遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
4 回 目 の デ ュ エ ル 。
戦うのは前田隼人(オリ主特性隼人ダブルツインマークツーセカンドデッキ)
VS
前田熊蔵(筆者完全オリジナル特性薩摩示現流デッキ)
これは果たして既存キャラのデュエルと言えるのか!? だってしょうがないじゃん!! 親父さんのカード一枚たりともOCG化してねえんだもん!! だから頑張りました。これで面白くなかったら虚路居偽遊が腹を切ってお詫びします!!
明朝八時……の少し前。前田親子の運命を賭けたデュエルの始まりの時を待ち、デュエル・アカデミアにクソほど不釣り合いな道場に関係者と仲間のみが集まっていた。
「………………」
「ねえ、十代。虚路居くんの表情が険しいのだけれど、何かあったの?」
俺が腰を下ろした所から少し離れた場所には、原作ではいなかった天上院明日香がいる。何でいるのかは知らんしどうでもいい。彼女に限って茶化しに来たなんてことはないだろう。
「きっと気合が入ってるのさ。さっきも話た通り、今回のデュエルは、隼人の退学が掛かってるだけじゃない。隼人が使うデッキは偽遊が組んだ勝利のためのデッキで、使い方も徹夜で叩き込んだんだ。熱くもなるぜ」
「そういうことね……彼の組んだキマイラ以外のデッキ。どんなデッキなのか気になって見に来てしまったけれど、少し不謹慎だったかしら」
「大丈夫さアスカ! なんたってあの偽遊が、隼人が勝つために組み上げたデッキだぜ。絶対に勝つさ!!」
なるほど。天上院明日香が来た理由は分かった。ところで主人公。俺はあのデッキを隼人が勝つために組んだなんて言ってないんだが……。
(2週間ぶっ続けで仕事させられた休日前夜に、ストゼロを1ダース胃に捨てて、なんとな〜く組んだだけの、文字通り伊達や酔狂で組み上げたデッキだ。それでもデュエル・アカデミアでオベリスクブルーに行くぐらいは余裕だ。これは驕りじゃない。単にカードパワーの差がエグいだけだ)
「ではこのデュエル、僭越ながら私、大徳寺が立会人を務めさせてもらうにゃー」
『闘魂』の掛け軸を背に、気の抜けた糸目が気の抜けた声で決闘のルールの再確認を始めた。
「前田熊蔵さん」
(あ、前田隼人のお父さんって熊蔵さんって言うのか……知らんかった)
「ーーもしこの
「良か。男に二言は無いでごわす」
熊蔵さんは厳かな道場に溶け込んだ表情で直立している。その姿に相手を軽んじる様子は無く、正しく決闘前の漢の姿に相違ない。ただしデュエルディスクは視界に入れないものとする。
「隼人くん。もしこのデュエルに敗けたら、潔く退学してご実家の造り酒屋を継ぐこと。
いいかにゃ?」
「オレは、構わないんだな」
隼人の方も、握り拳を作って熊蔵さんを見据えている。こちらも決闘前の男の姿として文句は無い。
「うん。宜しい。
では、悔いの無いよう思う存分闘うにゃ」
決闘の火蓋が今、切られた。泣いても笑っても一本限りの真剣勝負。原作とデッキも展開も違う今、もう勝敗もこの後の進退も分からない。
原作通り隼人がこの学園に残るのか?
或いは気概無しと判断されて連れ戻されるのか?
運命はこの一戦が決定する。
「
「いざ、
「オレのターン!」
先攻は隼人。ドローカードはこちらからは見えないが、デス・コアラを引いたりしてるんだろうか?
もし、もしも仮にアイツがデス・コアラを攻撃表示で召喚したら……
「絶対アカンを選んだら、僕がアイツを
あと、腹を斬ってお詫びします。
「オレは、モンスターを裏側守備表示でセット!」
ああ、良かった。腹を斬ってお詫びする虚路居偽遊はいなかったんや。
「よし……良いぞ。デス・コアラ攻撃表示で召喚とかしなくて偉いぞ……あは、あはははは」
「虚路居くん……目が死んでるわよ」
「そして、永続魔法『地中界の厄災』を発動して、魔法カード『太陽の書』を発動! フィールドの裏側モンスターを、攻撃表示にすっぞ!!」
デス・コアラ ATK1100
「ぬっ! これは……」
デス・コアラの効果をきっちり把握している熊蔵さんが驚いた声を上げる。
「太陽の書の効果でリバースしたデス・コアラの効果発動! 相手の手札一枚につき、400ポイントのダメージを与えるんだな!」
熊襲 LP2000
「なんと……1ターン目でおいのライフを半分にするとは」
「それだけじゃないぞ! 地中界の厄災の効果は、このカードが存在する限り、リバースしたモンスターの攻撃力と守備力を1500ポイント上昇させるんだ!」
デス・コアラ ATK2600
「うえええ!? な、何なんすかあのカード!? デス・コアラの攻撃力が2600ポイント!??」
「なんて強力なカードなの……!? アレが……虚路居くんの作ったデッキ……」
(このデッキ……本当に凄いんだな……! 父ちゃんのライフを、いきなり半分にしたんだな)
「オレは、カードを一枚伏せて、ターンエンドなんだな」
これでターンエンドか。アレ、本来ならリバースガン伏せで戦うコンセプトに、
「虚路居くん、貴方どうしてこんな凄いデッキを幾つも……」
「ーーあれは完全に手札事故起こしたな。隼人」
「なんですって!?」
「ん? うおおおっ!??」
な、何だ!? いつの間に天上院の顔面が真横に!?? ちょっといい匂いしたから何かなと思って顔を向けた先にいたが!? 危うくちゅーするとこだったぞ!??
「あ、その、ごめんなさい。驚かせてしまって……」
「あ、いや……お構いなく」
ごめんなさいじゃねえよメス牛がよお!! テメエは何とも思ってねえかもしれねえけど、思春期を通り過ぎて賢者に至った社畜童貞は若い女を見ると【通報】と【痴漢冤罪】が頭をよぎって、適切な距離を常時空けておかねえと生きた心地がしねえ身体になってんだぞ!!
取り敢えず五メートルほど距離を取って殆ど部屋の隅のホコリみたいな位置で腰を落ち着ける。ああ、落ち着く。
「…………私、何か悪いことしてしまったかしら」
厳密には悪いことはしてない。ただ気弱なオッサンを痴漢冤罪でっち上げて人生壊して遊ぼうとする糞ゴミカス女がいるのが悪い。別に天上院明日香がそんなことするとは思ってないが、それはそれとして俺は距離を取らせてもらう。誰だって触っただけで死ぬ猛毒があったら、好き好んで近付きたくはないのです。
「おいのターン、ドロー!」
(……おいのライフが1ターンで半分に削られるとは。
ううむ。昨夜の話を聞いた時は、まさか出席不要のオシリスレッドで留年していた隼人がここまでになるとは想像もつかんかったわい)
「………………?」
何だ? 熊蔵さん、ドローフェイズから全然動かない……ってか、視線が俺に向いてる?
(
「これは本当に、おいが
「父ちゃん……?」
「手札から、魔法カード発動。『古のルール』」
古のルールか。登場当時はキャッキャしながら青眼の白龍を喚んでたなー。
「古のルール……? あんなカード、父ちゃん使ってたかなぁ……?」
「このカードは、手札からレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚する! おいが喚び出すのはレベル8の『千年原人』じゃ!!」
千年原人 ATK2750
「千年原人だと!?」
ガタッ!!
「わあっ!? ど、どうしたんすか偽遊くん」
「……あ、いや。何でもない」
予想外のレアカードの登場に思わず立ち上がってしまった。本物かどうかは知らんけど、多分この世界にReplicaなんて無粋な文字は入ってないんじゃないかな。多分。だとしたらマニア価格ならホルアクティが3体襲ってきても殴り倒せるレベルのカードだ。興奮もしちゃうよ。デュエリストだもの。
「ふふふ……隼人、おいのライフをいきなり半分に削り、デス・コアラの攻撃力を2600にした戦術は実に見事だが、この
「そ、そのカードは!!」
「知っておったようじゃな。野性解放は、文字通り獣族の野生を解放し、守備力を攻撃力に加算する魔法カード。よって千年原人の攻撃力は」
「ぐっ……!!」
千年原人 ATK5250
「攻撃力5250!? そんなの、神のカードよりも攻撃力が上じゃないか!!」
「凄えな、隼人の親父さん! 偽遊が驚くほどのレアカードも持ってて、神のカードよりも攻撃力を上げてくるとなはなぁ!」
「で、でも野性解放で攻撃力を上げたモンスターは、エンドフェイズに破壊されるんだな」
「ふっふっふっ……更に、手札から『人投げトロール』を通常召喚!!」
人投げトロール ATK1000
『人投げトロール』……?? なんだあのカード? 造形的にはアテムか十代が主役貼ってた時期に刷られたカードに見えるけど……全然覚えてねえカードだ。
「さあバトルじゃ!! 千年原人でデス・コアラに攻撃!! ライフオブパワー!!!!」
千年原人 ATK5250 VS デス・コアラ ATK2600
「うわあああああーー!!」
前田隼人 LP 1350
「さらに人投げトロールのダイレクトアタック!!」
人投げトロール ATK1000
「ぐうっ!?」
前田隼人 LP350
「た……耐えきったんだな」
「まだまだァ!! メインフェイズ2で、おいは人投げトロールのモンスター効果発動!!」
「な、何をするつもりなんだぁ!?」
「ふふん。人投げトロールは、自分の場の通常モンスター一体をリリースすることで、相手に800ポイントのダメージを与える!!」
「な、何だってぇ!??」
あ、オワタ。
「野性解放の効果で、どのみちこのターンを終えれば尽きる命じゃ。惜しくはない!! 行くぞおいの千年原人!! サンザウンド・スロー!!」
人投げトロールに持ち上げられた千年原人が、巨大な肉の塊となって隼人に襲いかかる。なんということだ。原作では影も形もなかった薩摩示現流の『
「まあ、手札事故はしゃーないな。どんなデュエリストだって運命力の雑音にだけは勝てない……」
「これで終いじゃあ!!」
原作と比較すれば全然マシなプレイングだったよ。うん。隼人、お前のことは忘れるまで忘れないぞ。
「ーーまだだあああああーー!!!! リバースカードオープン! 『無限泡影』!! 人投げトロールの効果を無効にすっぞ!!」
隼人の宣言により、肉薄していた死の弾丸はカタチを喪い消失した。
「なんだと!?」
尋常じゃないほどの驚きに、俺は目を見開いた。
それは、前世では余りにも見慣れた……否、見飽きた光景だ。モンスター効果が無効化されるなんて、当たり前。
だが、このGX世界では話がまるで別だ。なんたってこの世界に召喚されるモンスターは、殆どがロクな効果を持っていない。実際俺も、試験の時とか、万丈目とのデュエルの時に手札に来ていたが、目を覆いたくなるほど使うタイミングが来ないので、大会環境ではありえないことだが『弱過ぎるから抜こうかな』なんて思ったくらいだ。
そんな世界で、まさか無限泡影がプレイヤーの身を護る姿を見ることが出来るなんて…………なんて……
「なんて…………
「ぬう……まさかこの必殺のトロールが外れるとはな」
「父ちゃん…………オレ、この学園にいたいんだ。負けたくないんだ!!」
「………………」
「だから、だから!! オレは絶対……っっ、絶対負けないぞおおおおおーーーー!!」
「ふん!! 良か!! ならば、このおいを……超えてみろ隼人おおおおおーーーー!!」
親子の激突は、始まったばかりだ。
偽遊が腹を切るための包丁を研ぎながら、感想お待ちしております。