遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
陰キャお姉ちゃんと朝四時の方もよろシャス。
観客席Bにて
「んお~あの悪い意味で攻守のバランスを意識してた坊やが、随分と見応えのあるデュエルをするようになったんなぁ」
「その代償として、ウサギたちは死ぬほど不毛な時間を過ごしましたけどねえ~」
「ところで、あのグスタフ・マックスとか言う糞バーンを撃ったモンスターは誰の提供なんだぁ?」
「そりゃあもちろん、この可愛い遊乃ちゃんですよ。一枚でデッキからレベル10が簡単に二体並べられるカードが手に入ったら使おうと思ってたんだけど……偽遊さんから貰ったデッキの方が全然強いからあげちゃった~」
「気軽に言ってるけど、ほんとにあげちゃって良かったの優乃ちゃん? ライフ半分のダメージって、すごーく強いと思うんだけど……」
「いーのいーの。ノーマルのダブってたのを上げただけだから。
それに、使わないでおくのももったいないし、乗り物デッキ使いの翔君に『列車』ってのもいいじゃん?」
「さっすが優乃ちゃん。優しいね(優しい笑み)」
「たっぷり出すもん出して貰ったしね~♪ 新学期前の帰省までの間、翔君の高校生活はもやし生活だね☆」
「さ、さすが優乃ちゃん。酷いね……(ドン引き)」
丸藤翔 LP700
手札 2枚(夜光列車ブルートラベラー)
場 魔法吸収(永魔)
丸藤亮 LP2000
手札4
場
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800
「オレはカードを二枚伏せて、ターンエンドだ」
亮のターンが終わり、一巡目が回り切る。全てを予定調和で済ませなければならない、デッキがデュエリストに奉仕する『当然の一巡目』が。
ここから先は『査定の二巡目』の世界。次は使用者が、自らのデッキに存在価値を示すのだ。デッキに
デッキが強いだけでは成立しない決闘と言うやり取りはココから始まる。
(……グスタフ・マックスを護り切れれば、このターンで効果を発動して残り2000ライフポイントを焼いて勝利。なんて夢見がちな勝ち筋は、当然成立しなかった。当然だ。あんな見えてる敗北をどうにか出来ないお兄さんじゃない。
だからこそ、コンベックス・ナイトの効果で準備した『このカード』の出番っス。
なんだろう、場ががら空きで手札も消費してるって言うのに、こんなに落ち着いている。
次のドローに怯えるんじゃなく、既に前のターンで用意していたカードから戦略を立てられるって、こんなに心強いものなんだ…………)
翔の脳内に、口も性格も『アレ』な師匠の背中が浮かぶ。
ああ、あの男はこういう戦術で常に戦ってきたのかと。
「比べてしまえば幼稚な模倣だけど、それでも僕のこの一歩は未来に続く一歩だ。
僕のターン、ドロー!」
翔が引いたカードを確認する。
そしてすぐに、用意しておいたカードを使用した。
「手札から『夜光列車ブルートラベラー』を捨てて効果発動。
デッキ・墓地から『機関連結』か『転回操車』を手札に加える。
僕はデッキから『転回操車』を加える」
「ブルートラベラーに転回操車。ビークロイドとはまるで違う、列車モチーフのカード達。
今の翔のデッキ、一体どんな構築になっているんだ……?」
「きっと、色んな乗り物で構成されてるんだなあ」
「フィールド魔法『転回操車』を発動。
②の効果で、手札を一枚墓地へ送って機械族・地属性・レベル10のモンスターを手札に加える。
僕が加えるのは『弾丸特急バレット・ライナー』。
魔法吸収の効果でライフを500回復」
丸藤翔 LP1200
「そして、墓地の『夜光列車ブルートラベラー』の効果発動。
墓地の機械族・地属性モンスターを対象にして、そのモンスターと自身を特殊召喚するっス。
僕は墓地の『スーパービークロイド-モビルベース』を対象にして、二体を特殊召喚!」
スーパービークロイド-モビルベース DEF5000
夜光列車ブルートラベラー ATK2500
「上手い! 前のターンでグスタフ・マックスを喚ぶために使用しただけのモビルベースを、こんな形で再利用するとは……」
「フッ、翔のヤツ。味な真似しやがるぜ」
「モビルベースの効果発動。
相手表側モンスターを対象に、対象の攻撃力以下の『ロイド』モンスターをデッキ・EXデッキから特殊召喚する。
サイバー・ツイン・ドラゴンを対象にします」
「ならばこの瞬間、リバースカードオープン。
永続罠カード『スキル・ドレイン』!
ライフを1000ポイント払い、フィールドの表側モンスター全ての効果を無効にし続ける!」
丸藤亮 LP1000
「あっちゃあ、さっそくあのカード引かれてたかぁ。
けどライフは残り1000。遊乃ちゃんのデュエルの時よりは、ずっと焼きやすい数値だ」
「モビルベースの効果は無効になった。
けど、スキル・ドレインは読んでいた!」
「ほう、ならばどうする。翔?」
「手札から『弾丸特急バレット・ライナー』を特殊召喚します! このカードは自軍が、機械族・地属性のモンスターのみの場合に特殊召喚出来る。
そしてその攻撃力は、サイバー・ツイン・ドラゴンを上回る攻撃力3000!!」
弾丸特急バレット・ライナー ATK3000
「このカードは、本来なら攻撃するためにフィールドの自分のカード二枚を墓地へ送らなければならない。
けれど、今はお兄さんの『スキル・ドレイン』でその効果は無効になっている」
「なら掛かってくると良い。サイバー流は真正面から受けて立つ」
(お兄さん、まるで動じていない。あのリバースカード、やっぱりなんらかの防御カードの可能性がある。
まず『リミッター解除』は無い。あったら前のターンでサイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力を上昇させてゲームエンド。
だとするとやっぱり攻撃反応系か、フリーチェーンのカードの筈。
お兄さんのこれまでのデッキを考えると、魔法の筒みたいな直接ライフにダメージを与えて来るようなカードの可能性は低い…………なら!)
「行きます、お兄さん!!」
「来い、翔!!」
「バトルフェイズ。
弾丸特急バレット・ライナーで、サイバー・ツイン・ドラゴンに……」
「いいや、先ずはバトルフェイズ開始時だ。リバースカードオープン。
速攻魔法『禁じられた聖冠』!! フィールドの表側モンスター一体を選んで
●効果は無効化される。
●攻撃できない。
●戦闘・効果で破壊されない。
●自身以外が発動した効果を受けない。
●リリース出来ない。
●融合・S・X・L召喚の素材に出来ない。
の効果全てを、ターン終了時まで適用する! これでお前の弾丸は不発だ」
(何かえげつないデバフ入った……!!!! って言うか、真正面から受けるって話は!?!?)
「あ、あまりにも想定外っス……そんなカード、偽遊君すら使ってなかったのに」
「ん? 偽遊はオレとのデュエルで嬉々として使っているぞ?
使うたびに『ウェエエエーイwwwwwwパワボンサイエン鉄クズザマァwww』とか喜んでいる……アイツ、サイバー・エンド嫌いなんだろうか……??」
「--あの野郎あの強さで、まだ隠してる『上』があるんか!?!?」
「アイツの進化も底なしだ。何処から手に入れているのか分からんが、新たなカードを手に入れてはデッキに組み込んで強化してきている。
もはや有名になっている遊城十代とのデュエルの時の名残は殆ど無い。
翔、生半可なことでは、オレ達は奴の足元も見えないからな! フフフフフ……(嬉)」
「何でそんなに嬉しそうなんですか、お兄さん? 十六年貴方と兄弟やってて初めて聞きましたよ、その声色?」
「……ゴホン。さあ、デュエルを続けるんだ。翔!」
「流した。誤魔化した。しかも凄い下手くそに…………。
ええい! 『禁じられた聖冠』が発動したので、魔法吸収の効果でライフを500回復するっス!」
丸藤翔 LP1700
「バレット・ライナーが攻撃出来ないのでメインフェイズ2へ移行。
カードを一枚伏せて、ターンエンドっス!!」
「オレのターン、ドロー!」
丸藤翔 LP1700
手札 0枚
場
スーパービークロイド-モビルベース DEF5000
夜光列車ブルートラベラー ATK2500
弾丸特急バレット・ライナー ATK3000
魔法吸収(永魔)
伏せ1
フィールド魔法 転回操車
丸藤亮 LP1000
手札3
場
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800
スキル・ドレイン(永罠)
亮が引いたカードを確認する。
…………この一年間で、亮は停滞していた学園生活の二年間を補って余りある成長をした。そして翔も。歩幅は違っても、去年より遥かに前へ。
開始前に言った手加減不要は、翔を奮い立たせるための方便では無い。それでも、今まさに充分過ぎる確信を得た。翔は己の全力全壊をぶつけうる
「メインフェイズ。墓地の『表裏一体』を除外して、効果発動。墓地の『サイバー・ドラゴン』と『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』をデッキに戻して、一枚ドローする。
…………翔、強くなった。だから、オレも……。
行くぞ、翔。手札から永続魔法『未来融合-フューチャーフュージョン・ノヴァ』を発動。
デッキからサイバー・ドラゴンを含む融合素材を素に、機械族・光属性の融合モンスターを融合召喚する!!」
「魔法カードの発動により、魔法吸収でライフを回復。
ついに来るのか。お兄さんの……!!」
丸藤翔 LP2200
「デッキから三体の『サイバー・ドラゴン』を融合し--出でよ、サイバー・エンド・ドラゴン!!!!」
サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000
「出た、カイザーのエース。サイバー・エンド・ドラゴンだ!」
「弟相手にも容赦無しか。フフッ、翔のヤツ、笑ってやがるぜ……」
「翔ー! 気張るんだなー!!」
「翔もカイザーもさっきから一撃必殺の超火力の応酬だな。迫力デカすぎだぜ。
ワクワクし過ぎて、オレも混ざりてぇー!」
「装備魔法『エターナル・エヴォリューション・バースト』発動! サイバー・エンド・ドラゴンに装備する」
「魔法吸収発動。ライフを500回復」
丸藤翔 LP2700
「バトルだ! サイバー・エンド・ドラゴンで、夜光列車ブルートラベラーに攻撃。
エターナル・エヴォリューション・バースト!!!!」
サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000 VS 夜光列車ブルートラベラー ATK2500
「ぐううううーー!!!!」
丸藤翔 LP1200
「ダメージステップ終了時『エターナル・エヴォリューション・バースト』の効果発動。
墓地の『サイバー・ドラゴン』モンスターを除外して、装備モンスターは続けて攻撃出来る!
弾丸特急バレット・ライナーに攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000 VS 弾丸特急バレット・ライナー ATK3000
「ぐうううううううううううううぅぅぅーー……ッッ!!!!」
丸藤翔 LP200
「ハァ……ハァ……!! ぎ、ギリギリ残った!!
サイバー・エンド・ドラゴンの連続攻撃は、衝撃が強すぎて膝に来るっスね……」
「フフッ。だったらまだまだ鍛えが要るな。
「お兄さん。今は人間の基準で話をしているので。
バケモノの基準はまた後でお願いします」
「だが、そのバケモノを越えるのだろう? オレと同じく」
「フフフ。はい!
お兄さんが歩む道を、僕もこのデッキを乗りこなして追いつけ追い越せ。
デッキのスピードに振り回されない操縦技術をしっかり身に着けてからっスけどね」
ライバルの実力を語る亮。目標を目指して駆ける覚悟を語る翔。
両者とも、イバラの道を進む足取りに似合わない、希望に満ちた笑みで笑った。
「カードを二枚伏せて、エンドフェイズに入る」
「ならエンドフェイズ時、墓地に送られたバレットライナーの効果発動。墓地から機械族地属性モンスターを手札に加える。
僕が手札に加えるのはコンベックス・ナイト!」
「ターンエンドだ」
査定の二巡目にエンド宣言が入る。
ここから先、ソレっぽい言葉は全てが戯言。勝ち残ったものが勝者だ。
(僕のターンが来る。さっきとは打って変わって、ドローに全てを託さなくちゃいけない博打のターンだ。
手札はコンベックス・ナイト1枚だけ。コレじゃ足りない。ドローに、賭けるしか無いんだ……)
『たった一枚のドローで奇跡の勝利。大逆転のジャイアントキリング。そんなメイクドラマが、実際にどれだけ起こると思う?』
ふと、翔の頭の中に偽遊の言葉が浮かんだ。
『…………答え。主人公の運命の数』
(あのクソ師匠は……あれだけ強くて、なのにまるで自分の力を信じていない。まるで何かに挫折して、心を折られたみたいに。
それはきっと、今の僕には絶対に理解できないものなんだと思う)
『奇跡のドローなんて起きない。勝つべきときに勝つことも出来ない。
助けたい相手に伸ばした手が掴んだのは『虚ろ』。握った拳の中には『何もない』があるだけ。地獄と後悔が廻り移ろい、小さなヒーローになることすら許されない。生きる価値も無い下らない命だ』
(僕は、ううん。僕
ただ、憧れた人達に近づきたくて。失敗する前に諦めて立ち尽くすのを止めただけ)
『『俺たち』にとって、追い込まれた末のドローフェイズは生か死か。命の話じゃない。人生にこれくらいしか無い負け犬にとって、デュエルでの敗北はイコール
(そんな風に、ただ自分の誇りの為に全身全霊の
『最後のドローは死刑台だ』
『負けたくない、ただ負けたくない!!』
(あんな風に、冷笑系と見せかけて、熱い心を持っているわけじゃない。だから…………)
翔が
遊城十代、いつも楽しそうにデュエルをする。最近ちょっとグレてたけど。今は前以上に楽しいデュエルをしている。
虚路居偽遊、強敵との闘いを愉しむ戦闘狂。学園最強の座に君臨する、死にたがりのやべえ奴。タマに、ちょっと本気でかっこいいと思うことがあるなんて、死んでも言いたくない。
そして、丸藤亮。いつも自分の風上に立つ、最高のデュエリスト。一番
尊敬する三人のデュエリスト達から、少しずつ吸収して現在の丸藤翔が象られた。
「師匠の教えに、アニキの背中、そしてお兄さんの進む道。
全部をちょっとずつ吸収して強くなっていくんだ。だから、偽遊くんはドローには頼らないって言ったって、僕の
だからいいトコ取りして、僕は僕なりのやり方で戦い抜くよ!! ドロー!!!!」
自分を鼓舞するように大声を上げてカードをドローする。
運命力に見放された虚路居偽遊の弟子である、主人公でも無い丸藤翔がドローしたカードは………………。
『ドローパン』
「………………お、おおう…………」
思いっ切り顔を引き攣らせる、翔(LP200)なのだった。
丸藤翔 LP200
手札2(コンベックスナイト ドローパン)
場
スーパービークロイド-モビルベース DEF5000
魔法吸収(永魔)
伏せ1
フィールド魔法 転回操車
丸藤亮 LP1000
手札0
場
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800
サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000(エターナル・エヴォリューション・バースト装備)
スキルドレイン
未来融合-フューチャーフュージョン・ノヴァ
伏せ2
良く分かる次回予告
デュエルの少し前。
偽『ロイドでも使えるサイバー? あるで?』
翔『あるのかよ!』
愛(……………………)←偽遊の背中に引っ付いて頬ずりしたり匂いを嗅いでいる勝者
翔『何を女の子侍らせてんすか? モテ自慢すか? 自分、拳良いっすか?』
偽遊『お前なあ、それまでモテない男だった奴がある日突然モテるようになる苦労を考えてみろよ? 現実って結構怖いんだぞ? お分かり?』
翔『『『『ソレがモテ自慢にならねえなら、この世に非モテで苦しむ男は居ねえんだよ人類悪があああーー!!!!』』』』←影分身で4人に増える翔
非モテ『『『『これはモテない男達の分!! これはモテない男達の分!! これはモテない男達の分!! そしてこれは……モテない男達の分だあああああーーー!!!!』』』』
悪『ぎゃああああー!!』
次回、【