遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
ちょっとだけもしもの未来の話をしよう。現代から此処に繋がるかどうかは、エンディング分岐のフラグ回収次第。
ー本編より未来の世界ー
ここはとあるマチの裏通りでひっそり経営されている
しかし、この店のおかげで周囲を気にせずに話が出来る者達もいる。
ここに居る雑誌記者と、未来の三沢大地もそんな恩恵を受ける数少ない常連客だ。
”さて、早速インタビューさせてもらいます。
事前にお伝えした通り、今回は三沢さんの嘗ての同級生でありプロデュエリストのトップランカー、通称【テンサバイバー】の一人。【
よろしくお願いしますね、三沢大地さん”
「ええ、よろしくお願いします」
注文したコーヒーを一口付けて、笑みで返事する未来三沢。その姿勢には、場慣れした余裕が見えた。
”さて、ここ数年のカードゲーム界は大革新の時代でした。プロリーグに新興組織である【キマイラ教】が参入してからと言うもの、それまでの総ての評価が過去になったと言われています。
ファンの間では有名な格言として『デュエリストには二種類いる。【キマイラ教】か二軍プロか』と言うものですね。
かつてのプロランク制度で名を馳せたエックスプロが、真っ先に移籍したことも記憶に新しいですね。
当時は『強者へのすり寄り』『プライドとか無いんか』と嘲笑されましたが、今では『今世紀最強の先見の明だった男』『オレら間違ってましたごめんなさい』と、賞賛と畏怖の対象になっています。
そんなプロの世界で数少ない『キマイラ教ではない一軍プロ』として大きな支持を得ている【丸藤兄弟】の弟である丸藤翔プロですが、学生時代はどのようなデュエリストだったのでしょうか?”
「そうですねえ……僕と丸藤くんは、噂の【キマイラ教】の信仰対象として崇められている虚路居くんとも同級生で、あの万丈目準くんともう一人のデュエリストの四人で誰が最初に彼を倒すのか競い合っていた仲なんですが」
”--!?!? 【
あ、すみません三沢さん。取り乱してしまって……もうコレだけでひと月喰っていける特ダネだよ”
「いえ、構いませんよ。
あの男は世間的にはもう『神話が擬人化した存在』とか『デュエリストの神が人の姿で降りて来た者』なんて、凄まじいイメージが付いていますからね。
まあ【
そんな態度だから、本性は結構アホな子なんですが、かえって謎めいた印象が付いてしまって。彼のことをよく知らない学生達からは既に今の世間の評価に近い扱いを…………おっと、失礼。偽遊ではなく翔の話でしたね」
(偽遊って呼んだ……!? しかも滅茶苦茶楽しそうに。本当に同級生なんだ……後でサイン頼んでみよう)
「えっと、なんだったかな。
ああそう、学生時代の翔--ゴホン。丸藤君についてでした。
ファンの方には少し意外かもしれません。彼は虚路居偽遊の最初の弟子なんですよ」
何てこと無さそうに、懐かしい話を切り出した未来三沢。そして……。
”ヴゥエアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーー!?!?!?!??!”
あまりの衝撃に耐えきれなかった記者は、椅子から転げ落ちるのだった。
「だ、大丈夫ですか!?」
”ヴぁ、ヴぁいぃ…………(【キマイラ教】か二軍かって中で別枠扱いとされてた丸藤翔が、まさかの虚路居偽遊の最初の弟子!?
こ、これ大丈夫なやつ……?? 私この記事本当に書いて良いのか!? キマイラ教の教徒に暗殺者仕向けられないよねえ!?)”
「頭を打っていませんか? 少し横になっていた方が……」
”い、いいえ。大丈夫です。すみません。このヤマに取り組むのに、私覚悟が足りていませんでした。
神話を生きた者の生き証言、まさに常識と真実を分ける洪水。これはもう、ノアの箱舟からの神託です!
もう動じませんとも! 命を賭ける所存です!!(喀血)”
「は、はあ……??」
(そんなに大それたことでは……いや、あるのか。今やカードゲーム界は『I2社』『海馬コーポレーション』『キマイラ教』の三大巨頭が牛耳っている。なんて言う人もいる位だしな。殆ど居酒屋の酔っ払いばっかりだけど)
”それでですね! 【現人神】がわざわざ最初の弟子に選んだと言うことは、やはり丸藤翔プロは学生時代からお兄さんの丸藤亮プロ同様に才気溢れるデュエリストだったんですよね!? その辺のエピソードを詳しく--”
「あ、いえ。彼は入学当初はオシリスレッドで、成績実技共に下から数えた方がダントツに早くて」
”……………………げぷっ”(常識と現実のギャップに耐えられなくなった音)
「特に偽遊が翔にデュエルを教えることになった最初の頃なんて、翔があまりにも後ろ向きな性格だったから偽遊のやつ、ジープに乗って『生き残りたかったら勝手に轢き殺されないようにして』と言わんばかりに追い回し始めて。
しかも夜までやってたものだから、オレが頼まれて食事を差し入れたんだったなぁ。ああ、そうそう。その時も偽遊のやつ、翔だけ食事抜きにしてて、本当に無茶苦茶やってたなあ、あの頃は。
ああ、一年生の頃の話で思い出しました!
翔が【
”…………………………………………(あ……)”
…………情報の処理が追い付かなくなった記者の脳は生存本能で気絶を選択。その後の話は、今回の取材のMVPボイスレコーダー先輩が黙々と記録していくのだった……。
サ店のマスター(今日は売上が出たなぁ〜。二カ月ぶりくらい?)