遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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前回宣言した通りデュエル回です。


月下のヴァンパイア城ーー美女と野獣の一夜

 

 

 

 その日の夜。俺はビンテージ物の加齢臭漂うヴァンパイア城の前に来ていた。

 

 例の『俺が二度と二人の前に現れない』と言う折衷案の件は、俺的にはベストアンサーを提示したつもりだったのだが……何故か却下されてしまった。何がいけなかったんですかねえ?

 

 「ボロボロの姿で帰って来られたら()()って言うから提案したんだがなぁ…………う〜ん。いっそ島中に簡易的な銭湯でも作ってもらって、身体洗ってから帰る感じにするか?」

 

 『何で……? 何で、そんな答えになっちゃうの……偽遊』

 

 そう言ったレイの瞳は、俺を見ながら別の何かを視ようとしているようだった。

 絶望の中で光を探すような目。

 

 

 『おとうさん……どこにいっちゃったの…………? はやくかえってきて……おとうさん……っ』

 

 

 …………あの瞳が、金色の髪の毛を泥や埃で汚して薄汚れた衣服で佇むあの子とダブった。父親の姿を求めて窓の外を眺める少女と。

 

 

 

 『家族が一人死んで、大丈夫なわけねえだろ!! これまで通りに生きていけるわけねえだろうがあ!!』

 

 

 

 「………………………………」

 

 

 生きていけるさ。だって…………。

 

 

 「関係無いだろう……? 地上から一つ、他人(ヒト)の命が消えったって」

 

 

 

 

 《良いのですか……》

 

 《……………………》

 

 《本当に良いのですか? ()()で……》

 

 

 あの世でしたやり取りが、突然脳内に響く。唐突なことだ。

 俺の返答はあの時と何も変わらない。

 

 

 「ーーああ。本当にソレが良い」

 

 

 《貴方の思想。貴方の理想は勘違いです……貴方の思っているようなものは何一つありません。

 

 『死』は、救済などではありません……!

 

 思い直して下さい●●●よ……! 何のために、貴方を転生したと思っているのですか!!

 

 このまま行ってもーーーー!!》

 

 

 

 

 頭の中の雑音が五月蝿いので、掻き消す為にバンと城の扉を開け放つ。脳から直接聞こえているような幻聴が、物理的に掻き消せるわけも無いはずだが、意外にも頭の中の声はぱったり止んだ。

 結果オーライだ。ハッハッハ。

 

 

 

 『例え何百回死を迎えたとしても、それで貴方が救われることはないんです!! 

 

 分かってよぉ……!! ●●●……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ーー待っていたわよ、虚路居偽遊。ようこそ我が城へ。

 

 ずっと待ち焦がれていたわ。貴方の魂を人形に封じ込めて、一生凌辱してあげる日をねぇ……。

 

 

 セブンスターズの一人。ヴァンパイアの貴婦人、カミューラ。貴方の最期の介錯(デュエル)を務めてあげるわ!!」

 

 

 

 「………………………………」

 

 「あら、黙りなの? 緊張して声も出ないということかしら?

 

 それとも今更になって()()()()のかしら? ヴァンパイアと貴方の格の違いを!」

 

 

  

 目の前のババアが何か言ってるの気がするんだが……声が聞こえなくなっても脳で何かが反響して騒がしくて仕方ない。

 

 返事のひとつもすれば満足なのかねえ? やれやれ……。 

 

 

 「フッ……」

 

 「ーー! 何がおかしい虚路居偽遊!!」

 

 

 

 「…………『わかってよぉ〜』だって?」

 

 「…………?」 

 

 

 

 「ああ、はいはい。理解(わかって)判断(わかって)る。ええ分かってますよとも。

 

 俺は救われないって。んなもん決まってんだろうがよ。掬われるとしたら足元ってか?」

 

 

 

 

 「何を言っているの……貴方?」

 

 

 

 

 「ああ。救われない。

 救われない。

 

 きっと間違いなく救われない。

 

 他の誰でもなく、他の何でもなく。

 

 

 救われず、報われず、気に喰われず、手を伸ばされず。救われない。

 

 ()()()()()は決して成就されズ……!!」

 

 

 

 

 「まるで何も分からない。よもや狂ったか、虚路居偽遊ッッ!!」

 

 

 

 

 

 「ーー俺はソレを望んでいる」

 

 

 

 その時、ようやく頭の中が静かになったので。

 ようやく、そういう感じになったので。

 

 

 

 

 

 「決闘(デュエル)だ。カミューラ」

 

 

 

 

 俺はデュエルディスクを展開した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

 

 

 

 

 

 「「ーー決闘(デュエル)!!」」

 

 

 カミューラ LP4000 

 虚路居偽遊 LP4000

 

 

 先攻はカミューラ。ライフポイントは4000。先延ばしに先延ばされた、本来の第二回戦のデュエルが今始まる。

 

 

 「私のターン、ドロー!!」

 

 (何なんださっきまでのアイツは……? まるで別の何かに恨みを込めた呪詛を呟いているかのような雰囲気だったが……)

 

 「いや、止しましょう。どうせこのデュエルで勝てば全て無意味なのだから。

 

 私は『ヴァンパイアの使い魔』を召喚」

 

 

 ヴァンパイアの使い魔 ATK500

 

 

 カミューラのデッキは前回と変わらずのヴァンパイア。

 使いこなせれば侮れるものでは無いが……。

 

 

 「……………………」

 

 偽遊は興味が無さそうにズボンの上から尻を掻いている。手札は見てすらいない始末だ。

 

 「そして魔法カード『ヴァンパイア・デザイア』を発動!」

 

 「ん?」

 

 だが、カミューラが発動した『ヴァンパイア・デザイア』を見た瞬間、僅かに目線が向いた。

 

 「ヴァンパイア・デザイアの効果で、私はデッキから『ヴァンパイアの眷属』を墓地へ送る!」

 

 「……………………へえ」

 

 

 「そして、ヴァンパイアの眷属の効果発動。場のヴァンパイアの使い魔を墓地へ送り眷属を墓地から特殊召喚!」

 

 ヴァンパイアの眷属 DEF0

 

 「特殊召喚に成功したヴァンパイアの眷属の効果発動。

 デッキから『ヴァンパイア』と名の付く魔法か罠カード一枚を手札に加えるわ。

 

 私が手札に加えるのは、カウンター罠『ヴァンパイアの支配』よ」

 

 

 「…………………………………………良いねえ」

 

 

 カミューラがヴァンパイアの支配を手札に加えた時、偽遊の目は獣の眼光になっていた。

 

 「少しは目が覚めたようね?

 

 私は貴方を確実に倒す為に1ヶ月、修業に修業を重ねた。

 

 

 気を抜いていると死ぬわよ?」

 

 「おもしれえ。俺を殺してみろ……!」

 

 

 「フッ……カードを3枚伏せて、ターンエンドよ!」

 

 

 「俺のターン、ドロー!」

 

 

 プレイヤーが変わって偽遊のターン。それまで気怠げだったのが嘘のようにカードを引いている。

 

 「俺は『幻爪の王ガゼル』を召喚!」

 

 

 幻爪の王ガゼル ATK1500

 

 

 偽遊が喚んだのは、【キマイラ】デッキのメインパーツの一枚、ガゼル。

 召喚成功時に『合成獣融合』かレベル5の悪魔族モンスターを手札に加えられる効果に加える効果を持ち、融合素材として墓地へ送られば『幻想魔族』のモンスターを手札に加えると言う一枚で二枚の手札アドバンテージを極めて手軽に獲得するエンジンの役割を持つモンスターだ。

 

 「ガゼルの召喚成功時効果。合成獣融合、或いはレベル5の悪魔族モンスターを手札に加える。

 

 さあ、どうする?」

 

 ヴァンパイアの支配。そして、残り2枚のリバースカード。それをいつどう使うのか? それで総ての明暗が別れる。

 

 「……………………そうね。ここは使わないでおいてあげるわ」

 

 「へえ、中々賢明だ」

 

 カミューラのプレイングはベターだった。

 

 ここでヴァンパイアの支配を発動すれば、ガゼルのサーチは無効に出来て偽遊の手札は増えない。

 

 ガゼルは破壊されるため、融合素材としての仕事及び、後続の幻想魔族モンスターのサーチも出来ない。

 

 ついでに、ライフ4000と言う【キマイラ】相手では致死量一歩手前のライフを回復出来る…………。

 

 と、一見良いこと尽くめで発動し得に見える状況だ。

 

 もしも偽遊が逆の立場であっても、手札次第では迷わず支配を撃つと断言出来るくらいには、ここでガゼルを止める価値は有る。

 

 

 だが、それはあくまでも偽遊の手札が支配一枚で止まる場合に限られる。

 

 

 「なら俺は『合成獣融合』を手札に加える。

 

 そして、魔法カード『魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)』を発動。

 デッキから『エッジインプ』モンスターと『融合』を手札に加える」

 

 「良いわ、好きにしなさい」

 

 「なら『エッジインプ・チェーン』と『融合』を手札に加える

 

 

 

 偽遊 手札7枚

 

 

 

 (とんでもない勢いで手札が増えていく……! その上で融合使いですって?

 

 くっ……業腹だけど、やはりアサクラの言うことに従ったのは英断だったわね。

 

 場には獣族のガゼル。手札には悪魔族のモンスター。

 

 喚んでくる……自らの【名】ーー『キマイラ』を!)

 

 

 カミューラが予想したのと同じ瞬間。偽遊が一枚のカードをデュエルディスクに差し込んだ!

 

 

 「手札から魔法カード『融合』を使用」

 

 

 「それは通さないわよ! カウンター罠『ヴァンパイアの支配』を発動!」

 

 

 「ーー!!」

 

 

 カミューラの発動したヴァンパイアの支配は、ヴァンパイアモンスターさえ存在すれば、モンスター効果。魔法・罠の発動を無効にする万能カード。よって偽遊の発動した融合は無効。

 

 

 「……………………おい、何だよソレ」

 

 偽遊がガッカリしたような顔で呟いた。

 

 融合を無効にしたところで何だと言うのか? 偽遊の手札には既に合成獣融合が存在する。

 

 

 

 (まさか『融合』を無効にすればそれで良いなんて、そんな考えでガゼルの効果を通したわけじゃないよな……お前?

 

 そんなんだったら、ガゼルを無効にした方がよっぽど良かったじゃないか…………。

 

 

 違うんだろ? 違うよな、オイ……)

 

 

 楽しいデュエルになりそうだと期待しただけに、偽遊の失望は大きい。

 否、まだ何か考えがあるのかもしれない。その一縷の望みに賭けて、偽遊は祈るようにデュエルを続けた。

 

 

 「速攻魔法『合成獣融合』を発動……!」

 

 

 

 どうか、この先の展開が自分の思い通りに進みませんようにと祈って。

 

 

 その祈りは…………。

 

 

 

 「掛かったわね虚路居偽遊!! 罠カード発動『メタバース』!

 

 デッキから『アンデットワールド』を発動するわ!!」

 

 

 

 「届い、た……」

 

 

 突如、おどろおどろしい霧が立ち込み、足元には無惨な髑髏のカーペット。死肉を貪る生き物に、血のような赤い沼。

 

 

 生者の生きる場所の無い……アンデットワールドが出現した。

 

 

 

 

 「フフフ……アハハハハハハハ!!!!

 

 アンデットワールドがある限り、場と墓地のモンスターは全てアンデット族となる!

 

 貴方の得意のキマイラは融合出来ないわよおおおおー!

 

 

 

 

 オーッホッホッホッホッホーー!!!!」

 

 

 

 「…………………………ああ、悪くない。フフフ」

 

 

 「さあ、どうするのかしら? 虚路居偽遊。

 自らの切り札も呼べなくなって、発動して止めることも出来ない『合成獣融合』で何を喚ぶのおおお〜〜?」

 

 「フッ……フフフ……!」

 

 

 「…………また、笑ってる……?」

 

 

 

 

 「ーー原初・典型・連鎖と混沌の果てに其は至る。

 

 爪と牙と嘴の境界を喰い散らかし、神に反逆(いどみ)愚者(ひと)好奇心(きょうき)の末路を視るがいい!

 

 

 

 

 ガゼル。エッジインプ・チェーン。大翼のバフォメットで融合。

 

 融合召喚! レベル9『ガーディアン・キマイラ』!!!!」

 

 

 

 

 「キマイラですって!??」

 

 

 ガーディアン・キマイラ ATK3300

 

 

 

 『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァーーー!!!!!!』

 

 

 

 「ーーっっ!!? ぐっ……!!」

 

 

 召喚されたガーディアン・キマイラの咆哮に、カミューラが僅かに怯み、即座に自らに活を入れた。

 

 

 「チェーン1。ガーディアン・キマイラ。  

 

 チェーン2。幻爪の王ガゼル。

 

 チェーン3。エッジインプ・チェーン。

 

 エッジインプ・チェーンの効果で『魔玩具補綴』をサーチ。

 

 ガゼルの効果で『幻蝋館の使者』をサーチ

 

 

 そして、ガーディアン・キマイラの効果で二枚ドローしてアンデットワールドを、滅ぼす!!」

 

 

 

 「ーーっっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 『グォアアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!』

 

 

 

 「きゃあああああああーーーー!!!?」

 

 

 

 

 

 ガーディアンの、城の壁や天井を破壊する勢いの咆哮によりアンデットワールドの霧も、髑髏、死肉を漁るモノも崩れ去る。

 

 そして、先程と殆ど同じ城の景色。

 

 

 少しだけ違うのは、偽遊を招いた時には見えなかった満月が天井から2人を見守るようになっただけ。

 

 

 

 まだ。まだだ。まだ何も変わってなどいない。

 デュエルはまだ始まったばかりなのだ。

 

 

 だから…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「カミューラ。もっと愉しませろ……!!」

 

 「……っっ!!」

 

 

 

 

 吸血鬼の貴婦人と、獣の王による『美女と野獣』の演目は、今まさに幕を開けたのだ。

 

 




偽遊以外のメンツは、偽遊が来ないように釘を刺しているので来ません。

なぜかって?


ヒント:幻魔の扉 




 ……………………コナイヨ?

偽遊とレイたんの子どもとか言う地獄のようなキャラ、見たいですか?

  • レイたんが軽産婦とか最高
  • レイたんは綺麗なままでいて
  • めっちゃ見たい
  • 許せねえ……!!
  • レイたんのそう言う話はまだか
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