遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
そして、3分割もしたらダルいと思ったので、纏めました。
追記。たくさんの誤字修正本当に本当にありがとうございます。
「おいは永続魔法『凡骨の意地』を発動。カードを二枚伏せて、ターンエンド!! さあ来い隼人ォ!!!!」
「オレのターン、ドロォー!!!!」
前世では、大会中に喧しいやつがいると、実に不快だったもんだ。だが、この親子の大声は熱いな。魂をぶつけ合っているようだ。でもこんなのもう、遊びみてえなもんじゃねえか。
「良かったな。隼人。息子にそんな正面から向き合ってくれる父ちゃんがいて、さ。滅多にいねえんだぞ。そんな
……………………羨ましいぞー(ボソッ)」
(今、父ちゃんの場には人投げトロールが一体。そしてリバースカードが一枚。攻めるチャンスだど!)
「魔法カード、『融合派兵』発動! 融合デッキのマスターオブOZを見せて、デッキから『ビッグ・コアラ』を特殊召喚!!」
ビッグ・コアラ ATK2700
「やったぁ! 今度は隼人くんが強力なモンスターを召喚した!」
「良いぞ隼人!! 一気にいけー!」
「行くぞ父ちゃん! ビッグ・コアラで、人投げトロールを攻撃! ユーカリーボム!!」
ビッグ・コアラ ATK2700 VS人投げトロール ATK1000
「ぬううううーー……!!」
熊蔵 LP300
「ライフが殆ど並んだわ!」
ライフが並んだと言えば聞こえは良いが、それは仕留め損なったと言うことだ。さてここからどうする?
「メインフェイズ2でオレは魔法カード『治療の神ディアン・ケト』を発動。ライフを1000回復する」
お、アレは隼人専用のアイドルカードか。微塵も予想してなかった展開だが、これで熊蔵さんのリバースがリビングデッドの呼び声で次のドローでバニラを引いてバーンでトドメって可能性は遠のいたな。
隼人 LP1350
「これで、隼人くんの方がライフは上っす!」
「カードを一枚伏せて、ターンエンドなんだな」
これでライフは僅かに隼人が有利、そして手札は互いに0枚か。
「ふむ……」
(なんという強力なデッキばい。おいは手札から千年原人を特殊召喚したが、隼人はデッキからビッグ・コアラを特殊召喚して見せた。デッキのカードのパワーが違う。これが……『虚路居』の者のデッキでごわすか)
(…………ん? 何だ、熊蔵さん。俺を見ている……?)
「おいのターン。ドロー!!」
「頑張れー隼人くん! ここを耐えれば隼人くんの勝ちだよ!!」
「そうだぞ隼人! 気張れ!!」
「頑張って! 隼人くん」
「もしかしたら何も出来ずにターンエンドして、隼人くんの勝ちってことも!!」
「ああ! オレ、気張るんだな!!」
「気張るのは良いが、まず間違いなくこのターンは正念場だぞー隼人」
「偽遊くん、どういう意味っすか?」
「いい質問だ翔。アレを見ろ」
俺が指で示した先を、翔だけでなく熊蔵さん以外の全員が見つめた。永続魔法ーー『凡骨の意地』を。
「あの魔法カードが、なんなんだぁ? 偽遊」
「凡骨の意地。
後はテメエで考えろ」
「えっと……えっと……??」
まあ、一夜漬けしかしてない隼人に答えが出せるとは思ってない。
「知りたければ見せてやろう! おいのターン、ドロー!
おいがドローしたのは、通常モンスター『タイガー・アックス』。よって一枚ドローする」
うん。やっぱ普通に引いてくるよね。世界の命運が握られていないデュエルの運命力は、常にドラマチックな方にえこひいきしてくる
「でもさぁ、一枚カードを引くだけの永続魔法って、あんまり意味はないんじゃないっすか?」
十代のデュエルの何を観てきたんじゃオドレは。
「ドロー! おいがドローしたのは、『ルイーズ』のカードじゃ!」
「あれ? 隼人くんのお父さん、何でわざわざドローしたカードを見せてるの?」
「キレそう(#^ω^)」
「え?? 今ボクの何に怒ったんすか!??」
(今回の件が済んだらジュラルミンケースの中身と、翔のケツが火を吹くぜ……)
俺が内なる怒りと封印した右手(暴力)と戦っていると、天上院明日香がさり気なく説明フェイズをしてくれる。
「『凡骨の意地』のカードの効果は、あくまでも
だから、『凡骨の意地』の効果でドローしたカードが通常モンスターなら、それを相手に見せることで、更にドローすることが出来るのよ」
「ええ!? それじゃあ通常モンスターを引き続けたら、ずっとドロー出来るってことなの!?」
俺がまだ本当に若かった頃に出てきたロマンコンボカードだ。因みにパック同期には『ビッグ・コアラ』もいる。『デス・カンガルー』もいる。『野性解放』もいる。そして遊戯王を一度破滅寸前まで追いやったとも言われる伝説のカード、『終焉』と『開闢』の使者もいる。ついでに悲しみと絶望を永遠に背負い続ける『強欲な壺の精霊』もいる。
「ドロー! おいが引いたのは『サイクロプス』のカード! よって更にドロー!!」
「ぐっ……!! ドローが……終わらないんだな……っ!!」
「フッフッフッフッ……! 隼人よ、この程度で怯んでいては、そのデッキが泣くぞ」
「ぐうぬうっ……!!」
「ドロー! ほう、このカードか」
どうやら通常モンスターでは無いらしい。このままなら手札は『タイガー・アックス』『ルイーズ』『サイクロプス』と言う、台パンものの手札のままだ。
ところで、凡骨の意地の同期の話だが、もう一枚紹介したい。速攻魔法『リロード』って言うんですけどね?
「カードを見せないってことは、ドローは止まったんだな……」
「甘いぞ隼人! 確かに通常モンスターは引かなかったが、おいが引いたカードは、これじゃ!! 速攻魔法『リロード』を発動!!」
「リロードか。たしか、あれって手札を全部戻して、戻した手札の枚数分のドローをするカードだよな?」
「その通り。因みにこのリロードの最大の利点は、速攻魔法である点だ」
「速攻魔法であることが、どう利点になるんすか?」
「見てれば分かる」
アゴでクイッと熊蔵さんの方を示す。きっと見られる。当時キッズだった俺が憧れた凡骨ターボが。
「手札を3枚戻して、ドロー!!」
「一体、どうしようって言うんだぁ……?」
「…………ふっ。おいは再び手札に戻ってきた『タイガー・アックス』を見せて、『凡骨の意地』の効果を発動! カードをドローする!!」
「な、なんだってぇ!?」
ドローフェイズ中にリロードすることで、再び凡骨の意地を発動してドローする。これぞ『凡骨ターボ』。
言ってしまえばたったそれだけだが、俺はそのコンボに何故か妙に憧れを抱いたもんだ。
「ドロー!!
ドロー!!
「ま、また手札が増えるんだな……!」
「ドロー!! ようやく来たか。
行くぞ隼人!! 手札5枚を捨てて、魔法カード『最終戦争』を発動!!」
「最終戦争だと……!??」
なんつーか……この人には本当に心底驚かされてばかりだな。
「このカードの効果は『フィールドの全てのカードを破壊する』だ!!」
「「「「なんだって!???」」」」
熊蔵さんの宣言に、同級生達(+留年1名)は同時に驚愕の声を上げる。
そりゃあそうだよな。この世界のカードプールに、フィールド全てを葬り去るカードなんざ殆ど無い。現実ですら、ブラック・ローズ・ドラゴンが未だにその代名詞なくらいだ。
まして、最終戦争。もしも大会でそんなものを有効なタイミングで使う者がいれば、俺は心底嫌悪するようなカスであっても、一切の惜しみない拍手を贈るだろう。
「喰らえ!! 最終戦争おおおおーー!!!!」
目が眩むような極太の閃光が天から降り注ぎ、照らされた地上全ては熱に葬られる。恐らくは、破滅の光もこんな感じなのだろう。
「ぐううううーー!!!!」
耳が痛いほどの爆音が響く。砂埃とか色々諸々。うん。ソリッドビジョンくん本気出し過ぎだっての。
「隼人くん!!」
「隼人!! 大丈夫か!?」
暫くしてようやく砂埃が晴れていく。そこに立っていたのは……。
マスター・オブ・OZ ATK4200
「アレは……マスター・オブ・OZか!?」
「ど、どうして!? フィールドの全てのカードは破壊されるんじゃないんすか!?」
「それは、父ちゃんが破壊したオレのリバースカード、『やぶ蛇』を発動したからなんだな!」
「おー。伏せてたの『やぶ蛇』だったのか」
「偽遊くん。『やぶ蛇』って何? …………って、明日香さんが聞いてるっす」
「明日香、すぐそこに本人がいるのに何でわざわざ翔に聞かせてるんだよ?」
「………………ほっといてよ」
十代の無垢で無邪気な
「『やぶ蛇』はリバース状態で相手に破壊されたり除外された時に全力の煽り顔をしながらデッキかEXデッキ……もとい融合デッキからモンスターを特殊召喚出来るカードだ。
主に『異星の最終戦士』とか『ナチュル・エクストリオ』とかを特殊召喚する」
シンクロとか有りなら、バロネスとかを出すだろうが、そこは割愛。俺は空気を読める社畜。
「『……煽り顔は必須なのかしら……?』だそうっす」
「対戦相手を煽らないのに『やぶ蛇』を採用する意味が分かりましぇん」 (´д`)?
「な、なんかよく分かんないけどさ。これでもう隼人の親父さんの場にはカードが無いし、隼人の勝ちだぜ!」
せやろか?
「ふっふっふっふっふっ……! まさかおいの最終戦争を利用して、マスター・オブ・OZを喚んで来るとはな。それほど強力なデッキを使えるようになるとは。父ちゃんちょっと、感心しちゃったぞ」
「父ちゃん……」
「だが、このおいを越えるには100万年早いわい!」
「!?」
「これでトドメだ!! 『風魔手裏剣』を発動ォ!!!!」
おお……『お銚子一本』の代わりのカード、そうなるのか。
「発動……って、手札もフィールドにもカードなんてないっすよ!?」
「ああ。それでいいんだ。
『風魔手裏剣』は、フィールドから墓地へ送られた時に強制発動して、相手に700ポイントのダメージを与える!」
「そうか……最終戦争を使ったのはそのためか父ちゃん! けど、700ポイントならオレのライフは残るぞ。そして、次のオレのターンのダイレクトアタックで、オレの勝ちだ!!」
「考えが甘いわ。忘れたか隼人。おいのリバースカードが、
「二枚……っ、まさか!?」
「そうだ!! おいのリバースカードは、二枚とも『風魔手裏剣』じゃ!!」
「な、なんだってえええーー!?」
風魔手裏剣一枚につき、700ポイント。二枚だと1400ポイント。そして、
「正直信じられない…………現代風パワカ位は湧いて出るもんだと思ってたのに。まさかGX時代のOCGだけで、この圧倒的な不利を微塵も感じさせずに勝つなんてな」
この敗北は、隼人だけの物じゃない。
俺が構築して、俺がレクチャーしたあのデッキ。負ける未来なんて、全く想定しなかった。
「おいの勝ちばい! チェストおおおおおーーーー!!!!」
ああ。そして、
「うわあああああーー!!」
前田隼人 LP 0
二枚の風魔手裏剣が隼人に突き刺さり、デュエルの勝敗が決した。
面白かったら感想お願いします。
虚路居偽遊が腹を切ってお待ちしております。