遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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バカは死なねば治らぬと申しますが、まさか記憶も治らないとはね。


はんぶんこ。

 

 気が付くと、俺は見たことのない空間に居た。

 

 「…………え? ここどこ?」

 

 いや、厳密には見たことがないってのは違うかもしれない。アニメとかで見たことあるかも。こう……閻魔の裁きみたいなシーンで?

 

 幽遊白書かドラゴンボールか他の何かかはもう、各々の想像力に任せるとして。

 

 そんな空間にいきなり召喚された俺の目の前には、閻魔様らしき格好をしたのが一人。何かキメた感じの表情で立っている。

 例えるなら『出会って一秒で残念と分かる美少女』だ。

 胸がないとか、長い髪が無造作に跳ねてるとかを見ないふりしても……なんか存在感が残念を体現している気がする。

 

 閻魔の少女は閻魔帳と思わしき物を拡げると、厳かっぽい感じで読み上げを始めた。

 もしかしてこれ、異世界転生か?(主観的初体験)

 

 

 「……オッホン。

 

 始めましてうつどう……アレ? 虚ろ……あんど……あ??

 

 

 ちょっとー監督役の人ー! この人の名前何て読むんですかー!? 名前の欄に三人分くらい名前書いてあって読めたもんじゃないんですけどー!」

 

 

 ひっでえ閻魔帳もあったもんだなあオイ。小学生のラクガキノートだってもう少し整頓した使われ方してるだろうに。

 

 「え? これで合ってる? あってるわけねーでしょうが!

 人の子が何で真名を2つも3つも一度に持ってるんですか!! これぜってー前世の記録そのまま消さずに横着したやつですよね!?

 仮に持ってるにしても読めるようにしといてくださいよ!! 

 こんなの地獄の裁定者として酷いです酷すぎます! こんなんじゃ私、まともに仕事出来ませんよもうパチンコ行って良いですか!?」

 

 冥府にもパチンコあるんすね。

 

 「行ったらクビ? いやぁ、クビはちょっと困っちゃうですぅ〜。

 はーい、仕事しまーす…………。ったく、何で私がこんなひっでえ資料で仕事させられるんですか……もう」

 

 涙目になってますよ閻魔さまー。

 

 

 「はあ。もういいです。

 

 

 改めまして、名前がよくわからない人の子よ。

 

 私は閻魔見習いの者です。名前がないので自己紹介も出来ませんが、取り敢えず呼び方に困るなら閻魔ちゃんとでも呼んでください。

 これより貴方の逝く先を決める審判を始めますので、手始めに名前を教えてください。こちらの不手際で資料がゴミと化していますんで」

 

 「名前……って、どっちの?」

 

 「どっちって…………ああ、なるほど。貴方は養子なんですね」

 

 「え? 俺、養子だったの?」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 あの、あんまり本人も知らない設定ポンと出すの止めてもらっていいですか? 普通について行けない。

 

 「………………………………」

 

 俺が困惑していると、閻魔ちゃんは長い沈黙に入った。

 何? 耳にイヤホンして競馬でも聞いてる?

 

 暫くすると、何かデカい鏡を俺に向けて口を開いた。

 

 「すみません。質問を変えます。

 

 ”貴方が『自分の名前』と認識している名称を全て教えてください”」

 

 閻魔ちゃんがそう言うと、俺の口が勝手に開いた。その鏡アレか。浄玻璃の鏡か!? うわぁ……もう地獄に逝くしかねえー。

 

 

 

 「安堂優介(あんどうゆうすけ)

 

 

 

 そう発生すると、すぐに口の主導権が返ってきた。

 

 「安堂優介。読みづらいけど、資料には間違いなく貴方の真名として記載されていますね。

 

 貴方の()()()()()として」

 

 「前世の前世……?」

 

 前世の前世ってお前、虚路居偽遊と安堂優介の間が飛んでるんですけど。ボク知らない。

 

 「…………どういうことですか? 貴方は嘘をついてない。

 人間の記憶喪失程度なら、浄玻璃の鏡が映し出さないはずがないのに……」

 

 「もしかして、前世で俺、ダムの水に潰されてる?」

 

 「えっと……そうですね。そう書いてあります。

 隠す気も誤魔化す気も無いのに、一体どうしてこんな状況に……?」

 

 

 うーむ。俺が知りた…………あ。

 

 

 

 『こんにちは。お久しぶり。

 

 二度目の自己紹介ね。アタシは平等院栄狩って言うの。改めてよろしくね、偽遊チャン』

 

 

 

 「閻魔ちゃん。

 平等院栄狩(びょうどういんはかり)って奴の情報ある? 

 俺は知らないけど向こうは俺のこと知ってるっぽいこと言ってた」

 

 

 「平等院家に知り合いですか?

 闇の側が光の側と友達とか、言語化するだけできな臭い話ですねえ………………【平等院】……【平等院】……あった。

 

 ーーうぎゃあっ!? ぺ、ページ数が……10京を越えてるぅ!? 加減しろよぉ! バガぁ〜!」

 

 

 涙目になりながらペラペラと閻魔帳を捲っていく閻魔ちゃん。それ、データをクラウドに入れたら良いのにな。

 ところで……。 

 

 「何? その闇と光って」

 

 「何ってぇ、貴方の【虚路居】とその栄狩とかって人の【平等院】と言えば、【時空】も【次元】も超越して世界に入り浸れる超特異点12家の光勢と闇勢じゃないですかぁ…………こんなクソ野郎共がいるがら……私の仕事がぁ……っ。グスッ……ひぐっ、グスッ……」

 

 うわぁ……めっちゃ泣きながらページ捲ってる……。

 

 「何か手伝おうか? 閻魔ちゃん。

 元社畜として、共感性で過労死しそうになってくる……」

 

 「ーー良いんですか優介ざん!? 名前だけじゃなくちゃんと優しい人の子は数百年振りに見まじたぁ!!」

 

 人の世、荒みまくってるからなぁ……。

 

 「んでどうする? 閻魔帳はんぶんこして探す?」

 

 「はいっ!!(満面の笑みで閻魔帳ビリビリビリ〜!!)」

 

 …………あ、ほんとに半分に分けちゃった。良いんだ。

 

 「言い訳あるがああああああー!!!!」

 

 「ひいいいいーー!!?? え、閻魔様ァ!?」

 

 あ、ガチの閻魔様いるんだ。ちぃーす。

 

 「閻魔帳を人の子に晒すどころか、それを引き裂くとは……何事だあああああああああああーー!!!!!

 

 お仕置きだべええええーー!!!!」

 

 

 「嫌ああああーー!!!! ごめんなざいいいいー!!!!」

 

 

 

 

 

 「………………この世界の閻魔様、ドクロベー好きなのかな?」

 

 

 閻魔ちゃんはお仕置きにどっか連れて行かれてしまったので、俺は平等院の項目の一番ケツから調べていった。

 どうせ生誕順だろこれ? だったらケツから調べるのが正しい筈………………………………………………………………………………………………………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……………………なるほどな。『こんなこともあったわね』ってやつだ」

 

 

 

 

 俺が記憶の抜け落ちを修正すると同じタイミングで意識が薄れて、また何処か。遠くへ行くような感覚がした。




因みに、偽遊が転生してくる時に来た中継地点(てんせいのもん)はここではありません。

偽遊の謎、興味は湧きますか?

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