遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
シンクロとか使わないのはせめてもの理性。
PM0:15 例の灯台下
「亮、早速だけどこの映像を観てもらえるかしら?」
「動画? 急に呼び出したと思ったら、要件は動画を見せることだったのか? 明日香」
「………………これは……!」
「凄いでしょう亮。彼、翔くんに見せるためにわざわざデッキを組んでこのデュエルをして見せたの」
「ああ。虚路居偽遊。
入試デュエルの時に、クロノス教諭の真の切り札を倒して入学して以来、オベリスクブルーの生徒の何人かが彼にデュエルを挑み、誰も勝てずにいる。
最近では、10対1のデュエルを行って勝ったらしい」
「…………青い花の光景を聞いた後だと、あまり驚かないわね」
「それで、この映像をオレに観せて、どうしたかったんだ?」
「そうね。特に何ってことでもないのだけれど……」
「?」
「お互いに良いライバルになれそうじゃない?」
「………………ライバル、か」
(フブキ……お前は今どこにいるんだ)
「なんなら、今からでも彼と会ってみたら? 翔くんもお世話になってることだし。お兄さんとして、ね」
「………………そう、だな」
「俺のターン。ドロー」
丸藤亮は後攻を得意とするデュエリスト……と言うか、先攻で有効な動きが出来るデッキ構成になっていない。原作でもカイザーが先攻だったのって、十代との二戦目、三戦目もか? 位のもんじゃねえか? 違ったら知らん。
「頑張るんだなー! 偽遊。カイザーが相手でも、お前ならきっと勝てるよー!」
「そうだ! 負けるな偽遊ー!」
隼人と十代の応援の声が聞こえる。分かったから落ち着け。思考が勝敗に直結するカードゲームで声援なんて邪魔にしかならんから。
さてと。手札のカードは……………………うん。
「ターンエンドだ」
「ーー何!?」
俺のドローゴー宣言に、それまでクールぶってたカイザーが、目を見開く。しかし改めて見るとイケメンだなコイツ。このツラでレイたんの初恋を奪ったのか。ケッ。
「まさか偽遊、手札事故か?」
「そんな……っ! こんな大事なデュエルで……気張れー偽遊ー!!」
「………………」
「………………」
「………………そっちの番だけど」
「っっ!! あ、ああ。
オレのターン、ドロー!」
「……?」
呆気にとられた表情から一変して、カイザーは整った顔筋を引き締めてカードを引いた。
しかし何だあの表情。なんつーか……こう……下まつげの無いヘルカイザーみたいな?
「どうやら手札事故を起こしたらしいが、今のオレは容赦はしないぞ!!
手札から、魔法カード『融合』を発動! 手札の2体のサイバー・ドラゴンを墓地へ送り、サイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800
(やっぱりおかしいな。この時代のカイザーは、
少なくとも、こんな最適な勝利の一手を打ってくるような知能は、ヘルカイザーになった後も付いてなかった。具体的にはキメラテック・オーバー・ドラゴンとサイバー・ダーク・ドラゴンを盤面に並べたり、ヘル・ドラゴンを守備表示で出したり、そもそもサイバー表裏混成でサイバー・レーザーとか入れたままになってる割に勝利をリスペクトするとか言っちゃってるくらいには終わってるヤツ。もはや伸び代など無いも同然。最終的には翔以下の立ち位置で終わっていたからこそ、気にも止めずに捨て置いた雑魚だ。
「バトルだ! サイバー・ツイン・ドラゴンで、ダイレクトアタック!!」
「マズイわね。サイバー・ツイン・ドラゴンは、一度のバトルフェイズで2回攻撃が出来るわ」
「ええ!? それじゃあ、2回とも攻撃されたら、偽遊の負けじゃん!」
「偽遊ーー!! 負けるなあああー!!」
「そんな騒ぐなって。うるせえなぁ。
手札から、深淵の獣ドルイドヴルムの効果発動!
カイザーの墓地のサイバー・ドラゴンを除外する」
「何!? オレのターンに手札からモンスター効果の発動だと!?」
「そして、このカードを特殊召喚する」
深淵の獣ドルイドヴルム DEF 2000
「ならば、そのモンスターを攻撃するのみ! 行け、エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800 VS 深淵の獣ドルイドヴルム DEF2000
「ドルイドヴルムの効果発動。フィールドから墓地へ送られた場合、特殊召喚されたモンスター一体を対象に取って墓地へ送る!」
「馬鹿なっ!? 相手のターンに特殊召喚出来るだけでなく、相手のモンスターを破壊するモンスターだと!?」
哀れ。サイバー・ツイン・ドラゴンは爆発四散。まあ、この世界のデュエルディスク、相手のカードの確認とか出来ないから、仕方ないんですけどね。
「そんな……お兄さんが、手玉に取られてる…………」
絶望したような声が聞こえる。俺が人の不幸を啜るタイプの妖怪なら、さぞ美味い嘆きだろうな。
「ならば、速攻魔法『エターナル・サイバー』を発動!
墓地のサイバー・ツイン・ドラゴンを特殊召喚する!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800
都合良く良いもん持ってんじゃねえよ。だからサイバー流積み込みドローとか言われるんだぞ。
「おおっ! 今度はカイザーが応戦した!! すっげえデュエルだぜ!!」
楽しそうだなあ主人公は。
「勿論これは、バトルフェイズ中の特殊召喚だ。蘇生したサイバー・ツイン・ドラゴンは、再度攻撃出来る!! これで終わりだ!!
エターナル・ツイン・バースト2連打ァ!!」
「手札から、深淵の獣バルドレイクの効果発動! 墓地の二枚目のサイバー・ドラゴンを除外して、手札から特殊召喚」
深淵の獣バルドレイク DEF2000
「くうっ……! 行けえ!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン ATK2800 VS 深淵の獣バルドレイク DEF2000
「ぐっ……!!」
虚路居偽遊 LP1200
「まさかこれだけ攻撃して、防がれるとは……」
「まさかこの時代で、こんだけモンスター喚んでライフが消し飛ぶとはなぁ……」
これだから火力バカは恐ろしい。絶対に対策無しではやりたくない。
「メインフェイズ2に、強欲な壺を発動。カードを2枚ドローする。
カードを2枚伏せて、ターン終了……」
「おっと、そうは行かねえよ。お前らは知らねえかも知れねえけどな、相手のメインフェイズが終了する前に、自分が出来ることがある場合行動することが出来るからな」
「またビーステッドを特殊召喚するつもりか……!」
「いいや? この状況で特殊召喚することで旨味のあるビーステッドモンスターはいねえよ。
だが、大事なことを忘れてるぜ。俺は
「…………!? まさか、俺のターンに融合召喚を行えると言うのか!? リバースカードの一枚も無く!!」
「ああ。出来るとも。
俺は手札の『エッジインプ・サイズ』の効果を発動する。
このカードを含む素材で融合することにより、『デストーイ』融合モンスターを融合召喚する。融合素材は、ファーニマル・ウィングだ」
シャキン。シャキン。と、金属の擦れ合う嫌な音がする。例えるならシザーマンだ。クロックタワーの。ぴっったりな表現だと思うねえ。これ以上があるなら是非聞こう。敗北を知りたい。
「ひいっ!? な、なんすかこの不気味な音!?」
「……っ、ちょっと、怖いわね」
『罪を重ねて、痛みを重ねて、想いを重ねて、私を重ねて。
刃は血と絶叫で彩られる。
さあ……獲物の悲鳴を嘲笑おうぞ!!
融合召喚! レベル9 デストーイ・クルーエル・ホエール!!』
デストーイ・クルーエル・ホエール ATK2600
シャキーン! シャキーン!!
『ギアアアアアアアアアーー!!!!』
「ーーっっ!?」
「さあ、遊ぼうか……」
と、言うわけで偽遊くんが作ったデッキは
デストーイビーステッド+αでした。まあ、相性の関係でキマイラも全抜きってことは無かったんですけどね。意味もなく一枚初動をリストラするなんて大会勢にはちょっと出来ない所業でした。