遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
ザワ……ザワ……カイジかな? いや、割とマジでそんな擬音が聞こえてくるんだよ。
“そんな馬鹿な……カイザーが敗けた……?“
“ありえない!! 相手は一年で、しかもラーイエローだぞ!?“
おーおー。ルーズドックのてんぷらが上がってらー。
“こんなの無効だ!! インチキをしたに決まってる! エクシーズ召喚なんて聞いたこともないモンスターを出したんだ! こんなの不正だ!!“
あ、はい。その一点だけは否定しないわ。まあ、気に入らないならガーディアン・キマイラを召喚し直してもいいし、なんならデストーイ・マッド・キマイラを喚んでもいい。過程が変わるだけで結果は不変なのよ。
あと、地味に驚いたのは、このアカデミアのデュエルディスクがエクシーズ召喚に反応してたことだな。割と出来ないの覚悟してたのに。やっぱりデュエルディスク君は遊戯王世界で最も空気を読んでくれる俺らのズッ友だな。あとで分解整備してやろう。
「さてと。八つ当たりも終わったことだし、俺は翔のリンtーー修業に戻らないとな」
原作だと十代とカイザーのデュエルによる一方的な蹂躙で、何故か翔はニュータイプに覚醒して『お兄さんが言いたかったのは、相手をリスペクトしろと言うことなんだ!!』とかなんかいい話だった風の気付きを得てたわけだが、俺が介入していることでその展開は完全に無かったことになってる。が、これに関しては結局後々も普通に調子こいて高笑いとかしてるから、影響は限りなくゼロに近いと言える。
よって、俺がカイザーとデュエルして翔がなんの気付きを得なくても特に問題ないからヨシ!
「虚路居偽遊」
「あん? 何よ。情報提供する気になった?」
「その前に、一つだけ教えてくれないか」
「ええ〜〜? ……いいよ」
「キミは、吹雪の居場所を知っているのか?」
ああ、そりゃあ聞きたくなるよなコレ。二年探し続けた親友の情報だもの。まあ、さっさと答えてあげましょ。答えたところで何の影響も無いし。
「吹雪ングの居場所は知らん」
「居場所はと言うことは、他に知っていることがあるのか!?」
「知っていることと言われてもなぁ……今年中に会えるよーとしか」
セブンスターズの一件は、一年生編のラストだからな。
「本当か!? 本当に会えるのか!! 何故分かるんだ!?」
うわぁ……居場所が分かったら今にでも喧嘩売りに行きそうな剣幕だわ。
「何故と言われても説明に困る。別に俺が拉致したわけじゃねえもの」
「なら、黒幕は誰なんだ!? 教えてくれ!! オレは吹雪を助け出さなければいけないんだ!!」
ちょっ、あんまり顔面を近づけないで。いくらイケメンでも流石に野郎に迫られるのはキツイんだよ!!
「
「ぐふっ!?」
“あ、あの野郎!! カイザーを殴りやがったぞ!!“
“もう許さねえ!! やってしまえ!!“
“あのインチキ野郎を数の暴力で拘束しろ!!“
「わー! 今まで俺にボロ雑巾にされた自称エリートデュエリスト(笑)共がついになけなしの誇りすら捨てて暴力に訴えようとしているよー! 埃だらけのプライドをまだ綺麗な物だと自分を騙し続けてる負け組に襲われちゃうよー親の顔より見た負け顔がこびりついてて滑稽だよー! たすけてー」
「「「「「ぶっ殺せええええええええーーー!!!!」」」」」
「あーついに殺人予告してきたーこれはもうデュエリストじゃなくて犯罪者だなー!」
もはや人の言葉すら忘れたオッコトヌシもとい怒り狂ったオームの群れが俺目掛けて突撃してくる。因みに軌道は上から見ると完全に直線。わかりやすく言うとちょっと高めの観覧席から自分の怪我も厭わずに身を投げた上で突撃してくる。飛べない豚は豚。女の子以外が空から降ってくるのはノーサンキューだ。
あ、何人か足の骨折ってる。馬鹿かな?
「ゲホッ……けふっ。み、みぞおちが……」
「ところでカイザー。この礼儀を知らない汚れた愚民どもをいつまで俺の視界に入れておくつもりだ?」
「なんだと……?」
「誰も知らない親友の情報。その対価にお前が差し出せるものが、恭順以外にあるか?」
「ぐっ……!」
「あーあ……このままじゃ俺アイツラにボコボコにされて喋ったり筆談したりとか出来なくなっちゃうなー! いーのかなー? カイザーが舎弟になってくれないとしんじゃうなー!」
「……分かった。みんな止めろ!!」
俺氏、虚路居偽遊。元社畜で童貞。おおよそ全ての二次創作オリ主を掻き集めても底辺から数えたほうが早い民度とクソ具合だと自負しております。だって現実の遊戯王大会勢だぜ? 人の嫌がることを極めて勝利を掴むような人種の人格が、清廉潔白なわけないじゃん?
こうして、モブリスクブルーのドカス共はカイザーの号令により俺への手出しが禁止され、俺だけが旨味を得て事なきを得たのでしたとさ。ちゃんちゃん。
そして、その日の夜。
翔へのデイリー拷問ノルマを済ませた俺は、オシリスレッドの食堂にカイザーを呼び出して、大人の話をすることにした。ついて来い。
「ふーん。これがその白いローブのヤツから貰ったサイバー流のカードか。マジで全部?」
「ああ。間違いなくそれで全部だ」
「何というか、あんまり言いたくねえけどこのカード、一つ残らず
「……? それだと問題なのか?」
このカードは商品コードが全て、ストラクチャーデッキーサイバー流の後継者ーで統一されてる。レア度を気にしない民からは有能パーツ大安売りセットとして認識されている再録がゲロほど豪華な商品だから、俺も無限泡影とライスト欲しさに、12個は買った覚えがある。
何が言いたいかって言うと、こんないいとこ取りして要らなくなった不要在庫を使って黒幕ごっこしてたやつが居るかと思うと、ちょっと居た堪れなくなるな……って。せめてこう……黒幕のさぁ、威厳とかさぁ……拘れよ。
「はぁ……要するにお前にこれ渡したやつは、中二病拗らせて年だけ食ったタイプのこどおじってことだ……」
「……?」
下手したら俺よりも悲惨な、アラサー引きこもりニートな、正真正銘の子供部屋おじさんの可能性もある。中学生辺りで登校拒否になって、親にだけイキリ散らしてでっぷり肥え太った虚栄心と身体をポテチやコーラのシミが付いた黄ばんだタンクトップに包んで、脂ギッシュ頭を禿げ散らかした感z……いや、よそう。あんまり解像度上げたくない。
もしお食事中の方がいたら、誠心誠意お詫び申し上げます。
「一つ救いがあるかもしれないとすれば、ワンチャン美少女として転生しているかもしれないって事くらいか」
「…………その、虚路居。すまないがもう少しオレにも分かるように説明して貰えないだろうか」
「…………まあ、アレだ。
天上院吹雪に関しては、今年中に会えるからもう何もすんな」
「さっきも同じことを言っていたが……オレは一刻も早く吹雪を助け出さなければならないんだ」
「無理だよ。俺も吹雪ングがどこに居るのかは知らないし、多分会いにも行けない。
確証は無いけど、歩いていけない隣の世界にいるみたいな状態なんだよ」
「そんなバカな……居場所が分かるならオレはすぐにでも助けに向かう!!」
「例えば木星の衛星イオに居るとしたら、お前はどうする?」
「も、木星だと!? そんなところに吹雪がいるのか!?」
「ちょっと黙れ馬鹿イザー」
「ば……馬鹿イザー…………」
「良いか、よく聞け。
仮に、本当に木星に居たらお前は行けるのか? 人類が成功したことも無い偉業を成し遂げられるのか? たった一年で? 人類最高峰の技術を持って、国家予算を鼻で笑うような資金を用意して、宇宙開発のスタッフを用意して、必要な施設を用意して、地球から飛び立って、道中のあらゆる問題を突破して、嵐と落雷の楽園である木星に正確な座標を目掛けて着陸して? 更に飛び立って、挙げ句地球に帰る。それだけの燃料を用意出来ると?
たった一年でか? そんな
「……………………」
「しかもそんな奇跡を達成しなくても。
当の本人は来年の今頃には、アロハシャツ着てウクレレ弾いて天上院明日香とアイドルデビューしようと小林幸子の真似事してるんだぞ? 俺には馬鹿臭いことこの上なく見えるんだが?」
「待ってくれ。キミには一体何がどこまで見えているんだ?」
「全て。或いはごく一部。
そんなわけだから、もう後のことは気にせずにお前は青春を謳歌してろよ」
おじちゃん心配だよ。ただでさえ天然で、俺程じゃないにしてもコミュ障な、来年の今頃にはヘル化する若者の将来がさ。
別にならんで済むなら心臓病患うほど追い詰められなくてもいいと思うぞ? 結果的にはそれで特に得られるもの無いし。最悪じゃんか。翔の成長イベントなら、心配すんな。俺が原作以上に育てといてやるよ。
「………………だがお前は、オレからの信用を必要としないと言ったじゃないか。
なんの確証もないのに、一体どう信じろと言うんだ」
まあ、それはそう。
「………………」
「白いローブのやつも、お前も、無責任にオレたちのことを分かったようなことを言うだけだ。親友の命が掛かっているこの状況で……何もするな?
ふざけるな!! そんなことが出来るわけがあるか!!
信じられない相手からの言葉で!! 吹雪が帰ってくるなんて言われて、信じられるか!!」
若いなぁ。突っ走ることしか考えてない。眩し過ぎるぜ。しょうがないなぁ。ちょっとだけ未来のことを口を滑らせちゃおう。
「信じられるかは知らんけど。禿狸に聞いてみなよ。
『七精門の鍵』と『三幻魔』について」
「…………シチセイモン……? サンゲンマ?」
「この学園に封印されてる三幻神みたいなカードが三幻魔。そしてその封印を解くのが七精門の鍵。今年、それを巡った命懸けのデュエルが行われる。
天上院吹雪はそこで敵側として出てくるんだ」
「………………吹雪が……敵?」
「そう。どうやってこの島まで来てたのかはマジで分かんないけど、実際来る。一番手に」
「ーーっっ!?」
「俺の予想だと、お前にカードを渡した奴が、吹雪にも渡して強化を図ってくると思う。
正史では十代が吹雪を倒したことで、意識を取り戻して帰ってきた。
だが。使って、更に使われたお前本人が、一番理解している筈だ。
未来のカードは、強い」
「未来の……カード」
「多分、このままその白ローブが干渉し続けてくれば、十代は負ける。
それどころか、アカデミア側は全滅して、天上院吹雪はずっと帰って来ないままかもしれない」
「吹雪…………っっ!!」
「もう一度言うぜ。無駄なことしてないで、お前は
「オレは……オレは…………っっ!」
ああ、ヤバい。シリアスな感じで喋ってたら眠くなって来た…………明後日……つーかもう明日? はタッグデュエルの日だ。明日は死ぬちょっと先まで翔を追い込まねえとだし、計画練らねえと。
「俺はもう眠いから帰るよ。言いたいことは言い切った。
考えなしに
目的を果たす為に
そして……」
俺はカイザーの前に、ニ枚のカードを置いた。
「ーー!? これは……!!」
「ラッキーカードだ。そいつを使いこなして……
じゃ、お休み」
その後のことは、俺にはわからんにゃい。眠いし。
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有り得ないのはオリ主の人間性。