中にやったことある本職の方がいらっしゃったら情報求む。
「うっ……ぐっ…………!」
「何その苦虫を噛んだような顔」
なんか目的と本心の狭間で揺れてるような、葛藤してるような顔してる。ちょっとえっちな表情だ。イイネ。
「〜〜っっ!! 仕方ないじゃない! 偽遊は命の恩人でもあるんだからっ!! なんか、その……耐えきれないものがあるのっ!」
「薄皮サンドイッチで耐えきれる程度のものなのかよ……無いも同然じゃね?」
「この薄皮の先にあるシンクロ召喚が、いずれ大きなサンドイッチを生むんだよ!」
「シンクロ召喚に何を夢見たんだレイ……」
そんなやりとりに心満たしながら、俺はごろんと横になる。
「えっ。た、倒れた!? 偽遊、大丈夫!?」
「大丈夫だぞー。ご飯も終わったし食後のお昼寝だ」
腹が減って食い物が手に入らない時に人はどうするか? 答えは簡単。寝ることだ。断食ダイエット経験者も真っ青なくらい飢餓で真っ青になっていた俺が生き残った唯一の手段なのだから間違いない。日数は真似する人がいると死ぬから言わんでおく。アレは好き好んでやるものじゃない。他に生きるすべがなくて、やるしかなかったものだ。
「う…………うう…………っ」
「レイ。俺は昼飯が抜きになったくらいで死にはしないぞ。
ふわぁ……」
欠伸をしながら目を瞑る。穏やかな空気と共に。素晴らしい癒やしの時間だ。
「ああ、あと……レイはしっかり食えよ。大きくなれないぞ」
子どもが栄養失調で死ぬなんて冗談じゃない。そんなこともし目の前でやられてみろ。一生飯なんか食う権利ないぞ。清太。ゲンならお前の状況で節子は絶対に飢餓では死なせなかっただろう。病気とかは無理かもだが。
「ーーおっきくなってほしくないくせに……」
「ーーぐはっ!???」
何今のセリフ!??? 萌え死ぬかと思った…………しかも生涯に一片の悔い無しな感じで!! ロリコンが言われてみたい言葉トップテンに入りそう!!
「……っ!!」
意を決したような声がして、レイたんが俺の腹に跨ってきた。そして何かをもぞもぞして取り出す。
「おおおおおおおおおおおおおおーーー!!!??」
「い、言うこと聞かないと……ぼ、防犯ブザーならしちゃうよ?」
「ひゃっはあああああああああーー!!!!」
れ、レイたん!? 一体どこでそんな言葉を覚えてきたんだアアアアアアーー!? つーか島で防犯ブザーなんて何処に売ってたんだよおおおおおおぉぉぉーー!!!! 堪んねえwwwwww!!!
(き、効いてる……!!? 何がどうしてこうなのか全然全く分からないけど、間違いなく偽遊に効いてる……こんなところで防犯ブザーなんて鳴らしても絶対に意味ないはずなのに…………)
「も、もうここまで来たら…………。
ほ、ほらぁ〜偽遊。言うこときかないとくすぐっちゃうぞ〜?
こ、こちょこちょこちょー」
「ああああああああああぁぁぁぁぁーー……このプレイの料金は幾らですか…………」
「全然着いていけないけど、本当に幸せそう…………。
ねえ、偽遊。他にもしてほしい?」
「してほしぃ〜」
「じゃあ、シンクロ召喚教えてくれる?」
「それは無いな」
(即答!?
くっ、まだ足りないんだ…………で、でもこの先は、さすがにちょっと恥ずかし過ぎる……! で、でも……このままじゃずっとボクは……!!)
「……………………」
「……………………?」
「……………………っっ〜!」
「…………あー……しかし、レイたん。こんないけないことの数々、一体誰が教えーー」
「やっ、やっぱりむりっ! 恥ずかしいよ!!
きょ、今日はおしまいっ!! また今度っっ!!」
「あ…………走り去って行っちゃったよ…………。何か涙目で。くっそ可愛い」
追いかけるのも野暮だろうし、俺はこのまま昼寝をしよう。幸いカバンは持って行ったから、レイが昼飯を食いそびれる事はないだろう。
「……………………恥ずかしくて誰かの為に行動を起こせないのは、誰かより自分のことが大切だからである。
それで良い。子どもが自分より大切なものなんて、そう気軽に持つもんじゃない」
午後の授業あと、レイたんが結局サンドイッチくれた。美味え。
100話記念にヒロイン人気投票してみる。(ネームドに限る)
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早乙女レイ
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天上院明日香
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イノ子
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トラちゃん
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ネズ太郎
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メタウマ
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レイン恵
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火武羅遊乃
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トメさん