遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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次はお待ちかねのデュエル回。やったねタエちゃん。食い散らかせるよ!





迷宮入り(かいほう)、家族の絆。

 

 

「どうやらついに来やがったようだな……」

 

 口の端で笑いながら、集団の中で万丈目が口を開いた。 

 今この場所にいるのは、万丈目。十代。三沢。翔。亮。

 対セブンスターズの為に招集され、七星門の鍵の守護者として選ばれた決闘者たち。

 

 そして、目の前にはセブンスターズの一人。ヴァンパイアの貴婦人、カミューラの城が君臨していた。

 

 敵は目の前。手を伸ばせば届く距離。

 だが、今の彼らには彼女と戦う資格は無い。守護すべき鍵を敗北によって奪われた彼らには。

 

 「残った鍵の守護者は、偽遊と遊乃の二人だけだ……オレ達には、応援することしか出来ない」

 

 三沢が悔しそうに歯噛みする。

 偽遊から受け取ったカードでデッキを組み上げ、確実に進化を実感していたにも関わらず、負けてしまった己が不甲斐ない。

 

 「悔しいぜ……」

 

 十代が拳を握る。

 デュエルは楽しいものという信条を掲げている少年は、それでも目の前の敵を前に見ていることしか出来ないことに。そして、敗北した自分自身に怒りを覚えていた。

 

 「大丈夫っすよ。偽遊くんはもちろん、遊乃さんだってとんでもない決闘者なんすから。負けるわけないっす。

 

 結局あの日、僕たちは……一回も勝てなかったんすから」

 

 翔が唇を噛んだ。

 自らの言葉を自ら噛み殺したい気持ちで。

 今の丸藤翔に、負けたままで仕方がないだの、負け犬で甘んじようなどという考えはない。

 

 悔しすぎて、唇から血が出ている。

 

 「…………鮫島師範」

 

 亮が自らの心を噛み殺す。

 自分が戦いたい。戦って人形にされた師匠を助けたい。

 

 ”何故あの時、明日香に負けてしまったのか……!!”

 

 

 

 

 

 「…………さあて、こんなところで突っ立ってても意味がねえ。

 とっとと行こうぜ。学園で眠っている(キマイラ)を起こしに」

 

 この中で唯一肩の力を抜いて立っていた万丈目がそう言って踵を返す。

 他のメンバーは後ろ髪惹かれる思いだと言うのに、赤いオシリスレッドの制服を纏う万丈目の足取りにはそれがまるでない。

 

 「随分あっさり引き下がるじゃないか、万丈目……」

 

 そんな万丈目の後を歩きつつも待ったを掛けたのは、三沢だった。

 

 「どういう意味だ、三沢」

 

 三沢の声に、特に足を止めるでもなく自然体で返事をする。

 

 「悔しいとは思わないのか? オレ達は、敵に挑むことすら出来ずにいるんだぞ」

 

 そんな万丈目の態度に、三沢が僅かに怒りの籠った声で返す三沢。これは、明確に八つ当たりだ。

 これが原作の万城目凖だったならば、当然喧嘩になっていたことだろう。だが……。

 

 「今更何を言っているんだ三沢。オレ達は、本当に勝ちたい相手に挑むことも出来ず。有象無象に手も足も出ず負けて、極めつけは遊乃に尻拭いをされているんだぞ。

 

 今のオレ達が、プライドだの何だの言っていられる時か」

 

 「--!??」

 

 万丈目の言葉に、三沢が衝撃を受けた。

 

 「え……何すかこの潔さ。キミ、本当にあの万丈目くん? 食えないプライドと家族の金だけを頼りにイキってた糞ボンボンっすか?」

 

 翔もよほど驚愕したのか、歯に衣着せぬ本音が漏れ出た。

 

 「翔……喧嘩撃ってるなら買うぞコラ!!」

 

 「あ、良かった。いつもの万丈目(オモチャ)だ」

 

 「テメエエエエエエエエーーー!!」

 

 

 

 

 

 「プライドだの何だの言っている時じゃない……か。これは、オレも万丈目に負けてはいられないな……!」

 

 かつて金持ち甘ったれボンボンだった万丈目の成長に、三沢は気を引き締めなおして、心に刺さったトゲを抜いて走り出す。

 

 「万丈目! 遊んでいるなら一番乗りは頂くぜ!」

 

 「あ! 待てこら三沢ーー!!」

 

 「偽遊くんの一番弟子は僕だぞ三沢ーー!!」

 

  

 

 「…………」

 「…………」

 

 走っていく三人を見て、原作で闇落ちした経験を持つ十代と亮は何を思うのか。重い足取りで後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ラーイエロー寮。フリースペースにて。

 

 先ほどのメンツに加えて、偽遊、レイ、遊乃が加わって話をしている。

 

 「カミューラの城が再び現れた……ね」

 

 好戦的な笑みを浮かべて瞳をギラ付かせる偽遊。なお、両手には手錠。右手はレイ。左手は椅子に着けられており、さらに膝の上にはレイが座っている。

 

 「その恰好で笑ってくると糞ほどシュールっすね、偽遊くん」

 

 「そう思うならこの状況を打開しろよ自称一番弟子」

 

 「僕は思うんすよ偽遊くん。暴走する獣王(ジョーカー)を無理に味方に付けようとして犠牲を出すより、手綱を握っているレイちゃん(スぺ3)に喧嘩売らない方が選択肢としては最善だって」 

 

 「おめえ、ちょっと見ぬ間に分かるようになって来たじゃねえか。カッカッカ」

 

 「恐縮っす」

 

 偽遊と翔の呑気なやりとりに、万丈目が溜息交じりに口を開く。

 

 「笑っている場合じゃないだろう、(キマイラ)

 どうするつもりなんだ、そのチビ助」

 

 「誰がチビ助よ! ボクの名前は早乙女レイ!」

 

 「フン。チビ助で充分だ。

 

 だいたい、キサマ。いつまでその男を拘束して置くつもりでいる?」

 

 「一生」

 

 万丈目の言葉に、光の無い目で断言するレイ。

 他の人間ならたじろぐ威圧感を放っているが、それも万丈目はお構いなしだ。

 

 「一生だと? その幼女趣味の男が、あと何年キサマに興味を抱くかは知らん。

 だが、いずれ成長すればその関係性も変わr--」

 

 「--変わらないよ」

 

 「これだからガキは……いつまでも大切にされているとでも思っているのか!」

 

 これは万丈目凖の経験談かもしれない。政界と財界で活躍する二人の兄を持つ、末っ子の経験談。

 いつまでも子ども扱いではいられない。いつまでも、庇護対象ではいられないという。

 

 だが、レイの発言はそれとは意味合いが違うらしい。

 

 「偽遊は小さい女の子が大好きだよね?」

 

 レイが偽遊に問いかける。

 

 「大好--愛してる」

 

 「何でわざわざ言い方を変えたんすか?」

 

 「いや、俺の幼児体型への思いは好きとかってレベルじゃないから……誇りとかそういう感じで」

 

 「変態(ロリコン)を誇るんじゃねえっすよ!!」

 

 「くっ……」

 

 「ほら、やっぱり……」

 

 偽遊の常人ならドン引きな発言に対して、レイは曇った目笑いながらで言った。

 

 

 「--つまり偽遊は……ボクがこのまま小さければ、一生ボクのこと好きでいるってことだよね」

 

 

 --!???

 

 レイ以外の全員が、思わず固まった。

 

 その後最初に口を開いたのは、理数系の男。三沢大地だ。 

 

 「……………あのな、レイちゃん?

 人間のカラダって言うのは、個人差はあれどそこから成長してくんだ。

 特に、成長期のレイちゃんは日々少しずつでも確実に育っていくわけで……」

 

 「うん。しってるよ、三沢先輩」

 

 「そ、そうか……」 

 

 理論的な勘違いがあればともかく、それを知っていると言われればもう、三沢大地は黙るしかない。何より、何故かこの小さな少女と向き合っているだけで、冷や汗が流れて来る。

 

 

 「ええい、もうそんなことはどうでもいい!

 問題なのは、あの城に居る吸血鬼と誰がデュエルするのかだ。

 

 (キマイラ)が行かないなら、遊乃が行くんだな!?」

 

 

 「私はそれでも良いよ。

 ライフ4000なら簡単に焼けるし」

 

 遊乃がしれっと言ってのける。

 確かにフルバーンで戦うのならばインチキ糞チートカードの『幻魔の扉』も発動条件を満たせず、部屋の隅の埃以下の存在と化すので正しい判断ではあるが……。

 

 

 

 「ーーいいや、俺が戦う」

 「ーー駄目」

 

 

 偽遊が万丈目の言葉を否定すると同時に、レイが偽遊の言葉を否定した。

 

 

 「レイ、俺は約束したんだ。サイバー・オーガ2と。

 

 あの『()()()()()()()()()()()()()()()()を人形から元に戻す』と」

 

 「偽遊さん。助ける対象はそんだけボロクソに貶すのに、サイバー・オーガ2との約束は律儀に守ろうとするのなんなの??」

 

 「偽遊……あまり師範のことを悪く言わないでやってくれないか……一応師匠なんだ……」

 

 遊乃と亮がツッコむ。

 

 「遊乃。精霊との約束だぞ。他人の価値=利用価値とする人間とは違うんだぞ?

 そのまま勝手に動けばカミューラだけはブッ殺せたものを、俺の言葉を信じて、純粋な心で身を引いてくれたんだ……いくら俺がウンコ製造機と言ったってそりゃ、約束守るだろ」

 

 「偽遊さんて、実は人間嫌いの節があるよね? 自分も含めての」

 

 「何を今更」

 

 「否定して欲しかったなー……」

 

 偽遊と遊乃が話している中、偽遊の膝の上のレイが恨みがましい目を偽遊に向ける。

 

 

 「まあ、大丈夫だってレイたん。カミューラとか雑魚だし余裕余裕……」

 

 

 「いい加減にしてよ!!」

 

 

 呑気な偽遊の声と対象的な切羽詰まった声が上がった。レイのものだ。

 

 みんな、予想外の絶叫に目を丸くしている。 

 

 「レイたん……?」

 

 

 「いい加減にしてよ!! 『大丈夫』『大丈夫』って!

 

 

 デュエルする度に死にかけてる癖に!」

 

 

 「レイちゃん……」

 

 レイの悲鳴で、遊乃だけが何を言いたいのかが伝わったようだった。

 

 「ヘビ柄の男とのデュエルで死にかけた!

 

 ()()()()()()()でも死にかけた!

 

 

 偽遊は強いけど、無敵なんかじゃないんだよ? 心配する身にもなってよ!!」

 

 

 「お、おうそうだな。でも大丈夫だぞレイたん」

 

 「何が、何が大丈夫なんだよぉ!!」

 

 「レイ、俺が死んでも俺の遺産がキミに渡るように遺書はしっかり書いてあるんだ」

 

 サムズアップ。俺、めっちゃナイスなことした。と言う表情をしている偽遊。

 

 

 「……………………え……」

 

 

 そして、偽遊と向き合うレイの表情は、完全に死んでいた。

 

 

 「人間社会は金さえあればいい感じに生きていける!

 それにレイたんのご両親はなんやかんやで生きてはいる。ガッツリ入院中だし自分で動くのも大変な感じではあるが、まあなんとかなるだろう。入院費も絶賛支払い中だしな!

 

 だから大丈夫だレイたん。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 「………………………………………………ぎ、ゆう……?」

 

 

 「だからレイたん、この手錠をですねーー!?」

 

 

 バギッ!!!!

 

 

 偽遊の左横っ面を殴り飛ばした拳が一つ。頭がチカチカしている偽遊が何事かと衝撃が来た方を確認すると、遊乃が拳を振り切った体勢で歯をガチガチと鳴らしながら、涙目で偽遊を睨んで息を切らしていた。

 

 

 「ハァ……ハァ……!

 

 ふざっ……けんなよ……!!!!」

 

 

 今までで見たこともないような……それこそ、偽遊のような獣じみた瞳で涙を目に溜めながら偽遊の襟元を掴む遊乃。

 

 「お、おい遊乃……」

 

 万丈目が思わず止めようと手を伸ばすが、その前に遊乃が吠えた。

 

 

 「ふざっっけんなぁあああーーーー!!!! 

 

 家族が一人死んで、大丈夫なわけねえだろ!! これまで通りに生きていけるわけねえだろうがあ!!」

 

 

 「………………」

 

 遊乃の言葉に、偽遊が言葉を無くした。

 

 その場にいる男たちも皆、もう動けない。

 

 ただ、遊乃に続く声はある。レイだ。

 

 「そうだよ……っっ!!

 一緒に暮らして、一緒にご飯食べて、一緒に眠って。偽遊はボクにとってもう家族なの!

 

 家族が死にかけて帰ってくるなんて、ボクは耐えられないよぉ!!」

 

 

 「………………………………カゾク?

 ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

 

 家族」

 

 

 一度おかしなイントネーションになった後、正常な発音をした偽遊は

 

 

 「そうか。そうだったのか。ごめんな……」

 

 

 柔らかな瞳で、レイの頭を撫でて遊乃を見つめた。

 

 

 「偽遊……」

 

 「偽遊さん……」 

 

 

 分かってくれたんだと、二人は安心した。

 

 

 

 

 

 「ーーごめんな。遊乃。レイ。

 

 『家族』ってよく知らないんだ。それはどう言う『定義』だ? いつ『確定』する?」

 

 

 

 

 だが、そんな二人の安心は打ち砕かれた。

 

 

 「え……?」

 「ぎ、偽遊さん……?」

 

 二人の気持ちは、何も伝わっていない。

 

 

 「でも、お前らに辛い思いをさせる気はない。

 

 だから、『()()()()()()()()()()()()()()』と二人が言うのなら。

 

 俺はお前達の前から去ろう」

 

 

 

 「な、何を言ってるの……偽遊!?」

 

 「そうだよ! 何でそんな話になっちゃうの!?

 私達の話聞いててくれたの!?」

 

 「もちろん聞いていた」

 

 

 カチン……!

 

 

 金属質な音がして、偽遊とレイを繋いでいた手錠が外れた。

 

 

 「え? あ……ああ……!?」

 

 

 もう一方の手錠もどうやったのか外れて、偽遊は自らの手首の()()を確認する。

 

 

 「聞いていたし、家族と言う言語のニュアンスも、曖昧に把握はしている。

 

 

 だが、俺には未だに『家族』という言語の『定義』がよく分からないんだ」

 

 

 「「……!?」」

 

 

 「「「「「……………………!?」」」」」

 

 

 その時2人はようやく気付く。そして、その場にいた他の全員も、気付く。

 

 気付く。しか無かった。

 

 

 「俺は、お前たちの幸福を望む。

 俺が、お前たちの不幸を運ぶと言うのならいない方が良い。だから」

 

 

 二人のことを思っているから、二人の幸福のために、目の前から消えると語る。

 

 まるで全然理解っていない。人の心を。

 

 だから気付いた。この異常性(ズレ)に。

 

 

 優しく、冷酷に。計算高く、即断に。人間的に、動物的に。

 

 

 

 包み込むように。

 

 突き放す。

 

 

 

 あちらこちら右往左往。留まらずに移ろう、継ぎ接ぎだらけの()()()は……。

 

 

 「虚路居偽遊がいないこと。俺はこの解答が、最適解だと判断する」

 

 

 

 

 

 

 

 ーー()()()()()は…………誰もが誤診(しんだん)出来るほど難解(めいかく)に、狂っている。

 

 

 

 

 






明日は仕事で泣きそうですが、作者は今日も正気です。

何故か正気を疑われがちですが正気です。




レイたんとイチャイチャラブラブするまでは。 

偽遊とレイたんの子どもとか言う地獄のようなキャラ、見たいですか?

  • レイたんが軽産婦とか最高
  • レイたんは綺麗なままでいて
  • めっちゃ見たい
  • 許せねえ……!!
  • レイたんのそう言う話はまだか
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