遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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 ふぅ……どうにかターンを長引かせずに決着しましたよ。


 なんせ速攻VS速攻ですからね。
 速すぎると肩透かしだし、遅すぎるとデッキのカードにノイズが出るしで…………ターンを使わずに満足感のあるデュエルに出来たのだろうか?


 後は読者の皆さんの感想街と言うことで、作者は寝ます。



 そろそろ他の話にも筆を入れて行かなければならない……。
 


 
 ※寝て起きたらロジックエラーに気付いたので修正しますた。





決着!! 【シンクロバーン】VS【サイバー流】 

 

 

 

 

 「………………や、やっと……解放された……」

 「ど、どうして……私まで。偽遊くんのばかー……」

 「すまんて……あとでガリガリくん買ってやるから……」

 「ゆるすぅ……」

 

 

 ボロボロになった偽遊とマナが、地べたに寝そべって生産性の無い会話をしている。

 

 ボロボロにした張本人であるレイと明日香は、後でレッド・デーモンズ・ドラゴン上げるから解放してと言う司法取引によって沈静化しており、既にデュエルの観戦に戻っている。

 巻き込まれただけの近所のお姉ちゃん的マナちゃんは実に可哀想である。

 偽遊くん? 可愛いヒロインに囲まれて嬉しいね。

 

 

 

 「…………ふ、二人とも大丈夫ですか?」

 

 

 そんな二人に手を差し伸べたのは、これまで我関せずで自分のEXデッキから抜くカードを決めていた愛の方の(マナ)

 

 

 「(マナ)ちゃん……今更になって手を差し伸べてくれても嬉しくないんですけど」

 

 「ご、ごめんなさいマナさん…………ずっと偽遊さんと二人で仲良くしているのが恨めしくてつい……」

 

 「酷い本音を聞いたよ!? 二人手を取り合って苦難を乗り越えてきた相棒(バディー)の絆がそんなドロドロな理由で断ち切られかけてたの!?」

 

 「あ、いえ。断ち切ったりとかは……ないです。

 わたし、偽遊さんにも愛してほしいですけど、マナさんにも愛してほしいので」

 

 「そっかあ、よかったー♡ 

 とはならないからね!?」

 

 「あ、ところで偽遊さん。遊乃さんのターンが終わった所なんですけど、少し気になってることがあって……教えてもらえますか?」

 

 「ハハハ……アンタ、随分いい性格してるな……」

 

 「ううう……どうして人間の子たちは、少し時間が経っただけでみんな悪い子になっていくのぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オレのターン、ドロー!」

 

 

 遊乃のエンド宣言により、丸藤亮にターンが移行する。

 

 デュエルはここまでで4ターンが経過している。

 

 丸藤亮と火武羅遊乃。両者とも防御と言う概念をどこに掃き捨てて来たのか超攻撃型のプレイングの応酬。殴っては殴られ、殴られては殴り返して。

 

 しかし、それでも両者とも数多くのデュエルを経験してきた歴戦のデュエリスト。

 防御は棄てても相手の好きにはさせず、自分のやりたいことだけは押し通す算段だ。

 

 

 

 (カイザーくん。多分パワー・ボンドのダメージを抑えるための『一次休戦』の採用なんだろうね。

 だから、私の『バーン』が思い通りに通っていかないのは()()()で生まれた副作用。

 『スキルドレイン』も、デッキとの相性が抜群に良いから採用されている…………いや、そっちは偽遊さんとのデュエルへの対策だね。

 

 『本来は短期決戦』がサイバー流の奥義だろうに、殺しても壊しても蘇って死にきれない……長期戦上等の【キマイラ】のデッキに、どうしてもワンキル特化で決め切れなかったからの、苦肉の策の『歪み』。

 

 それが、私が苦戦させられている最大の要員…………つまりパパのせいってことじゃん!!)

 

 

 

 

 

 (火武羅遊乃。虚路居偽遊の制作したデッキを使いながら、戦術はダークネスと『三面打ち』で見せていたものを貫いている。

 その本質は【放火魔】と言う銘から連想させる『派手』や『目立ち』からはかけ離れた【暗殺者(スナイパー)】の射殺。

 放火と言う、目を引く混乱に乗じて敵の心臓を撃ち抜く緋色の弾丸(バーン)。それこそが彼女のデュエルの本質。本懐。

 

 彼女が【放火魔】と呼ばれているのは、自分で名乗っていることや、彼女自身の振る舞いなどもあるのだろうが…………おそらく対戦した殆どのデュエリストが自分の敗因に気付いていないから訂正されないのだ。

 

 

 つまり、皆が思っている。『放火された火に焼かれて死んだ』と。

 その死因が、脳髄に撃ち込まれた一発の弾丸であることに気づく間もなく……。

 

 

 

 そして、オレの額にも既に銃口は向けられている。

 

 

 このデュエル、派手さに目を奪われればそこで負ける…………)

 

 

 

 丸藤亮が視線をやる。意識するのは2枚のリバースカード。

 

 

 

 

 〘そして『火霊術ー「紅」』を手札に加える〙

 

 

 

 (『火霊術ー「紅」』。炎属性モンスターを生贄に捧げることで、元々の攻撃力分のダメージを与える罠カード。

 現在、火武羅遊乃の場にいるモンスターは闇属性モンスター『レッド・デーモンズ・ドラゴン』のみ。条件を満たせば墓地から特殊召喚出来る『黒薔薇と荊棘の魔女(ヘイト・ローズ・ウィッチ)』も闇属性。

 一見すると、炎属性モンスターを喚ぶ手段の無いこの一ターンは安全であるように見える。

 

 

 だが)

 

 

 〘手札から『紅蓮王フレイム・クライム』の効果発動!

 自分フィールドに悪魔族チューナーモンスターが存在するか、相手の場に特殊召喚されたモンスターが存在する場合、自分か相手のメインフェイズに発動可能。このカードを特殊召喚する〙

 

 

 (『紅蓮王フレイム・クライム』。

 相手のターンに特殊召喚する効果を持つ炎属性モンスターであり、かつ自身もが効果ダメージを与える効果を持つ今、最も警戒すべきカード。

 

 ソウル・リゾネーターと合わせて効果ダメージを与えつつ、シンクロモンスターを喚び出して攻撃。効果・戦闘の双方のダメージが敵をロックオンするのが基本骨子。

 シンクロモンスター(レッド・デーモンズ・ドラゴン)メインデッキのモンスター(紅蓮王フレイム・クライム)。そして魔法・罠カード(火霊術やまだ見ぬ力)四種(カドラ)の弾丸がオレの四方を囲んでいる……!!)

 

 

 

 「囲む弾幕(バーン)か、走る極光(レーザー)か。

 

 先に相手を捉えたもの勝ちの速攻勝負。オレ好みだ……!!

 

 

 

 メインフェイズ。手札から魔法カード『エマージェンシー・サイバー』を発動。

 

 デッキから『サイバー・ドラゴン・コア』を手札に加えて……召喚!」

 

 サイバー・ドラゴン・コア ATK900

 

 

 「フィールド魔法、ブラック・ガーデンの強制効果が発動!」

 

 

 「チェーンして、サイバー・ドラゴン・コアの召喚成功時効果、発動。

 デッキから『サイバー』魔法・罠。又は『サイバネティック』魔法・罠カードを手札に加える」

 

 「スキルドレインは、発動したプレイヤーのモンスター効果も無効化される。

 その効果は無効だよ」

 

 「無論、策はある。偽遊と戦い勝ち越すために、オレはありとあらゆる可能性を追求してきた!

 

 チェーン3。リバースカードオープン、罠カード『Vivid Tail』!

 このカードは、自分フィールドのカードを一枚対象にして手札に戻す。

 

 当然オレは『スキルドレイン』を手札に戻す!」

 

 「そりゃあありがたいね。おかげで私もモンスター効果が使えるようになった!」

 

 「次のターンまで生き残れたらな!

 オレが加えるのは、魔法カード『サイバー・レヴシステム』。

 このカードは、手札か墓地から『サイバー・ドラゴン』一体を特殊召喚する」

 

 

 「ブラック・ガーデンの効果。サイバー・ドラゴン・コアの攻撃力を半分にして、私の場にローズトークンが特殊召喚!」

 

 

 サイバー・ドラゴン・コア ATK450

 

 

 

 ローズトークン ATK300

 

 

 「薔薇が欲しければいくらでも産むが良い!!

 

 サイバー・レヴシステムを発動。

 墓地から『サイバー・ドラゴン・ネクステア』を特殊召喚。

 ネクステアの効果発動。特殊召喚成功時、墓地から攻撃力か守備力が2100の機械族モンスターを特殊召喚する。

 

 オレは墓地から『サイバー・ドラゴン・ノヴァ』を特殊召喚!」

 

 

 

 サイバー・ドラゴン・ノヴァ ATK2600

 

 

 

 「ブラック・ガーデンの効果。

 

 サイバー・ドラゴン・ネクステアとサイバー・ドラゴン・ノヴァの攻撃力を半分に、ローズトークンを生成…………と言いたいんだけど、サイバー・ドラゴン・ネクステアの効果でカイザーくんは機械族モンスター以外は特殊召喚出来ないね。

 ブラック・ガーデンのローズ・トークンの特殊召喚は、モンスターを召喚・特殊召喚したプレイヤーが行っている判定になるから、このターンもうローズ・トークンは特殊召喚されない」

 

 

 サイバー・ドラゴン・ノヴァ ATK1300

 

 

 「な、なんだかグルグル数字が変わって着いて行けなくなってきたよぉ…………」

 

 「だ、大丈夫ですかマナさん……?」

 

 

 

 「あのブラック・ガーデンってカード、ボクも偽遊に貰ってデッキに入れてたんだけど、あんまり使い道が分からなくて持て余してたんだよね……攻撃力が高い相手とのデュエルでは便利……なのかな?

 

 けどやっぱり攻撃力800のトークンが攻撃表示で特殊召喚されるのは不安だなぁ」

 

 「『ブラック・ガーデン』は考えなしで採用すると、敵味方問わず養分にして喰い殺されかねん。

 だからデバフ要員として考えるのは、俺は無しだと思うぞレイたん」

 

 「考えなしはダメ……ってことは、偽遊はどんな考えであのカードを入れたの? やっぱりなんか凄いコンボとかがあるの?」

 

 

 「……………………A.調整中です」

 

 

 「え?」

 

 

 「A.調整中です……」

 

 「偽遊……??」

 

 

 (………………ソウル・リゾネーターから黒薔薇と荊棘の魔女(ヘイト・ローズ・ウィッチ)へ繋ぐことを思いついた時のこと。

 

 『あ、これジャックとアキの浮気デッキじゃーんwww』

 

 とか思いついて…………一応? 言い訳的には? 『夜薔薇の黒騎士』蘇生出来るじゃん? とかにしてるけども。

 

 

 

 「すぅー…………っ、ぶっちゃけネタで入れました。だから偽遊さんは遊乃がなんの思惑があってあんなドヤ顔で『ブラック・ガーデン』を発動していたのやら。

 皆目見当もつきません

 

 

 「製作者ぁ!?」

 

 

 「偽遊です…………コンボは、専門外とです……偽遊です……偽遊です……」

 

 

 「って言いながら、逃げようとしている偽遊くんを人力で拘束します」

 

 

 「あ"あ"あ"あ"あ"ーー…………」

 

 

 (オシャレカードをピンポイントに積むの、良いと私は思います。偽遊さん……)

 

 思うだけでぼっ立ちのぼっち(マナ)ちゃんなのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 亮の場

 

 サイバー・ドラゴン ×2(裏)

 サイバー・ドラゴン・コア ATK450

 サイバー・ドラゴン・ネクステア DEF2100

 サイバー・ドラゴン・ノヴァ ATK1300

 

 

 遊乃の場

 レッド・デーモンズ・ドラゴン ATK2500

 ローズトークン ATK300 

 

 

 

 

 

 

 

 「………………ねえ、カイザーくん。

 

 気付いてるんだよね?」

 

 

 「『何を』かな? 火武羅遊乃」

 

 

 「『スカーレッド・レイン』」

 

 

 「………………………………」

 

 

 「いま私のフィールドには、レベル8のレッド・デーモンズ・ドラゴンがいる。

 

 そして、貴方の場にはレベル8以下のモンスターしかいない。

 

 スカーレッド・レインは、フィールドの一番レベルが高いモンスター以外の全てのモンスターを除外する。

 『裏側守備表示』だろうが、『レベルを持たない』だろうが、この世で最もレベルの高いモンスターのみが生き残ることを赦される業火がなんだよ…………」

 

 

 「フッ、【放火魔】とは随分と過小評価されたものだな……」

 

 

 「笑ってる場合かな。自慢のサイバー・ドラゴン。一体残らず消えちゃうよ?」

 

  

 「そう思うなら……試してみてはどうだ? 自慢の焔が泣くぞ【放火魔】」

 

 

 「別にこっちは焦る必要、ないけどね」

 

 

 「まさか。焦っている筈さ」

 

 

 「どーして?」

 

 

 「オレが何故、サイバー・ドラゴン・ノヴァを喚び戻したと思う?」

 

 「……………………」

 

 「そして、やるならいつでもやれる。と言っているようだが、もしキミが今『スカーレッド・レイン』の存在を示唆することに必然性があるとしたら、何が理由に挙がるのか?

 

 

 例えば………………『サイバー・ドラゴン・()()()()()()()』」

 

 

 「ーーっっ!」

 

 

 「サイバー・ドラゴン・ノヴァを素材にエクシーズ召喚出来る、サイバー流の異なる可能性。

 その能力は、一ターンに一度だけあらゆるカードの発動を無効に出来るチカラ。

 

 

 サイバー・ドラゴン・ノヴァが現れたこの瞬間、キミは見極めたかったのだろう?

 

 オレが、インフィニティを持っているのかどうかを……」

 

 

 丸藤亮は、EXデッキから黒のカードを取り出しその存在を遊乃に示す。

 

 

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ

 

 

 

 「オレの手は、既に新たなる可能性を掴んでいるぞ!」

 

 

 「………………」

 

 

 「さあ、どうする? ブラック・ガーデンの効果処理後、こちらからクイックエフェクトの宣言は無い!

 

 キミはこの瞬間、何を選択する?」

 

 

 

 「………………………………」

 

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティは、往年の環境にて汎用枠の一枚として採用されたランク6のモンスターエクシーズ。

 破壊を伴わず、墓地へも除外へもやらず自身のエクシーズ素材として吸収すると言う『除去』の中でも最も降りかかる危険が少ない最上位の除去能力を有し、更に一ターンに一度万能無効効果を発動出来る、サイバー流のカードとしては最も優等生と呼ぶべきカード。

 

 今これを召喚されれば、遊乃のレッド・デーモンズ・ドラゴンはエクシーズ素材として吸収されるだろう。

 『スカーレッド・レイン』も発動を無効化されるだろう。

 

 今発動すべきなのではないのか? そうすれば、警戒していたサイバー・エンド・ドラゴンの素材である本物のサイバー・ドラゴンは全て除外される。やっかいなサイバー・ドラゴン・ノヴァも除外される。

 更にこのターン自身以外の効果を受けなくなる付与効果を得ることにより、レッド・デーモンズ・ドラゴンはこのターンのみ真の力(ATK3000)を取り戻す。

 

 発動しない理由があると言うのか? あると言えるのか? あると思っているのか?

 

 

 

 

 

 (俺なら……発動するな。迷いなく。

 

 サイバー流には、除外からサイバー・ドラゴンを戻す手段も存在している。

 それだけ聞けば悪手のように解釈する者もいるだろうが、この状況で一番警戒したいのは、インフィニティでも無ければ、サイバー・エンドでもない。

 

 かつて、単純な攻撃力と言う一点のみを着目されて専用デッキまで構築されたサイバー流、『暴』の化身。

 キメラテック・オーバー・ドラゴン

 

 融合素材×800の攻撃力を得るあのモンスターを八体以上の素材で召喚されれば攻撃力は6400。ブラック・ガーデンで攻撃力を半減させても3200。

 万全のレッド・デーモンズ・ドラゴンでも歯が立たないばかりか、ブラック・ガーデンによって攻撃力800のローズトークンが攻撃表示で遊乃の場に特殊召喚されてしまう。

 

 しかも、キメラテック・オーバー・ドラゴンのレベルは9。レッド・デーモンズ・ドラゴンよりも高い。

 スカーレッド・レインも己に牙を剥き、赤色の雨は使用者の血で振り注ぐオチだ)

 

 

 「………………………………」

 

 

 遊乃はディスクを操作しようとしない。ただ真っすぐに亮を見据えている。

 

 

 (何を考えている? サイバー・ドラゴン・インフィニティが降臨すれば、スカーレッド・レインは役にも立たなくなる。

 一体、何が狙いだ?)

 

 

 「………………どうやら、スカーレッド・レインを発動する気はないようだな」

 

 「………………うん。そうだね。

 

 少し迷ったけど、いいや」

 

 

 

 

 火武羅遊乃、発動宣言無し。

 

 

 

 「ならば行くぞ!

 サイバー・ドラゴン・ノヴァを素材にサイバー・ドラゴン・インフィニティをエクシーズ召喚!」

 

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ ATK2800(素材1×200+クロック・ワークナイト500)

 

 

 「………………サイバー・ドラゴン・インフィニティが召喚されましたね」

 

 

 「これでスカーレッド・レインの発動が難しくなるんだよね?

 遊乃さんはここからどうするつもりなんだろう?」

 

 

 「デッキを作った偽遊くんでも分からない作戦があるのか、それとも、余裕そうな発言そのものが揺動の可能性もあるね…………」

 (……………………そう言えば、優乃ちゃんってよくそういう作戦を使う子だったなぁ。

 なんだっけ? たしか『キルターンを稼ぐ為の盤外戦術(トークスキル)』って言ってたっけ) 

 

 

 

 「………………あの、偽遊さん。ひとつ気になったんですけど……質問を良いですか?」

 

 

 「ん? 何?」

 

 

 「【帝王(カイザー)】はどうしてサイバー・レヴシステムを発動する前に、場のサイバー・ドラゴン・コアとネクステア、遊乃さんの場のレッド・デーモンズ・ドラゴンを巻き込んで『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』を出さなかったんですか?」

 

 

 「え……?」

 (言われてみれば確かに。

 

 俺も何故かその可能性を捨てて掛かって考えてたな…………あれ? 何でだ?? 亮は俺とのデュエルでは軽率にキメラテック・フォートレス・ドラゴンを出して俺の場を壊滅させて来た。今更使うのに抵抗がーなんて話じゃない筈。と言うか、何で俺はいつも警戒してたその可能性を全捨てしてたんだ? 普通真っ先に来るだろ。レッド・デーモンズ・ドラゴンが消えれば、スカーレッド・レインの発動条件を満たせなくなって伏せの内1枚が死に札に………………)

 

 

 「あ……」

 

 「…………? 何か分かりましたか?」

 

 「………………すぅーっ……いやいや、ナイナイナイ。ソレは無い。あり得ないあり得ないあり得ない。うん。それは無いわ。うん!」

 

 偽遊は一つ、自分が組み上げたデッキのレシピの中で『理論上可能』な範囲のコンポに思い至る。

 デッキ構成中に遊乃に百回ワガママとダメ出しをされた際に、ヤケクソになって入れた1枚のカードと、遊乃が愛用しているカードとのコンボに。

 

 

 

 

 

 〘ーーちっ!! ならほら!! これで良いだろ!!

 これでお前のエースとコンボしろよ!!!!〙

 

 〘何よそのヤケクソはー! もっとしっかり愛情込めてデッキ作ってよパパーー!!〙

 

 

 〘ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ー!! うるせぇうるせぇうるせぇー!!

 そんだけバカみたいな『引き』がありゃピン刺しでもコンボになんだろ!! あとはテメェでなんとかしろやオラァ!!〙

 

 

 

 

 

 

 

 「いや、あり得ない。アレはあり得ないって。

 そんなサーチ手段皆無、全部ピン刺しのレシピで成立する筈が無い! 専用デッキ組んでようやくってレベルだぞ、そんなのコンボとして破綻してーー」

 

 

 

 「おっしゃあ!! やっと来やがったなバカがぁ!!

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティのエクシーズ召喚に対してカウンター罠カード『昇天の剛角笛(グレイトホーン)』を発動!!!

 

 メインフェイズのモンスターの特殊召喚を無効にして破壊。

 

 その後相手はカードを一枚ドローしてバトルフェイズに強制移行する!!」

 

  

 

 「インフィニティの召喚無効に、バトルフェイズへの強制移行……!!

 

 くっ……ドロー!

 

 オレの場ある攻撃表示モンスターは『サイバー・ドラゴン・コア』一体のみ。とても攻撃出来る状況ではない。

 メインフェイズ2へ移行して……」

 

 

 「逃がすかぁ!! バトルフェイズ、スタートステップ時。リバースカードオープン、罠カード『ヴォルカニック・エミッション』!!

 

 デッキからヴォルカニックモンスターを特殊召喚出来る!!」

 

 

 「『ヴォルカニック・エミッション』だと!? 『スカーレッド・レイン』も『火霊術ー「紅」』も伏せることなく手札に持ったままだったと言うのか!?」

 

 

 「人間ってのはどいつもコイツも、『派手』を見せてやるとコロッと騙されるよなァ?」

 

 

 「ぐっ……!!」

 (なんということだ……!! 警戒してきた筈だったのに、完全に罠にハメられた!)

 

 

 「ーー放出せよ悪意の(げきじょう)を! 泣き叫べ罪無き命(ひがいしゃ)共!! 

 私は私の意志に寄り、命を狩り取る唯一(ひとり)人類悪(ほむら)!!

 

 墓石も継ぐ家も断絶する我儘(けつだん)未来(すべて)を焼かれ、私達(わたし)の未来のエサとなれェ!!!!

 

 

 特殊召喚!! レベル8 ヴォルカニック・デビル!!!!」

 

 

 

 

 ヴォルカニック・デビル DEF1300

 

 

 「だが、ブラック・ガーデンの存在により攻撃力は半減。オレの場にはローズトークンが特殊召喚される」

 

 

 

 ヴォルカニック・デビル ATK1250

 

 

 

 ローズトークン ATK800

 

 

 

 「ハハ……アハハハハハハ!! 決まった!! ばっちり決まったよ!! アハハハハハハハハハーーー!!!!」

 

 

 「うっそだろオイ…………マジで成立させやがった………………」

 

 

 「何だ……? 何が起きたと言うんだ?」

 

 

 

 「フフフ……ヴォルカニック・デビルは、相手バトルフェイズ中に攻撃可能な攻撃表示モンスターが存在する場合に必ずこのモンスターに攻撃させる滅びの悪魔!」

 

 

 「必ず攻撃させるモンスター……っ!!」

 

 

 サイバー・ドラゴン・コア ATK450

 

 ローズ・トークン ATK1300

 

 

 

 「優乃ちゃんが狙っていたコンボは、ブラック・ガーデンでローズトークンを相手の場に特殊召喚して、ヴォルカニック・デビルに攻撃させるものだったんだ……」

 

 

 「ヴォルカニック・デビルの守備力は今、1300。

 亮サマの場の攻撃表示モンスターは攻撃力450のサイバー・ドラゴン・コアがいる」

 

 

 「サイバー・ドラゴン・コアがヴォルカニック・デビルに攻撃力すれば、850ポイントのダメージが亮を襲う。

 そして、次の彼女のターンに攻撃表示のローズトークンをレッド・デーモンズ・ドラゴンで攻撃してゲームエンド。

 火武羅遊乃…………まさか本当に亮に勝つって言うの……!?」

 

 

 「ろ、ローズトークンは必ず攻撃表示で特殊召喚されるのも、ヴォルカニック・デビルと相性が良かったんですね。

 ローズトークンは攻撃力800だから、ヴォルカニック・デビルが攻撃力1500になっても本当なら倒せるし……」

 

 

 

 「ウッソだろオイ……そんな隙だらけ穴だらけのロマン砲とも呼びづらいコンボが成立しやがった…………しかもあんなヤケクソのピン刺し角笛で!? ぐうううーーーー……っっ!!」

 

 

 遊乃のコンボに驚くヒロインズと、1人だけ確率論に唾吐く行いに絶望し崩れ落ちる虚路居偽遊。理論派は崩れると弱い。

 

 

 

 「アハハハハハハ!!!! さあ、準備は出来たかな? 怖くないよ、側においで!! 

 

 生者の呼吸(イキ)が絶えるまで、私の(ほむら)は世界を燃やす!!

 

 アハハハハハハハハハーー!!」

 

 

 

 「………………悪いが、そうは行かないようだ」

 

 

 「え?」

 

 

 「火武羅遊乃。

 

 『スカーレッド・レイン』と『火霊術ー「紅」』。

 

 エンドゲームに持ち込める2枚のカードを敢えて伏せずに置くことで、オレの意識からその二枚以外の可能性を消し去り、この状況を作り上げたこと。驚嘆と尊敬に価する。

 

 キミも紛れもなく真のデュエリスト。

 だからオレも、惜しみない全力をキミに注ごう。

 

 

 速攻魔法『サイバーロード・フュージョン』を発動!!!!」

 

 

 

 「そのカードは……あ」

 

 

 「自分のフィールドと、除外状態のモンスターを素材に『サイバー・ドラゴン』を指定する融合モンスターを融合召喚する。

 

 

 オレは、フィールドの2体のサイバー・ドラゴン、サイバー・ドラゴン・コア、サイバー・ドラゴン・ネクステア。除外状態のサイバー・ヨルムンガンド、キメラテック・ランページ・ドラゴンの6体を生け贄とする!

 

 

 出でよ!! キメラテック・オーバー・ドラゴン!!!!

 

 

 

 キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK5300

 

 

 「………………ブラック・ガーデンの効果発動」

 

 

 火武羅遊乃 LP2300

 

 

 遊乃が歯噛みしながら自分の場のローズ・トークンを見る。

 必殺のコンボの一助となった筈のブラック・ガーデンだったが、薔薇のトゲは触れるもの全てを平等に傷つける。

 ここにローズトークンさえいなければ、まだ遊乃はライフを残せていたというのに。

 しかし、キメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃力を半減させて、ローズ・トークンさえ居なければというイフを生み出したのもまた、この黒薔薇の庭だ。植物は、何もかも人間の思い通りにはいかない。まして、焼くために育てた花が復讐に向かうのも止むなきこと…………。

 

 

 

 キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK2650

 

 

 

 

 「………………」

 

 

 「キメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃!

 

 エヴォリューション・レザルト・バースト!!!!」

 

 

 キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK2650

 

  VS

 

 ヴォルカニック・デビル DEF1300

 

 

 「うぐっ……!!」

 

 

 「第二打!! エヴォリューション・レザルト・バースト!!!!」

 

 

 キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK2650 VS ローズトークン ATK300

 

 

 

 

 往年のガチカード、キメラテック・オーバー・ドラゴン。

 その脅威とは、爆発的に上がる攻撃力……そして、融合素材にしたモンスターの数だけ一度のバトルフェイズで攻撃出来る、必殺の極光の連続掃射能力。

 時代が進み、移り変わっても。未だこのカードの強みは色褪せず。また、代替の利かない必殺のカードなのだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 「きゃあああああーーー!!!!」

 

 

 

 火武羅遊乃 LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……………勝敗の差は、グレイトホーンの一枚のドローだけだったな……」

 

 

 遊乃のライフがゼロになったのを見届けて、亮がぽつりと呟く。

 手札には彼の最も信用する切り札、『パワー・ボンド』のカード。サイバー・エンド・ドラゴンを喚ぶための布陣は整ってはいた。

 しかし、スカーレッド・レインの存在により安易にそれを発動は出来ず。ならばキメラテック・フォートレス・ドラゴンを召喚してレッド・デーモンズ・ドラゴンを墓地へ葬り去るべきだったが、それは彼の理屈では辿り着けない直感が警鐘を鳴らし続けていたため出来なかった。

 

 もし、キメラテック・フォートレス・ドラゴンを喚んでいれば、グレイトホーンで葬り去られバトルフェイズへ移行。その上、素材となる機械族モンスターは合計で五体となり、遊乃のライフを削り切ることは出来なかった。

 そうなれば、次のターン。ダメージ無効から解き放たれたバーン使いに自由を許すことになる。結果だけ見れば完全な愚行だ。

 

 この理屈が偽遊にも、もちろん他の皆にも感じ取れる筈がない。彼らはあくまでこのデュエルの部外者。盤面を理屈で俯瞰していただけ。

 当事者として戦いに臨みカードを引いていた亮だからこそ感じ取れた直感と、カードの殺気を見過ごさなかった丸藤亮は……やはり【帝王(カイザー)】の名に相応しきデュエリストだった。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「シンクロ召喚……見せてもらったよ。ありがとう、火武羅遊乃」

 

 「むぅ〜〜……あーはいはい。どうもですぅ……対戦ありがとうございました」

 

 悪手を求め手を差し出した亮に、むくれながらも礼儀としてしっかり応じた遊乃。

 

 

 「ひとつだけ聞きたいんだが。

 

 キミのプレイングは、おそらく偽遊の構築したデッキとは噛み合いが良くないのではないか?」

 

 「…………………………あの人はデッキに前提で高い水準を求めつつもトータルバランスを重視するからね。

 私みたいにとにかく押せ押せで押し切る脳筋は理解し辛いみたいだね……デッキ作りで一番苦戦してたのが、私との相性のチューニングだったみたいだし」

 

 「フフッ。キミほどの策略家が脳筋とは謙遜も良い所だが……少しでも長く楽しみたい偽遊と、隙あらば瞬殺が基本のキミとでは、考え方に違いが出るのだろうな。

 

 そのデッキ、これからどうする?」

 

 

 「まあ、遊乃ちゃん好みにチューンしていくよ。

 取り敢えず、EXデッキが真っ白ってのは好みじゃないかな」

 

 

 「そうか。

 

 そのデッキが完全にキミ好みに染まった時、またデュエルしたいものだ……偽遊とは違うタイプの実力者のデュエリストは、得難いからな」

 

 

 「…………………………ま、ファイトマネーでも出るなら考えるよ。

 

 その時までに、プロでたくさん稼いでおいてね。()

 

 

 「ああ。楽しみにしておくよ。()()

 

 

 

 

 

 

 こうして、デュエルアカデミアのワンキル二大巨頭同士の激突は、後腐れなく幕を下ろしたのだった…………。

 

 

 

 












 デュエル後、偽遊くんは確率論の敗北にショックを受けて、小一時間ほどレイプ目で水飴をネリネリするだけの生き物になりましたとさ。
 何故か隣には真似してネリネリする構ってちゃんの姿があったそうな……。


 













 


 下はデュエル後帰り道のちょっとした、いち風景
 






【挿絵表示】

遊乃とカイザーのデュエルは

  • 面白かった
  • つまんなかった
  • 遊乃の個性は出ていた
  • カイザーの個性は出ていた
  • 両方とも個性が出ていた
  • 両方とも没個性だった
  • もっと観たかった
  • そんなことより丸藤兄妹対決はよ
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