遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
土曜日。それは希望の時間。土曜日。それは生きていくための心の支え。マリカやスマブラで言えばスター状態、スプラで言えばテイオウイカに等しい命の時間だ。なにせ翌日もお休みという、人類最大最高のバフが掛かるのだから。日曜のサザエさんタイムに『ようやく明日会社に行ける』とか言ってワクワクしている人間は悪いけど人だとは思ってないまである。
そんな命の土曜日に俺らはレッド寮の食堂にホワイトボードを持ち込んで……。
「えーデュエルモンスターズの戦略と言うのは、カードの数だけあるとか言っちゃってる理論を焼き捨てた脳死馬鹿がたまにいますが、それは大間違いです。
デュエリストは、究極的にたった4つの行動を極めることで勝者への道を歩むことが出来ます」
デュエル理論の座学を行っていた。この講義を受けている生徒は僅か三名。
「ええ!? デュエルってそんなに簡単に勝てるんすか!?」
カイザー亮の出涸らし、丸藤翔。
「でも、この前教えてもらった時にはそんなこと言ってなかったんだなぁ」
素晴らしきお父様の出涸らし、前田隼人。
原作通りに行けばデザイナーになるこいつに、もうデュエルの勉強は必要無い筈だが、勉強したいってんなら別に拒否る理由はない。
「そりゃあ、この前は一夜漬けで、そんなことまで教えていられなかったからな。
言っとくけどあの敗北は俺が手ぇ抜いたせいじゃねえからな。熊蔵さんが常軌を逸した強さだったからだ。隼人は親父さんの偉大さをもっと骨身に染みて理解して。今のお前は大海(大会)を知らぬがゆえにまだお父さんを過小評価してるから。あのカードパワー差で勝ちをもぎ取るとか、俺でも不可能だからね。普通にリアルファイトに切り替えるレベル。あ、リアルファイトでも熊蔵さんには勝てねえから詰んでるわ」
あの体躯と筋肉にリアルファイト……自殺志望かな?
「虚路居くんにそこまで言わせるなんて……隼人くんのお父さんって何者なのかしら」
そして最後に、アカデミアの(どこがとは言わんが)ミスバクダン花。天上院明日香。
呼んで無いはずなのに来ていた。何故なのか。隼人を追い出す理由がない以上、彼女を追い出す理由もない。目線も合わせられないから、せめてホワイトボードは3人が見やすいように配置しなおした。努力する若者を否定するほど根性捻くれてないのは自分でもホッとしてる。
ところで3人目が十代だと思ったそこの貴方には、遊戯王GXを3周くらい見直して欲しい。アイツが自主的に勉強するくらいなら、闇落ちなんかしてなかったろうさ。今頃どっかで寝てるかデュエルしてるか飯食ってるんじゃねーかな。
「閑話休題。
プレイヤーが究極的に行う4つの行為について説明するぞ。それは。
モンスターを攻撃表示で出す。
モンスターを守備表示で出す。
魔法罠カードを表側で出す。
魔法罠カードを裏側で出す。
以上だ」
「………………??」
「………………??」
「………………」
あ、翔と隼人が宇宙猫状態になってる。視線は絶対に向けないが、視界に入っている天上院明日香も、苦しそうな表情で考えている。
「難しく考える必要はない。これはデュエルモンスターズをプレイする上でプレイヤーが絶対に必要とされる動作の4つだ。
どんなデッキのどんな戦術であっても、究極的に行き着くのはこの4つの内の動作のどれかだ。墓地を肥やそうが、手札を増やそうが、除外を貯めようが、EXデッキをデブ活させようがだ。
現在のカードプールでは二種類の例外を除いて、この動作を行わずに勝利を掴むことは出来ない」
なお、魂のリレーみたいな相手を勝たせる行為による勝利は考えないものとする。当たり前だよなぁ?
「でも、それなら僕達もいつもやってるっすよ?」
「そうなんだなぁ」
「うん。一緒にすんなバカタレウンコ」
「「バカタレウンコ!?」」
「お前らが言ってんのは、海で浮き輪付けてピチャピチャ遊んでる様子と、プロがタイムを競ってクロールしている様子を『泳いでいる』と一緒くた纏めているようなもんだ。
あるいはカップ麺にお湯を注いだ動作と、ウーバーイーツで買ったカット野菜を調味料入れてレンチンする動作を同じ『料理』と呼ぶくらいの暴挙だ。かーちゃんにフライパンで殴られても文句言えねえ愚行だぞ」
正直、カット野菜をレンチンしたのを料理と呼ぶのはモヤるので、俺は食べられるように加工したと言う意味で『調理』と呼んでるけども。それを作ってくれてる母ちゃんに言うのは違うのだろ? テメエで自炊しろって言われるバッドエンド辿るくらいなら、お手々モミモミしながら『いつも美味しい料理ありがとうございます〜』ってへりくだるだろ? 俺はやったことないから知らんけど。
「なんだか、あんまり納得したくない表現っすけど……」
「偽遊に言われると、反論し辛いんだな……」
「なんだか腑に落ちてないみたいだな。落ちるまでジープで走り込みするか?」
「「いつも素敵な授業ありがとうございます〜(お手々モミモミ)」」
「うむ。デュエリストは迅速な判断力を常に養っておくことも必要だぞ。
では、迅速ついでに究極の4つの動作から外れる例外の手法の2つの内の一つを翔くん、答えてみなさい」
これはわざわざ考えるまでもない、デュエリストなら全員脊髄レベルで一度は夢想したことがある筈の勝利方法だ。これで正解を答えて、成功体験を持たせて、次に移行するとしよう。
「え!? えっと……いきなり言われても分からないっす……」
……………………………????
(おかしいな。回答の意味が理解できない)
「………………じゃあ隼人、正解を翔くんに教えて上げなさい」
俺は丸藤翔という人間のデュエリストキャパシティを甘く見ていたのだろうか。ジープでは生温かったかな? まあ、隼人はカードの知識はそれなりだったし、問題なく回答するだろう。そしたら翔を軽くシバいて次に行こうそうしよう。
「……………………オレも、わからないんだな」
「ーーウソダドンドコドォーン!!!!」
あまりのショックに仰け反り、そのまま頭頂部で地面に激突しブリッジの姿勢になってしまう俺。
ありえない……こいつら本当に分からないのか!???
「だ、大丈夫っすか偽遊くん!?」
「大丈夫じゃねえのはお前らの頭だあああああーー!!!! オロローン!!」
コイツラの脳みそには一度たりとも『初手エクゾディア』が浮かんだことねえのかよ!?
遊戯王分からないで読んでる人に説明すると、初手エクゾディアは麻雀で言うところの天和だ。
「ぎ、偽遊……落ち着くんだな」
「何でだ……何でなんだよぉ……ぐすん、ぐすん」
辛い。俺辛い。何が一番つらいって、決して視線を向けないようにしているが視界にはいる天上院明日香が、何故かキラキラした目をして『あたしには当てないの?』みたいな顔してるのが本当に辛い! いやだから俺、女子に話しかけるとか無理だから!!
「………………」
あああああ……キラキラしてるよー推しの子みてえになってる……。
いや、俺に否があるのは分かるよ? 三人いた中で二人指名して、答えられなくて、最後の一人だけスルーするのはイジメてるみたいになるもんね? 分かるんだけども。無理。
「あー…………まあ、別にこの戦略は普通にデッキ組んでたら絶対に遭遇しない手法になるから取り敢えず知らないなら知らないで良いよ。うん。関係ないし、別に」
ああ、逃げるって素晴らしい。
なんか天上院明日香がしゅんとなってるけど、ゴメン。許して。俺、殴っても許される相手じゃないとマトモにコミュニケーション取れない。オリ主が天上院明日香を殴る? 冗談じゃねえ。そんなもの健全レートで超えちゃならねえラインだろ。
それはそうと…………。
「ちょっとお腹が痛くなってきたので、しばらく休憩にします」
ああ、ポンポンペインです。
明日香推しじゃないけどとりあえず女がいないと寂しいアカデミアの現状に苦戦しております。
偽遊くんのデュエル講義に興味が
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ある
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ない
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もっと詳しく書いて
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さっさと話進めて