遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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 作中の偽遊の叫びはただの作者の本音です。



 ようやく納得のいくレシピが出来ました。妨害は完全に考えないものとしていますが、しゃーなし。







出来た!! デッキた!! デッキだー!!

 

 

 「これで……どうだ!!」

 

 いつの間にか遊乃の部屋で寝コケていた俺は、久しぶりの睡眠により色々回復していた。

 …………なんか、左手の薬指に妙な異物感があるんだが何だろうか? 呪いの指輪とかは装備されて居なかったんだが、まるで愛に飢えた魔女にマーキングされたかのような気分だ。

 

 まあそれはそれとして、今俺は魔術師チックなマントを背負い魔法陣を手動で複数描き一つに集約させる妄想をしながら遂にあのデッキを完成させていた。

 

 「でき……た。

 

 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーー!!!! 出来たアアアアアアアーーーー!!!!」

 

 

 喜びの余り頭を抱えて地に伏す俺。ああ、まるで夏休みのラジオ体操用のハンコを彫り終えた小学生のような心境だ!! これでもう学校の登校より早い時間にオカンに叩き起こされずに済む! 

 まあ夏休みのラジオ体操如きに真面目にガキを叩き起こすようなオカンはハンコなんか作ろうが作るまいが叩き起こすと思うが、幸せとはイコール無知と馬鹿さであると偉い人も言っていた。ヨシ!

 

 

 「頑張った!! あの頭のおかしい注文に振り回されること1週間!! 

 最終的には色々と妥協を勝ち取った! 勝ち取ったんだ!! まるで抱き枕の差し入れ許可を勝ち取ったシチサン弁護士の如く!!

 

 それでも専門外のバーンと適性外のシンクロ召喚をメインにした上で【なるべく炎属性デッキ】を苦節の末に勝ち取ったぜバカ野郎!!

 

 

 誰が俺を褒めてほしい!!」

 

 「ーーおめでとうございます」

 

 「ありがとう!!

 

 …………………………………………ゑ?」

 

 

 おかしい。今、明らかに『女性』と分かる声がした……。 

 

 『女性』だ。

 

 部屋主の遊乃の声でも無く、レイたんの声でもなく、最近は大人しくなった天上院明日香の声でも無く、狂徒12名の誰の声でもない『女性』の声だ…………。

 

 油差していない自転車のペダルのような嫌な音をミシミシ立てつつ後ろを振り返ると。

 

 

 「………………………………にへぇ」

 

 

 黒髪ロングで前髪にイナズマのを象った銀色のメッシュをした芋ジャージの少女が自らの表情筋を酷使しているだろうと思わしき笑顔を作って立っていた。

 

 

 「………………………………どちらさま?」

 

 「始めまして。内倉(マナ)です。ブラック・マジシャン・ガールのマナさんの相棒(バディ)に指名して頂いている転生者です。生前の年齢は23歳で、身長167cm体重47kgバストはAです。よろしくお願いします……!」

 

 「なるほど。

 虚路居偽遊と申します。よろしく……」 

 

 

 個人情報を垂れ流している真意は不明だが、この状況で一つ確信を得られた。

 

 

 この子はコミュ障の陰キャだ。

 

 

 長々と聞いてもいない情報を喋り続け、相手の反応や返事を待たずに用件を早口で言い切る様はソレ以外の何物でもあるまい。

 ソレも真性ではない。恐らく対人症から来る会話の苦手意識からくるものだ。その証拠に深々と頭を下げている。

 

 真性のコミュ障は基本。無礼、不快、馴れ馴れしい。と5秒で分かるホンモノ感が溢れ出ているものだからな。ソース? 俺。

 

 

 「それで、内倉さん。

 先ず確認したいんですが、この部屋は火武羅遊乃の部屋では無かったですか?」

 

 「はい。遊乃さんの部屋です」

 

 

 ああ、良かった。知らない間に夢遊病の如く不法侵入して挙句他人の部屋でデッキ作りに夢中になるようなオワッテル虚路居偽遊くんは居なかった。何せ久しぶりに寝たからね。知らない間に遊乃の部屋から出て知らん子の部屋侵入して寝てましたって言われたら、俺ちょっと自分を信用出来なさすぎて自己擁護出来ないもの。

 

 さて……。

 

 

 「えーっと、それで今……遊乃はどこに?」

 

 俺が寝てる間にどっか行くのは別に分かる。が。寝ているとは言え『男』と部屋に上げるくらい親しい女友だちを2人きりにしてどこ行ったん?

 

 「遊乃さんは、ギャンブルに行くと言ってお出かけしました」

 

 「ーー何やってんだアイツはァ!?」

 

 「んっ(ビクッ)」

 

 

 自分の部屋に友だちとデッキ作りを任せた相手を残してギャンブルぅ!? 人として恥ずかしくないんかぁ!?

 

 

 「う、うう……一体、一体どうして……? どんな教育ファンブルをしたらそんなろくでなしに焼き上がるんだァァァ…………??

 

 情けない。まるで我が事のように情けない……ッッ!!」

 

 

 俺は崩折れた。もうどうにも止まらない。悲しすぎるし切なすぎる。

 

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫です……」

 

 「大丈夫ですか。よかったです」

 

 

 ああ、大丈夫だとも。今はちょっと立てそうにないけど、1時間くらい絶望の揺りかごでヨツンヴァインしてればきっと立ち上がる力が生まれてくるさ。あははは……。

 

 

 「あの、偽遊さん。大丈夫でしたら、私貴方にお願いしたいことがあるんですが」

 

 「…………お、おう」

 

 

 なるほど。俺はさっきの確信をいささか修正する必要がありそうだ。

 この子、コミュ障に加えてKYだな。或いは人の気持ちが分からないタイプと見た……俺は詳しいんだ。他人事じゃないから……っ!!

 

 

 「ちょっと立ち上がれそうにないから、このままの体勢でもいい?」

 

 「………………はい」

 (怒られると思ってたけど、この人は私の話を聞いてくれようとしてるんだ。

 こんなに打ちひしがれてるのに)

 

 「それでお願いって?」

 

 「あ、はい。でもその前に偽遊さん」

 

 「ナンデスカ?」

 

 「遊乃さんが言っていました。偽遊さんは小さいおっぱいが好きで、どんなに元気がなくても小さいおっぱいを赤ちゃんのように吸えば元気になるって。

 私のでよければ吸いますか? 小さいどころかまな板ですけど…………へっ」

 

 俺はうずくまっていて何も見えないが、カチッと何かが外れる音がした後、肌と生地が擦れる気配がした。

 あと自虐的な乾いた笑いが一つ。

 

 「…………………………………………………………………………」

 

 「………………あ、そっか。偽遊さんは赤ちゃんみたいに抱っこしてあげないとおっぱい吸えないんでしたね。えへへ。

 抱っこしますね……」

 

 シュッ。

 それまで全く力が入らなかったカラダが嘘のように軽く脚にはしっかりとカラダを支えるだけの力が充填されていた。

 

 「あ、あれ……? もう元気に」

 

 

 「は、ハハハ…………」

 

 

 「笑ってる……?」

 

 

 

 俺は止まらない笑いを抑えることもせず部屋の外へ出て、ユラユラと移動した。 

 

 

 アノバカムスメ、マジ、ユルサナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、偶然負けて帰ってきていたであろう遊乃と寮の玄関で出会したわけだが。何があったかはご想像にお任せします。

 

 

 

 

 

 

 

 「GIIIIIIIIIIIIIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 「ごべんなざいいいいいいいいーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 その後。1時間ばかり人外のような表情で"お気持ち"した偽遊は遊乃と2人で遊乃の部屋に戻り、(マナ)と購買部の招き魔法少女のバイトから帰ってきていたブラック・マジシャン・ガールのマナと合流しデッキの完成とその内容の教鞭を取っていた。

 

 

 

 「えええーっ!? 炎属性統一どころか水属性まで入るなんて聞いてないよ!?」

 

 「あ?」

 

 「ナンデモナイヨ。偽遊さんカンシャデース」

 

 「おう、苦しゅうねえぞ」

 

 先程散々お気持ちされたのが堪えたのか、遊乃もデッキの内容について文句も言えず大人しくなっている。(そもそもが言える立場ではない)

 

 だが、このデッキレシピを見て感情を揺さぶられている者がもう一人……。

 

 

 「あ、あ……ああっ……!? こ、この『定石』はぁ……!?

 

 う、虚路居偽遊! こ、ここに書いてあることは本当なんですか!? 嘘ついてないですよねぇ!?」

 

 「嘘ついてどうすんだよ。

 デッキのファーストプランの関係上、序盤から選ぶパターンじゃねえが。そもそもお前と言う精霊がデッキに入ってるのに、使用に耐えられる構成してねえってのが論外なんだよ。

 

 だからこのデッキでは、理論上お前の出番は主に中盤以降激増する。それが製作者()からの正式なアンサーだ。

 『フルール・ド・バロネス』」

 

 

 「"妄想(ユメ)"じゃねえよなぁ……!?

 

 私の"黄金時代(オウゴン)"が還ってくるゥ……!!(感涙)」

 

 

 

 炎属性バーンデッキの使い手。火武羅遊乃に憑いてしまったことで運命力底上げ装置としての役割しか与えられていなかった、恐らく創作界隈の全『フルール・ド・バロネス』を引っ括めてもトップに位置するレベルの不遇待遇の『可哀想なバロネス』が、震えて泣いていた。

 

 

 「と言うわけだから、遊乃は()()()()()()()()()()()()()()で使用カードを選ぶように」

 

 「………………………………はい」

 

 「う、うう……!! 虚路居偽遊ぅ! ありがとうございます!! 感謝しますう!

 この恩は私の生命(いのち)が続く限り、貴方の輪廻が巡っても忘れませんよお!!(号泣)」

 

 「怖いこと言うな……この魂は今生で充分だ」

 

 

 

 「な、泣いてる……あの強く誇りを重んじてたバロネスが……!!」

 

 

 バロネスのあんまりな姿に、マナは引いていた。

 

 そこは精霊として使われる者と使われなかった者の差だろう。

 

 

 

 「………………………………」

 

 一方、このデッキを見た内倉(マナ)だが。

 

 (これ、遊乃さんのデッキの適切なプレイングでカードで選ぶってなると……)

 

 「どうしたの? (マナ)ちゃん?」

 

 「………………。

 え、あ……い、いえ。なんでもないです」

 

 「………………?」

 

 何かに気付いた様子の(マナ)

 

 "余計なこと言って偽遊さんからの好感度が下がると困る"

 

 として苦笑いで誤魔化すのだった。

 

 

 

 

 「…………さて。

 このデッキを遊乃。お前に渡す上で俺は確認しておきたいことがある」

 

 「確認しておきたいこと? 遊乃ちゃんのスリーサイズ〜?」

 

 

 「………………………………」←(物理的に顔面が化け物になる虚路居偽遊)

 

 「ごめんなさい……」

 (今日はもうボケるのやめとこ……いい加減キレられる」

 

 

 

 「(すぅ……)

 

 確認しておきたいのは、お前のシンクロ召喚の練度。と言うか、そもそもお前がどの程度シンクロ召喚を理解しているのかを知りたいんだよ」

 

 

 「シンクロ召喚を理解〜?

 

 おいおい偽遊さんよぉw 遊乃ちゃんてばここに来る前は、終焉末期とは言え5Ds世界に居たんだぜ〜?

 

 本場で鍛えられてたんだし、当然シンクロ召喚だって使えるって〜」

 

 

 「ああ。使うだけならルールさえ分かれば出来る。

 

 だが、今回は亮の『シンクロ召喚のパイオニアとデュエルがしたい』と言う気持ちを汲んでEXデッキ15枚は真っ白(シンクロオンリー)だ。

 

 その上、お前の『バーンで戦いたい』という要望まで叶えてある。

 結論。このデッキはお前の理解度が低いと、お前の普段のデッキで戦うより遥かに弱い」

 

 「え、ええ!?」

 

 「カッカッカ……!! 自分で言っておいてなんだが、乗り手が弱いと弱いデッキってのは少年心が踊るよな。まるで新しいロボットを乗りこなすための修業パートに入るみたいでよ」

 

 「あの、遊乃ちゃん女の子……」

 

 「デュエルするなら全員その時は『デュエリスト』だ。多様性だのレディーファーストだの甘えた寝言をホザくな!」 

 

 

 「遊乃ちゃんっ、強いデッキをお願いしたはずなんですけど!?」

 

 「使い手が弱いままでポテンシャルを発揮するデッキなどありはしなーい!!

 

 『強いデッキ』には『強いデュエリスト』がセットで要るんじゃあ!!」

 

 

 「うええええーーめんどくさいー!!(泣)」

 

 

 「うるさぁい!!

 

 よってこれより手狭な百合小屋を抜け出し、適当に使ってない教室を勝手に借り受けーー

 

 

 ぎゆーせんせーのたのしーでゅえるじょぎょーを開講する!!

 

 フフフハハハハハハハハハーーーー!!!!!」

 

 

 「びえええええーーー!!!!(泣)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………偽遊くん、楽しそう(汗)」

 

 「…………あそこまでわがまま言っても許して貰えるんだ……いいなぁ。

 『欲しい』……」

 

 「え? (マナ)ちゃん、何か言った?」

 

 「い、いえ。何もないです……。

 

 え、えっと。あの、偽遊さん……?」

 

 「ん? ああ、はい」

 

 「宜しければ、私達もその授業に参加しても良いですか?

 私も、シンクロ召喚使うので。勉強したいです」

 

 

 「ほうほう。それはそれは。

 

 大したお構いも出来ませんが、どうぞ聞いていって下さい。何か一つでも参考になれば幸いです」

 

 「ありがとうございます……」

 

 「ええっ!? (マナ)ちゃんってエクシーズだけじゃなくシンクロ召喚も使えるの!?

 

 凄いね!」

 

 「え、えへへ……ぎ、偽遊さん言ってるように。使うだけならチョチョイのチョイですよーえへへ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さてと……それじゃあ一先ず。メシでも食ってから校舎へ向かうとしようか。

 

 遊乃、まかせた」

 

 

 「はーい。

 

 簡単なもので良いよね? 片付けとかもしなきゃだし。

 

 確かパスタが残ってたはず……」

 

 

 「あ、優乃ちゃん。私も手伝うよー! 実は購買部の大盛況のご褒美にって、今朝採れたアサリが貰えたんだ~」

 

 「え〜いいねえ! じゃあボンゴレで決まりだね!」

 

 

 

 

 

 「…………さてと。俺も教材を用意しとくか」

 

 「あ、偽遊さん。私にお手伝い出来ることありますか……? 

 負け続きの弱小ですが、マスターデュエルでカードの知識だけは覚えていますので……」

 

 「へえマスターデュエルですか。転生者と言えば紙の印象が強かったですね。

 それならこっちの世界でデュエルする時は勝手が違って大変だっりしたんですか?」 

 

 「は、はい! そうですね。普段はスマホでタップしてただけだったので、シャッフルするとカードをこぼしたりしてしまいました。 あ、あと先攻ドローがあるのを知らなかったのでよく指摘されました。わ、私アニメはアークファイブからだったので。えと、権現坂さんに憧れててーー」

 

 

 

 

 こうして、遊乃とマナはランチの準備。偽遊は手伝いを申し出てくれた(マナ)の一人語りに耳を傾け相槌などを打ちながら授業の準備を進めていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 (あ、あんまり役に立たなそうなのを見越して別の話を振ってくれたんだ。

 た、楽しそうに聴いてくれてる……ぎ、偽遊さん……優しい……。

 

 

 良いなぁ、この人。欲しいなぁ……)

 

 







 偽遊(権現坂さんのファン……と言うかメロってんのかなコレ?
 イケメンやゅぅゃに行かず男権現坂に走るとは。この娘、出来るわ)
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