遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
リライティング・セブンスターズ。最終章。始まります。
「zzz...」
「………………寝てる、ね」
「………………うん。寝てる」
ラーイエロー寮の最上階の角部屋。そこは学園の
この部屋の鍵をペン回しのようにクルクル回しながら、目を丸くしているのはオベリスクブルーの女子生徒ーー火武羅遊乃。
彼女はなんとなく暇になるとわざわざこの部屋に来て、学園の
この部屋にいるもう一人の少女は、学園の平和維持機構にして核爆弾の起動スイッチ。色々ちっちゃいロリコン垂涎の違法ボディ、早乙女レイ。
原作では年齢不相応にボインだったのにも関わらず、現在まさに成長期の筈の彼女は、何故か健康診断で身長が一ミリも伸びていなかったらしい。
そして、そんな二人の少女が見下ろしている部屋主。虚路居偽遊はと言うと。
「ボグォォォォ……グオオオオォォォ…………!!」
酒瓶を指に4本ずつ挟んで離さずに、更に両足でも3本、両脇に一本ずつ抱えてイビキを掻いていた。
「「ーー偽遊(さん)がイビキ掻いて寝てる……!?!?!?」」
外道、クズ、人の心無し。人でなし。ありとあらゆる罵詈雑言がただの事実となる男、虚路居偽遊。コイツが酒で酔っ払って酒瓶抱えたまま爆睡している絵面。彼を知らないものからすると、何も違和感の無い話だ。
が……。
「ありえない……っっ。いつも眼の下にひっでぇクマ抱えて、偶に寝てても
”これ死体ですか?”
ってくらいただ沈黙してるだけの偽遊さんが……!!」
「ボクが添い寝してやっと寝静まっても朝起きたら寝てた場所が冷え冷えな偽遊が……!!」
「「ーーイビキ掻いて寝てる……!!!!」」
二人に電流走る。衝撃的な光景だ。言うなれば、人間の見ているところでは絶対にご飯を食べなかった捨て猫が初めて目の前でご飯を食べたような感覚。
「〜〜!!!!(パシャパシャパシャパシャ)」
「…………っっ!!(●REC)」
「なんだろうこの感じ……!? すっげぇ感動するんだけど!(パシャパシャパシャパシャパシャパシャ)」
「うんっ。なんか……なんか分かんないけど、取り敢えず残して置きたいよ!(●REC)」
「レイちゃん、そっちの動画後で送って!」
「遊乃先輩の写真もね!」
「ZZZ………………うぅん……っ」
「あっ! 今寝ながら唸ったよ。いつもなら絶対に起きるのに寝たまま顔が歪んでる……っっ!
なんか……ヤバいかも。うずうずする……!!」
「うわぁ……偽遊……っっ! うわぁぁ〜……ッッ!!」
………………………………一体何が楽しいのか。この珍事はバッテリーが尽きるまで延々続く。
ポケットの中でバイブレーションする生徒手帳になど、微塵も意識が向かないままに。
「うう〜ん……ZZZ.....うぅ〜ん…………………….」
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そして、同じ頃。デュエルアカデミアの某所にて……。
「………………………………」
赤い制服を着た少年が、デュエルディスクを装着したまま立っていた。
誰かを待っているのか。少年はただ沈黙のまま立ち尽くしている。
そんな時、何人かの声が聞こえてきた。
「ーー十代!!」
「……………………よう、万丈目」
同じく赤い制服を着た少年。万丈目準に呼ばれて、遊城十代が振り返る。
声をかけた万丈目の形相は穏やかではない。一方で十代の方は、ソワソワして落ち着かない様子だ。
しきりに、首に掛けられた”七つのモノ”を触っている。
「どういうつもりだ十代……っ! 何故『七星門の鍵』を盗んだりしたんだ!!」
七星門の鍵。それは、世界を破滅に導く『三幻魔』のカードの封印を解く7つの鍵。
学園に襲いかかるセブンスターズから、選ばれた学園側のデュエリスト達が命がけで護った平和の証だ。
「ちょっと必要になってさ」
「何が必要だ! 馬鹿な真似をしやがって。とっとと返しに行くぞ十代。
今ならこの万丈目さんが、一緒にごめんなさいしてやらんこともない!! だから……!」
「見つけた! ここにいたのか十代!」
「アニキー!」
「よう、翔。三沢。
…………偽遊は来ないのか? いや、アイツが来るわけ無いか」
「
こんな書き置き一つ校長室に残して!」
万丈目がノートを千切った紙を十代に突き付ける。
『七星門の鍵はオレが預かった。
ごめん。強くなるために必要なんだ。
十代』
「
オレにそれだけの力が手に入るなら、してみたいかもな……」
「十代。お前、まさかそのために三幻魔を手に入れるつもりでいるのか? 校長先生が言ってただろ。アレは世界を破滅に追いやる危険なカードだと」
「そんなのダメだよアニキ!! 世界を破滅に追いやるチカラなんて、アニキらしくないよ!」
「…………それでも良い。
オレは、強くなりたいんだ!!」
「ーーバカ野郎!!!!」
十代の言葉に、万丈目が叫んだ。
「カードの力に頼った強さは本当のデュエリストの強さじゃない!
昨日、
「…………!」
「十代!! 一から基礎を学び直すんだ! オレたちはデュエルを何も知らない。だが、ソレを識っていて、オレたちに伝えてくれる王がいる!!
同じくらいカードを使いこなすことが出来るなら、オレたちはいずれ必ずあの男に勝てる!!
何よりオレたちが始めた競争。誰が最初に
こんなカタチで逃げて良いのか!!?」
これは万丈目からの、友を思う叫び。道を外れようとしている戦友を引き止める心からの咆哮だ。
「十代。オレも万丈目と同じ意見だ。
偽遊の知識を得れば、それだけでもデュエルが変わる。
今までとまるで違う世界が見えるようになるんだ。
オレは、アイツのおかげで『知識を突き詰める』ことの意味を認識しなおしたよ」
「そうっすよアニキ!!
ボクなんて、ダメダメでどうしようもないデュエリストだったけど、偽遊くんに教わって、地獄を見て、変わった。
知るだけでも、もっとずっと強くなれるんすよ!!」
三沢と翔も万丈目に続く。
特に、翔はこの4人の中で最も底辺からのスタートだ。
虚路居偽遊の教えの価値の生き証人と言える。
そんな三人の言葉に、十代が出した答えは……。
「…………偽遊の力でダメだったなら、もっと強い力を手に入れるだけだ!!」
「キサマ……!?」
「オレは、オレに相応しい力を手に入れて……今度こそ偽遊に勝つ。
そうすれば……そうすればきっと……っっ!!」
十代は首にぶら下げた7つの鍵を引き千切った。
同時に、地面が大きく揺れ始めた。
「くっ!? 地震か!?」
「こんな大きな地震が突然発生するわけが……!!」
「ぐっ……立ってるのがやっとっす……!!」
そんな中、十代は構わずに叫び続ける。
「『三幻魔』よ、今こそ封印を解く!!
オレに力を!! 獣王を越える絶対なる覇者の力を、オレに!!
オレに力を!!!!」
そう言うと、十代は鍵を宙に投げ付けた。
放られた鍵はいずれ物理法則を無視して宙に停滞し、やがて吸い込まれるように何処かに飛んでいった。
「か、鍵が何処かに飛んで行ったっす!?」
「見ろ! さっきまで無かった巨大な柱が出現したぞ!!」
「…………! まさか、アレが三幻魔の封印ーー!?」
「さあ、オレに力をオオオオオオオオオォォォォォォーーーーー!!!!」
十代の声に呼応して、七本の柱に鍵が飲み込まれる。
その後、柱の中心から光の柱が上がり……。
パシッーー!!!!
「ーー!!」
十代の手に、三枚のカードが飛んできた。
「まさか……本当に三幻魔の封印が!?」
万丈目の声と同時に、三枚だったカードが輝き出して一束のデッキに変わった。
「「「ーー!?!?」」」
「フフフフフ……!!!!」
すると、十代は束から数枚のカードを抜き取ると……残りのカードを捨て去った。
「三幻魔のデッキを……捨てた!?」
「どういうつもりだ!?」
三人が驚く中、十代は自身の装着するデュエルディスクのデッキに抜き取ったカードを加えた。
「これで良い…………これで、オレの最強のデッキが完成した……!!!!
ハハ……!! これで、オレはもう誰にも負けない……誰にも!!」
「アニキ……っ」
「ハハハ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
”ああ、コレで良い。これで良いんだよ十代……これで、キミはもう誰も傷つけられない。
ボク以外の、誰にもね…………フフフフフ”
次回 主人公でも覇王でもない遊城十代。
デュエル、スタンバイ……!