遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
ところで何でみんな10点じゃなくて9点なの……?
……ドウシテ……? ……ドウシテ……?
追記:沢山のコメントありがとうございます。10点評価って数量限定だったんですね……全然知りませんでした。教えてくださった方々に感謝申し上げまする。
カイザーとのデュエルが終わった翌日。翔には現実的な範囲で俺のデュエルの知識と技術を叩き込んだ。そして現在夕方六時。ちょうど最終段階が終わったところだ。
「あ……ああ…………」
デュエルディスクを付けた翔は、対戦相手の俺を視界に入れることなく、上を見つめている。普段なら『対戦相手も見ないお目々とか要らないからナイナイしようね〜』とでも言うところだが、今回は俺が誘導したからソレで良い。
「どうだ翔。この光景は?」
「…………凄いッス。とっても……とっても凄い……」
エロ方面で分からされたような言葉しか出てきてないが、素のIQを鑑みても気の利いた言葉が出てくるとは思えないし、実質いつも通りだ。
未だ惚けたような、或いはもっと別の何を見るような瞳で、俺がデュエルで作り上げたある光景を、丸藤翔は見つめ続ける。
サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000
サイバー・エンド・ドラゴン ATK8000
サイバー・エンド・ドラゴン ATK8000
「本当に……1ターンでサイバー・エンド・ドラゴンを三体も召喚しちゃったんすね……虚路居くん。お兄さんだって、そんなことしたことないのに」
「うん。ぶっちゃけ俺も先攻1ターン目で三体並ぶのは予想外だった」
芸術に心奪われたような顔で見つめていたのは、俺が召喚していたサイバー・エンド・ドラゴン(黒)三体たち。
俺が教えたとは言え、どこまで行ってもコイツは丸藤翔。いつイキって俺の教えを台無しにするかも知れないと考えた俺は、神社に五円玉を入れるような気持ちで、取り敢えず翔の脳を焼いて見ることにした。その方法が、ワンターン・スリィー・サイバー・エンドだ。
これでちったぁイキりが自粛されれば良いんだけどもな。
「………………」
「ほら、いつまで惚けてんだ。その間抜けヅラにしっかり活を入れろ」
デュエルディスクを操作して、エンドフェイズをポチッとな。召喚にパワーボンドを使っているので、そのまま俺のライフはゼロになる。なんなら2回使ったのでマイナス4000だ。
「あ……消えちゃった」
「サイエンは消えても良いが、俺が教えたことは頭から消すんじゃねえゾ?」
「あ、はい!!」
「最後に俺が教えたこと復唱してみろ。ひとーつ」
「ひ、ひとつ! デッキとは、デュエルをどう進めて、どう終わりを迎えるのかを書き記した設計図であり、自分がどう戦いたいのかという理想を実現する可能性を1%でも高めるべく、日々改良を重ねる、自分だけの精密機器である!!」
「ふたーつ」
「ふたつ!! 現実は常に理想を排除しようと襲い掛かってくる怪物である。デュエリストは理想から外れた現実とも戦うためのセカンドプランを常に考えておくべし!!」
「みーっつ」
「みっつ! 自分に出来ることは相手にも出来ると想定し、常に己が挑戦者であるという意識を忘れるなかれ!!」
「よーっつ」
「よっつ!! 相手の戦術に対策をすることは卑怯では無い。寧ろそれを卑劣と口にするのは、自分が怠け者の不心得者であると吹聴する無様な行為である!!」
「いつーつ」
「いつつ!!
…………最強は、さ、寂しい……。
あの、偽遊くん。これだけは良くわからないんすけど……」
「分からなくて良い。その言葉だけ覚えておけ」
「は、はあ……?」
若者は最強厨で良いんだ。むしろそれが健全まである。だがそれはそれとして、遊戯王世界で最強はちょっとろくな事が起きそうに無いので釘は刺しておきたい。
学園の中にいる今は、俺が最強でいられるが……ゆくゆくコイツの修行が完成して、原作通りにカイザーと新しいプロリーグを作ったとしたら、俺以外に拮抗する相手がいないコイツは、下手したらクスリとかに手を出して破滅しかねない。
少なくとも俺は、この世界で全く負けを意識しないデュエルばっかりだった最初期。気が狂いそうになった。磨き上げた腕を振るう場所がない。俺の全力を受け止められるライバルがいない。
これまでの研鑽は何のためにしてきたのか? 自分で自分を否定したくて堪らなかった。
「少なくとも。俺にはあの時間が、ブラック企業で飼い殺されてる時代よりも、遥かに悲しかったし、怒り狂いそうだった……」
「? 何の話っすか?」
「何でもねえ。明日はしっかり行って来い馬鹿弟子。お前は俺が育てた。そう簡単にボロ雑巾にはならねえだろうよ」
「あ……はいっす」
「多分、明日の相手は迷宮兄弟だろう。ほら、テメエのデッキに合うカードを見繕った。しっかりデッキを調整しとけ」
「ありがとうございます……って、迷宮兄弟って誰っすか?」
「デュエリストキングダムで、ペガサスに雇われて武藤遊戯と城之内克也を相手にデュエルした、タッグデュエル専門の兄弟だ」
「ええ!? あのデュエルキングとデュエルを!? とんでも実力者じゃないっすか!」
「別にそうでもないぞ」
「そ、そりゃあ偽遊くんから見ればそうなのかも知れないっすけど……!!」
「今のお前なら戦える」
「え!? マジっすか!?」
「そう祈ることだ。出来なきゃお前は退学ーーいや、せめてもの慈悲だ。その時は……俺がお前を消す」
「ひいいいっっ!???」
「せいぜい気を抜かずに戦うことだ。ロイドデッキの戦い方は、しっかり教えた。後は全てお前と、パートナーの十代の問題だ」
「ボクと……アニキの」
「デュエルの責任は、本人にしか取れない。いや、その責任から逃げれば……そいつはもう、デュエリストじゃない」
「デュエリストじゃ……ない」
「勝者として生き残るか、魚のエサになるか。
全ては明日の一戦が決める。気張れ。翔」
「…………はいっす」
次回、タッグデュエル……するのか、あるいはスキップされるのか……!?
デュエルスタンバイ……?