遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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この話は場合によってはオールフィクションによる無かったことにした話になるかもしれません。


おい主人公、オマエ本当にそれでいいのか

 12:30 灯台下

 

 自身に画像を観せた後、満足して去っていった明日香を見送った亮は、無意味に正しい姿勢の立ち姿で海を眺めながら思いを馳せていた。

 親友の忘れ形見とも言える少女、天上院明日香。彼女の柔和な笑みを最後に見たのはいつだったか? 天上院吹雪が消息不明になってから二年が経ち、二人で行方を探している間、そんな笑顔を見た記憶は亮には無い。

 

 「…………虚路居偽遊。それに遊城十代。

 全くタイプの違う二人のデュエリストと関わるようになって、明日香は少しずつ以前の明るさを取り戻してきている。

 

 吹雪(ヤツ)も、自分がいないことで明日香が暗い表情をしている位なら、今の変化を喜ぶだろうな」

 

 

 行方不明の親友を、諦める訳ではない。

 親友を捜索することに、負担を感じたこともない。

 

 ただ、丸藤亮は、天上院明日香の明るさが戻ることを、喜んでいるだけだ。

 

 

 『だがもし、天上院吹雪の失踪の原因が……虚路居偽遊だとしたら、キミはどうする?』

 

 「ーー誰だっ!?」

 

 背後から声が聞こえた。亮が咄嗟に振り向くと、そこには目元を隠す仮面を付けた白いローブ姿の人間が一人立っていた。性別は不明。僅かに読み取れる情報は、自分より低い身長と、口元の僅かな露出部分。なお、亮は知る由もないが、付けている仮面は、吹雪がダークネスとなった仮面だ。

 

 『私はこの世界を観劇する者。過干渉を避けるために本名を名乗る訳には行かないが……そうだね。ここは、Theatre goingから取って、ミスターTとでも名乗るのが王道だろうか』

 

 「ミスターTだと? オレに何の用だ」

 

 『ああ。私からキミに向ける要件はたった一つ。

 

 本来起こらない筈だった『天上院吹雪が舞台から消失』した黒幕……虚路居偽遊を倒して、物語をあるべき姿に戻して欲しい』

 

 「虚路居偽遊が、吹雪を……? バカなっ!!」

 

 『何がおかしいと言うのかね? 虚路居偽遊はそんなことをする人間では無いと主張するかい? いやいやキミは彼を何も知らない』

 

 「ーーっっ!?」

 

 『そう。何も知らないんだ。彼の人間性も。彼の理由も。彼の人生も。

 

 キミは突如として転がり込んで来た、親友の情報と黒幕の正体。

 

 何一つとして、否定材料を持ちはしない』

  

 「ならば……!」

 

 『そう! ならば私を信じるに値する理由が欲しい』

 

 「くっ……!」

 (何なんだ、コイツは。全てを見通しているかのようにオレの心を言い当ててくる)

 

 『だが、論理的に考えてみるとどうだろう? キミは私のことも知らない。何も知らない。

 

 信じるに値する何かなど、初めから証明のしようがない。

 

 私は敵か? 虚路居偽遊は? 

 

 何が何が正しくて何が違う? そんな哲学じみた問い掛けに、答えを降ろす神も無し』

 

 芝居がかったローブの人間の声が、亮の思考を惑わせる。

 言うなれば詐欺師の手口。真実のみを口にして、世界を嘘で虚飾する。するとどうだ? 獲物は詐欺師の言葉を否定出来ないがゆえに……(げんじつ)真実(ゆめ)融合(はいじょ)する。

  

 「回りくどい理屈で、オレを惑わそうとしても無駄だ!!」

 

 

 『ではストレートに言おう。

 

 丸藤亮。二年掛けて手詰まりでしかなくなった親友の捜索の為に……嘘かもしれない情報を、無駄足覚悟で確かめるつもりは無いかい?』

 

 「ーーっっ!??」

 

 『キミにとって私からの言葉で確かめられる真実はこれ一つ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 かも。しれない』

 

 「………………!!!!」

 

 『キミの親友は、彼の使う未来のカードによって葬られた。キミが戦うと言うのなら、私はキミにコレを託す。

 

 ()()()()()()()()()()()()を』

 

 

 「サイバー流の……未来……だと」

 

 

 『私に見せてくれ。丸藤亮。未来の力すら操る……キミの進化(パーフェクト)を』

 

 

 

 「オレは…………オレは……っっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 丸藤亮がこうなった原因は誰だ? 

 

 棺桶ジジイか? 天上院吹雪をダシに脅してカード渡したのか? それなら俺と戦わせる意味が無い。タイタンの代わりにセブンスターズに使うならいざ知らず、若返りと永遠の命に執着している死に損ないが、目的以外のことに労力を割く余裕があるとは思えない。 

 

 裏切り占い師こと破滅の光? それならもっと、ヒカリヲヒカリヲしてないとおかしい。

 

 ユベル? 論外だ。十代を行動原理の総てとしているアイツが俺にちょっかいかける理由がない。翔や隼人と接してた時間の方が遥かに長いし、恨みを買う理由を出す前に視界に映っていない理由を探した方が早いまである。具体的には『初手エクゾディア』と『終焉のカウントダウン』くらいのタイムラグだ。

 

 そもそも。あのヤンデレ両性類は、サウス校で教鞭をとってる(はずの)本田レベル100とアンクの腕ごっこしながら一緒にいるはずで、そもそも自立駆動出来なかったはずだ。

 

 

 よって、傀儡はどうあれ。裏で黒幕ごっこしてるカスは、俺視点では消去法で転生者なのが一番自然なのだ。真実は知らん。

 

 

 「んで、どうなのよカイザー。誰にカードを貰って、何を吹き込まれて俺に敵意剥き出しで喧嘩売ってきたわけ?」

 

 「……キサマにそれを教える謂れは無い」

 

 「ふーん。

 

 まあ、大体予想付くから良いんだけどね。俺もお前を好き放題使う方法考えるってなったら、秒で解答出せるし。

 

 例えば『親友のジョインは俺に捕まってる』とか、『俺は異世界の悪のデュエリストで、強力なカードを持っているからフブキングを倒して監禁している』とか。

 適当にパチこかれて、見た目より天然でアホなお前は丸め込まれて良いように騙されたんだろうよ」

 

 「くっ……分かったようなことを……っ! キサマに何が分かる!!」

 

 「分かるよ。

 つか、お前が放置プレイしてるクソバカ愚弟の面倒見てやってんの、どこのどなた様だと思ってんの? オカッパーマンとか禿狸だとでも思ってる? 兄弟揃って遺伝子レベルでアホなのは把握するレベルには俺が面倒見てるからね? 

 大体何だよ機嫌取るために与えるエサが『黄金のたまごパン』か『具無しパン』て。極端なんだよお前ら。やらかす時と活躍する時の差が酷え。丁度いいって言葉を知らねえのか、トンカツ大王に説教されてこい」

 

 「トンカツ…………?」

 

 「真面目に聞きたいんだけどさ、何で俺がわざわざ吹雪ングを拉致んなきゃいけないわけ? しかも二年も寝かせて。その後わざわざ入学してさ」

 

 「そ……それはっ……」 

 

 「例えば妹の天上院明日香を脅して、言うこと聞かせたいとかだったら分かるよ? エッチなことしたーいとか」

 

 今一瞬だけ、天上院明日香の殺気のようなものを感じなくもなかった。気付かなかったことにしやう。いとおかし。

 

 「でも、それでも二年のインターバルはだいぶ意味不明だよな?

 

 実際どうよ? 喋れない。目も合わせらんない。言うこと聞かすどころかATフィールド張りっぱなしと来た。泣きそう。 

 

 ーー信憑性が無さ過ぎるとか思わなかったわけ?」 

 

 「………………」

 

 「黙りか。いやまあ、分かるよ。二年だもんな」

 

 「そこまで言うなら、何故キサマは吹雪が失踪した日を知っているんだ!?」

 

 まるで何か希望の光を見たかのような表情のカイザーは取り敢えず放置で話を続ける。陰キャは会話が下手くそなんだもん。ハハッ。

 

 「急に消えた親友。見つからない手掛かり。友を置き去りに進級して大人になっていく自分や、妹。

 どれもかしこも、正常な判断を狂わせるには充分な毒だし。藁にも縋りたい気持ちになったお前を、責めることが出来るやつなんか、この世にはいねえだろうさ。

 

 でもよぉ……だからこそ俺は気に入らねえんだよ。お前をじゃねえ。行方不明のやつの安否をガチで心配してるヤツの心を利用して、何かしようってカスが本気で気に入らねえ」

 

 「……………………」

 

 「俺自身褒められた人間じゃねえからよ。コイツを殺したら賞金100万円〜だとか、頭からウンコぶっ掛けてやれとか……言われる分には理解するよ。やられたらコロスけど。

 

 でもなあ。カスはカスなりの流儀があるんだよ。殺すべきは、やらされた奴じゃねえ。やらした奴が八つ裂きにされて、生きたまま身体焼かれて、歯も骨も食いやすいように粉微塵にされて、魚のエサになって償うんだよ!!!!」

 

 「……虚路居…………」

 

 「お前が俺を信じられるとか、信じられねえとか、そんなもんは知らん!! 俺がソイツを殺す情報を寄越せ!!

 

 俺のターン!! ドロー!!」

 

 ファーニマル・ベア!! お誂え向きだ!!

 

 「俺は、手札のファーニマル・ベアを手札から捨てて効果発動!! こいつの首をもぎ取って、中身の永続魔法トイポットをデッキから引きずり出す!」

 

 「アレは……ガシャポンか?」

 

 「そして、墓地のファーニマル・ウィングの効果発動ォ!!

 墓地のウィングとファーニマル・ベアを除外。あとトイポットも蹴り壊して中身を違法奪取(ウッハウハ)じゃあ!!」

 

 「ーー説明するのならちゃんとしてくれ!!」

 

 「ウィングの効果でまず一枚ドロー!

 その後任意でトイポットを破壊することでもう一枚ドロー!

 

 その後壊れたトイポットの効果でデッキからファーニマルモンスターをサーチ! 持ってくるのは犬!!」

 

 「あ、ああ……」

 

 「そして意味も無くパッチワークを発動して融合とエッジインプ・チェーン(散歩用の鎖)を手札にドーン!!

 

 素引きしたファーニマル・ペンギンをドーン!! 効果で手札からファーニマル・ドッグをドーン! 意味も無く手札にエッジインプ・シザーをサーチ!」

 

 「……も、もう好きにしてくれ…………」

 

 

 「デストーイ・リペアーでデストーイ・クルーエル・ホエールをEXデッキに戻して墓地からエッジインプ・チェーンをドーン!!」

 

 「虚路居くん、あんなにモンスターを特殊召喚してるのは凄いけど、何をするつもりなのかしら?」

 

 「分からないけど、きっと予想も付かないすっごいものを見せてくれるぜ! 偽遊なら」

 

 「オレは、さっきから、時々なにかした時に()()()()()って言ってるのが、気になるんだな……つまり、モンスターの特殊召喚は意味があるってことなんだろうし」

 

 「偽遊くん…………」

 

 

 ファーニマル・ドッグ ATK1700

 ファーニマル・ペンギン ATK1600

 エッジインプ・チェーン ATK1200

 

 「カイザー。このデュエル、正直俺はどのモンスターで勝つのかってことくらいしか考えてデッキ組んでなかったんだよ」

 

 「……どのモンスターで勝つか?」

 

 「ああ。お前の拘りは、サイバー・エンド・ドラゴンだろ? 今はちょっと拘りくん有給取ってるみたいだけどさ」

 

 「……!!」

 

 「俺は、曲がりなりにも『キマイラ』って呼ばれてるから、せっかく帝王に勝つんなら、ドイツでトドメ刺すのが絵になるかなとか考えてた。なんなら今も悩んでる。

 

 実はデストーイにもキマイラがいるからさ……それを出すのもプランの一つだったんだよな」

 

 「そうか。お前には、まだキマイラがいるのか」

 

 「おう。殺戮用キマイラに、守護神用キマイラ。寝取り用キマイラ(出張)とかいて、その内2つは今まさに出せちゃうからさ。迷うんだよね。

 

 これ、やったらネットじゃ炎上物なんじゃねえかなーって。でもヒャッハー!! ガマンできねえ!! 

 

 見せてやるぜ丸藤亮! サイバー流は進化した!!」

 

 

 「何ーー!??」

 

 「俺は、ファーニマル・ペンギン。ファーニマル・ドッグ。エッジインプ・チェーンでオーバレイ!!!!」

 

 

 「「「「オーバーレイ???」」」」

 

 

 「2つの禁断を乗り越えて、今大地に降り立つ進化の騎士、ここに降臨!!

 エクシーズ召喚!! ランク4、星守の騎士(テラナイト)プトレマイオス!」

 

 星守の騎士(テラナイト)プトレマイオス ATK550

 

 「な、なんすかこのモンスターは!??」

 

 「エクシーズ召喚だって!! かっこいいなぁー!!」

 

 「あんなカード、見たことないんだなぁ!!」

 

 「…………綺麗///」

 

 

 アアアアアアーー!!!! やっぢまっだぜぇ!! この世界では自重してたエクシーズ召喚!!!! カイザーとやるってなってデッキ調整してた時に、視界に入っちゃった例の三点セット!!

 

 ファーニマルはランク4出せる! 融合縛りもない! なんならガゼルだって幻想魔族だってレベル4!! お手軽特殊召喚出来る!!

 

 こんなのもう入れるしかないじゃない!!!!

 

 「そしてプトレマイオスの効果を発動し、呼び出す機械竜こそが、サイバー流の進化系だ!!

 

 エクシーズ・チェンジ!! 機光竜襲雷ーーランク5 サイバードラゴン・ノヴァ!!」

 

 サイバー・ドラゴン・ノヴァ ATK2100

 

 「サイバー流の……進化」

 

 

 「もういっちょう!!!!」

 

 

 「「「「ーー!!!??」」」」

 

 

 「ランクアップエクシーズ・チェンジ!! ランク6 サイバー・ドラゴン・インフィニティイイイイイイイィィィィィーーーーー!!!!」

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ ATK2500

 

 「いったい……何がどうなっているんだ……?」

 

 「そんなものはフィーリングで感じろ!! ここには困惑するキャラにさり気なく説明してくれるタイプのお客様はいらっしゃいません!!

 

 インフィニティの効果発動!! サイバー流の舐めプの犠牲者はしまっちゃおうねえええええーーー!!!!!」

 

 『ゴオオオオオオーー!!!!』

 

 主の命令により、インフィニティの最強効果。エクシーズ素材に仕舞っちゃおうねおじさんを起動。哀れ往年のガチカードはお片付けされてしまう。

 今更ながら、サイバー・ドラゴンと言い、突然変異と言い、未来オーバーと言い、プトノヴァインフィニィと言い。現代遊戯王はサイバー流に結構酷いことし続けたよね。

 

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ ATK2700

 

 

 「……もう、何も分からないな」

 

 

 「まあ、アレだよ。こんだけ好き勝手出来るような奴が、わざわざ人間一人攫ってどうすんの? みたいなさ。逆説的な証明? みたいな」

 

 「………………お前は……酷いデュエリストだな」

 

 「残念。リアリストなんだな。あと元社畜で童貞なんだ。

 

 バトル!! 身ぐるみ剥がされた裸の帝王に、サイバー流の未来で直接攻撃!!

 

 未来のパワカで調子こきドヤ顔アタック!!」

 

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ ATK2700

 

 

 丸藤亮 LP0

 

 

 

 「全く……酷いデュエルだ」

 

 

 そう口にしたカイザーの表情は、どこかスッキリした感じでしたとさ。まる。

 






……………………ぶっちゃけどうよこれ。

今回の話は

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  • オールフィクション
  • 終わりよければすべてよし
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